【特集】

【PCエンジン mini全タイトルレビュー!】「精霊戦士スプリガン」

コンパイル開発のメカと魔法が舞台の中二病全開ファンタジーSTG!

1991年7月12日 発売

 コンパイルのシューティングゲームと言えば、MSXやファミコン、メガドライブなどでリリースされてきた「ザナック」シリーズや「アレスタ」シリーズなどが有名だが、PCエンジンにおいてもコンパイルのシューティングタイトルは何本かリリースされている。

 1本は1989年7月発売の「GUNHED(PCエンジン miniでは海外版の「Blazing Lazers」として収録)」であり、その後、1991年にCD-ROM2タイトルとしてリリースされたのが今回紹介するファンタジーシューティング「精霊戦士スプリガン」だ。

起動すると主人公の乗る機体スプリガンが発進するデモ映像が流れる。発進前に呪文を詠唱するあたり、魔導兵器っぽくてカッコいい
「精霊戦士スプリガン」の魅力の1つは豊富な自機ショットのパワーアップ。なんと4種類の精霊球を3つのスロットに装着することで最大29種類のショットが使えるというのだから驚きだ

見るからにコンパイル製のシューティング。ショットのパワーアップは29種類も!

 本作の魅力の1つはコテコテのコンパイル製の縦シューティングという点にある。同社のシューティングゲームを何本かプレイした事があると、ゲーム開始直後の自機の挙動や高速背景の流れ方からコンパイルらしさが感じられる。魔法の力によりロボットが空を飛ぶという斬新な設定もいいし、そんな設定を活かすため、パワーアップアイテムは精霊球と呼ばれる4種類の球になっているのも面白い。

 精霊球は火、水、風、土の4種類あり、これを取る順番によって自機のショットのパワーアップのパターンが変わっていくというのも、シューティングゲームのパワーアップとしては目新しい。なお、精霊球は手元に置いておかずそのまま消費すると画面上の敵と敵弾を全て破壊するボンバーになる。自機に精霊球を装着するスロットは3つあり、その3つの組み合わせで全29種類の攻撃パターンが用意されている。

 ステージ中盤や終盤には巨大なボスが登場し、攻撃を仕掛けてくる。これを撃破することで、ステージをクリアしていく。

 本作はCD-ROM2タイトルなので、起動直後にはムービーによるデモ映像が流れるのだが、そこでは主人公のジェガを演じる声優の堀川亮氏と、ヒロインのリカートを演じる鶴ひろみ氏による会話が流れる。その後もステージを進めるごとにストーリーが進んでいき、デモ映像や画像とともにキャラクターたちの会話が流れるため、より物語が楽しめるのも本作の魅力の1つだ。この時代のCD-ROM2は声優さんの出番が多く、声優ファンとしては非常にありがたみがある。

ACT1開始。いきなり背景の雲が高速スクロールしており、前面からは多くの敵が出現する
味方の同型機が並行して飛んできて一緒に戦ってくれる場面もあってグッとくる。しかも時には撃墜されたり、先行していく演出などもあるのでさらに色々想像したくなる
道中には巨大なボスキャラクターが出現してスプリガンの行く手を遮る

 一方で、当たり前の話となるが、コンパイルの縦シューティングと言えばその難度の高さも特徴の1つだ。慣れないうちはゲーム開始直後の数秒であっさり自機がやられてしまうだろう。実際筆者も久々に挑戦したところ、高速な雲のスクロールとそれに合わせて出現する敵機の数の多さ、さらに敵弾の多さに目が惑わされ、いきなり何度も敵弾をくらってやられまくってしまった。

 本作ではセレクトボタンを押すことで、自機のスピードを調整することができる。画面左上の矢印マークがその印で、セレクトを何度か押して速度調整して自分で制御できる速度でプレイするのがいいだろう。

 そして本作で厄介なのはその特徴的なパワーアップだ。パワーアップアイテムの精霊球はかなり頻繁に画面上に登場する。パワーアップアイテムがたくさん出るのは喜ばしい事だが、一方で迂闊に色々取ってしまうと組み合わせによってはとても使いづらいショットになってしまう事も多い。そのため、最初のうちは色んな組み合わせを試して、自分にとって一番使いやすいショットの組み合わせをチェックしておきたい。またはステージの進行状況などを見て、敵に合わせて相性のよさそうな組み合わせなども模索し、その組み合わせ以外の精霊球を取ってしまった場合は、ボンバーとしてガンガン消費していく、というスタイルがいいだろう。

 弾避けが苦手な筆者はまだACT1しかクリアできていないが、今後も中断セーブ機能を駆使してどうにか最後まで進めていきたい。

ポイントによっては同時に大量の精霊球が流れてくる事が多い。取る前に放出してボンバーとして使ってから取り直すのが効率がよさそうだ
精霊球の取り方でパワーアップは変化する。火の精霊球を選ぶとは大きめの火球がショットとして発射されるようになる
精霊球をボンバーとして発射すると画面上の敵全てと敵弾も全て破壊できる。装着していた精霊球は当然1つ減るので、なるべく早い段階での補充が必要だ
ACT1の最後は巨大な翼の生えた飛空艇がボスとなるのだが、飛空艇発進前にはたくさんの兵士たちがちまちまと飛空艇に乗り込んでいく姿が見られるなど、芸が細かくて好感触
クリア後はデモムービーが入り、ここでも2人の声優さんたちの声が堪能できる。ところで堀川 亮氏の声で有名なのはあの戦闘種族のエリートのあの人で、鶴ひろみ氏と言えば青い髪の天才科学者の娘さんですよね?あれ?この2人がこのタイミングで?