【特集】
【PCエンジン mini全タイトルレビュー!】「スプリガン mark2」
当時のロボットアニメを意識した演出が熱い、コンパイル製横スクロールシューティング
2020年3月18日 00:00
- 1992年5月1日 発売
「スプリガン mark2」は、1992年にSUPER CD-ROM2タイトルとしてリリースされたシューティングゲームだ。同じくPCエンジン miniにも収録された前年発売の「精霊戦士スプリガン」の続編となるタイトルだが、設定やゲームシステムがガラッと変わり、SUPER CD-ROM2の性能をフル活用したロボットアニメ的な演出をふんだんに盛り込んだタイトルとなっている。
爆発的な人口増加により、火星への「テラフォームプロジェクト(地球化移住計画)」を開始した人類。その火星の領土を巡り、A国とS国の2つの大国が対立する中、主人公となるA国軍パイロットのグレッグ少尉率いるガーネット小隊は、新型アームドアーマー「スプリガン」のテストのために火星へと降り立つ。そのスプリガンが、裏切りを企てた同胞のエメラルド小隊によって強奪。この事件をきっかけに地球と火星の関係が悪化していくというストーリーが描かれている。こうしたストーリー描写は、オープニングやステージ間に、当時PCエンジンCD-ROM2タイトルのベーシックな演出となっていたフルボイスのビジュアルシーンで展開される。
PCエンジン miniの公式サイトには現在、開発元のコンパイル在籍時に本作の企画・プログラム・シナリオを手がけた外山雄一氏(現タイトー)のインタビューが掲載されている。そこからの引用によると、外山氏は本作をメガドライブで1990年に発売された「重装機兵レイノス」へのアンサーゲームだと述べていて、残機制ではなくシールド制を採用していたり、武装に弾数制限があったりするシステムや、プレイ中画面下のウィンドウにセリフが入る演出などに同作との共通点も伺える。
当時リアルタイムでプレイした筆者はこの「スプリガン mark2」に、1985年に放映された「機動戦士Zガンダム」を重ねていた。対立する勢力に奪われる紺色の新型メカ、ストーリー途中で最新鋭機に乗り換える主人公、大気圏突入時に繰り広げられる攻防、月面に落下するコロニーなど、影響を受けたと思われるシーンがいくつか見られたのがその理由だ。そこに「重装機兵レイノス」を「機動戦士ガンダム」のような位置づけで当てはめると妙にしっくりくるのもまた面白い。ちなみにグレッグ少尉を演じているのは「機動戦士ZZガンダム」の主人公ジュドーを演じた矢尾一樹さん。他にも梅津秀行さんや堀 秀行さん、塩沢兼人さんをはじめとする、当時のアニメでも活躍していた声優陣が多数出演している。
本作は当時コンパイルがシリーズで展開していた縦スクロールシューティングとは一線を画す、横スクロールシューティングとなっている。同社の縦シューは、アイテムを取って切り替えるパワーアップが特徴の一つで、PCエンジン miniでは「精霊戦士スプリガン」でそれを楽しめるわけだが、この「スプリガン mark2」にはプレイ中のパワーアップの概念はなく、ステージごとに弾数が決まった複数の武装をセレクトボタンで任意に切り替えて戦うシステムを導入している。グレッグが「スプリガンマーク2」に乗り換えてからのステージ4以降は、開始前にいくつかの「武装パック」の中から選んで出撃するという仕組みだ。自機は残機制ではなくシールド制で、シールドがゼロになった状態で被弾するとその場でゲームオーバーとなってしまう。ただしこのシールドは時間経過で回復するという特徴があるので、上手く回避をすればピンチから逃れられることもある。
画面にパワーアップアイテムなどが一切登場しないゲームシステムは、画面下にセリフが入る演出とともにゲームの臨場感を高めている。重要なシーンではボイスも入り、ゲームが一時停止するが、ポーズ画面でいつでもでテキストのみの表示と非表示も選択できる仕様だ。この演出によって描写されるシーンは、ロボットアニメが好きなら熱くなれるのは間違いなく、特にステージ3でグレッグが被弾した機体から空中を飛来する無人のスプリガンマーク2に乗り換えるシーンは、筆者がこれまで遊んだロボットゲームの中でもトップに入る名シーンだと思っている。
ここまで執筆してきた本作だが、実は筆者は本作のエンディングを見たことがなかったりする。最終ステージのボスが倒せなかったというのが理由で、さらにセーブ機能がなく、通して遊ぶにはプレイ時間が長めだったために、後に改めて挑戦することが叶わなかったわけだが、PCエンジン miniの「カンタンセーブ機能」を使えば、再挑戦も難しくなくなった。28年の時を経て、ついに自力でエンディング(難易度「ハード」以上で真のエンディングとなる)を見ることが叶いそうである。
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