【特集】

【PCエンジン mini全タイトルレビュー!】「R-TYPE」、「スペースハリアー」など全7タイトルを一挙まとめてご紹介!

海外タイトルレビューその2(シューティング編)

 本稿では、PCエンジンminiの収録タイトルの中から、かつて海外版PCエンジン(欧州版「PCエンジン コアグラフィックス」と、米州版の「ターボグラフィックス-16」)用ソフトとして発売されたシューティングゲーム全7タイトルの見どころや注目ポイントをまとめてご紹介する。

 なお、紹介するタイトルは、「R-TYPE」、「SPACE HARRIER(スペースハリアー)」、「SOLDIER BLADE(ソルジャーブレイド)」、「BLAZING LAZERS(ガンヘッド)」、「PSYCHOSIS(パラノイア)」、「AIR ZONK(PC電人)」、「LORDS OF THUNDER(ウィンド オブ サンダー)」(※カッコ内は日本国内版のタイトル表記)で、言語は全て英語となる。

「R-TYPE」

・発売日
「R-TYPE I」:1988年3月25日、「R-TYPE II」:1988年6月3日(※いずれも日本国内版。以下同)

 1987年にアイレムが発売した、アーケード用横スクロールシューティングゲームを移植した作品。国内版のPCエンジンでは、ハドソンから「R-TYPE I」、「R-TYPE II」の2タイトルに分けてHuカード(ROMカートリッジ)で発売され、アーケード版に極めて近い移植を実現し、なおかつ「II」にはアーケード版には存在しなかったオリジナルのボスキャラ、「ヤジュー」を登場させたことでも話題になった。

 国内版では、「I」の全4ステージクリア後に表示されるパスワードを「II」のゲーム開始時に入力すると、自機の装備を維持した状態で「II」の1面(※アーケード版の5面にあたる)から遊べるシステムが搭載されていた。だが海外版では、1本のソフトにまとめて収録されているので、パスワードのメモや入力の手間は不要だ。

 ボタンをしばらく押したままにして、ゲージをためてからメインショットを放つと強力な波動ビームを発射したり、壁を反射しながら飛んでいくレーザー、自機の前後を守るフォース、上下を守るビットなど、ユニークな武器や装備を駆使して敵を倒す楽しさは、元祖アーケード版にもまったく引けを取らない。海外版においても、6面の最終地点には「ヤジュー」が出現するのがPCエンジン版の最注目ポイントだ。

【パスワード不要で5面以降も続行可能】
国内版「R-TYPE II」の1面にあたる、5面開始時にパスワードを入力する手間がなく、スムーズにゲームが進む

ため撃ちショットや対空、反射、対地の3種のレーザー、フォース、ビットなど、豊富な攻撃のバリエーションが用意されているのが「R-TYPE」ならではの面白さだ

アーケード版には存在しなかった、オリジナルのボスキャラ「ヤジュー」が6面に出現するのが本作の注目ポイントだ

「SPACE HARRIER(スペースハリアー)」

・発売日:1988年12月9日

 1985年にセガが発売した、主人公の超能力戦士ハリアーの動きに合わせてシートが前後左右に傾く、大型専用筐体を使用したアーケード用3Dシューティングゲームの移植版にあたる。国内のPCエンジン版では、1988年にNECアベニューから発売された。

 ステージ構成はアーケード版と同じで全18ステージ。ハリアーの操作感覚や、敵キャラの動き方、表示サイズなどはアーケード版とはやや異なり、また柱などの壊せない地上物は、アーケード版に比べると避けにくい印象を受ける。だが、巨大な敵のボスや敵弾が眼前に迫る敵を撃ったり避けたり、あるは高速スクロールに乗って動く地上物の軌道を見切ってかわすなど、本作の醍醐味である3D視点ならではの迫力やスピード感を存分に楽しめる仕上がりとなっている。

 また、18面をクリアするとアーケード版には存在しなかったオリジナルのスタッフロールや、全敵キャラを紹介するシーンを見ることができるのも、PCエンジン版ならではの注目ポイントだ。まだ本作のエンディングを見たことがないプレーヤーは、ぜひ全面クリアにチャレンジしていただきたい。なお、初期設定の操作はアーケード版とは異なる(※ハリアーの上下移動が逆)ので、アーケードと同じ操作方法で遊びたい場合は、あらかじめモード選択画面で「リバース」に変更しておこう。

PCエンジンの描画性能を生かし、アーケード版にかなり近い移植を実現。PCエンジン版オリジナルのエンディングも必見だ

「SOLDIER BLADE(ソルジャーブレイド)」

・発売日:1992年7月10日

 ハドソンが発売した縦スクロールシューティングゲームで、今回のPCエンジンminiに収録されている「スーパースターソルジャー」と同じシリーズの1タイトル。国内版「ソルジャーブレイド」は、1992年に行われたプレーヤー日本一決定戦イベント、「全国キャラバン」に使用されたことでも知られる。

 自機はIIボタンを押したままで武器をフルオートで連射し、赤色のパワーアップアイテムを取るとクラスター、青はレーザー、緑を取るとウェーブの3種類の武器が装備される(※初期状態はクラスターを装備)。さらにこれらのアイテムを取ると、自機と同じ武器を撃ち、なおかつ敵弾を防いでくれるガンボディが装着される。IIボタンを押すと、装備した武器によって異なる効果を発揮する、強力なスーパーシェル(ボム)を放つこともできる。同じ色のアイテムを連続して取ると武器がパワーアップし、最大レベルまでアップさせると強力で、なおかつとびきり派手な攻撃が繰り出せる特長も旧シリーズと同様だ。

 ゲームモードは2種類あり、全7ステージクリアを目指す「ノーマルゲームモード」と、「スーパースターソルジャー」と同様に本シリーズではおなじみの制限時間内にスコアを競う「チャレンジモード」(※「2分ゲーム」と「5分ゲーム」)も遊べるようになっている。背景が高速スクロールする舞台で巨大なボスと戦い、派手にパワーアップした武器を撃ち込んだり、ボムを駆使して破壊できたときは実に快感だ。また、「チャレンジモード」には隠れキャラを破壊したり特定の敵を同時に破壊するなど、特定の条件を満たすと獲得できる数々の隠しボーナスが用意されているので、これらを探しつつ何点まで稼げるかにチャレンジするのも面白い。

「2分ゲーム」「5分ゲーム」のキャラバン専用モードも楽しめる。隠しボーナスを探しつつ、得点を稼ぐパターンを作るのが楽しい

「BLAZING LAZERS(ガンヘッド)」

・発売日:1989年7月7日(※「ガンヘッド」の発売日)

 国内版の「ガンヘッド」にあたる、1989年にハドソンが発売した縦スクロールシューティングゲーム。前述の「ソルジャーブレイド」と同様、国内では「全国キャラバン」が開催されて人気を博し、同年に公開された映画「ガンヘッド」をゲーム化した作品としても話題となった。

 自機は特定の敵、および地上物を破壊すると出現するアイテムを取ると、メインウェポンとサブウェポンをそれぞれ装備することができる。メインウェポンは、フォトン・プラクター、ディスラプト・ウェーブ、フィールド・サンダー、リングブラスターの4種類で、サブウェポンも同じくホーミング・ミサイル、マルチ・ボディー、シールド、フル・ファイヤーの4種類ある。さらにフル・ファイヤー装備時は、メインウェポンの性能が変化するようにもなっているので、攻撃のバリエーションが非常に豊富なのが本作ならではの特長だ。

 すべての装備はボタンを押しっ放しでフルオート連射され、さらにIボタンを押すとストックした数だけ広範囲の敵にダメージを与える強力なボムを放つこともできる。これらの装備を駆使して、敵を一掃できたときは実に快感で、またステージによっては背景が高速でスクロールし、超高速の敵編隊が立て続けに出現するスリリングな場面が登場するのも大きな魅力だ。

メインウェポンが装備とサブウェポンが4種類ずつあることによって、多彩な攻撃を繰り出せるところに本作ならでの楽しさがある

「PSYCHOSIS(パラノイア)」

・発売日:1990年3月1日(※「パラノイア」の発売日)

 日本ではナグザットが発売した横スクロールシューティングゲーム、「パラノイア」の海外版。特定の敵を倒すと出現するアイテムを取ると、ワイドビームやサンダー、バックレーザーといった武器を発射できるようになるとともに、サテライトと呼ばれる装備が追加される。

 サテライトは、ザコ敵の体当たりや敵弾を防ぐ効果とともに、Iボタンを1回押すたびに90度ずつ向きが回転する仕組みになっている。これを利用して、敵が固まっている場所にサテライトの向きをこまめに変えて敵を倒していくのが楽しい。また、ターボパッド使用時はIボタンの連射速度を最大にセットして、サテライトが常時自機の回りを回転するようにして身を守る戦い方も可能だ。

 「サマーカーニバル'92烈火」、「精霊戦士スプリガン」などで有名なナグザットの作品ということもあって、難易度は高めというのが率直な印象だ。だが、本作の移植版はこれまでにWiiのバーチャルコンソールしかなく、しかも現在は配信が終了しているので、シューティングファンにとっては貴重な1本であるとも言えるだろう。

臨機応変に、サテライトを上下左右に動かして敵を倒すのが面白い。和風、あるいはインド神話をほうふつとさせるステージなどが登場する、独特の世界観も見どころ

「AIR ZONK(PC電人)」

・発売日:1992年11月20日(「PC電人」の発売日)

 ハドソンが発売した「PC電人」の海外版で、自機である主人公、その名もゲンヘッドを操作して敵を倒していく、ポップな世界観が特徴の横スクロールシューティングゲームだ。

 敵のアイテムキャリアを破壊すると出現するアイテムを取ると、ミサイルやパンチ、カッターなどのショットが使用可能となり、IIボタンを少しの間押しっ放しにしてから離すと、装備によって異なる強力なため撃ち攻撃も発射できる。さらに「サングラスニコちゃん」のアイテムを取ると、仲間が出現して援護射撃をしてくれるようになる。仲間は全部で10人いて、こちらもそれぞれ攻撃方法がまったく異なり、さらにもう一度サングラスを取ると、一定時間無敵になる合体無敵攻撃も繰り出せる。

 ゲンヘッドのすぐ背後に敵が接近すると、自動でバックファイアを発射して攻撃をするのも、本作ならではの面白いアイデアだ。また、Iボタンをしばらくの間押しっ放しにしてから離すと、「超」がつくほどの強力なボムが撃てるのもユニークなところだ。ちなみに、ボムは国内版ではウンチ型で名称もウンチボムであるが、本作は普通のミサイル型にデザインが変更されている。

 本作では、国内版の「PC電人」に存在した、ゲームスタート時とゲームオーバー時に流れるテーマソングのシーンがカットされ、スコアの「兆」と「億」の単位表示もなくなっている。だが、コミカルなデザインのキャラクターが次々と登場し、ノリの良いBGMぞろいのサウンドが流れる楽しさは海外版でも変わらない。難易度はやや高めなので、慣れないうちはゲーム開始時に「SWEET(甘口)」を選ぶことをおすすめする。

ため撃ち、10人の仲間との合体攻撃、強力なボムなどユニークな攻撃方法が満載。コミカルな敵キャラのデザインも見ているだけで楽しめる

「LORDS OF THUNDER(ウィンド オブ サンダー)」

・発売日:1993年4月23日(※「ウィンズ オブ サンダー」の発売日)

 ハドソンがSUPER CD-ROM2(ロムロム)専用ソフトとして発売した横スクロールシューティングゲームの「ウィンズ オブ サンダー」海外版。自機にあたる主人公の剣士のランディーが、暗黒神の復活を企む帝国軍に戦いを挑むというストーリーで、中世のヨーロッパを舞台にしたRPGを彷彿とさせる、魔導士やドラゴンなどの敵キャラが登場するのが特徴だ。

 ショットはIIボタンを押しっ放しでフルオートで連射され、至近距離に敵が来ると自動で剣を振って攻撃する。Iボタンを押すと、ストックした数だけ強力な精霊(ボム)を放つことができる。ゲーム開始時に火、風、水、地の4種類の鎧のなかから1つを選択し、攻撃方法は装備した鎧によってまったく異なる。ステージはプレーヤーが任意に選択が可能(※ラスボスがいる宮殿をのぞく)なので、ステージごとにどの鎧を選択するかが攻略の大きなポイントになる。敵や障害物に触れるとランディーのライフが減り、ライフがゼロになるとゲームオーバーとなる。

 敵を倒すと出現するクリスタルを集めると、ライフやショットのパワーアップ、やられても復活できるアイテムなどをショップ購入できるのも本作の面白いところだ。また、ショップではコンティニューの回数を増やすアイテムも売っているので、全面をクリアを目指すためにはなるべく敵から逃げ回らず、どんどん倒してクリスタルを稼ぐことが必須となる。なお、ランディーがダメージを受けるとショットがパワーダウンしてしまうが、敵がドロップしたパワーアップアイテムを回収すれば、再度パワーアップさせることも可能だ。

 難易度はやや高めだが、鎧の特徴やショップを利用した戦略性と、ショットを最大レベルまでパワーアップしたり、ボムを放ったときの爽快感の高さを兼備。ファンタジックな世界観を演出するグラフィックスと、ベースやエレキギターの音色がズンズン鳴り響くヘビメタサウンドと併せて、本作独特の魅力を存分に楽しみたい。

RPGを彷彿とさせるファンタジックな世界観と、ショップでアイテムを購入するシステムを導入した珍しい作品。ビジュアルもサウンドも素晴らしい