【特集】

【PCエンジン mini全タイトルレビュー】「スプラッターハウス」/「Splatterhouse」

不気味さとグロさ全開のホラーアクション。海外版はマスクの色が違う!

1990年4月3日 発売

 「パックマン」や「マッピー」、「ディグダグ」など、可愛いらしい作品イメージの強かったナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)が、そのイメージをぶっ壊す異色作を生み出した。それが今回レビューする「スプラッターハウス」だ。80年代のホラー映画ブーム真っ只中に作られた本作は、可愛らしさなど微塵もない、不気味さとグロさにまみれたホラーアクションゲーム。コアなゲームファンにヒットし、3まで続編が作られ、海外では2010年に1作目のリメイク版も発売されている。

 本作は、異形の怪物が巣食う洋館が舞台。嵐に見舞われ、館の中に足を踏み入れてしまった主人公のリックと恋人のジェニファー。二人は怪物に襲われてしまい、リックは重傷、ジェニファーは館の奥へと連れ去られてしまう。

 倒れるリックの前に現れたのは、仮面の精霊「ヘルマスク」。ヘルマスクを身に着け、超人的な力を手に入れたリックは、ジェニファーを救うため洋館の奥へと向かっていく――というのが大まかなストーリーである。

 ゲームはオーソドックスな横スクロールアクション。打撃や武器を駆使した豪快なアクションで不気味な怪物どもを蹴散らして進んでいく。

 もとはアーケードで稼働していた「スプラッターハウス」。PCエンジン版ではイベントシーンやグラフィックス面が簡略化されている部分があるものの、作品の雰囲気を損なわず忠実に移植されている。

 本作最大の魅力は、“嫌悪感すらも湧いてくる不気味な世界観”だ。ステージの背景にはバケモノが体液を垂れ流しながら磔にされていたり、肉塊が転がっていたりと、とにかくグロテスク。ザコ敵がやられる際のグチャグチャに砕け散っていく演出も最高に気持ち悪く、ホラーゲームファンならこの不気味な世界にグングン惹き込まれていく。

ドット絵でここまでの不気味さを表現。制作のセンスが光っている

 数々のアクションゲームを手掛けてきたナムコ作品だけあり、ただ不気味なだけのゲームでは終わらない。迫り来る敵をぶちのめす痛快なアクションや、歯応えのある絶妙な難易度設定など、純粋にアクションゲームとしての面白さも折り紙付き。

 各ステージの最後に待ち受けるボス戦は、初見でクリアするのはなかなか難しく、やられながらボスの行動パターンを覚えて攻略していくという硬派なゲームバランスになっており、クリアできたときの達成感は大きい。

プレイを重ねていくことで、攻略法が見えてくるボス戦

 グロさや不気味さだけではなく、ストーリーでも衝撃を与えてくる。ストーリー終盤、死線をくぐり抜けてきたリックはついに恋人のジェニファーとの再会を果たす。しかし、喜びも束の間、突然もがき苦しむジェニファーは醜い化物へと姿を変える。館の奥へ連れ去られたジェニファーは、怪物たちの手によって異形の存在へと変えられてしまっていたのだった。

 化物になってしまったジェニファーとの殺し合いは、助け出すために戦ってきたリックにとって絶望的な展開。この後、果たしてどんな結末が待っているかは、実際にプレイして確かめてもらいたい。

ホラー映画さながらのトラウマ級の展開

 「PCエンジン mini」でプレイできる「スプラッターハウス」だが、北米版の「ターボグラフィックス-16 mini」と欧州版の「コアグラフィックス mini」には当時ターボグラフィックス-16向けに発売された海外仕様のバージョン「Splatterhouse」が収録されている。ゲーム内容自体は国内版と違いは無いが、リックが着けているヘルマスクの色や、ステージ背景のオブジェクトなどが一部変更されている。プレイする機会があまりない貴重なバージョンだ。

 現行機のゲームと違い、スペックの都合上できることに限界がありながらも、2Dで恐怖の世界観を演出しているのはさすがの一言。ホラーゲームファンには是非触れてもらいたいタイトルだ。

当時TurboGrafx-16用に発売された「Splatterhouse」