【特集】
【PCエンジン mini全タイトルレビュー!】「PC原人」
多彩なアクションで暴れ回る”原人”が活躍する横スクロールアクション
2020年3月13日 00:00
- 1989年12月15日 発売
1989年にハドソンから発売された「PC原人」は、横スクロールタイプのアクションゲームである。主人公の移動につれて画面が横にスクロールするアクションゲームとしては「スーパーマリオブラザーズ」や「ソニック」シリーズなどが有名だが、「PC原人」はそれらとはひと味違った世界観とユニークなキャラクター、主人公の"攻撃方法"が魅力だ。
「PC原人」の主人公は、その名の通り「原人」であり、敵もアルマジロや恐竜、斧を持った原人などである。特にユニークなのは敵に対する攻撃方法で、なんと原人は頭突き(ボンクと呼ぶ)で敵を攻撃するのだ。「PC原人」は世界観が独特なだけでなく、アクションゲームとしての完成度も高かったことで人気を集め、続編の「PC原人2」や「PC原人3」がPCエンジンで発売されたほか、ゲームボーイやファミリーコンピュータ、スーパーファミコンなどでもシリーズ作品が発売された。
「PC原人」では移動を方向キーで行ない、Iボタンでジャンプ、IIボタンで前方への頭突き攻撃を行なう。原人は頭蓋骨が大きく堅いという設定なので、ほとんどの敵を頭突きで倒せる(!!)。さらに空中で頭突きをすることで、頭を下にしてそのまま地面に向けて落下する「グランドボンク」、空中でIIボタンを連打することで空中で原人がクルクル回転を繰り返す「スピンボンク」を繰り出せる。特にスピンボンクはジャンプの滞空時間が伸びるので、使いこなすことでステージの進行がグッと楽になる。
パワーアップの仕方も面白い。本作におけるパワーアップアイテムはものすごく世界観にマッチした"骨付き肉"で、「ちっちゃい肉」と「でっかい肉」の2種類。ちっちゃい肉を取ることで1段階、でっかい肉は2段階パワーアップするのだが、パワーアップの1段階目はやや肌が浅黒くなった「PC猿人」、2段階目は凶悪な顔つきの「PC変人」となり、見た目がより強そうな感じに変化する。
また、その見た目通り頭突きの威力もPC猿人は通常の2倍、PC変人では3倍と大きく向上するほか、グランドボンクで画面内の敵の動きを少しの間止めることができるようになる。パワーアップは一定時間が経過するか敵からダメージを受けることで1段階戻ってしまうが、パワーアップ中はガンガン敵の動きを止めながら先に進むことができるので、ちょっとしたボーナスタイムのような気分を味わえる。
「PC原人」のステージは恐竜の身体の中に入ったり、巨大なシダが登場したり、砂漠や氷の世界を進んで行ったりと、多彩なステージで構成されており、道中ずっとワクワクする。さらにステージ中には特定の壁を壊すことで隠し部屋に通じる扉が出現したり、一見ただの背景に見える入り口に入れるといった隠し要素もたくさんあるので、こうした要素を発見していく喜びもある。
ちなみに、残念ながらPCエンジン miniには付属しないが、別売りのオプション、あるいは欧州版のCore Grafx miniと北米版のTurboGrafx-16 miniに同梱されているターボパッドの連射機能をオンにしてスピンボンクをすると、思わず笑ってしまうほど長時間跳んでいることができるので、機会があればこちらも試してみていただきたい。
「PC原人」はユニークな世界観と多彩な原人のアクションが魅力の横スクロールアクションゲームだ。さらにライフ制+残機制になっていて一度や二度ダメージを受けただけではミスにならず、さらに道中ではライフのハートを回復するアイテムも出てくるので、アクションゲームが苦手な人でも存分に楽しめるつくりなのが嬉しいところ。2Dアクション好きなら是非プレイしてみて欲しいタイトルだ。
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