発売元 Eidos Interactive
先日、貿易シミュレーションゲームの傑作「Patrician 2」を紹介したばかりだが、Eidos Interactiveからも交易を扱ったシミュレーションゲームが先月発売されている。理由は不明ながら、「Trade Empires」というゲームはEidos UKのサイトでもまったく扱われておらず、加えて非常に地味な印象のゲーム画面であるため、このままでは間違いなく大作の狭間に埋もれてしまうように思うので、少し念入りに紹介したい。
「Trade Empires」は、「Imperialism」シリーズの開発元として知られるFrog City Softwareが開発した、交易は交易でも国内限定の取引(Trade)を扱った交易シミュレーションゲーム。DEMOでは、5ステージに分かれた「Learn to Play」でゲームの操作法をじっくりと学ぶことができる。「New Game」もプレイ可能だが、こちらは中世の中国を舞台とした「Shang Dynasty China」のみプレイ可能。そのほかのシナリオは全体マップを確認できるだけだが、中国のほか、ローマやヨーロッパ、ペルシア、ギリシア、スペインなど交易史上に残る有名都市を完全に網羅しており、このあたりの妙なこだわりがシミュレーションファンにはたまらないところだろう。
ゲームは、だだっ広いマップに拠点がひとつ、ポツンと置かれた状態からスタートする。交易品はフィールド上にあるものがすべてで、フィールドをよくよく見ると田んぼのような見える。まずはその近辺に市場を建てる。田んぼのように見えたのはMillet(穀物)やRice(米)で、市場を建てることで自動的に収穫されていく。そうした状態がしばらく続くと村ができ、やがて街に変わり、市場での取引が始まり、村の特産品(というほどのこともないが)や都市の規模に応じて、自動的に取引価格が変動し出す。
こういった村の発展ぶりを見ているだけでも十分楽しいが、凄まじく広いマップには、そのほかシルクや翡翠などが取れる地帯があり、そこらに市場を建て、市場と市場(街と街)を道路で結びつけ、雇い入れたMerchant(交易商人)にその街道を往復させることで、マップ全体(国家全体)が徐々に豊かになっていく。画面を街に移すと、市場での市民たちのざわめきや陶器にお金を投げ入れるような響きのいい音を耳にしたり、街道沿いに目を配れば馬が街道を駆けるシーンに加えて鞭を叩く音なども聞こえ、ゲーム画面は地味だがゲームから受ける印象は実に朗らかで温かいものがある。むろん、この印象は、違う国のシナリオではまた違ってくる可能性があるが、実に丁寧に作られたゲームである。シミュレーションファンにお勧めしておきたい技ありのSLGといえる。
(C) 2000 Frog City Software, Inc.
ダウンロードはこちら(Eidos Interactive)