発売元 Sierra Entertainment
「Tropico: Paradise Island」、「Austerlitz: Napoleon's Greatest Victory」など味わい深いストラテジーの開発元としてすっかり有名になったデベロッパーBreakaway Gamesの最新作「Emperor:Rise of The Middle Kingdom」のPlayable Demo。「Zeus: Master of Olympus」や「Caesar III」など、Impressions Gamesが誇る箱庭ゲームブランドImpressions' City Building Seriesのゲームエンジンを採用しており、思わず48時間連続してプレイしてしまう魔的な魅力を備えたストラテジーに仕上がっている。これもまた今月イチオシだ。
「Emperor:Rise of The Middle Kingdom」は、古代から中世までの中国を箱庭世界に再現したストラテジーゲーム。プレーヤーは農道1本のみ引かれた大草原を大都市にすべく、人々が住みやすい環境を整えていく。「Zeus: Master of Olympus」などと同様、ゲームはリアルタイムで展開し、外敵の侵入もありえる作品で、その意味ではリアルタイムストラテジーだが、ゲームの内容はググッと「シムシティ」寄りだ。
プレーヤーが行なえる行動は微妙に間接的で、原野に道を引いたり、村人が仕事に就く建物をこしらえたりといったことは一瞬でできるものの、村人を移動させたり、強制的に何かに使役させたりといったことはできない。基本は空き地をひとつずつ宅地に指定して、荷車と共に入植してくる村人たちを待ち、快適に暮らせる環境を整備しながら、同時に住み着いた人々に仕事を与えていくというゲームだ。
本作で重要なファクターは、村人に対して食料、水、安全といった要素をふんだんに与えつつ、安心して仕事に付ける環境を用意することで、すべてが調子よくまわれば、家はどんどん立派になり、道も豪華な物に造り替えられていく。ところが、水の供給が足りなかったり、仕事を与えなかったり、火災に対して防火措置を怠ったりしていると、街は発展しないばかりか、家のランクも下がったり、火災で街が丸ごと焼けたり、強盗が出没して手が付けられなくなる。
繰り返すがプレーヤーが行なえる行動は微妙に間接的なので、効果が出るまでに多少の時間が必要となる。「あっ、やばい」と思ったときにはもう遅いわけである。火事は前もって準備しておけば被害は最小限で抑えられるが、最悪なのは地震で、豊かな街並みが一瞬にして廃墟を化してしまうことがある。あらゆる事態を想定してじっくり策を練っていく過程が同作の醍醐味だ。
ゲームの作り込みもなかなかで、正月は龍が街並みを練り回るイベントが開催されたり、商店の客引きの動きやそのほかの働く人々のアニメーションも見事だ。コツを掴むまでに時間がかかるものの、慣れてくるとぐんぐんハマれる良作ストラテジーだ。
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