開発/発売元 AMERICAS ARMY
E3で初公開され、多方面で話題を振りまいた米国陸軍開発による陸軍シミュレータ「America's Army: Operations」の製品版。米国陸軍が国費を投入して米国陸軍のプロモーションゲームを作ること自体が驚きだが、最新のUnrealエンジンを搭載した新作アクションゲームが無料で手に入るということにもびっくりだ。これは米国のアクションゲーム界にとって脅威的な存在だろう。
このゲームの開発に使われた予算は約700万ドル。米国ではE3での発表後、「ただでさえテロ関連で財政が悪化しているのに、遊びに国家予算を投入するのは何事だ」といった風な批判が寄せられているようだが、厳密にはこれはゲーム(エンターテインメント)ではなく、現在米国陸軍で行なわれている実戦形式のものを含む各種訓練を仮想体験できるシミュレータソフトだ。
このため、シングルプレイは全編が訓練のみで構成されており、これをクリアしなければマルチプレイに参加することすらできない。マルチプレイは最大32人プレイに対応し、訓練課程を修了した兵科のみを選択してチームプレイを楽しむことができる。
さて、シングルプレイはBasic Trainingから始まり、続いて各兵科専門のBoot Campに移っていく。Trainingはすべて現実世界そのままのルールが適用されており、命令以外の行動は許されず、テストにパスしなければ次のTrainingには進むことができない。もちろん、「難易度調整」などというゲーム的要素は一切ない。
最初のステージでは隊員から自動小銃を受け取り、限られた弾数で森に設置された小さな赤い的を撃ち抜いていく。最新のUnrealエンジンを採用しているだけあってグラフィックは抜群で、銃撃の処理はリアル系アクションシューティングの代表格「Operation Flashpoint」風の仕上がりだ。画面中央に黄色いポインタがあり、標準ではそこに狙いが付けられているが、キチンと構えずにそのまま撃つと若干ぶれる仕組み。当然、構えずに的を狙って撃ってもぜんぜん当たらない。
それだけではない。Zキーで構え、的に照準を合わせて撃とうとすると、今度は呼吸による手ぶれに悩まされる。特に立ったまま射撃を行なうと手ぶれがひどく、しゃがみか伏せの状態で撃つことでようやくまともな射撃が可能になる。ただいずれにしても、訓練にスコープなどは支給されず、テストをパスするためには、裸眼では数ドットにしか見えない奥の的を連続して撃ち抜かなければならない。ここらあたりで「これはゲームではない」とはっきり悟ることになる。
射撃訓練にパスすると、身体訓練「Obstacle Course」、各種武器の訓練「US Weapons」、市街戦訓練「MOUT(Military Operations on Urbanized Terrain) Training」と続いていく。当初の予定ではそんなの軽ーくパスして、輸送機からの空挺訓練中の模様とか、レンジャー部隊に混じってバリバリ訓練をこなしているシーンを紹介しようと思ったのだが、私の技量ではそこに到達するまでに丸2日ほどかかりそうなので、基礎訓練中の画面だけでご勘弁頂きたい。「我こそは」というFPSファンは本作で自分の腕を試してみるといいだろう。
(C) 2002 AMERICAS ARMY.
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