開発/発売元 Cyro Interactive
楽しいというより、とにかくびっくりさせられるレースゲーム「Mega Race 3」のSingleplay Demo。発売元はフランスのCryo Interactive。実を言うと1も2も知らずに、今回初めてプレイしたのだが、その世界観は一言でいうとサイケデリック。日本ではもちろん、米国でもまず見られない、悪い意味での異文化的個性が際だった世界観をどう見るかで評価が分かれるゲームだ。いかにもホラー系のアドベンチャーが大流行するフランスならではの作品という感じである。
ここで慌てて補足しておくと、ゲームとしてのクオリティは驚くほど高い。ゲームとしても大変おもしろい。ゲームの作りはリアル系シミュレータ路線ではなく、SF的なんでもありの世界観を題材にしたゲーム性重視、ノリ重視のアクションレース。スピード感は抜群で、グラフィックの質も良好だ。
Demoでは「PRACTICE」「ARCADE」「CATASTROPHE」の3モードをプレイできる。コースはそれぞれ異なるが、少しずれているという点では共通している。特に「ARCADE」のコースMouse Gut(ネズミの胃袋)は、文字どおり蠕動する胃袋の内壁をただひたすら走らされる。バックグラウンドのあらゆるオブジェクトはフル3Dで描画され、内壁のぬめぬめとした動きをイヤでも見ることになる。もちろん、こういったステージばかりではなく、「Wipeout」を彷彿とさせるサイバー感たっぷりのSF路線コースもあるが、DemoのコースにMouse Gutを持ってくるのはどうかと思う。
ゲームの目的は、1位や完走よりむしろいかに相手を撃破するかに比重が置かれており、後方に注意しながら前方の敵の撃破を狙っていくといったゲーム展開になる。コース途中には多数のひねりが加えられ、ひねりの内側を走行し続けることがタイムを縮める上でもっとも重要な要素だが、このため自機で敵機を押し飛ばすのも立派な戦術のひとつとなっている。運が悪いとそのまま上方にはねとばされ、爆発四散してしまう。カーブも小刻みにブレーキを使用しないと曲がりきれず、側面に当たると派手に火花が散りハンドルをとられてしまう。アクションレースとしてはややシビアなセッティングだ。
「Mega Race 3」の最大の特徴は、走行中に自機を攻撃重視、防御重視、加速重視の3種類に随時変形できるところで、自機が小気味よい効果音とともに機敏に変形する姿は見ていて気分がいい。本作は、ゲーム性、グラフィックともに「Wipeout」の進化系のような技の冴えを随所に伺わせるレースゲームに仕上がっているが、どうもゲームテクノロジーの投入先を間違えた気がする。ちょっと変わったレースゲームを楽しみたい人にお勧めである。
(C) Cryo Interactive.
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