【特集】

【メガドライブミニ2タイトルレビュー】「ポピュラス」

メガドライバーがあこがれた“神になれる洋ゲー”。国内版はセガから発売

【ポピュラス】

1991年8月9日発売

発売時のメーカー:セガ

 「ポピュラス」は、1989年にイギリスのBullfrog Productionsのピーター・モリニュー氏によって開発されたPCゲームだ。まだ「リアルタイムストラテジー」という呼称がなかった頃、クォータービューの立体的なマップ上で神と悪魔の陣営がリアルタイムで戦争を繰り広げるシミュレーションゲームで、1990年の北米Genesis版「Populous」(Electronic Arts販売)の発売を経て、1991年8月9日にメガドライブ版がセガより発売された。

各種情報やコマンドがアイコンやゲージで表示されたゲーム画面。こうした画面もあこがれであった

 メガドライブが現役だった頃、ゲームファンにとって“洋ゲー”(海外製ゲーム)はあこがれの存在であった。実物の入手どころか、ゲームの内容について知る手段も少なかったため、ゲーム雑誌の片隅に載った洋ゲー情報の画面を見ては、あれこれ想像するのが楽しかった。初期からのメガドライブユーザーなら「Budokan: The Martial Spirit」や「John Madden Football」といったタイトルに反応する人はいるはず。この「ポピュラス」も北米では前年に発売されていて、その次点で国内版発売のアナウンスはなく、しかもPCゲームとして面白いと評判を聞いていたので、メガドライバーのあこがれの対象として十分な魅力を備えていた。

国内版も日本語ローカライズはされていない。ゲーム中にメッセージが出ることは少ないが、全て英語のままだ

 筆者は本作を国内版の発売前に、秋葉原の海外タイトルを扱うゲームショップでGenesis版を手に入れてプレイしていて、メガドライブで発売された洋ゲーの中でも特に思い入れが強い。店頭での割引もあった国内タイトルよりも高額だったが、レジの後ろに飾られたElectronic Arts独自デザインの紙製のパッケージは極めてかっこよく見え、思い切って購入に至った。カートリッジの形状や内部仕様によるリージョンはなく、国内版のメガドライブでも問題なく作動したことはありがたかった。当時は翻訳エンジンなどないため、説明書を読むこともままならなかったが、当時働いていたメガドライブ専門誌の編集部はPCゲームの雑誌やソフトそのもの(=日本語訳の説明書がある)も事欠かない環境だったので、遊び方自体はなんとなく把握することができた。

左下がコマンドのアイコン群。右上のアイコンが並んだゲージがサイコパワーを表している

 プレイヤーは「神」となり、神の力「奇跡」を使って、神を信仰する種族を繁栄させ、敵対する「悪魔」を信仰する種族を滅亡させるのが目的となる。最初に使える力は土地を上下させる「造成」だけだが、実は最も大事な要素であり、この力で土地を平らに整地することで、そこが種族の居住地となり、住居が増えていく。住居が増えれば種族も増え、奇跡を使うための「サイコパワー」が早く増加するようになり、より強力な奇跡を使えるようになるという具合だ。

土地の造成は、画面内に味方の種族がいないと使用できない
シンボルを持っているのがリーダー。各陣営のキーマンとなり、常に最前線を進む。倒されるとシンボルが残り、味方種族の誰かがシンボルに触れるとリーダーを受け継ぐ
種族達は平地に家を作って増え、融合して強くなっていく。平地を広くすると住居が進化する
城塞は最大の状態。この状態になると種族が住居に籠もってしまうので、造成して一時的に退化させると種族が出て再び行動する

 奇跡には、「地震」を起こして建物を壊したり、「沼」を作って敵種族をおぼれ死にさせたり、「火山」を噴火させて造成しづらい土地にしたりと、地形にまつわるものが多い。中でも海面の高さを1段階上げる「洪水」は、低い場所に存在する種族や住居を敵味方関係なく水没させる強力な力で、この力を使う、または敵に使われたときのために序盤から味方の居住地を高地に作っていくのはゲームプレイの常套手段となる。

ナイトの奇跡を使うと、リーダーがナイトに変身。敵種族に対して攻撃を優先し、死ぬまで戦う殺戮者となる
火山を使うと画面内の範囲を噴火させ、土地を下げて海に沈めないと消えない岩山を作り出す
洪水を使って、水面が1段階上がった。低地にいる種族を溺れさせて殲滅する

 そして最後に使える奇跡「ハルマゲドン」は本作を象徴する力で、使用すると互いの種族全員がリーダーに融合し、一騎打ちをして雌雄を決する。どちらかの種族が全滅するとゲームは終了となるが、このハルマゲドンによって決着がつくことも多い。事前に奇跡を使って敵の数を減らし、敵との人口差があるときに使うのがベストだ。なお悪魔側も奇跡を使う条件は同じだが、ステージによって設定が異なり、初期ステージは造成しかしてこないが、先のステージに進むにつれ、プレイヤーと同じように奇跡を使ってくるようになるので、戦いはより熾烈になっていく。

種族の数に差がついたら、ハルマゲドンを発動。マップ中央に互いの種族が集まって融合して最終決戦に
最後にスコアが表示されて、次のマップへ

 このメガドライブ版はGenesis版と基本的に同じ内容で、本編がローカライズされていない分、マニュアルがしっかり作られている仕様だった。チュートリアルなどはないため、初めてプレイするという人は公式サイトのマニュアルを見ておくのが確実かと思う。メガドライブは3ボタンのコントローラーが標準なので、土地の上げ下げをボタン(盛り上げ:Aボタン、掘り下げ:Cボタン)で行える。PC版のマウス操作には叶わないものの、プレイ自体は快適だ。ゲームはステージ名をパスワードとした仕様だったが、メガドライブミニ2なら中断セーブも可能となり、より遊びやすくなっているのは間違いないので、自身が「神」となる体験をこの機会に味わってみてほしい。