山村智美の「ぼくらとゲームの」
連載第104回
やっぱり凄かった「大乱闘スマッシュブラザーズ」発表の熱狂と、日本語版をずっと待ってた「ゴルフストーリー」の話
2018年3月14日 12:00
この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。
海外のゲームファンの盛り上がり、特に熱狂的なファンのいるタイトル発表の瞬間は、見ているこっちまでなんだか楽しくなってきますね。
さてさて、先週の3月9日には任天堂のWEB番組「Nintendo Direct 2018.3.9」が放送されまして。
数多くのタイトルがサプライズで発表され、
その最後には、本命とも言える期待の大型タイトルの
Nintendo Switch「大乱闘スマッシュブラザーズ」が発表されました。
配信予定時間も迫った最後の最後、まだ「スプラトゥーン2」の追加情報があるのかなと思わせてからの、何かの気配におののくガールの眼に映る“あのマーク”!
いやぁ、ゾクゾクッと来るぐらいのいい演出。
その瞬間は、日本の各配信でも凄まじいコメントの嵐が吹き荒れていましたが、
そのとき世界の各地でも同時に、熱狂的な盛り上がりを見せていたんですよね。
上の動画は、北米の任天堂ファンの聖地的な場所であるニューヨークのストア「Nintendo NY」でライブビューイング的に「Nintendo Direct 2018.3.9」を放送していて、その「スマブラ」発表の瞬間。
最初は、静かな表情で放送を観ていた人達も、だんだんと「これはなんだ……?」という気配に、そして、「まさか……!」と察してからのスマブラマークに、ドカーンと爆発するほどのはじけっぷり!
僕ら日本人だとなかなかここまでのボディランゲージはしないですし、できもしないんで、「すごいなぁ……(笑)」っていう感じに見るほかないんですけど、でもなんだか嬉しくなってくるんですよね。
「あぁ、この人達もめっちゃゲーム好きなんやなぁ、その気持ちは同じだなぁ」って、
そんな気持ちになりますねー。
同時に、「大乱闘スマッシュブラザーズ」を含めて当然ながら任天堂のタイトルであり、日本のゲーム文化のものですので、それがこんなに世界中に愛されているのを今も見ることができるのも、僕ら日本に住むゲームファンとしては嬉しいところですよね。
ちなみに上の動画の関連動画に、その他の「スマブラ」発表の瞬間のリアクションがたくさん出てくると思いますので、興味のある人はそちらも辿って見てみるのも面白いと思いますよ。
そんな「Nintendo Direct 2018.3.9」の中でも、配信で発表から番組配信後すぐにゲームの配信が開始となったのが、「ゴルフストーリー」です。
「ゴルフストーリー」の日本語版配信を、実は昨年からずっと楽しみに待っていた僕は、
配信終了後に光の速さでNintendo Switchを起動し、すぐさまニンテンドーeショップを開き、1,500円で販売されている「ゴルフストーリー」購入に必要な残高が微妙に足りなかったので、舞うようにチャージし、無事に購入完了となったのを確認したところで、力尽きて一旦仮眠しました。なにせ他の仕事してて徹夜からの「Nintendo Direct」視聴という流れだったもんで。
で、あらためて時間のあるときにプレイしてみたんですけど、面白いです。
「ゴルフストーリー」面白いんですよー。
良い意味で変なゲームですよ、これ。
良い味出してます。
そもそも「ゴルフストーリー」は、2017年9月にNintendo Switch専用RPGとして海外でダウンロード版が発売された、ゴルフを題材にしたRPGというユニークなゲーム。
開発はSidebar Gamesというほとんど情報のなかった会社が手がけ、そのゲームの斬新過ぎるアプローチもあって、想像がつかないところのあったタイトルでしたが、その海外版が配信開始後に各方面で非常に高く評価されました。
そんな評判を見ていた、僕を含む日本のゲームファンは「やってみたいなぁ、でもテキストのセンスも高く評価されているみたいだし、英語の変化球な表現はわからないかもなぁ……日本語版でてくれないかなぁ……」なんて思っていたわけです。
そんな「ゴルフストーリー」がついに、日本でのローカライズ及び販売をフライハイワークスが手がけて、配信開始されたーというわけです。
実際にプレイしてみるとこれがまた、「ゴルフストーリー」は想像以上に良い意味で変なゲームだし、味わいのあるゲームです。
主人公がプロゴルファーを目指していくRPGなわけですが、RPGらしくフィールドというかNPCがたくさんいるゴルフ場を自由に歩き回れて、そこで様々なキャラクターと話し、出されたクエストの達成を目指していくというのが基本の流れ。
ショットの操作自体は、クラブを選択し、ボールのどのあたりを打ってスピンをかけるか、そしてパワーゲージをボタンで止めてショットという、スタンダードな作り。
ですが、そんなゴルフのショットを、フィールドのどこでもできるというのがユニークポイント。
例えばいかにも何かありそうなスイッチ的なものがあれば、そこに見事に当てると予想通り何か起きたりと、ゴルフショットでRPG的な探索をしていったりもするんです。斬新。
サブクエストも豊富で、ゴルフらしいドライバーショットでの特定の場所を狙うというお題や、パターショットといったものもあれば、フリスビーを投げるディスクゴルフ的なものもあれば、他にもゴルフ以外の遊びもあったりと、自由奔放といったテイスト。
そして何よりも大きなポイントは、やはりテキストの魅力。RPG的な、いろいろなキャラクターとの会話ややり取りの面白さですが、こっちも自由奔放というか、好き放題というか。海外テイスト溢れるちょっと変なノリが満載。
この日本語ローカライズは、ただの翻訳ではフィットせず、独特のセンスが必要だったのではと思えるシーンがたくさん……というかそういう会話ばかりなのですが、今のところプレイしている限りでは、奇妙なノリのテイストも守りつつ、いい感じにローカライズされていると思えます。
スタンダードなゴルフ勝負もあるのですが、コース上にモグラがいて、モグラの近くに止まったボールはモグラが厄介な場所へと持ち運んでいってしまったり、ユニークな仕掛けがやっぱりたくさん。
最近ではゴルフを題材にしたゲーム自体、選択肢が少ないですし、こういう自由奔放なテイストのゴルフゲームというのは本当に久しぶりというか。
ドット画グラフィックスなことも手伝って、なんだか往年の奇ゲー「バトルゴルファー唯」とか、ゲームボーイあたりの世代でみられた、いろんなジャンルとRPG的なシステムの掛け合わせゲームを思い起こさせるものがあったり。
なんだか懐かしさもありつつ、海外の独特なノリがちょっとした奇妙さも感じさせつつ、それがクセになりつつ。
妙なゲームだけどプレイの感触はライトでサクサクなので、ヘビーなゲームの合間にちょこちょこ遊ぶと、そのゆるゆるした雰囲気がいい感じに楽しめたり。
まぁ、最近だとなかなか味わえない、良い味わいのゲームとなっていました。
かねてから注目していた人はすぐさま手を出しただろうなと思うんですけど、「こんなのあるんだー」と、知らなかったという人は、ぜひチェックしてみてもらいたいですねー。
気軽にオンリーワンな味が楽しめる、良い感じのゲーム。オススメです。値段も1,500円と手頃ですしね。
ではでは、今回はこのへんで。また来週。