「プレイステーション 5」レビュー

起動速度に確かな実力!PS5作もPS4作もまとめて快速に

電源オフからの起動はPS4の半分以下

 それではPS5の性能を確かめるために、まずは本体システムの起動速度について計測していきたい。さっそくだが、実際に計測したのでその数値からお伝えする。数値は5回計測して、その平均を取ったものだ(以下の計測も同様)。

 比較対象としたのは初期型PS4(CUH-1000A)。計測したのは、電源オフからの起動と、スタンバイモードから起動したものの2種類。PS4におけるスタンバイモードは、PS5で「レストモード」という呼び方に変わっているが、基本的には一緒だと考えていただいてOKだ。

 まず大きく差が開いたのは電源オフ状態からの起動。PS4では45.59秒かかっていたものが、PS5では22.31秒で起動する。この半分以下という違いはかなり大きいかと思う。一方で、スタンバイ/レストモードからの起動はそこまで変化なし。むしろPS4の方が数値的にははやいくらいだが、PS4が12.17秒、PS5が12.59秒と0.5秒以内の差なので感覚的にはほぼ一緒と考えていいだろう。

 以降も計測をいくつかしているが、PS4からPS5で最も大きく進化したのは「立ち上げ」かなと思う。とにかく初速、スタートダッシュがPS5では気持ちよく決められる。

 メニュー画面のUIについて追記しておくと、PSボタンの1回押し、長押しで表示されるものが違う。PS4ではPSボタン1回押しでホーム画面に遷移、長押しで簡易メニュー表示となっていたが、PS5はその逆となっている。

「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」をプレイ中、PSボタンを1回押したときの画面。アクティビティが特定の場所でプレイされる場合は、「再開」することですぐに移動できることもある

 ゲーム起動中にPSボタンをトンと1回押すと、画面の下に小さなメニューバーと、現在進行中のアクティビティが表示される。アクティビティの項目は達成率も書かれているので進捗率が一瞬でわかるほか、メニューバーからはホーム画面に移ったり、アプリを切り替えたり、レストモードに切り替えたりできる。PS4の感覚でいると「あれ、メニュー出てこないな」と思うくらいに大きく変化しているので、PS5に触れる際は注意していただくといいだろう。

 注意といえば、○と×ボタンの決定・キャンセル問題もある。PS5では×ボタンが決定、○ボタンがキャンセルとなっていて、PS4とは逆の設定だ。筆者としては変更そのものはそこまで負担ではないが、特にPS4タイトルをプレイする際に逆に混乱する原因になっているなと感じた。詳しくは後述する。

「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」のロード速度はのけぞるほど衝撃的

 今回プレイできたPS5専用タイトルは、「Astro's Playroom」と「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」の2つだ。

 「Astro's Playroom」はさすがプリインストールタイトルなだけあって、DualSenseやロード速度、3DオーディオなどPS5の新機能を思い切り体験できる。中でも目玉はDualSenseで、その革新性についてはPS5の先行体験レポートでお伝えしている通りだ。

 一方で、PS5の爆速ローディング速度の底力を体験したいなら「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」はまさに最適だと思う。

 ここで2タイトルの起動時間の計測結果を見ていただきたいのだが、面白いのは「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」の起動が2種類あったことだ。

 「Astro's Playroom」と「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」は起動すると、PlayStation Studiosなど開発社ロゴの表示のあとにタイトルが登場する。ただし、「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」をある程度プレイした状態でアプリを終了し、再度起動した場合はロゴ表記がカットされた短縮版で起動する。

 計測したのは、起動してからタイトルが表示されるまでの時間。「Astro's Playroom」は23.87秒、「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」は36.47秒だが、その短縮版になると11.63秒で圧倒的にはやい。

ホーム画面で起動して、タイトル画面に到達するまで短縮版なら11秒ちょっと。これははやい

 「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」の起動フル版はPlayStation Studios、Insomniac Games、Marvelの3社のロゴが入るために長くも感じるのだが、「本当はここまでできるから!」という意思を短縮版には感じる。真の最速、といったところだろうか。短縮版のような仕掛けは、プレイ体験としてかなり画期的だとも思う。他のタイトルでもぜひ続いてほしい。

 「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」についてはプレイ中のロード時間も興味深い。理由はそのスピードで、計測するまでもなく本当に何もかもが一瞬となっている。タイトル画面でコンティニューを押し、続きを始めようとすると一瞬の暗転のあともうゲームが始まっている。

 本作はファストパス機能もあるが、このロードも一瞬の暗転のみ。前作「Marvel's Spider-Man」では地下鉄に揺られるスパイダーマンの姿が映し出されて、ロード時間を一種のギャグとして使っていたのだが、類するもののカットインすらない。

 「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」の、“起動時間とロード時間をぜったいに削ってやる”という強い意志はとにかく凄まじい。ロード時間に親を殺されたのかと思うほど徹底されているので、本作をプレイする際はぜひご注目いただきたい。

ロード時間を叩きのめす鉄の意志を強く感じる

同時に起動できるゲームはひとつだけ

 いろいろ試してみたのだが、PS5で同時に2つのゲームを立ち上げることはできない。つまり、Xbox Series X|Sにおける「クイックレジューム機能」のようなものはない。

 1つのゲームを立ち上げると起動中のゲームは終了するが、「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」のようにそもそも10秒と少しで起動、さらに+αでプレイ再開までたどり着けるタイトルもある。この辺りは、今後発売されるタイトル次第と言えるだろう。

PS4タイトルが問題なく動く&起動が高速化

 さて、本体機能の中でも気になるのが「PS4タイトルがちゃんと動くかどうか」だ。結論から言うと、「ちゃんと動く」。

 まず、PS4タイトルとしてディスク版の「デス・ストランディング」と「Bloodborne」、ダウンロード版の「レッド・デッド・リデンプション2」、「ウォッチドッグス レギオン」、そして「Ghost of Tsushima」を用意した。

 ディスク版のプレイ手順は、ディスクをPS5に入れるだけ。ディスクを入れるとインストールがスタートし、完了すればプレイできる(オンラインに接続していればアップデートファイルもダウンロード、インストールしてくれる)。ダウンロード版は手持ちのアカウントでPS Storeに接続し、すでに購入済みとなっているタイトルをダウンロードしてくるだけ。感覚としてはPS4とまったく一緒だ。

 では起動時間はどうか。起動してからタイトルが表示されるまでの時間を調べた計測結果は以下の通りだ。

 「デス・ストランディング」はPS4で35.87秒だったのが、PS5では19.52秒。「Bloodborne」はPS4で34.02秒だったのがPS5では22.05秒となった。また「RDR2」は41.11秒が27.7秒に、「ウォッチドッグス レギオン」は47.96秒が25.14秒、「Ghost of Tsushima」は49.28秒が41.23秒となった。本体起動の半分以下とまではいかなかったが、やはり速度は上昇している。

 最も速度の上昇を感じるのは、起動準備のために大写しになる1枚画表示の時間がとにかく短い点だ。その後は開発社ロゴ表示時間=起動時間みたいなところがあるのでタイトルによって差が出るのかなと思うが、PS5のスタートダッシュ感は“1枚画表示の短さ”に凝縮されていると感じる。

「デス・ストランディング」
「Bloodborne」
「レッド・デッド・リデンプション2」
「ウォッチドッグス レギオン」
「Ghost of Tsushima」

 また「Bloodborne」の死亡時のロード時間は、PS4で15.38秒、PS5で14.40秒となった。幾度もくり返す死亡後のロードがPS5ならどうなるかと思ったのだが、そこまで大きくは変化しなかった。やはり、PS5の強みは初速だ。しかしいずれにしても高速化は果たされている。ゆえにPS5でPS4タイトルを遊ぶメリットはかなり大きいのではないだろうか。

 注意点としては、PS4タイトルの多くは○ボタン=決定のままであること。PS5本体で×ボタン=決定の感覚のままでいると今度はPS4タイトルに戻ったときに混乱してしまう。PS5でプレイする際、たとえば「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」は×が決定に変更されているが、「デス・ストランディング」や「Bloodborne」は○が決定のままだったりする。いろいろなタイトルを遊ぶ際は、「このタイトルは○が決定、こちらは×が決定」と頭をカチカチ切り替えることを念頭に置いておきたい。