2020年11月9日 00:00
GAME Watchでは、開封レポートを挟んでXbox Series XとXbox Series Sのプレビュー記事をお届けしてきたが、ようやく完結編となるレビューをお届けする日がやってきた。
Xbox Series Xプレビューをお届けした1カ月前は、レポート内でもお伝えした通り、まだコンテンツの準備がほとんど整っておらず、かろうじて動くゲームタイトルを使ってパフォーマンスのチェックや、クイックレジュームやXbox Velocity Architectureのインパクトしかお伝えできなかったが、11月に入ってようやく次世代機としてすべての準備が整ってきたので、満を持してXbox Series X|Sタイトルのパフォーマンスも含めた最終的なレビュー記事をお届けしたい。Xbox Series XおよびXbox Series Sのプレビューを未読の方は、そちらも読んでいただけるとより理解が深まると思うのでぜひ合わせて参照いただきたい。
最初から手に馴染む次世代機Xbox Series X|S
いきなり余談だが、筆者はXbox Series X|S最大のライバルといえるPS5も事前に体験する機会に恵まれた。PS5独占タイトルである「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」のレイトレグラフィックス&ハプティックフィードバックは、それだけで買うに値するインパクトがあるし、2020年を代表する傑作である「Ghost of Tsushima」のヌルヌル4K/60fps動作を体感してしまうと、「これはもはやPS5でもう1周して誉の道を追求するしかないな」という気持ちになる。コントローラーやメニューもピカピカに一新され、PS5は触った瞬間に絶対に欲しくなる、ゲーマーとして内側から突き上げる衝動を抑えきれなくなる魅惑的な新ハードだ。
この点で言うとXbox Series X|Sは、PS5のようなワクワク感はない。なぜなら基本的に本体もUIもコントローラーも全部Xbox Oneの延長線上にあるものだからだ。モバイルセットアップで、簡単にXbox Oneのデータを引き継げるため、移行の手間すらない。言うなれば、使い慣れたレンチを、上位モデルの新品に買い換えたときのような全幅の信頼感、納得の満足感というべきだろうか。Xboxの次世代機への移行は良くも悪くも驚くほどシームレスだ。
だが、この安心感はとても重要だ。往年のXboxユーザーならご存じの通り、Xboxは毎回ハードにツッコミどころがあった。初代Xboxは、初期ロットはコントローラーが巨大過ぎたし、Xbox 360は、ゲームディスクにキズが付く問題や、いきなり故障するRROD(Red Ring of Death)問題があり、Xbox Oneは、冷却ファン付きの巨大な電源アダプタに、静電無接点方式スイッチでは度々誤動作に悩まされるなど、ソフトウェアメーカーのハードウェアとしての産みの苦しみを味わい続けてきた。
しかしXboxファミリーは、Xbox One X|Sを境に、明らかにデザインが進化した。その流れを汲んだXbox Series X|Sは、デザイン的にも機能的にも申し分のないハードウェアになった。事前に想定された巨大なファンの爆音、12TFLOPSパワーによる熱暴走、あるいはファンから吐き出される高熱といった問題はどこにもないように思える。少なくともレビューに使用したテスト機では影も形もない。手元で作業しているノートPCのファンの方がよっぽどうるさいぐらいで、Xbox Series X|Sはシンプルで機能性重視。4代目としてかなり洗練されたハードに仕上がっている。
周辺機器は、Xbox Oneからほぼ100%の互換性を維持し、Kinect以外のあらゆる周辺機器をサポートする。史上最強のゲームコントローラーとして名高いXbox Elite ワイヤレスコントローラー シリーズ2は刺せばそのまま使えるし、外付けストレージもUSBのバージョンや容量の制限はありつつも基本的にはそのまま動作する。Xbox Oneから何も変わらないのがXbox Series X|Sだ。
では何が変わり、何が買いに値するのか。次のページからXbox Series X|Sが我々ゲーマーにもたらす進化ポイントを具体的に見ていこう。