【特別企画】
【PS5先行体験】感触を“擬態”するDualSense、その革新性を緊急レビュー!
「Astro's Playroom」をプレイ! 触覚のゲームデザイン本格投入時代の幕開けか
2020年10月4日 18:00
- 11月12日 発売予定
- 価格:
- 通常版 49,980円(税別)
- Digital Edition 39,980円(税別)
プレイステーション 5の真の心臓部はDualSenseにある。今回、PS5を初めて触る機会を得て、プレイを進める中でそのような思いがふつふつと湧いてきた。
PS5における注目点といえば、4K解像度で120Hzのリフレッシュレートをサポートするスペックの高さ、にも関わらず5万円を切るリーズナブルさ、さらには独自の機構を活かしたローディングの速さなどがある。いずれも大きな魅力であることは間違いないのだが、体験として最大の驚きがあるのはDualSenseだ。
DualSenseが非常に興味深いのは、総合して「触覚からゲーム体験を深化させる狙い」が突き詰められている点にある。単にコントローラー端末が振動する以上に、“手元から体験者の没入感を深めたい”という強い意志を感じることができる。
では、このDualSenseの特徴(つまりはハプティックフィードバックのこと)はゲーム体験をどう変えていくのか。今回体験できたPS5のプリインストールソフト「Astro's Playroom」に触れて感じた驚きを詳しくお伝えしていきたい。
高い表現力の振動が手のひら全体に伝わってくる!
ハプティックフィードバックをごく簡単に言葉にするなら、「表現力がものすごく向上した振動」といったところだろうか。キャラクターを操作するとき、そのキャラクターが置かれている状況によって振動の感触が微細に変わるようなイメージだ。
今回プレイした「Astro's Playroom」は、ロボットの「ASTRO」を操作する3Dアクションゲームである。ここでは、ASTROが歩くとき、床の材質によって振動がどんどん変わる様子を体験できる。
たとえば普段の歩く感じが「トットットッ」だとしたら、透明なドームの上では「カッカッカッ」と硬質さを感じるものになる。これが金属となると、よりエッジの効いた「キンキンキン」と反応が変わる。フェルトのような柔らかい床になると「ボワボワ」と振動は小さめかつやや滑らかになり、氷では「ズズズ……」と引っかかりながら滑るような感触がやってくる。
視覚と音、そしてDualSenseからの触覚が加わることで、体験としてのリアルさが明らかに高まる。ゲーム体験として一体感がある、と言ったら伝わるだろうか。
ハプティックフィードバックの機能そのものは、Nintendo SwitchにおけるJoy-ConのHD振動と方向性はかなり近い。Joy-Conのあの小さなコントローラーから炭酸のシュワシュワ感や、中にボールが入っているような感覚を味わえることに相当驚かされたものだが、DualSenseでは振動を手のひら全体で受け止められる。DualSenseを包む手全体に微細な振動が伝わるので、Joy-Conとはまた違った感覚がある。
変幻自在の有機性を感じるアダプティブトリガー
さらにこれまでのゲームパッドになかったDualSenseの大きな特徴が、R2、L2のトリガー部分だ。公式に「アダプティブトリガー」と呼ばれているものだが、このトリガー最大の見どころは“自在に変わる抵抗力”である。
「Astro's Playroom」ではASTROがカエルのようなスーツを着て、ジャンプで進むシーンがある。ここでのジャンプの強さが、L2、R2の押し込み具合で調整できるようになっていた。
トリガーは、普段はDUALSHOCK 4と変わらない感覚でスッと押し込めるのだが、このシーンに入った瞬間にトリガーの抵抗が変わる。奥に押し込むほどググッ、ググッと抵抗が強くなり、感触としては強めのバネを押しているような感じだ。
さらに、カプセルトイを遊ぶようなシーンもあった。ここでは、レバーを引くことでランダムにカプセルケースなどが出てきて、各種コレクションアイテムを揃えることができる。
トリガーを引くのは、レバーを引く操作時と、カプセルケースを開ける操作時。レバーを引こうとすると、途中でレバーが重くなって、さらにグッと引くことでガラガラガラとカプセルトイが動作するのだが、これがトリガーの抵抗で再現されている。順序を追うと、レバーを引く(トリガーを引く)、レバーが重くなる(トリガーが中央くらいでカッと止まる)、さらにレバーを引く(抵抗を超えてトリガーを最後までグッと押し込む)といった感じ。カエルのスーツのバネとはまったく違う抵抗感だ。
カプセルはロボのアームでギュッと握り潰すように開けるのだが、ここでもトリガーに抵抗が来る。トリガーをある程度押し込むと抵抗が来て、その抵抗に負けずにトリガーを引くことでカプセルが開く。抵抗が来る位置は、カプセルの素材がプラスチックなら中央くらい、金属質ならより浅いところといった感じで、同じアクションでも抵抗の位置を変えることで多彩な表現を可能にしている。
それにしてもトリガーの抵抗が不思議なのは、瞬間瞬間でどんどん状態が変わっていくことだ。まるで擬態上手のミミックオクトパスのような、有機的な印象の手触りとなっている。
こうして色々と試した上で、ハプティックフィードバックとアダプティブトリガーについて述べられたPS Blogの記事を読み返すと、内容がより深く理解できる。
たとえば、「Marvel’s Spider-Man: Miles Morales」の「四角ボタンを長押しするとヴェノム・パンチが出せます。そのインパクトの瞬間、スパイダーマンが放つ電撃のバチバチとした衝撃を、コントローラーの左側から右側へ通り抜けていくように感じることができるのです」という記述だ。
特に「左側から右側へ」の部分がポイントで、想像するに、ブルブルと振動が流れていくのではなく、硬さもあるような電撃感が鮮やかに流れていくのだろう。さらには刺激の位置をコントロールすることで、「どの方向から攻撃が来るかをプレーヤーに知らせる」ことも可能にしているとある。
また「Demon’s Souls」では「鉄のぶつかり合う感触や、魔法攻撃を繰り出す時の手の中で火花が散るような感覚」があり、「DEATHLOOP」では「武器がジャミングする(詰まる)のに合わせてトリガーをブロックする機能」があるという。
「Astro's Playroom」を触った限りでは「刺激の方向」をはっきりとは感じられなかったが、これもゲームパッドを“手で包んで使う”DualSenseならではの体験のはず。DualSenseの登場によって、よりはっきりと、本格的に「ゲームデザインに触覚を採り入れる時代」が幕開けするのではないか。そんなポジティブな予感をビシバシさせてくれるコントローラーだ。