【特別企画】

「グラブル リリンク」プレスイベント先行試遊体験&ディレクターインタビュー

覚悟を決めてこだわったキャラクターと手触りの作り込み

【グランブルーファンタジー リリンク】

2024年2月1日 発売予定

価格:
通常版:8,778円
デラックスエディション:14,300円
コレクターズエディション:27,500円

 Cygamesは2024年2月1日に、大人気スマホPRG「グランブルーファンタジー(以下「グラブル」)」を題材とした新作アクションRPG「GRANBLUE FANTASY: Relink」(グランブルーファンタジー リリンク)の発売を予定している。

 本作は「グランブルーファンタジー」のキャラクター達を3Dグラフィックスの中で操作できるシリーズ初のアクションRPGゲーム。こだわり抜かれたアクション性や世界観構築、さらには原作「グラブル」ともつながるオリジナルストーリーを楽しめるファン待望の超大作となっている。

 存在が明らかとなった情報発表から長い開発期間を経て、ようやく今回その全貌が明らかになった本作。その完成度に期待しているプレーヤーもかなり多い事だろう。

 8月初旬に行われた本作のプレスイベントにて、試遊版のプレイと本作のゼネラルディレクターを務める福原哲也氏、並びにディレクターの梶泰幸氏にインタビューできたので、改めて本作を触った所感とインタビューから判明した福原氏と梶氏の考えについて触れていきたい。

【GRANBLUE FANTASY: Relink - PlayStation Showcaseトレーラー| PS5, PS4】

こだわり抜かれた各キャラクターのアクション

 今回の試遊版ではボス戦まで遊べる1つの短いクエストについて、色々なキャラクターを操作して何度も繰り返しプレイできた。1回のプレイは10分ほどだが、さまざまなキャラクターでプレイすることで、その試遊の中だけでも本作の本気度を十二分に垣間見える事ができた。

 まず本作を語る上でまず欠かせないのがこだわり抜かれた世界観と多彩なプレイアブルキャラクターである。今までにない3Dグラフィックスによって生まれ変わった「グラブル」の個性豊かなキャラクター達が、広大で美しいフィールドを駆け巡り、原作のスキルや設定などを上手く取り入れた数多の攻撃アクションを行っていく。

 それを自分の手で操作する感覚は、原作のコマンドバトルとは一味違う大きな魅力と言える。「グラブル」自体が長い歴史を持つIPな事もあり、ファンとしては「グラブル」のキャラクターがアクションゲームの中でカッコよくヌルヌル動いているだけでも感動ものだろう。

gamescom 2023で公開された最新PVより。美しい青い空に広大に広がる風景! 「グラブル」らしい王道ファンタジーな世界観を、美しい3Dグラフィックで再現したのは今作が初。原作で使用していたキャラクター達のスキルなどもしっかり再現されており、リアル頭身のキャラクターから繰り出されるアクションの数々は迫力満点だ……!

 本作のバトルの基本的なシステムは、最大4人のパーティーで数多のモンスターや強大なボスと戦っていくというもの。アクションは、基礎となる通常攻撃・回避・防御とは別に、4つセットできる各キャラクター固有のアビリティを使っていく。アビリティの効果はキャラクターによって多種多様で、グランの「レギンレイブ」は遠距離攻撃、カタリナの「ヒール」は回復といった形で原作のスキルやキャラクター性と紐づくように表現されている。

 さらに筆者が一番驚いたのは、基盤となるゲームシステムは同じながら、キャラクターによってアクションの操作性が全く異なるという点だ。

 例えばカタリナの場合、専用の「アレス」ゲージが用意されている。戦闘を進めていってゲージがMAXになると、星晶獣「アレス」と共に強力な攻撃が行えるようになる。武器に銃を持つラカムは通常攻撃が遠距離攻撃となり、さらにタイミング良く攻撃を行う事で銃撃の威力が向上する特徴がある。魔法使いであるイオは近距離攻撃がない代わりに、発動する魔術(スキル)をチャージする事で威力の増減をコントロールして立ち回る等々……全キャラクター毎にバトルアクションやロールに個性が出るような専用のシステムが用意されている。

 キャラクター毎の特徴を、アクションゲームの中でフルに表現したいという思いが、短い試遊版のなかでもかなり伝わってくる。Cygamesが本作にかける本気具合が伺える作り込みと言えるだろう。

筆者は最初、操作しやすいと説明のあったグラン→カタリナの順にプレイしたが、スキルの違いと専用のシステムの違いで同じような操作感のキャラクターなはずなのに立ち回りが全く違うことを実感した。そこから銃撃メインの「ラカム」や魔法主軸の「イオ」を操作した時は、感覚が別ゲーすぎて思わず笑ってしまった程である
今回の試遊では他にも「シャルロッテ」や「グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-」にも参戦している話題の「ジークフリート」等、合計7名のキャラクター全員を触る事ができたが、漏れなく全員全く違うアクション体験が可能だった。素早く手数の多い近接キャラクターという面で似通った面の多い「シャルロッテ」や「ランスロット」でも、「シャルロッテ」は各攻撃時のボタン連打アクションによる大ダメージムーヴが、「ランスロット」は回避・移動しながらの攻撃によるスピーディーなアクションが得意だったりと、明確な違いを感じられる。それほど、キャラクターの個性構築には気合が入っている

「リリンク」でも再現されるド派手なチェインバースト

 さらに今作独自のバトルシステムとして「リンクアタック」が、そして“グラブルらしさ”を表現したバトルシステムとして「チェインバースト」が存在している。特に「チェインバースト」は、原作をプレイしているプレーヤーなら聞き馴染みがあるだろう。

 「リンクアタック」は、敵がダウンした際や味方がチャンスを作った際に即座に追撃を行えるというシステムで、積極的に行う事で追加ダメージだけでなく、各キャラクターの必殺技を出す必要なゲージをより多く溜められるようになっている。他にも離れている敵に一気に近づけたり、上手く攻撃を繋いでいく事によってさらに攻撃のチャンスを生めたりなど、メリットの大きいアクションとなっていた。何よりバトルにスピード感が出て、非常に気持ちが良くグッドだ。

 そしてド派手な演出とカットインが入る各キャラクターの必殺技「奥義」(カタリナの「アイシクルネイル」など)は、単体で使用しても大ダメージを与えられる非常に強力なアクションなのだが、パーティメンバーが連続して繋げていくことができる。

 そして、繋げた奥義の数に応じ、最後にパーティメンバー全員で超強力な技を放つシステムが本作の「チェインバースト」となっている。パーティメンバーで連携して大ダメージを与えられる原作でのバトルにもある「チェインバースト」の特徴を、アクションゲームの中で思い切り表現している。

「グラブル」といえば「チェインバースト」、と言っても過言では無いほどゲームの根幹となっているシステムだが、アクションゲームの「リリンク」内でもそれをしっかり表現できている。CPUと共にプレイした今回の試遊でも、自分が奥義を出した際に続いてくれたり、逆にCPUが操作するキャラクターが奥義を出した際に自分が続いたりなど、1人プレイでもパーティメンバーと共に戦っている感覚が強かった。発売後は友達同士でタイミングを合わせて「フルチェイン」を狙ったりなど、協力プレイならではの楽しさも味わえそうで非常に面白いシステムだと感じた

新たな発見にもなる自動化機能「アシストモード」

 しかし原作がコマンドバトルだった事を踏まえると、原作ファンの中にはアクションが苦手で本作をプレイするのが不安というプレーヤーもいるかと思う。そのような人向けに本作では、ボタン連打でコンボ攻撃ができたり、回避やガード、リンクアタックなどの難しいアクションを状況に応じて自動で行ってくれる「アシストモード」と、もうボタン操作すら必要なく移動するだけで最適なアクションを行ってくれる「フルアシストモード」が実装されている。

 アクションゲームなのにアクションしなくて良いという大胆過ぎる発想に度肝を抜かれたが、今作で描かれる新たな物語、世界観、キャラクター達のカッコいいアクションを純粋に見て体験したいというプレーヤーも多い事を考えると、遊び方に幅を持たせる素晴らしい機能だと筆者は感じた。

 そんな「アシストモード」と「フルアシストモード」を実際に触ってみたのだが、なんら問題なくクエストをクリアできるほど操作性は正確だった。「フルアシストモード」に関しては、本当に走っているだけでクリアできたのでどんなにアクションが苦手でも詰む事は無さそうだ。

 加えて様々な他の利点もある。例えば自分で操作した際には気付けなかったキャラクターの強みやムーヴなどをアシストモードの自動操作で発見する事ができたり、自分で操作していると見落としがちなモーションの完成度の高さに見入る事ができたりなど、単純にアクションが苦手な人の救済処置というだけではない、色々な楽しみ方ができそうなモードだなと筆者は感じた。

 ただし溜め操作や連打操作など、特殊なボタン操作を必要とするような一部のキャラクターは自身で操作したほうがより正確な場面もあったため、自分の目的とキャラクターに合わせてモード選択することが重要になるだろう。

最初はアクションゲームでアクションしなくて良いモードは本末転倒じゃないかと筆者も思っていたが、「アシストモード」と「フルアシストモード」で学べる事や遊べる事が多かったので、今ではかなり有用性の高いシステムだと感じている。純粋にアクションが苦手なプレーヤーの補助機能としても機能し、慣れてきたり興味が出たら自分の操作に切り替えたりなど遊び方の幅が広いため、様々なプレーヤー層を抱える「グラブル」シリーズならではの配慮と言えるだろう

 ここまで本作のアクション面に触れてきたが、一番気になる部分といえばストーリー部分だ。本作では主人公達が広大な空の一角「ゼーガ・グランデ空域」にたどり着くところから物語が始まり、謎の組織「アヴィア教団」や強大な力を持つ「星晶獣」など、様々な新しい出会いの中で空域全体を巻き込むような大いなる運命に挑んでいく……といったオリジナルストーリーが展開される。

 最新PV内では今作から新登場となる「イド」やその傍らに佇む「ルリアに似た謎の少女」の姿が確認できたり、暴れ狂う様々な「星晶獣」、さらにはバトルする「プロトバハムート」の姿が映ったりなど、プレーヤーの期待値を爆上げするような怪しい要素がチラホラと確認できる。プレーヤーの予想を遥かに上回るような壮大なストーリーを期待したいところだ。

主人公の新しいライバルになりそうな「イド」と「ルリアに似た謎の少女」、「リリス」呼ばれる怪しすぎる女性など、不穏ながら人間ドラマを感じさせる要素が出揃っている。このワクワク感は凄まじい……!
「星晶獣」達も進化した美麗グラフィックスで表現。今までにない迫力の「グランブルーファンタジー」になることだろう

 今回の試遊で触れたのはバトルのみだったのでストーリーについてはまだわからないところが多いが、キャラクターの個性を引き出しているバトルアクションやゲームシステム面をしっかり見ることができた。

 総合して、様々なキャラクターを触る度に新しい面白さに発見できるような作りになっていると感じた。何よりモーションやシステム等で「グラブル」らしさをここまでアクションゲームの形に落とし込みつつ、純粋にゲームとして面白いのが素晴らしい。長年の開発期間に見合うような完成度への期待がさらに高まっていく。

 ここに加えてキャラクターのビルド要素やマルチ要素、エンドコンテンツやサイドクエスト等も豊富に用意しているそうなので、まだ本作の面白さの断片にしか触れられていないそうだ。今後の続報にも注目したい。

アクションやグラフィックスは「絶対にこだわりたかった」

 今回のプレスイベントではゲームプレイに加えて、福原氏と梶氏の両ディレクターに囲みインタビューも行えた。最後にその内容をお届けしたいと思う。作品にかけるこだわりや考え、今後の展望など気になる部分に触れることができた。

左から、本作ディレクターの梶泰幸氏、本作ゼネラルディレクターを務める福原哲也氏


本作の魅力や拘りについて

――本作で特に作り込んだ部分や拘りぬいた部分などはありますか?

福原氏:Cygamesのどのタイトルでも重視されている部分なのですが、何回も触る事になる部分の手触りの良さです。プロジェクト外のスタッフや代表取締役社長の渡邊などにテストプレイしてもらって、意見を抽出して改善する等を何回も行いブラッシュアップを重ねてきました。Cygamesのタイトルとして出す以上、この部分は磨き上げようと考えて、UIの快適さやバトル面の気持ち良さには力を入れています。

梶氏:グラフィックス面も同じです。1つ1つ、本当にこだわって緻密にブラッシュアップを重ねています。そのためかなりの時間が掛かっていますが、何回もテストをして何回もブラッシュアップして積み上げてきたものがしっかり現れています。最終的には、Cygamesが作るゲームのクオリティの高さを体感していただけるような完成度になったと思っています。なのでどこか一部という感じではなく、全体的に丁寧に磨き上げている感覚ですね。

――全キャラクターに独自性の強い専用アクションがありますが、その拘りや理由などはありますか?

梶氏:私が絶対にやりたかったからです。「グランブルーファンタジー」のキャラクターを直接操作する、その事への妥協を一切したくなかったので。ですから全キャラクター遊びが違いますし、触り心地もガッツリ変わるようになりました。

 キャラクターが好きだという方にも納得していただけるようにしながら、アクションゲームが好きな方には自分好みのアクションができるキャラクターを探せるように色々考えながら作ってきました。

福原氏:極端な話、キャラクターの数だけ違うアクションゲームが遊べる、くらいの感覚で差支えないかなと思っています。

 とは言え最終的には、どのキャラクターでも全編通して気持ち良く遊べるようにはチューニングしています。1人のキャラクターしか使いたくないという人もフルで楽しめますし、色々なキャラクターを変えて楽しむ人も色々な戦い方やアクションの違いを感じながら楽しめると思います。

――今作でしか見られないようなキャラクターの新しいエピソードや一面などは見られるのでしょうか?

福原氏:今作では「フェイトエピソード」という形で、メインストーリーとは別のショートストーリーを主人公含めたプレイアブルキャラクターごとに用意しています。そこで、読み物+ボス戦やクエストといった本作ならではのゲーム要素を楽しめるようになっています。他にもメインストーリー中に操作キャラクターによってセリフが変化する部分などもあります。キャラクターが好きな人には喜んでいただけるのではと思います。

――「グラブル」に初めて触れる場合、キャラクターのバックボーンがわかりづらいのではと思うのですが、何か施策はありますか?

福原氏:フェイトエピソードの導入は、本作の舞台の「ゼーガ・グランデ空域」でのキャラクターのストーリーをいきなり始めるのではなく、原作エピソードで主人公達とどんなバックボーンを築いてきたのかも含めて描写しています。冒頭だけでも見てもらえれば、そのキャラクターを理解できるようになっていると思います。

 バトル中の掛け合いなども大量に用意されているので、その掛け合いをプレイ中に聞いていく内に、キャラクターの性格やキャラクター同士の関係性も理解できるように作っていますね。



ゲームシステムや新情報について

――DLCはどのような内容を想定していますか?

福原氏:まず本作はパッケージ内で綺麗に終わるストーリーや纏まったコンテンツを楽しめるようになっています。DLCでは、そこをやり尽くした方向けのエンドコンテンツ等を準備しています。こちらは続報をお待ちください。

――ストーリーモードのボリュームはどれ位でしょうか?

福原氏:ストーリーは、時間で言うと20時間ほどでエンディングパートには行くかと思います。ですが、エンディングの後も話自体は続くようになっているので、本当のお話の終わりまでと考えると合計で30~40時間位かなと思います。

 いったんのエンディングまで20時間と考えると短いと感じる人がいるかもしれませんが、本作がかなりアクションに寄っているゲーム性である事と、後半のストーリー展開やバトルの密度等を考えると体験としての濃密度はすごいです。遊んでみると、短くは感じないのではと思います。

――PVにはプロトバハムートを操作できるような描写がありますが、これはイベント戦のような感覚でしょうか? また他にもこのような特別なバトルはあるのでしょうか?

梶氏:基本イベントバトルのように思っていただいて差支えないかなと思います。ただプレイアブルキャラクター同様にアクションの手触りの部分をこだわって作っているので「プロトバハムート」の操作の所も皆さんが驚くくらいスムーズにアクションできるようになっています。アクションゲームとしてのド派手さやスペクタクル感などを感じていただけるような要素をいろいろと盛り込んでいるので是非楽しんでいただければと思います。

――ソロとマルチのゲームバランスの違いはどのようになっていますか?

梶氏:クエストには4人マルチで行く事もできますし、2人プレーヤーの方で2人CPUといった形もできますし、完全に1人でだけで行くような事もできるようになっています。バランスは、高難度でもすごく頑張れば1人でも倒せますが時間は掛かるというような調整になっています。

――クエストの周回要素もあるということですが、どのようなプレイサイクルで周回することになるのでしょうか。

梶氏:メインストーリーをクリアしていく中で、派生的にクエストに挑戦できるようになるのですが、その中で、キャラクター強化の素材集めやレベル上げのために繰り返し敵と戦える要素としてクエストを用意している形です。

 中には最強武器の作成など、すごくやり込まないといけない要素なども用意しているので、繰り返し遊ぶ面白さも損なわれないと思います。メインストーリー自体はスムーズに進んでいくようなバランスで楽しめつつも、最後の方の高難度クエストでは「グラブル」らしいやり込み要素もしっかり楽しめるような作りになっている感じですね。

――最後に一言お願いします

梶氏:相当お待たせしてしまい申し訳ないのですが、発売日が来年の2月1日に決まって、皆さんの元にようやくお届けできるなと感じております。アクション部分に関しては相当こだわって作っていて、触り心地や気持ち良さを凄く追求して作り込んできました。長い間お待たせした事に見合うクオリティでお届けできると思っています。是非楽しんでいただければと思います。

福原氏:まず、「グラブル」ファンの方に関しては発表からすごく長い間お待たせしてしまって申し訳ありません。その上で、掛けた時間の分だけ良いゲームにできたとも思っています。発表された当時は2016年で、その時はまだ「グラブル」が3周年の前でしたが、気づけば10周年が目前、というタイミングになってしまいました。

 「グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-」と「グランブルーファンタジー リリンク」は発売時期が近いので、原作の10周年記念と合わせて2024年というグラブル10周年イヤーを盛り上げていきたいと考えています。

 全タイトルを平行して楽しんでいただければありがたいと思いつつも、まずは気に入った物だけでも遊んでいただけると嬉しいです。