【連載第5回】あなたとわたしのPCゲーミングライフ!!
■ 佐藤カフジの「PCゲーミングデバイス道場」 ■
ひとつ上の快適を手に入れたい人のための
ゲーミングマウスパッドカタログ 2008冬
様々な点で業界の「最先端」を走る、PCゲーミングの世界。当連載では、「PCゲームをもっと楽しく!」をコンセプトに、古今東西のPC用ゲーミングデバイスに注目して、単なる新製品の紹介にとどまらず、競合製品との性能比較や、新たな活用法の提案、果ては改造まで、様々なアプローチで有益な情報をご提供していきたい。 |
■ 優れたマウスパッドがあるだけで、日々の生活まで快適に
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PCゲーム店の売り場には、マウスパッドが沢山展示されている。どんな製品があるか、こだわりの目で見てみよう (撮影協力:秋葉原 メッセサンオー カオス館) |
前回の連載記事で、レーザーとオプティカルという2種類のマウスセンサー方式を比較し、結果として「オプティカル優位」との結論を出した。読者の中には、「じゃあ、オプティカルマウスを買ってみようか」と考えている方もいるかもしれない。だが、ちょっと待って欲しい。オプティカルマウスというのは、特定のトラッキング面を必要とするため、マウスパッドがほぼ必須になるのだ。
この1点は、オプティカルマウスが市場から敬遠される一因にもなっている。しかし、筆者としては、マウスパッドを使わずにマウスを使う場面というのは、果たしてどれほどあるのだろうかと思わざるを得ない。PCゲームを日頃から楽しんでいるゲーマーの人々なら、これまでのPCゲーミングパーツ強化の過程において、現在、オプティカルなのか、レーザーなのかに関わらず、絶対にそれなりのマウスパッドを装備しているはずだし、その他の趣味やオフィスでPCを使っている人でも、マウスパッドは無視できないデバイスであるはずだ。
何しろ、ゲームを全くしない場合においても、PCを使っている間、Webブラウジングをはじめ、アプリケーションの操作など、マウスを操作する場面は多い。おそらく、PC人口の多くが、PCを使う時間のうちのほとんどをマウス操作に費やしているのではないだろうか。
“どこでも使える”ことが強みのレーザーマウスにしても、実はいくつもの前提条件をクリアして始めてマウスパッドなしで使えることを忘れてはならない。いくら操作できるといっても、ひっかかりを感じながらだったり、力ずくで操縦しているような状況では、膨大な操作時間を無駄にしてしまうはずである。したがって、本来的には、レーザー、オプティカルを問わず、マウスパッドは必須の装備であるはずなのだ。
この点、ゲーミングデバイス業界では、単なる快適さのみならず、ゲームで勝つための工夫の一環として、“マウスを意思通りに動かすにはどうすればいいのか”ということを、マウスとマウスパッドの両面で取り組んできた経緯がある。そのため現在、ハイエンドのマウスパッドと言えば、ほとんどイコールでゲーミングマウスパッドの事を指すようになってきた。
優れたマウスパッドがあれば、ゲームで有利になるだけではない。PCの前に座っている限り、操作し続けなければならないマウスを、ぐっと快適に使えるようにしてくれる。ならば、非ゲーマーがゲーミングマウスパッドを使ってもいいのではないか?
というわけで今回は、ゲーマー、非ゲーマーを問わず、一歩先の快適を求める全PCユーザーの方々に向け、現在市場に流通している優秀なマウスパッドを取り上げてご紹介していきたい。プラスチック系、布系、その他、というふうに素材別にカテゴライズしたので、あなたにピッタリの1枚が見つかれば幸いである。
【今回のラインナップ】
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エアーパッド プロ III
発売元:パワーサポート
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DHARMA TACTICAL PAD HARD-TYPE
発売元:シグマA・P・Oシステム販売 |
Razer Destructor 発売元:MSY |
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SteelSereis 4D 発売元:ゲート/マスタードシード |
すごいマウスパッド 発売元:エレコム |
DHARMA TACTICAL PAD SOFT-TYPE 発売元:シグマA・P・Oシステム販売 |
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DHARMA TACTICAL PAD CLOTH-TYPE 発売元:シグマA・P・Oシステム販売 |
Goliathus Speed Edition 発売元:MSY |
Goliathus Control Edition 発売元:MSY |
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SteelSeries QCK+ 発売元:ゲート/マスタードシード |
Razer eXactMat 発売元:MSY |
SteelSeries 5L 発売元:ゲート/マスタードシード |
※性能の評価にあたり、「初動抵抗」、「滑走抵抗」、「ストッピング」という独自の用語を使用する。「初動抵抗」とは、マウスが止まっている状態から動き出す瞬間に生じる抵抗の大きさである。これが大きいとドット単位の精密操作が難しくなる。「滑走抵抗」はマウスが動いている状態で連続的に発生する抵抗のことである。これが大きかったり、不安定だと、素早い操作に負担がかかる。「ストッピング」は、任意地点でマウスを止める際に、意図通りに止められるかどうかを指す言葉だ。滑りが良すぎるマウスパッドでは、止める際にブレが生じ、不正確になる場合がある。
■ マウスパッド界のメインストリーム「プラスチック系マウスパッド」
プラスチック系のマウスパッドは、加工のしやすさ、素材の安価さなどから、マウスパッドの世界では標準的な製品だ。プラスチック系と一口に言っても、硬質なものから柔らかなシリコン系のものまで幅広いバリエーションがあり、表面加工も様々なものがあるため、実に多種多様な製品が存在する。マウスパッド最大の激戦区といって良いだろう。
ゲーミング分野で求められる特性としてはまず「充分なサイズがあること」となるが、そのほかにも表面のトラッキング性能や、滑りの良さ、ストッピング性能、剛性、耐久性と、多数の評価ポイントがある。
これらの点において、一般系PCサプライメーカーのマウスパッド製品では不足する部分が多いというのが実情であるが、一方のゲーミングデバイス専門メーカーの製品についても、各製品各様の長所、短所があるので、自分にベストマッチする製品をうまく見つけられれば御の字と言えよう。
【エアーパッドプロIII】 |
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発売元:パワーサポート
価格:4,830円(特大、マットブラック) 5,040円(特大、ダークグラファイト)
発売日:2006年10月(発売中)
タイプ:シリコン樹脂
寸法:W196×D252×H2mm(特大サイズ。その他大小のバリエーションあり)
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マットブラック、ダークグラファイトの2色が現在の主力製品だ |
株式会社パワーサポートが開発・発売する「エアーパッド」シリーズは、ゲーミングデバイスという概念が確立する以前から存在しており、ボールマウス全盛の時代からPCゲーマーに愛されてきた往年の名作である。古くは「白いマウスパッド」という印象のあった「エアーパッド」だが、現在ではオプティカル/レーザーマウスへの対応のためカラーをグレーやブラックとしている。
シリコン樹脂の一体成形による表面は、非常に細かい凹凸がつけられている。マウスソールにも使われる素材がそのままマウスパッドになっているようなもので、滑りのなめらかさは全マウスパッド中でも群を抜くレベルだ。今回使用した「エアーパッド III 究極セット」に付属するマウスソールを使えば、本製品の売り文句通り“エアホッケー”をしているようなマウス操作感となる。
この極限に近い滑りの良さは、強みであると同時に弱点にもなっている。精密な動きが可能な反面、大きな動きの後にマウスを止める動作(ストッピング)を行なうと、マウスが大きくブレやすいのだ。抵抗が少なすぎるため、プレーヤーの腕の力だけで“止める”必要があるわけだ。
トラッキング性能については、オプティカルマウスでは最大速度で動かしても全く問題はなかったが、レーザーマウスでは本来の限界性能より前にミストラッキングが発生した。「特大サイズ」で長辺25センチメートルというサイズも考えると、ローセンシ(Low Sensitivity: 低感度設定)でマウスをブン回すプレーヤーにはさらに大きい「超大サイズ」が必要になるだろう。通常サイズはハイセンシ(High Sensitivity: 高感度設定)プレーヤーにオススメしたい。
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シリコン系の素材で作られている「エアーパッドIII」。滑りの良さはトップクラスだが、その反面ストッピングが難しくなっている。プレーヤーの腕前をモロに反映しそうな特性だ |
【DHARMA TACTICAL PAD HARD-TYPE(DRTCPW40H)】 |
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発売元:シグマA・P・Oシステム販売
価格:オープン(実売2,500円前後)
発売日:2008年1月25日(発売中)
タイプ:硬質プラスチック多層構造
寸法:W400×D300×H3mm
(W300×D260×H3mm版もあり)
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ローセンシプレーヤーにも充分な幅が確保されている |
これは、国内のゲーミングデバイスブランド「DHARMAPOINT」のデビューと同時に投入されたマウスパッド製品だ。大型であり、完全にゲーマーを対象に開発されている。表面は硬質プラスチック系の薄い層で、裏面は厚みのあるソフトラバーとなっている。表面には細かな凹凸が見られるが、これが非常に硬質であるため、マウスを滑走させると微細な振動がマウスにダイレクトに伝わってくる。
滑走性能は高いレベルにあるほか、特に初動抵抗が小さいのが特徴だ。このため細かい照準操作がやりやすくなっている。さらにトラッキング性能は、全マウスパッド中で最高レベルのものを持っている。オプティカル、レーザーの両方で、限界性能近くまで引き出せる実力だ。
弱点としては、汗で湿り気を帯びると急激に初動抵抗が増す点が挙げられる。水分を触媒として、ソールと表面の密着が増すためだろう。また、マウスソールが硬いものだと、凹凸に衝突する音が非常に耳に付くため、少々柔らかめのソールを使用したほうがよいだろう。
また、トラッキング性能の高さを特徴として上げたが、その反面、リフトオフディスタンスが長大になる傾向がある。このため、リフト調整機能を備えたマウスを組み合わせて使用したい。また本製品を高熱にさらすと、曲がって形が戻らなくなってしまうことがあるため、いくら広いからといって上にコーヒーカップを載せるようなことは避けたい。大事に使えば最高の性能を提供し続けてくれるはずだ。
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表面素材は非常に硬質で、硬いソールを使うと衝突音が激しい。柔らかめのソールを使用したい。背面は全面ソフトラバー製となっており、机上のグリップ力を確保している |
【Razer Destructor】 |
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発売元:MSY
価格:6,980円
発売日:2008年3月28日(発売中)
タイプ:硬質プラスチック
寸法:W350×D280×H2.3mm
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Razerらしい独特のフォルム |
本製品は海外ゲームデバイス専門メーカーのRazerが開発した、非常に薄いプラスチック系マウスパッドだ。薄いため剛性が気になるが、かなり硬い素材で作られており、ゆがんだりたわんだりすることはまずない。表面には“ガンメタル加工”と呼ばれる、細かで鋭い凹凸がつけられている。
操作の感触としては前掲の「DHARMA TACTICAL PAD HARD-TYPE」に近いが、さらに剛性があり、硬い。滑走時にはサラサラとした手応えを感じ、初動抵抗も低い。細かい操作を小さな力でおこなえるのが最大の美点と言えるだろう。ただし、滑走させる際にはマウスソールが表面を擦る音がかなり生じるので、柔らかめのマウスソールを使用したほうがいい。
トラッキング性能は非常に高く、前掲の「DHARMA TACTICAL PAD HARD-TYPE」に匹敵する。オプティカル、レーザーともに良好な反応を見せてくれる。ただ、長辺が35センチメートルというサイズで、極端なローセンシプレーヤーには少々物足りない。あと5センチメートルあれば、という感じだ。
サラサラ感のある操作感は、ほどよい抵抗があることを示しており、ストッピングは良好だ。少し力を加えればピタリと止まる。ちなみに本製品には専用のキャリングケースが付属し、痛めずに搬送できるため、ゲーム大会やLANパーティでプレイする機会のあるコアゲーマーに最適。剛性が高いため寿命は長そうだが、熱でゆがむおそれがあるので取扱いに気をつけたい。
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全体がハードプラスチックで構成され、剛性の高いマウスパッドになっている。表面はサラサラ感のある細かな凹凸があり、非常に硬い。キャリングケースが付属するので、持ち出すときは収納して大事に扱おう |
【SteelSereis 4D】 |
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発売元:ゲート / マスタードシード
価格:オープン(実売3000円~5000円)
発売日:2007年12月8日(発売中)
タイプ:硬質プラスチック
寸法:W290×D267×H1mm
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滑り止めのシートが付属する |
北欧のゲーミングデバイスメーカーSteelSeriesが開発する「Steel Series 4D」は、両面使用可能なマウスパッドだ。硬い素材で作られており、非常に薄く、厚みはわずか1mmしかない。そのぶん重量がなく、単体では机上にしっかり固定できないため、据え置きには付属のグリッピングパッドを使う。これを紛失してしまわないように気をつけなければならない。
使用可能な両面のうち、メインで使われそうな面はサラサラ系の表面加工だ。上記の「Razer Destructor」よりも凹凸の目が細かく、初動抵抗、滑走性能ともに良好な感触が得られる。しかし、トラッキング性能に関しては、レーザーマウスとの相性に難があり、限界性能を引き出せない。ハイセンシプレーヤーには問題のないレベルではある。
もうひとつの面は革のようになめらかな凹凸がつけられ、光を反射してギラついている。ツヤツヤ、ツルツルといった感触だが、マウスの滑走性能は良いものの、停止時にマウスソールと癒着しやすいようで、初動抵抗は不安定に高くなる。トラッキング性能に問題はないのだが、実用性には疑問符が付く。
基本的にはサラサラの面を使用することになりそうだが、いかにも中途半端な性能になっており、他の優秀な製品に比べると見劣りする。サイズ的には長辺290mmと、ゲーミング水準ではギリギリ合格点の大きさを確保しているが、ローセンシプレーヤーの選択からは外れることになるだろう。
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表面はサラサラ、背面はツルツルというユニークな両面仕様。非常に薄いので、机上に手首を置いても違和感なく操作できる。トラッキング性能には疑問符が付いたが、特に今回テストしたマウスとの相性が悪かった可能性もある |
【スベスベ超快適 すごいマウスパッド ラージサイズ】 |
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発売元:エレコム
価格:3,400円
発売日:2007年3月(発売中)
タイプ:シリコン樹脂
寸法:W190×D241×H2mm
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寸法についてはあまり気にしないでおこう |
こちらはゲーマー用ではなく、一般PCサプライメーカーであるエレコムの製品だ。しかし、“すごい”と書いてある以上、どれくらいすごいのか試してみたくなるのが人情だ。“ラージサイズ”とされているわりにサイズは長辺241mmと小さく、一般とゲーミングの文化の違いを感じる。そこは敢えて突っ込まず、ここではサーフェス性能に注目して評価してみたい。
シリコン樹脂系の素材で一体成形されており、表面には微細な凹凸が見られる。アイディア的には「エアーパッド」に近いが、より柔らかな質感となっており、操作感は非常にマイルド。その反面、若干の粘着性があり、柔らかな表面が停止時にマウスソールを捕まえてしまうため、初動抵抗が高いのが難点だ。
また柔らかい素材の影響で、マウスに強い力を掛けると表面が押しつぶされ、マウスが若干埋まるような格好になるためか、冷静に操作しないと全体的な抵抗が不安定になる。トラッキング性能としては悪くなく、ゲーミング水準には及ばないものの、オフィスでの使用を考えれば充分に高品質な製品と言える。
価格がもうすこし安くなれば悪くない製品ではあるが、他にゲーミングマウスパッドという選択肢がある以上、PCゲームシーンではあまり存在感を発揮できなさそうだ。
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感触としては、「エアーパッド」をさらに柔らかくした感じ。やや初動抵抗が高い傾向があるので、あまり力をかけずに操作する必要がある |
■ 安定したトラッキング性能に定評あり、布系マウスパッド
一般系のマウスパッド製品には余り見られない「布系マウスパッド」。しかし、ゲーミング分野では主流の一角を担う存在である。
布系の場合、マウスのトラッキングに欠かせない凹凸は布目の大小によって自在に調整できるのが利点で、一般にトラッキング性能が高い。また、サイズも自由自在で、プラスチック系には不可能な巨大サイズのマウスパッドが可能になるという利点もある。
弱点としては、布という素材の性質から、充分な耐久性、剛性を持たせるために一定の厚みが必要なところだ。そのためプラスチック系に比べるとかなり厚みのある製品が多く見られる。この点ゲーミング分野では布の表面の下に様々な素材の層をはさみ、布の弱点を補う試みが行なわれている。
プラスチック系に比べ、どの製品もトラッキング性能が高く、安定しており、製品の質を決めるポイントとしては、滑りの良さ、ストッピング性能のほか、湿り気への強さ、手触りや使い勝手の良さというところになる。
【DHARMA TACTICAL PAD SOFT-TYPE(DRTCPW40S)】 |
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発売元:シグマA・P・Oシステム販売
価格:オープン(実売2,500円前後)
発売日:2008年1月25日(発売中)
タイプ:布(ナイロン、ラバー、ウレタン、ラバー4層構造)
寸法:W400×D300×H6mm
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布系としては珍しく、分厚く折り曲げられないマウスパッド |
本製品は、プラスチック系で紹介した「DHARMA TACTICAL PAD HARD-TYPE」の兄弟製品だ。見ての通り表面は布となっており、これを硬質ラバーで支え、さらに柔らかなウレタンの層で柔軟性を確保し、最後にソフトラバーで机上に固定されるという4層構造になっている。この構造から、とにかく分厚い。およそ6mm厚となっている。
布目は細かく、熱処理により硬く締められており、操作時に縦横の布目の存在を感じることはない。また、中間層にあるウレタンが衝撃を受け止める役割を果たしており、指で表面を押してみるとその柔らかさがよくわかる。この特性から、力のかけ具合を調整し、意識してストッピング性能を高めることが可能となっている。
滑走性能はそれなりで、布系としてはオーソドックスな抵抗を感じる。表面の柔らかさのためか、マウスがやや埋もれながら移動する感じがあり、移動時に表面を擦る音が耳に付くのは難点のひとつだ。一方でトラッキング性能は非常に高く、限界速度で動かしてもミストラッキングを感じることはなかった。
布系としては珍しく、本製品は丸めて収納することができない。分厚い4層の構造が、全体の柔軟性を損なっているためだ。無理に曲げると裂ける可能性がある。このため、本製品の兄弟製品である「DHARMA TACTICAL PAD CLOTH-TYPE」が存在する現在では、本製品を敢えて選ぶ必要は薄まっている。
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布目は非常に細かく、熱処理で硬く引き締められている。後述の「CLOTH-TYPE」に比べかなりの分厚さが有るぶん、操作感はマイルドだ。丸めて持ち運べないのが残念 |
【DHARMA TACTICAL PAD CLOTH-TYPE(DRTCPW40C)】 |
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発売元:シグマA・P・Oシステム販売
価格:オープン(実売2,500円前後)
発売日:2008年8月15日(発売中)
タイプ:布(裏面ソフトラバー)
寸法:W400×D300×H3mm(幅800mmバージョンあり)
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「DHARMAPOINT」ブランド最新の布マウスパッド。「SOFT-TYPE」とは少々アプローチが異なる製品 |
「DHARMAPOINT」ブランドの最新製品。前掲の「SOFT-TYPE」の弱点を補う、丸めてコンパクトに収納することが可能な布タイプのマウスパッドだ。表面の特性は前掲の「SOFT-TYPE」とほぼ同じだが、4層構造を廃し、裏面のソフトラバーだけを継承することでより薄く、軽く、柔軟になっている。
布目は「SOFT-TYPE」と同等。ただし中間層にスポンジが挟まれてないため、感触としては少し硬い。結果的に滑りは良くなっており、より少ない抵抗でマウスを動かすことができる。また、滑走時に発生する音も弱まっており、全体的な快適性が上回っている感じだ。ただし、他の布系と共通するところではあるが、湿気を帯びると初動抵抗が急に増すため、汗をかきやすいプレーヤーは注意が必要だろう。
「SOFT-TYPE」の特徴とかぶる部分もあるが、トラッキング性能は非常に高く、布系マウスパッドの中でもトップレベルに位置する。サイズ的にはローセンシプレーヤーにも充分な幅が用意されており、非常に死角の少ない製品になっていると言える。
滑りが良いためにストッピングには少々不安定さを感じるが、瞬間的に力をかければ相殺される程度なので、数日使い込めば完璧に制御できるようになりそうだ。また本製品はバリエーションとしてさらに大きなバージョンがあり、最大サイズは幅800mm。オールラウンドに活躍しそうな製品だ。
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表面は「SOFT-TYPE」と良く似ているが、薄く、机の硬さを半ばダイレクトに伝えてくれるため、使用感はよりハード。丸めて持ち運ぶことができるので、LANパーティなどで活躍しそうだ |
【Razer Goliathus Speed Edition】 |
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発売元:MSY
価格:2,980円(ミディアムサイズ)
発売日:2008年7月18日(発売中)
タイプ:布(裏面ソフトラバー)
寸法:W355×D254×H4mm(大小バリエーションあり)
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布目が非常に細かいので、この距離ではスムーズに見える |
「Goliathus」は、Razerが開発した最新の布製マウスパッドシリーズだ。丸めて輸送することを前提とする柔軟性の高さと、裏面をソフトラバー制にすることで机上へのグリップを確保しているなど標準的な構成ながら、「Speed Edition」、「Control Edition」の2バージョンが用意されている点がユニーク。
「Speed Edition」の方を見ると、前掲の「DHARMA TACTICAL PAD CLOTH-TYPE」によく似ている。布目は非常に細かく、熱で引き締められており、縦目横目の存在を感じさせない平坦さを実現。こういった表面加工は、最近の布系マウスパッドでは流行のひとつになっているようだ。
実際の操作感触も「DHARMA TACTICAL PAD CLOTH-TYPE」に酷似しているが、強いて言うと、こちらのほうが少しだけ柔らかく、滑走抵抗がやや少ない。本当にごくわずかの違いではあるが、好みが別れるポイントになってくるだろう。
トラッキング性能は高く、布系マウスパッドの中でも最高峰に位置する。まず間違いなく、ゲーミングマウス使用時にトラッキングミスを感じることはないはずだ。また本製品は大小3種のサイズが用意されており、最大サイズの「ラージ」バージョンでは444mm×355mmと、ローセンシプレーヤーにも充分なサイズがある。価格的には「DHARMA TACTICAL PAD CLOTH-TYPE」より若干高めである。
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細かい布目が適切な滑りと抵抗を与えてくれる。厚みは4mmあり、前述の「DHARMA TACTICAL PAD CLOTH-TYPE」と比べるとややソフトな感触。3種のサイズがあるので、環境に合わせて選べる |
【Razer Goliathus Control Edition】 |
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発売元:MSY
価格:2,980円(ミディアムサイズ)
発売日:2008年7月18日(発売中)
タイプ:布(裏面ソフトラバー)
寸法:W355×D254×H4mm(大小バリエーションあり)
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布目の粗さがこの距離でもわかる |
「Razer Goliathus Control Edition」は、上記「Speed Edition」と対になる製品だ。この「Control Edition」では、粗めの布地で表面が構成されており、マウス底面を伝わる適度な凹凸感が与えられている。布目の粗さのおかげで、ゴミやホコリによる目詰まりの可能性が低減されており、長期にわたって安定した性能を発揮する点が特徴だ。
操作感覚は「Speed Edition」と大きく異なり、移動する際に発生する凹凸感がクッキリと伝わり、それが正確なストッピングを補助してくれる。こういった手触り感を好むプレーヤーにとってはベストの選択になってくるだろう。
特に好ましい点としては、湿気を帯びても初動抵抗に変化が少ないことが挙げられる。布目が粗いため、少々の環境変化ではびくともしないわけだ。この特性は、汗をかきやすい体質のプレーヤーにとっては大変ありがたいものと言える。
トラッキング性能は、前回の連載記事でマウス性能テストに使用したほどで、非常に高い。その意味で高水準にまとまっている製品である。強いて難点を挙げるとすれば、荒い布目のため、「Speed Type」などに比べると若干ながら滑走抵抗が高まっているところだ。だが、それでこその「Control Type」なのであり、不満を感じる人はほぼいないだろう。
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表面の凹凸が大きく、移動距離を体感できる。空気の通り道が大きいので、表面が湿気を帯びてもソールと密着しにくく、初動抵抗が変化しにくいという効果があり、長期安定したパフォーマンスを出せるのが特徴だ |
【SteelSeries QCK+】 |
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発売元:ゲート / マスタードシード
価格:オープン(実売2,600円前後)
発売日:2007年4月(発売中)
タイプ:布(裏面ソフトラバー)
寸法:W450×D400×H2mm(各種バリエーションあり)
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上下に広大な操作スペースを確保できる。置ける机は限られそうだが、ローセンシプレーヤーにはありがたい |
SteelSeriesから多様なバリエーションがリリースされている「QCK」シリーズ。この「QCK+」は、今回使用した中では最大サイズのマウスパッドだ。これ以上大きなものは布系マウスパッドの中でも特に大きい部類になり、例えば「DHARMAPOINT」の800mmバージョンなどでは、マウスパッドの上にキーボードも載せてしまうようなスタイルとなる。
QCKの特徴は、布系としては良くも悪くも標準的な性能であり、むしろシリーズのバリエーションで勝負している製品であるということだ。今回使用した「QCK+」はわずか2mm厚という薄さが特徴だが、他にも厚さ6mmの「QCK Heavy」や、非ゲーミングクラスの小サイズ「QCK mini」など、各種取りそろえられている。
今回使用した「QCK+」は非常に薄いこともあり、丸めて運ぶような取り回しが非常に良い。また硬く平坦な机の上で使用すれば、布ながら剛性のある表面として使用することができる。表面の布質は、「Goliathus Speed Type」などと比べるとやや荒いが、ほぼ誤差の範囲だ。操作感は非常に柔らかく、摩擦音も気にならない。
トラッキング性能は、他の布系マウスパッドの例に漏れず非常に高い。敢えて難点を挙げるとすれば、「QCK+」の場合、その薄さのため、取扱いを誤ると折り目がついたりして性能が損なわれやすいところだ。兄弟製品には各種サイズがあり、厚みも複数用意されているので、好みに合わせて選べる。
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布目の細かさは、布系マウスパッドとしては標準的なタイプと言える。癖のすくないマウスパッドであり、同シリーズで各種バリエーションを選択できる |
■ 高い剛性が特徴の金属系、いいとこ取りのハイブリッド
プラスチックや布以外にもマウスパッドの素材は求めうる。その中で、数年前の一時期、様々な製品が続々と登場してきたのが金属系のマウスパッドだ。金属は硬く、頑丈で、経年劣化しにくく、傾けて使用することも可能という特徴があるため、一部のゲーマーの間では人気が高い。ただ他の素材に比べるとサイズ面で大きな制限があるため、主にハイセンシプレーヤー向けの製品となっている。
また、各素材のいいとこ取りをしようというハイブリッド系マウスパッドも面白い存在だ。主なハイブリッド系は表面に布を使い、何らかのコーティングを施すか、裏面に硬いプラスチック系素材を密着させて剛性を確保するという構成。結果的に布の特徴である初動抵抗の低さ、適度な滑りと、プラスチックの持つ安定性を兼ね備えた物となる。
【Razer eXactMat & eXactRest】 |
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発売元:MSY
価格:5,980円
発売日:2005年9月(発売中)
タイプ:陽極酸化アルミ
寸法:W330×D265×H2.5mm
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紹介するパッケージは「eXactRest」が付属するバージョン。ハンドレストはマウスパッドの固定役も果たす |
まずは金属系からご紹介しよう。「Razer eXactMat」は、アルマイト加工が施された表面を持つ、アルミのマウスパッドだ。両面が使用可能になっており、一方が「Speed」、もう一方が「Control」と名付けられている。
「Speed」側は非常に細かい凹凸となっており、マウスを走らせるとサラサラとした感触が得られる。裏面の「Control」側は凹凸が粗くなっており、ゴリゴリとした感触だ。滑走抵抗はゲーミングマウスとして充分な水準で、適度な抵抗があるため、ストッピングはおおむね良好である。弱点としては、両面ともに初動抵がやや高く感じられた。汗で湿気を帯びるとこの傾向が顕著になる。
アルミ製のメリットとしては、力を加えても摩擦が安定しているため、少々乱暴なプレイをしても大丈夫、という点がひとつ。また、不安定な面に設置しても、マウスパッド自体が歪むことは全くないため、どこでも安定して使えるという点が挙げられる。
トラッキング性能については、オプティカルでは全く問題ないものの、レーザーでは限界性能前にミストラックが発生。サイズ的な問題も合わせて考えると、明らかにハイセンシプレーヤー向けの製品だ。
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サイズ的にローセンシプレーヤーの選択からは外れてしまうが、「Speed」、「Control」の両面を選択でき、しかも頑丈で長期間使える点ではコストパフォーマンスに優れそう。ただし、表面は汗や汚れの影響を受けやすいので、こまめなメンテナンスが必要になる |
【SteelSeries 5L】 |
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発売元:ゲート / マスタードシード
価格:オープン(実売6,000円前後)
発売日:2007年4月(発売中)
タイプ:布・プラスチックハイブリッド 5層構造
寸法:W380×D280×H5mm
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ゲーミングマウスパッドとして充分な大きさを確保 |
SteelSeriesが2007年にリリースしたハイブリッドマウスパッド「SteelSeries 5L」は、非常に優れものの製品である。この製品では表面に極薄のプラスチックコーティング、その下に布、ソフトポリプロピレン、ハードプラスチック、ゴムという5層構造になっている。
この製品最大の特徴は、なんと言っても布系の柔らかな操作感覚と、プラスチック系の安定感が見事に同居している点だ。マウスを走らせてみたときの感触は、ちょうど布とプラスチックの中間のような感じで、ほとんど音を立てずにスルスルとマウスが滑っていく。それでいて充分な剛性を保っており、押しつけても埋まることがないため、表面積の小さいマウスソールとの併用が好ましい。
全体の構造は中間層に位置するハードプラスチックに支えられており、傾けても使用できるほどだ。この硬さは表面の抵抗を一定に維持する役割も果たしており、接地圧、角度を問わず安定した操作感を実現している。一方でストッピングに関しては、やや意識して操作する必要があるが、止める際に力が横方向に逃げることはなく充分に安定している。
トラッキング性能は布系のもので、オプティカル、レーザー双方で全く問題を感じなかった。総合的に見ると、ハイブリッドというコンセプトは理想的な効果を上げており、布系の柔らかさとプラスチック系の切れ味を同時に実現している点を高く評価できる。サイズ的には、ローセンシプレーヤーにもギリギリ許容できる大きさを確保しているので、幅広くオススメできる。
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ユニークな5層構造は、ハイブリッド系マウスパッドのお手本のような完成度。操作の安定、滑り、ストッピング、快適さが高い次元で融合している。表面は硬いので、滑りを最大限に発揮するため接地面積の少ないソールを使用したい。価格が高いのだけが難点 |
■ そして、最強のマウスパッドはどれだ?
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筆者視点の最高評価は「SteelSeries 5L」。布、プラスチックの良さがうまく融合している |
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次点は「DHARMA TACTICAL PAD CLOTH-TYPE」。2,500円前後という手頃な価格と、布系パッドとしてのクオリティの高さがポイント |
以上12製品をご紹介してきたわけだが、お気に入りの1枚は見つかっただろうか? マウスパッドというのは、他のゲーミングデバイスとは異なり、完璧にアナログな道具であり、プレーヤーの好み次第で評価が変わりやすい製品だ。だからこそ、プラスチックや布、金属、その他の素材で、様々な製品が作られているのだろう。判断基準は人それぞれ、したがって「これが一番いい」と決めつけられないもどかしさもある。
あえて筆者の好みに合わせて独断と偏見で1つ選ぶとすれば、ハイブリッドタイプの「SteelSeries 5L」だ。布系とプラスチック系の良いところをうまく融合させ、相互の弱点を消している点を高く評価したい。公私共々、FPSやRTSなどで、このマウスパッドをメインで使っていこうと考えている。
次点としては「DHARMA TACTICAL PAD CLOTH-TYPE」を挙げたい。薄く、取り回しが良く、表面性能は布系の中でトップレベルのものを持っており、さらに低価格である点を評価した。2,000円そこそこの価格なら、使い潰してダメになっても買い換えやすい。高価格高性能だけがゲーミングデバイスではない。コストパフォーマンスの良さは、多くのゲーマーにとって重要ポイントなのだ。
ゲーミングデバイスの世界には、優れたマウスパッドが沢山ある。各人各様の好みで選択しよう。素晴らしいマウスパッドに出会えれば、ゲームだけでなく日々のコンピューティングもぐっと快適に、楽しくなっていくはずだ。
(2008年10月23日)
[Reported by 佐藤カフジ]
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