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「Intel Extreme Masters Season7 Singapore」大会レポート

「SC2」は韓国STING選手が優勝、BenQ所属のGrubby選手は準優勝


11月22日〜25日開催

会場:Singapore EXPO



 11月22日〜11月25日の4日間、シンガポールにてe-Sportsイベント「Intel Extreme Masters Singapore(以下IEM)」が開催された。

 IEMについては、イベントレポートとしてお伝えしたとおりだが、世界中から「Starcraft II(以下「SC2」)」、「League of Legends(以下LoL)」のプロゲーマーが集結し、4日間の会期で頂点を極める熱い戦いが繰り広げられた。

 本稿では大会レポートとして、今回の大会では「SC2」で準優勝という結果を残したBenQに所属しているオランダのプロゲーマーGrubby選手に密着してみた。





■ 「e-Sportsの世界に入り人生が変わった」。「SC2」のスターGrubby選手大会前インタビュー

Grubby選手

 Grubby選手はオランダ生まれの26歳。17歳から「Warcraft III(以下WC3)」でe-Sportsの世界に入り、今は「SC2」のプロ選手として活躍している。「WC3」では世界チャンピオンの座に輝き、サムスンが主催するe-Sports国際大会「World Cyber Games」ではHall of Fame(栄誉の殿堂)入りを果たしたまさに伝説的な選手だ。

 またe-Sportsは彼をプロゲーマーにしただけでなく、人生のパートナーとなるCassandraさんとの出会いももたらし、Blizzard EntertainmentのイベントBlizzCon 2009のステージ上でプロポーズ、2010年5月に結婚した。

 まさにe-Sportsによって人生を大きく変えたGrubby選手。大会前に実施したインタビューでは、彼はなぜプロゲーマーになったのか、プロゲーマーとしての生活はどのようなものなのか、また、今後の目標などについて聞くことができた。


――はじめまして、今日はよろしくお願いします。まずe-Sportsのプロ選手になったきっかけを教えてください。

Grubby選手: 私は3人兄弟の1番下の弟で、兄弟の影響もあり4歳の頃からコンピューターゲームに慣れ親しんできました。しかし対戦ゲームではずっと年上の2人の兄に勝てなくて悔しい思いをしていました。転機になったのは16歳の時、「Starcraft」で初めて兄にゲームで勝つことができました。その時の達成感がクセになり、「WC3」の大会に参加して優勝、そのままe-Sportsの世界に入りました。

―― e-Sportsって厳しい世界ですよね。辞めたくなったり、嫌になる時はありませんか?

Grubby選手: やはり試合に負けた時はツラいですね。ただプロゲーマーとしてe-Sportsを続ける以上、試合に勝ち続けるのは不可能なので、なんとか乗り切りながら進めています。ですが1度だけ短い間ですが辞めたくなった事もありました。

―― つらい時を乗り切るには、奥さんの存在が大きいのでしょうか?

Grubby選手: そうですね、キーボードやマウスを操作するのは私1人ですが、試合では2人で戦っているつもりです。

―― 大会やイベントに参加する時は奥さんと一緒に行動されるのですか?

Grubby選手: 大体7割くらい一緒です。どうしてもタイミングが合わない時があるので、必ずというわけにはいきません。

―― 奥さんがいるいないでパフォーマンスに影響したりしますか?

Grubby選手: いないと寂しいのは事実です(笑)。ただ、ゲームのパフォーマンスに影響はありません。メールやチャットなどでコミニュケーションも取れますしね。

―― 明日から試合が始まりますが、今のコンディションは?

Grubby選手: IEMは前回・前々回のイベントでかなり勉強したので、その成果が生きると思います。コンディションも上々です。

―― 普段はどのような練習をやっていますか?

Grubby選手: ラダーモードという同じような実力のプレーヤーとマッチングされるモードで練習するのが1つで、もう1つが対戦相手のリプレイを見て、相手の戦略などを勉強するようにしています。大体1日8時間位でしょうか。

―― 日本の有名なe-Sports選手に「ウメハラ」という選手がいるのですが、御存知ですか?

Grubby選手: 名前は聞いたことがあります。格闘ゲームのプレーヤーですよね。会ったことはありません。

―― やはり交流があるプロゲーマーは「SC2」の選手がメインなのですか?

Grubby選手: ほとんどそうですね。 ただ他のジャンルのプロゲーマーもe-Sportsに対するコアな部分は一緒なので、そこをきっかけに会話が弾むこともあります。変わったところだとロシアのチェスの選手とも交流があります。戦略的な話は共通なんですよね。

――これまでのプロゲーマー生活9年間を振り返って見て、どのような感想を持っていますか?

Grubby選手:色んな面白い人たちに出会えました。その中に今の奥さんもいます。そして様々な出会いで自分の人生が変わってきました。

――プロゲーマーとしての長期的な目標はありますか?

Grubby選手: e-Sportsという世界を知らない人にe-Sportsのことを知ってもらいたいですね。

――最後に日本の「SC2」ユーザーにメッセージを。

Grubby選手: ぜひ国際的な大会に挑戦してください。「join us, challenge us!」。





■ IEM「Starcraft II」部門レポート。操作量で圧倒するZerg使いsLivko選手とProtoss使いのGrubby選手の準決勝

Grubby選手のメッセージを送る観客の姿も
試合開始前のGrubby選手(左)とsLivko選手(右)

 「SC2」にはエイリアン種族「Zerg」、人類の末裔「Terran」、異種族「Protoss」の3種族が登場する。「Zerg」はユニットのコストが安く、大群で相手を蹂躙する。「Protoss」はコストが高いが特殊な能力を持ったユニットが多い。「Terran」はその中間的な種族で様々な状況に対処しやすいのが特徴だ。

 準決勝でGrubby選手と戦ったsLivko選手はZerg使いのロシア人選手。Zergは序盤から大量のユニットが出せるのが利点だが、その分状況を素早く判断する能力と、大群を操作する操作量が要求される。sLivko選手はこの戦法が得意で、今大会の他の試合でも際立った操作スキルで他の選手達を圧倒してきた。対するGrubby選手はProtoss使い。臨機応変に様々なパターンで攻撃するのがGrubby選手の特徴だ。

 試合は5ラウンド制で先に3勝した選手が勝利となる。会場人気は圧倒的にGrubby選手の方が高く、モニターにGrubby選手が映し出されるとその度に会場からは大きな歓声があがった。

 しかし1ラウンド、2ラウンド共にsLivko選手が攻勢に出るのが早く、Grubby選手は続けて投了。そしてsLivko選手の決勝進出がかかった3ラウンド目、Grubby選手が短距離ワープが使える遠距離攻撃ユニット「Stalker」を使ったラッシュ(速攻戦法)を展開。これが見事に成功し、Grubby選手は勝利への望みをなんとか繋げた。

 勢いに乗ったGrubby選手が4ラウンド目も制し、2:2で迎えた5ラウンド目。試合開始前には「Grubby選手ならミラクルを見せてくれるのでは」という期待があり、観客から「Grubby! Grubby!」と大きなコールが飛んでいた。2ラウンドを連続で落とし焦りの色を見せるsLivko選手に対し、Grubby選手は自分のペースを崩さずといった表情で試合がスタート。

 このラウンドもGrubby選手がラッシュ戦法を展開、sLivko選手の死角に地上ユニットを生産する「Gateway」を建設。sLivko選手による幾度かの偵察をくぐりぬけ、試合開始から8分というかなり早い段階でsLivko選手のベースを地上部隊で蹂躙、そのまま反撃の隙を与えなかった。あまりの劇的で鮮やかな勝利に会場は大きく沸き、スタンディングオベーションやハイタッチをしている観客達も見られた。


【sLivko選手 vs Grubby選手】
sLivko選手が操るZergはとにかくユニット数が多い。分断して対処したいところだ

【Grubby選手 勝利の瞬間】





■ 「Starcraft II」決勝戦。Terran使いのSTING選手との戦いは、輸送船を使った歩兵戦戦術に苦戦

韓国のSTING選手
STING選手もかなり人気がある選手だ

 そして始まる決勝戦。対戦相手はTerran使いの韓国のSTING選手だ。STING選手は輸送船に歩兵を乗せ、相手の死角からのヒット&アウェイ戦法を得意とする選手だ。

 ラウンド1、2ではSTING選手の歩兵ユニット「Marine」に荒らされ、Grubby選手が2連続で投了。あと1勝でSTING選手の優勝になるが、準決勝の奇跡的な勝利もあり、Grubby選手も観客たちもまだ優勝を諦めていない。

 そして迎えたラウンド3。輸送船にMarineを載せて移動するSTING選手を、対空攻撃能力を持った遠距離ユニット「Stalker」で迎撃するGrubby選手。輸送船とMarineの大半を失ったSTING選手が投了、1:2に持ちかえした。

 続くラウンド4でも一定時間で消滅するがユニットが移動できなくなる壁「Force Field」を巧みに使いながら、STING選手のユニットを各個撃破しながら、部隊を育てていくGrubby選手。STING選手が輸送船から奇襲をかけるもきっちりと押し返し、STING選手が投了。2:2の同点となり、準決勝と同様、どちらが優勝するかわからない展開になった。

 そして最終ラウンド。準決勝と同様ラッシュ戦法を取るGrubby選手。STING選手の偵察ユニットを誘導し、ラッシュ拠点を隠すことには成功するが、ラッシュをかけたユニットをSTING選手がきっちりと潰していく。最終的に長期戦の準備ができていなかったGrubby選手はSTING選手の軍勢に押し切られて投了。3:2でSTING選手が優勝、Grubby選手は準優勝となった。

 試合終了後STING選手、Grubby選手は互いの健闘を讃え合いガッチリと握手を組み交わし、観客は彼らに惜しみない拍手を送っていた。


【STING選手 vs Grubby選手】
拮抗した戦いを見せる両者。決勝戦ということもあり会場のテンションもかなり高かった


【「SC2」授賞式の様子】
賞金やトロフィーを大きく掲げる両選手。会場の盛り上がりも最高潮だ


【「LoL」決勝戦】
ストレートに準決勝を勝ち抜いた「Absolute Legends NA」と「Meet Your Makers」の2チームだったが、決勝戦では押しつ押されつのシーソーゲームの展開。最後までどちらが勝つか予想できなかった


【「LoL」授賞式の様子】
チーム制のゲームということもあり、チーム全員で喜びを大きく共有していたのが印象的だった

(2012年 11月 27日)

[Reported by 八橋亜機]