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★Xboxゲームレビュー★
強烈な存在感を人々の胸に刻み込んだ「鉄騎」。
コクピット視点のシミュレータとして、そして何よりもゲームとして好評を博したこのタイトルが、ネットワーク対戦専用の「鉄騎大戦」として我々の前に帰ってきた。前作を遊んだ事のある古参兵も、「鉄騎大戦」から始める新兵も、この興奮を共に分かち合おうではないか。
■ 鉄騎とは この作品は、VT(Vertical Tank=直立戦車)と呼ばれる二足歩行の巨大ロボットのパイロットとなり、戦争を行なうもの。だが、空想の産物である巨大ロボット同士の戦いを、リアルな実感をもって楽しめる物に構築している点が、このシリーズの魅力となっている。 巨大なVTの存在感。その内部で足を踏ん張りながらVTを操縦するという臨場感。この臨場感を盛り上げてくれるのが、優れた音響と巨大な鉄騎コントローラの存在だ。 鉄騎コントローラは、左右にレバーを配置した大型コンソールと、3本のフットペダルで構成されている。下の写真をみて頂ければわかると思うが、これを机に置いただけで、VTのコクピットが目の前に再現される。ピカピカ光るスイッチ群。右上に重々しく配置された脱出ボタンなどが、誇らしげにパイロットとなったあなたを迎え入れてくれるのだ。
そう、このコントローラを握れば、そこはすでに戦場。あなたはVTのパイロットなのだ。
■ 前作との違い 前作が1人でミッションをこなすゲームだったのに対し、「鉄騎大戦」はプレーヤー同士の集団戦がメインになっている。この機能は、インターネット経由での接続によって実現されているため、「Xbox Live!」が必要となる。クレジットカードでの料金支払が発生するので、事前に準備しておこう。 「鉄騎大戦」では、他のパイロット達とのコミュニケーションに、「Xboxコミュニケータ」を使用する。戦場ではキーボードではなく、無線で仲間と連絡を取り合うのだ。 これは、臨場感を高める効果と、迅速に情報伝達する効果を持っている。この機能によって、キーボードによる情報交換では間に合わないような緊迫した乱戦状態でも、お互いの意思を素早く伝えあうことができる。「Xboxコミュニケータ」は、このように実際の戦闘でも重要であるばかりでなく、すでにプレーヤー全員が「Xboxコミュニケータ」を使用している状態を前提とした戦略が浸透している。このため、「鉄騎大戦」で勝利を得るためには、なくてはならない装備品となっている。それだけではなく、臨場感や大戦を楽しむためにも、必ず用意してから「鉄騎大戦」を始めるのが良いだろう。
パイロットテスト版からは、システムリンクによる対戦が可能になった以外は大きな変更点はなく、細かい部分で多少の変更が行なわれた程度に止まっている。少なくとも、コクピット内では戸惑うような変更は無く、戦闘以外の部分のインターフェイスがわかりやすくなったという印象。また、ストーリーのTurnが正規の長さになったため、パイロットテスト時のような駆け足ではなく、しっかり遊ぶことができるハズだ。
■ モードについて 「鉄騎大戦」には、キャンペーンとフリーミッションなど、3種類のモードが用意されている。このうち、パイロットテスト版にはなかった、システムリンクモードが追加されたことで、インターネットに繋がずに対戦ができるようになった。回線品質が悪く対戦が難しい場合でも、必要な機材を揃えれば対戦できる、非常に頼もしいモードだ。 ● キャンペーン キャンペーンは、各戦闘の結果が反映されるモード。戦闘に参加することで手に入る何種類かのポイントで、階級や新しいVTを手に入れる事ができるモードだ。このキャンペーンが、「鉄騎大戦」の中心となるモードとなっている。 ● フリーミッション フリーミッションは、自分のキャラクタが使用できるVTならばどのVTでも出撃できるモード。ただし、このモードの戦闘では、キャンペーンの戦闘結果などに影響はでないため、純粋に練習用と考えた方が良いだろう。 ● システムリンク
パイロットテスト時からあった上記2つのモードに加え、製品版ではシステムリンクによる対戦が可能になった。これは、複数のXbox本体をシステムリンクケーブル、もしくはイーサネットケーブルで結んで行なうもので、イーサネットハブを利用すれば3台以上での対戦も可能となっている。
■ キャンペーンに参加する 「鉄騎大戦」の本編となるキャンペーンでは、キャラクタの作成を行なう際に、所属する勢力を選ぶことになる。事前に、「鉄騎大戦」公式ページなどで、勢力と機体の情報を調べておくのが良いだろう。すでに、各陣営の機体のほぼ全てが公開されており、参考になるはずだ。紛争はTurnと呼ばれる単位に区切られて進んでいく。紛争初期では入手できない高性能機でも、時間が進むにつれて入手できるようになるので、将来のことを考えて勢力を選ぶようにしよう。 第1Turnの間は、紛争初期ということもあり、前作に登場した第1世代VTが戦場の主役となる。プレーヤーの所属できる勢力も、前作で争っていたPRF(環太平洋機構)とHSD(海市島)しか選択できない。まずは、この2つの勢力の特徴を見て、どちらにするか決めよう。 ● PRF PRFは前半戦となる1~2Turnの間、機体性能でHSDを圧倒することができる。この時、主役となるのがディサイダーだ。第1世代のVTの中では、トップクラスの性能を誇り、1対1の戦闘で威力を発揮する。特に、得意とする中距離での打撃力は強力で、HSDのVTをあっという間に屠れるだろう。 序盤戦はVTの性能で押しきれるPRFだが、後半戦になればなるほど他勢力のVTとの性能差が埋まっていくため、徐々に厳しい戦いを強いられるようになる。ある日を境に、単騎での突撃が全く通用しなくなるということを覚えておこう。こうなってしまった場合には、同じチームとなったプレーヤー同士の連携が必要になる。逆に、連携をしっかり行なう事ができれば、使いやすい機体がそろっているため、紛争後期でも勝つことは難しくない。「鉄騎大戦」ではどの勢力に所属しても、連携の重要度を認識することが勝利へ近づくための第一歩になるのだ。 ● HSD HSDの第1Turnは、前衛をつとめるビッツと支援用VTのヴォルテックスを選ぶことができる。実際には、両方を用意しておき、戦闘前のブリーフィング時にどちらを使うかチームメイトと相談して決めるのが一般的。自分の趣味だけではなく、チーム戦であるという事を念頭において、相談しながら機体を選択することで、勝率を大幅に上げることができるだろう。
第1Turnの間、ビッツ・ヴォルテックス共に、単騎ではディサイダーに対抗することが難しい。この第1Turnのあいだは、ヴォルテックスでのディサイダー射程外からの攻撃が重要となる。相手が近づくまでの時間を利用してダメージをより多く与えておけば、ビッツの攻撃力でもディサイダーを倒すことができるハズ。より高性能の機体が配備されるまで戦い抜くことができれば、状況は次第に好転していくので、諦めずに戦おう。
■ 第3Turn以降から始める場合には この「鉄騎大戦」は、Turnによって時間の流れが管理されている。このシステムの関係で、「鉄騎大戦」を始める時期によっては紛争の途中から参加することになる場合がある。 この場合大きく違うのは、選択できる勢力が増えていることだ。第1Turnからある2つの勢力に加え、パイロットテスト時にはRB(ライトブラザース)とJAR(ジャララックス)が途中で追加された。もし、キャラクタを作成する時点で勢力が増えていれば、当然、増えた勢力に参加することができるようになる。 とはいえ、当然デメリットもある。後半のTurnから初めた場合、機体を購入するのに使用する配備請求ポイントが、高性能なVTを必要数購入するためには少なすぎるのだ。 まだ「鉄騎大戦」になれていない状態で、性能の低い第1世代VTに乗らなければならないのは大変つらい。なぜなら、周りには何十時間も「鉄騎大戦」で腕を磨いた猛者が、第2・第3世代の明らかに性能の向上したVTに乗っているからだ。 残念ながら、こうなってしまった場合は、敵と遭遇しないことを祈りつつ、拠点の占拠を行なうなどの地道な戦闘を繰り返すしかない。敵と正面切って撃ち合えるようになるのは、残念ながら、もう少し経験を積んでからになってしまう。
とはいえ、全てのターンが終了すれば、再び第1Turnがやってくる。このときに備え、腕を磨いておくことには意味がある。キャンペーンモードで活躍できる日を目指して頑張って欲しい。
■ コミュニケーションの重要性を知れ
そのためには、無線の使い方をマスターする必要がある。最初のうちは自分の声がチームメイト等に聞こえるのが恥ずかしいかもしれない。しかし、戦闘中はチームメイトから沢山話しかけられるし、それに答えなければ敗北してしまう。戦場の緊迫感の中で、勝利を追求しているのならば、ボイスチャットで直接やり取りする恥ずかしさなど一瞬で吹き飛んでしまう。
恥ずかしがらずに無線を使いこなせるようになる頃には、前線で戦う兵士の顔になっているはずだ。
■ より「鉄騎大戦」を楽しむために これでもまだ臨場感が足りないという、こだわり派には、サードパーティー各社から、鉄騎コントローラに対応した大型コクピットが発売されている。これは、すでにお伝えしているとおり、コクピットに座っている雰囲気を存分に味あわせてくれる製品ばかりとなっている。設置場所が確保できるなら、臨場感を盛り上げてくれることは間違いない。 また、5.1chサラウンドに対応しているスピーカーがあれば、耳で感じる臨場感も格段にアップする。本格的な物を用意すると、スピーカーの配置場所等で広いスペースを必要とするが、最近はヘッドフォンタイプなど、場所を取らない製品もある。住宅環境や好みに応じて、製品を選ぶことができるようになったのは大変ありがたい。5.1ch対応の音響機器はXboxでDVDを見る際にも活躍することは間違いないので、お勧めのアップグレードと言えそうだ。
ここまでするなら、D4端子を備えた大画面モニタで、高精細な画面でクリアな画像を見ながら戦場を堪能したくなってしまう。上を見ればキリがなくなるが、それだけの魅力を「鉄騎大戦」が持っているということでもある。
■ 「鉄騎大戦」の魅力に迫る 「鉄騎大戦」の魅力は、サバイバルゲームや鉄道模型などと同じような、カスタマイズや、制作する楽しさを備えている部分だ。特製のコントローラやコクピット、高精細な画面や5.1chに対応したサウンドだけではなく、今までのどのコンシューマーゲームでもたどり着けなかった、新しい魅力も備えている。 巨大な鉄騎コントローラは、実際に目の前にして座ってみると、確実にプレーヤーの心に訴えかけてくる力を持っている。もちろん、その2本のスティックを握り、ペダルに足を置いたときには、さらなる興奮に包まれるだろう。 この感覚は、ゲームソフトの与えてくれる興奮とは、明らかに質が違う。むしろ、エアガンを初めて握ったとき、手のひらに伝わってきた重みや鉄の冷たさなどの触感。精巧な鉄道模型を初めてレールに乗せるときのドキドキとワクワク。そして、ミニカーを走らせていた頃のプリミティブな喜び等、実際に触れることが出来るモノだけが持つ魅力なのだ。
この、実際に触れる事ができるという魅力は、ついに我々、巨大ロボット好きの手に届くところまでやってきた。それは、実物を触らずに想像しているモノよりも、確実に素晴らしいものであると断言しよう。
(C)CAPCOM CO.,LTD.
□カプコンのホームページ (2004年5月18日) [Reported by 岡本直大(冒険企画局)]
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