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この「HOME」のクローズドβテストに参加して感じた事やその模様をお伝えしていこう。まず今回は、「HOMEの世界へ行ってみました編」と題して、キャラクタクリエイトからのプレイ開始、“日本版”「HOME」の街の様子やマイホームスペースの様子、コミュニケーションの機能などなど、βテスト内の雰囲気を交えつつお伝えしていく。
「HOME」は今秋にはオープンβテストを実施予定。また、現在実施されているクローズドβテストにも、毎週のように追加当選者が選ばれているようだ。今のところ参加できずにいるという方も、本稿をお読み頂きつつお待ち頂きたい。なお、僚誌BB Watchでも「PlayStation Home」クローズドベータテスト体験レポートを掲載しているので、そちらもぜひご覧頂きたい。
最初にダウンロードした「HOME」アプリケーションのサイズは、80MBほどと驚くほど小さかった。だが、これは基本システムや自分の家である「マイホームプレイス」のデータだけのようで、HOMEをプレイ中に“初めて訪れるエリア”に入ると、そのエリアのデータが追加ダウンロードされた。プレイに応じて大きくなっていくわけだ。いくらでも拡張していける設計になっている。 あらかたの要素を触り終えた本稿執筆時点だと、HOME全体のサイズは3GB弱になっていた。後々のことを考えて、空き容量には余裕を作っておきたい。
「HOME」を起動すると、HOMEのアイコンが描かれたプレート状の板のような物体が振ってくる。シンプルなタイトル演出だが、この演出は、部屋に家具を置く時に少し高いところから落としたような動きになっている。そのタイトルプレートの下にはバージョンの記述が「v00.98.0」とある。
アバターのカスタマイズ項目は非常に細かに行なえた。以下に項目を書き挙げてみた。アバターのカスタマイズは、下記の表のように非常に細かに設定できる。設定時には左右のアナログスティックで四角形のグラフのポインタを動かし影響度を調節したり、横のゲージのパーセンテージを増減させて調節できる。
自分好みのアバターを目指して各箇所の調整をはじめると、時間があっという間に過ぎていく。例えば、「ほほ」をいじると「あご」とのバランスが気になってくるし、「あご」の次は鼻や口とのバランスが気になってくる……、といった具合だ。項目ごとに細かにいじれるので、うまく全体のバランスを整えていくのには苦労するものの、自分だけのアバターを作ることができる。 作成したアバターのデータは、1つのアカウントにつき9体セーブできる。プレイ中にアバターのカスタマイズ画面に入ってデータをロード、別の外見に変更するということもできる。セーブ、ロードともに1秒足らずで完了するのでスピーディーだ。
ただ、このセーブ/ロードの画面は、スロット枠しか見えないしセーブスロットに名前をつけておくこともできないので、データの中身がどんなアバターだったのかわからない。データを上書きするときに非常に困るので、ここは今後に改善して欲しいなと感じた。
「ベーシック」の部屋は、建物の最上階という設定になっているのか、楕円形の大きな天窓から陽光を採り入れているオシャレなデザインだ。まだ、窓の外に見える景色は絶景のオーシャンビュー。テラスに出てみると、すぐそばにマリーナがありクルーザーが数多く停泊していた。 青い海と空。クルーザーがずらりと並ぶリッチなマリーナの景色。遠くには丘や山も見える。「HOME」全体がそうだが、南の島の海岸線沿いにある観光エリアのような雰囲気になっていて、初めて訪れたときはちょっとした旅行気分だ。ちなみにHOMEの世界の音は、基本的に環境音のみ。いわゆるBGMのような曲は無い。「ベーシック」の部屋だと、室内はほぼ無音だが、テラスに出るとカモメの鳴き声やマリーナの作業音のような音が聞こえてくる。
「HOME」の世界には「マーケットプレイス」という、アバターの衣類や家具などを販売するショッピングモールのような場所がある。そこではβテスト段階ということで、家具やインテリアが無料販売されていた。さっそくそれらを購入し、部屋にインテリアを配置してみた。
設置するインテリアを決定すると、家具の配置画面に移る。L1/R1ボタンで家具の回転、L2/R2ボタンで高さの調節、そして左アナログスティックで位置を決定する。ちょっと面白いのは、高さの概念があることで、テーブルの上にぬいぐるみを置いたり、イスを積み重ねてみたりといった物理的に可能なことをちゃんと行なえること。高いところから家具を置こうとすると、落下してしまい、物によっては転がってしまう。わざと散らかっている風に人形を転がしておくということも可能だ。
「景色のいい広い部屋に自分好みの家具を配置させる」というのはちょっとした夢であって、なかなか面白い。筆者はこの時期ちょうど、某有名家具店のカタログを眺めつつ「広い部屋にこういうオシャレ家具を置いてみたいなー」なんて思っていた矢先にこの「HOME」をプレイした。そのため、普通の人以上にこの要素を楽しく感じたところはあるかもしれない。だが、友人のアバターを招待してプライベートなチャットを交わしたり、ゲームセッションを開いてゲームを始めていく場所と考えれば、少し部屋のインテリアに凝りたくなるはずだ。
ちなみに、自分の家は「ベーシック」以外にも所有できる。βテストの現段階では、もうひとつ「サマーハウス」という別荘風の部屋を「マーケットプレイス」のショップで無料購入できた。
将来的には、タイプの違ういろいろな部屋を所有し、気分や好みに応じて使い分けられるというわけだ。今後はものすごく豪華な部屋や、個性的な部屋なども購入できるようになるのかもしれない。
● 「ホームスクエア」
現実に似ている場所を挙げるのは難しいが、東京お台場のウォータフロント周辺のような雰囲気だ。ただ日差しや空の感じは、基本的に海外のテイストを感じさせる。
「ホームスクエア」だけでなく「HOME」全体の話になるが、こちらもいわゆる「曲」は流れておらず基本は環境音のみだ。「ホームスクエア」では海岸沿いのため風が強いのか、風の音が常に聞こえる。噴水が流れている場所に寄っていくと水の音が大きく聞こえてくる。また、小型の飛行機が通りすぎていくような「ブーン」という飛行音も定期的に聞こえてくる。
「ホームスクエア」はHOMEの中心となるエリアだけに、そこかしこを多数のアバターが行き交っている。どこかに向かって走っていく人、座っている人、集まってテキストチャットをしている人たちなど様々だ。会話している人たちにある程度近づくと、チャットの吹き出しが見えてきて、左下のログにも会話の内容が表示される。 あまりボイスチャットの利用率は高くないようだったが、ボイスチャットを使っているアバターの頭上には、目印として発声中を示すマークが出るようになっている。テキストチャット、ボイスチャットともに、チャットの届く範囲は現実同様アバター同士の距離がある程度近いと届く、聞こえるという方式になっている。
一度ダウンロードされた映像は「HOME」のデータとして保存されているのか、ダウンロード時間が入るのは映像ごとに最初の一回だけで、次からはすぐに再生される。遠くからでもなんらかの映像が流れているのがわかるし、少し横の角度からでもしっかりと映像が見える。また、近づいて○ボタンを押せば、テレビ画面全体にズームさせて視聴することもできる。
また、「ホームスクエア」の至る所ではポスターが貼られている。ショーイベントが開催されている場所で見られるような貼り方だ。このポスターも、近づいて○ボタンを押すことでズームして閲覧できる。
● 「マーケットプレイス」
現段階では、アバターが着る衣類を売るショップ、「マイホームスペース」に設置できる家具などのインテリアを販売するショップ、そして「マイホームスペース」の部屋自体を販売する不動産屋のようなショップがあった。実際に商品も売られていて、現在はβテスト中ということもあってか、全て無料で販売されている。
● 「ゲームスペース」
ここで遊べるゲームについては次回に詳しくお伝えする予定だが、ビデオゲーム筐体では、バンダイナムコゲームスの「ナムコミュージアムBETA」のタイトルから「パックマン」、「ゼビウス」、「ディグダグ」、「ギャラガ」のショートバージョンがプレイできる。 それ以外にも、PS3やPSPで発売されている錯視をテーマにしたパズルゲーム「無限回廊 変奏曲」や、独特の操作感覚のヘリコプターを操作して兵士を救助するアクションゲームの「EVAC」、見下ろし型のラジコンコントロールタイプのレースゲーム「Race Day」、電車の車両を配置して色を合わせるパズルゲーム「CARRIAGE RETURN」の筐体があってプレイできる。
右側に配置されている「ビリヤード」や「ダーツ」、「ボーリング」は、1人で練習をすることもできるが、ほかの人のアバターと一緒に遊ぶこともできる。いずれもシンプルな操作で楽しめるようになっているが、ほかの人と一緒にスコアを競うとなかなか面白い。チャットをしながらワイワイと楽しむことができるので、フレンドを作るきっかけとしてもとてもいい。
● 「シアター」
シアタールームの中は、傾斜のついた座席が多数並ぶ現実さながらのルームだ。ただ、ほかのエリアやビデオスクリーンを見るのとは違い、アバターは動かせず、位置も座席群の中央ぐらいの位置に固定される。少し遠目にスクリーンがあって、○ボタンを押せばズームできるのだが、ズームしても全画面にはならず、テレビ画面全体の半分ぐらいのサイズまでしか寄ってくれない。ぜひ全画面にできるようになって欲しいと感じた。
なお、ここではチャットはできず、ほかの人のアバターも入ってこない。いわばプライベートシアターのような空間となっている。ほかの場所のビデオスクリーンで、チャットを楽しみつつ映像を見るといったほうがオンラインコミュニティならではといった感じで楽しそうだが、誰にも邪魔されずほかの音も入らないというのが、シアタールームの利点だろう。ちなみに現在はSCEJの「AFRIKA(アフリカ)」と、「アクアノーツ ホリデイ 隠された記録」のトレイラー映像がそれぞれのシアタールームで上映されている。
「ホームカフェ」は“イベントスペースとしての機能を持つ「HOME」の情報発信基地”という紹介がされているのだが、現在はオープンしていないようだ。「ホームスクエア」の一角に工事中の場所があるので、おそらくはその場所に今後オープンするのではないだろうか。どんな機能を持つ場所なのかはまだわからないが、チャットを楽しみやすいカフェであり、イベントが開催される場所となるのだろう。
アバターのモーションはなかなかに細かい。少し移動速度がゆっくり目で、悪い表現をすればもったりとしているのだが、現実的な重みを感じさせる動きだと思える。ちゃんと全身で重心移動して歩き、走るという動きをしてくれる。仮想空間モノにありがちな、「非現実的なスピードでスーっと滑るように移動する」なんていうことはない。丁寧なモーションは好印象だ。 チャットはPS3標準のバーチャルキーボードを△ボタンで呼び出せるほか、USBキーボードやBluetoothキーボードを使える。また、ボイスチャットはR2ボタンを押しながらヘッドセットに話すという仕組みで、ヘッドセットに関してもUSBヘッドセット、Bluetoothヘッドセットが利用できた。 チャットに便利なのが、L1ボタンで呼び出せる「クイックチャット」。「あいさつ」や「気持ち」、「質問」や「答え」など、シチュエーション別に定型文の言葉が用意されている。メニュー呼び出し後に方向キーで選択し、○ボタンで決定する。
クイックチャットの中には、「日本語は話せますか?」という質問の言葉もあったので、海外のユーザーとも交流できる仕様になりそうだ。実際のところ、本稿執筆時点で海外のHOMEβテストに参加しているユーザーとも会話する機会があったのだが、このクイックチャットの言葉は各国語に自動変換されて伝わっていた。
このジェスチャーはかなりよくできていて、「ダンス」というジャンルではカジュアルダンスやヒップホップなど9種類のダンスがあって、選択後は移動するまでアバターが踊り続ける。チャット中ずっと立ちつくしているのも寂しいので、ダンスジェスチャーをしながら輪になって会話するというのが定番のようになっていて、なかなかに面白い。 よくできているなと感じるのは、ダンスをしながら手を振ったり、投げキッスをしたり、サムアップ(両手の親指を前に突き出す「グッド!」のポーズ)ができるところだ。流動的に踊りながら他のジェスチャーを組み合わせられるわけだ。 仮想空間内でのアバターを介したテキストチャットなりボイスチャットなりとはいっても、身振り手振りはけっこう会話を弾ませてくれる。初対面の人に話しかけてみるにしても、無機質に立っているアバターより、楽しげに踊っているアバターのほうが話しやすい。
また、ジェスチャーはアバターが座っている状態でも、ダンス以外の動きはできる。座りながら手を振ったりといった自然な動きが現段階でもしっかりとできている。アバターは座っているだけでも周囲のアバターに視線を向けたり、肩をまわしたりと自然に振る舞う。だが、肝心の座り方のバリエーションが無くて、男女ともにおとなしそうに手を中央に置いてちょこんと座るのみなのが残念だ。足を組んだりなど、変化をつけられるようになって欲しいなと思った。
バーチャルPSPでは、各種設定のほか、フレンドとのメッセージのやり取りや「電話をかける」という表現をした個人相手のボイスチャットなどができる。バーチャルPSPは「HOME」の世界でのコミュニケーションツールというわけだ。具体的にメニュー項目を挙げていくと、以下のようになっている。
「パーソナル」--アバターやマイホームスペースのカスタマイズなどを行なう。
「HOME」内でチャットを楽しみ、「ちょっとゲームで遊ぼうか」なんていう会話になったとき、そのままゲームを開始できるというわけだ。実際の流れとしては、「ゲームセッションの作成」からセッションを作成するゲームタイトルを選び、セッションの参加人数と招待するプレーヤーの人数を決定。その後「HOME」内で参加人数が集まったら、△ボタンでゲームを開始するというものになっている。 ただ、この機能はまだ対応しているタイトルが無いのか、試した限りだと今はPS3のゲームを「HOME」内から起動するというものに留まっている。今後に登場するだろう、この機能に正式対応したタイトルなら、起動後に「HOME」で参加してきたユーザーと自動的にセッションが組まれてゲームが始まっていくのだろう。ちなみにゲームを終了後は、ゲームセッション起動直前の「HOME」の画面へと戻っていく。 「HOME」のフレンド機能は、基本的にPS3のPLAYSATION Networkと共通のシステムだ。HOME内で新たにフレンド登録したユーザーは、PSNのフレンドリストにも加えられる。なお、PSNのフレンドリストは青がサインイン、赤がサインインしていないという2種類に表示分けされていたが、HOME導入以降は新たに、緑色にHOMEのアイコンがついた「PS HOMEにサインインしている」という状態が加わる。
気になったのは「HOME」内でのフレンド登録のやり取りで、フレンド登録の承認はバーチャルPSPではなく、セレクトボタンを押して表示するシステムメニューで行なう。システムメニューからPS3のXMBを呼び出して、システムフレンドリスト側に登録させるというわけだ。ここは少しわかりづらいので「HOME」およびバーチャルPSPの操作で完結できるようになって欲しいところだ。
ゲーム機を起動した先に仮想世界があって、そこで友人・知人や「HOME」で知り合った人とコミュニケーションできる。ボイスチャットも標準ですんなりと対応しているので遠くに住む知人と電話代わりでもいい。遊びたいな、話したいなというときに「とりあえずHOMEに行こう」という気持ちになれるのは想像以上の強みだと思う。据え置きゲーム機をまず起動する、というのはとても大事なことだ。 仮想世界でのコミュニケーションそのものがまず楽しいという先には、ゲームのマッチングロビー機能という理にかなった行き先がある。先日にはアドホックモードのゲームがプレイできるPSPタイトルを、PS3を介してマッチングさせるサービスが発表されたが、それも自然と「HOME」に結びついていくのではと感じる。現実でPSPを持ち寄って遊んでいた姿が、家では「HOME」内で集まって遊ぶのかもしれない。「HOME」でのコミュニケーションはフレンドを作りやすいというところも強みだろう。
「HOME」内ですでに行なわれている動画の配信も面白い。従来のPS3でもPLAYSTATION Storeから動画をダウンロードして視聴することはできていたが、それは「PLAYSTATION Storeにアクセスする」、「手動でファイルを選びダウンロードする」、「ダウンロード終了後に再生を開始する」という、いくつかの手間があるし、そもそも自分の気持ちがその動画を見たいと思っている前提も必要だ。
まだまだ先の話かもしれないが、ドラマやアニメの第1話だけを特別無料上映するというようなサービスが「HOME」で展開されれば、興味を持っていなかった人も目に留める可能性が高いし、その場で感想を言い合ったりといったことも生まれる。 「HOME」内の家具や衣類などの今後にも期待していきたい。例えば、現実にある家具メーカーが「HOME」内にラウンジを持ち、自社の「HOME」用家具を販売する。その家具を自分の「マイホームスペース」に置く。それだけでユーザーとしては新しい家具が増えて嬉しいし、家具メーカーとしては広告になる。「HOME」で自分の部屋に置いている家具を現実で見かければ、「これどこかで見たような……」と気になることだろう。使い勝手や雰囲気も、カタログ以上には伝わってくるかもしれない。 あれこれと期待を書いたが、実際のところこれらのほとんどが「将来的な期待」だ。現状の「HOME」はβテスト段階だから当然と言えなくもないが、まだできることは少ない。将来性についてこれだけ書けるのは、冒頭に記した「PS3というゲーム機標準の仮想世界」という強さゆえだ。現時点でも、基本的な作りの丁寧さや雰囲気はとてもいいと思う。今後の発展に期待していきたい。
長くなってしまったが、次回は「HOMEで遊ぶゲーム」をテーマに、今回詳しく紹介していない「ゲームスペース」や「ナムコミュージアムBETA」について触れていこう。次回をお楽しみに。
□ プレイステーションのホームページ http://www.jp.playstation.com/ □ 「PlayStation Home」のホームページ http://www.jp.playstation.com/ps3/home/
□関連情報 (2008年9月9日) [Reported by 山村智美]
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