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「PlayStation Home」クローズドβテストレポート
~HOMEの世界へ行ってみました編~


 プレイステーション 3向けコミュニティサービス「PlayStation Home(以下「HOME」)」の国内クローズドβテストが、8月下旬よりついに開始された。3Dグラフィックスで描かれる仮想空間の中で、自分の部屋を持ち、街を散策する。その世界の中で、行き交う人とコミュニケーションしたり、ゲームを遊んだりできるというオンラインサービスだ。

 この「HOME」のクローズドβテストに参加して感じた事やその模様をお伝えしていこう。まず今回は、「HOMEの世界へ行ってみました編」と題して、キャラクタクリエイトからのプレイ開始、“日本版”「HOME」の街の様子やマイホームスペースの様子、コミュニケーションの機能などなど、βテスト内の雰囲気を交えつつお伝えしていく。

 「HOME」は今秋にはオープンβテストを実施予定。また、現在実施されているクローズドβテストにも、毎週のように追加当選者が選ばれているようだ。今のところ参加できずにいるという方も、本稿をお読み頂きつつお待ち頂きたい。なお、僚誌BB Watchでも「PlayStation Home」クローズドベータテスト体験レポートを掲載しているので、そちらもぜひご覧頂きたい。



「HOMEアプリケーションインストール~アバターの作成」
拡張性豊かな設計のアプリケーション。細かに作り込めるアバター

一通りの要素を触り終えたあとの「HOME」アプリケーション。3GB弱とかなり大きいサイズになった
HOMEのアイコンが描かれたプレートがぽとっと落ちてくるタイトル画面
 まずは「HOME」をダウンロードする。現在の仕様だと、「HOME」のアカウントはPLAYSTATION Network(PSN)のマスターアカウントに関連づけされており、ひとつのマスターアカウントに対して1人分のHOMEアカウントという仕組みになっている。マスターアカウントでPSNにログインし、アカウント管理画面でβテストの当選者に送られたメールに記載されているプロダクトコードを入力して、「HOME」のダウンロードを開始する。

 最初にダウンロードした「HOME」アプリケーションのサイズは、80MBほどと驚くほど小さかった。だが、これは基本システムや自分の家である「マイホームプレイス」のデータだけのようで、HOMEをプレイ中に“初めて訪れるエリア”に入ると、そのエリアのデータが追加ダウンロードされた。プレイに応じて大きくなっていくわけだ。いくらでも拡張していける設計になっている。

 あらかたの要素を触り終えた本稿執筆時点だと、HOME全体のサイズは3GB弱になっていた。後々のことを考えて、空き容量には余裕を作っておきたい。

 「HOME」を起動すると、HOMEのアイコンが描かれたプレート状の板のような物体が振ってくる。シンプルなタイトル演出だが、この演出は、部屋に家具を置く時に少し高いところから落としたような動きになっている。そのタイトルプレートの下にはバージョンの記述が「v00.98.0」とある。

アバターのカスタマイズはいつでもできる。まずはプリセットを元に気軽に作ってみよう
 起動後に最初に行なうのは、自分の分身となるアバターの作成だ。アバターのカスタマイズは、プレイ開始後からでも制限なく行なえるので、まずは気軽に作ってしまうのがいいだろう。アバターの作成やカスタマイズは、クローゼットが並んでいるドレッシングルームのような背景で行なわれる。

 アバターのカスタマイズ項目は非常に細かに行なえた。以下に項目を書き挙げてみた。アバターのカスタマイズは、下記の表のように非常に細かに設定できる。設定時には左右のアナログスティックで四角形のグラフのポインタを動かし影響度を調節したり、横のゲージのパーセンテージを増減させて調節できる。

プリセット

男女混合で18種類の、サンプルアバターのデータを呼び出せる。

アバター

性別 男性か女性を選択

顔のタイプ

8タイプの顔の作りを選択。詳細設定で8タイプをミックスできる。

顔のパーツ

「頭」、「顔」、「額・眉」、「目」、「耳」、「鼻」、「口」、「あご」、「ほほ」、「あご先」、「首」など、全11項目の大きさや位置、色や角度などを設定できる。

体型

身長の高さ、体型を設定できる。

肌の色のほか、そばかすや顔のしわ、目のくまなど詳細設定ができる。

髪・眉

ヘアスタイルや髪色、眉の形や色を設定。男性の場合はひげの形や色を設定できる。

メイク
(女性アバターのみ)

「アイシャドー」、「アイライナー」、「ほお紅」、「口紅」、「グロス」の濃さ、色を設定できる。

キャップやハットなど

手袋など

トップス

Tシャツ、タンクトップなど上半身の衣類

ボトムズ

ジーンズ、ハーフパンツなど下半身の衣類

スニーカーやサンダルなどの靴を選択

ジュエリー

イヤリングやピアスなど耳の装飾品

アクセサリー

メガネやヘッドフォンなど装飾品

アフロやモヒカンといった個性的な髪型も用意されている
左右のアナログスティックを使って顔のパーツを調整する
 アバターのデザインは全体的に欧米テイストで、特にプリセットのアバターにはそうしたものが多い。細かに調節していくとアジア人風のアバターも作成できるのだが、完全な日本人顔は難しく思える。いい線までいっても、目などのパーツに海外テイストが残る。ちなみにモヒカンやアフロといったユニークなヘアスタイルもあるし、髪や目などの色には鮮やかなブルーやピンクといった奇抜な色も使える。個性的な外見のアバターも作成可能だ。

 自分好みのアバターを目指して各箇所の調整をはじめると、時間があっという間に過ぎていく。例えば、「ほほ」をいじると「あご」とのバランスが気になってくるし、「あご」の次は鼻や口とのバランスが気になってくる……、といった具合だ。項目ごとに細かにいじれるので、うまく全体のバランスを整えていくのには苦労するものの、自分だけのアバターを作ることができる。

 作成したアバターのデータは、1つのアカウントにつき9体セーブできる。プレイ中にアバターのカスタマイズ画面に入ってデータをロード、別の外見に変更するということもできる。セーブ、ロードともに1秒足らずで完了するのでスピーディーだ。

 ただ、このセーブ/ロードの画面は、スロット枠しか見えないしセーブスロットに名前をつけておくこともできないので、データの中身がどんなアバターだったのかわからない。データを上書きするときに非常に困るので、ここは今後に改善して欲しいなと感じた。

筆者が試行錯誤の末に作った2体のアバター。1つのアカウントにつき9体のデータを保存できるので、いろいろなタイプを試したくなる。だが、セーブ画面は右下の画像のように、保存されているデータの中身がわからないため、少々使いづらい



自分の家「マイホームスペース」
豪華な部屋を自分好みに作る! サマーハウスも購入できる

「マイホームスペース」にはフレンドを7人まで招待できる
「ベーシック」のテラスから見る光景。マリーナが眼前に広がる
 最初に訪れることになるのが、自分の家である「マイホームスペース」のひとつ「ベーシック」だ。「マイホームスペース」は文字通り自分用のプライベートスペースで、手に入れた家具や雑貨、装飾品などを自由にレイアウトできる。また、フレンドを7人まで招待することもできる。

 「ベーシック」の部屋は、建物の最上階という設定になっているのか、楕円形の大きな天窓から陽光を採り入れているオシャレなデザインだ。まだ、窓の外に見える景色は絶景のオーシャンビュー。テラスに出てみると、すぐそばにマリーナがありクルーザーが数多く停泊していた。

 青い海と空。クルーザーがずらりと並ぶリッチなマリーナの景色。遠くには丘や山も見える。「HOME」全体がそうだが、南の島の海岸線沿いにある観光エリアのような雰囲気になっていて、初めて訪れたときはちょっとした旅行気分だ。ちなみにHOMEの世界の音は、基本的に環境音のみ。いわゆるBGMのような曲は無い。「ベーシック」の部屋だと、室内はほぼ無音だが、テラスに出るとカモメの鳴き声やマリーナの作業音のような音が聞こえてくる。

 「HOME」の世界には「マーケットプレイス」という、アバターの衣類や家具などを販売するショッピングモールのような場所がある。そこではβテスト段階ということで、家具やインテリアが無料販売されていた。さっそくそれらを購入し、部屋にインテリアを配置してみた。

11種類のジャンルが用意されているインテリア
家具を設置中の様子。家具の向きや高さを自由に変えながら設置できる
 インテリアの配置は、バーチャルPSP(こちらも詳しくは後述する)のメニューから「マイホームスペースのカスタマイズ」を選び、設置する家具を選択して実際に配置するという流れになる。インテリアの種類は、「チェア」、「テーブル」、「ソファー」など11種類のジャンルが用意されている。また、インテリアのほかに壁紙も変更可能だ。

 設置するインテリアを決定すると、家具の配置画面に移る。L1/R1ボタンで家具の回転、L2/R2ボタンで高さの調節、そして左アナログスティックで位置を決定する。ちょっと面白いのは、高さの概念があることで、テーブルの上にぬいぐるみを置いたり、イスを積み重ねてみたりといった物理的に可能なことをちゃんと行なえること。高いところから家具を置こうとすると、落下してしまい、物によっては転がってしまう。わざと散らかっている風に人形を転がしておくということも可能だ。

 「景色のいい広い部屋に自分好みの家具を配置させる」というのはちょっとした夢であって、なかなか面白い。筆者はこの時期ちょうど、某有名家具店のカタログを眺めつつ「広い部屋にこういうオシャレ家具を置いてみたいなー」なんて思っていた矢先にこの「HOME」をプレイした。そのため、普通の人以上にこの要素を楽しく感じたところはあるかもしれない。だが、友人のアバターを招待してプライベートなチャットを交わしたり、ゲームセッションを開いてゲームを始めていく場所と考えれば、少し部屋のインテリアに凝りたくなるはずだ。

こちらは「サマーハウス」。中央に暖炉がある別荘風の部屋だ
 ただ、現段階だと家具の数もまだ少なくて、自分好みの、自分だけの部屋を作れるとはまだいかない。レイアウトの自由度は、物理演算を使った自由な配置が現時点でもできているので期待できる。あとは今後の展開や種類に期待だ。

 ちなみに、自分の家は「ベーシック」以外にも所有できる。βテストの現段階では、もうひとつ「サマーハウス」という別荘風の部屋を「マーケットプレイス」のショップで無料購入できた。

 将来的には、タイプの違ういろいろな部屋を所有し、気分や好みに応じて使い分けられるというわけだ。今後はものすごく豪華な部屋や、個性的な部屋なども購入できるようになるのかもしれない。



「HOMEの街の様子や施設の紹介」
各種エンターテインメントが並ぶ、緑豊かなウォーターフロント

「ホームスクエア」

中心が公園のようになっていて、周囲に建物が並んでいる
「ゲームスペース」の奥へと進んでいくと海が広がっていた
 自分のアバターが完成したら、いよいよ「HOME」の世界へ! 各エリアの中心となるラウンジ「ホームスクエア」に出てみる。中央には小高い丘になっている公園風の広場があって、周囲に建物がいくつかある。野外スクリーンも設置されていて、そこにはPS3やPSPの最新トレイラー映像などが流れていた。そこかしこに木々が植えられていたりと緑も多い。少し奥へと進むとすぐに海が見えてくる。

 現実に似ている場所を挙げるのは難しいが、東京お台場のウォータフロント周辺のような雰囲気だ。ただ日差しや空の感じは、基本的に海外のテイストを感じさせる。

 「ホームスクエア」だけでなく「HOME」全体の話になるが、こちらもいわゆる「曲」は流れておらず基本は環境音のみだ。「ホームスクエア」では海岸沿いのため風が強いのか、風の音が常に聞こえる。噴水が流れている場所に寄っていくと水の音が大きく聞こえてくる。また、小型の飛行機が通りすぎていくような「ブーン」という飛行音も定期的に聞こえてくる。

緑がほどよくある中にシアターのような近代的な建物が融合している街並み。海岸沿いの観光エリアという雰囲気だろうか

 「ホームスクエア」はHOMEの中心となるエリアだけに、そこかしこを多数のアバターが行き交っている。どこかに向かって走っていく人、座っている人、集まってテキストチャットをしている人たちなど様々だ。会話している人たちにある程度近づくと、チャットの吹き出しが見えてきて、左下のログにも会話の内容が表示される。

 あまりボイスチャットの利用率は高くないようだったが、ボイスチャットを使っているアバターの頭上には、目印として発声中を示すマークが出るようになっている。テキストチャット、ボイスチャットともに、チャットの届く範囲は現実同様アバター同士の距離がある程度近いと届く、聞こえるという方式になっている。

そこかしこにあるビデオスクリーンでは、トレイラームービーなどが自動的に流れる
 ボイスチャットの音声と同じくビデオスクリーンの音声も、アバターが近づくことでシームレスに音量が増していくようになっている。映像はラウンジにいるだけで自動的にダウンロードされて再生される仕組みだ。

 一度ダウンロードされた映像は「HOME」のデータとして保存されているのか、ダウンロード時間が入るのは映像ごとに最初の一回だけで、次からはすぐに再生される。遠くからでもなんらかの映像が流れているのがわかるし、少し横の角度からでもしっかりと映像が見える。また、近づいて○ボタンを押せば、テレビ画面全体にズームさせて視聴することもできる。

 また、「ホームスクエア」の至る所ではポスターが貼られている。ショーイベントが開催されている場所で見られるような貼り方だ。このポスターも、近づいて○ボタンを押すことでズームして閲覧できる。

上の画像は、ビデオスクリーンに近寄ったところ。中央は○ボタンを押してズームしている。右は、スクリーンの横わきに立ってみたところ。その状態でも映像の内容はそこそこにわかる。下の画像は、ポスターに近寄っているところ。こちらも○ボタンでズームして内容を閲覧できる

「マーケットプレイス」

マーケットプレイスではアバターの衣類や部屋のインテリアが購入できる
 「マーケットプレイス」は、衣類や家具などを販売するショップが入っているショッピングモールのような場所だ。中は中央が吹き抜けになっている2階建て。滝のような飾りもある。ここでは「マーケットプレイス」の環境音としてシンプルなメロディーの曲が流れている。

 現段階では、アバターが着る衣類を売るショップ、「マイホームスペース」に設置できる家具などのインテリアを販売するショップ、そして「マイホームスペース」の部屋自体を販売する不動産屋のようなショップがあった。実際に商品も売られていて、現在はβテスト中ということもあってか、全て無料で販売されている。

2階建てになっている建物の中に、複数のショップが入っているショッピングモールだ

「ゲームスペース」

ムーディーな照明の「ゲームスペース」
クラシカルなアーケード筐体でオリジナルのビデオゲームをプレイ
 「ゲームスペース」は、現実世界で言うところのゲームセンターのようなアミューズメントスペースだ。施設内は全体的に薄暗くて、周囲の壁や間接照明がムーディーに薄く中を照らしている。中央には大きいビデオスクリーンがあり、左側にはビデオゲーム筐体が並び、右側は「ビリヤード」や「ダーツ」、「ボーリング」のスペースになっている。

 ここで遊べるゲームについては次回に詳しくお伝えする予定だが、ビデオゲーム筐体では、バンダイナムコゲームスの「ナムコミュージアムBETA」のタイトルから「パックマン」、「ゼビウス」、「ディグダグ」、「ギャラガ」のショートバージョンがプレイできる。

 それ以外にも、PS3やPSPで発売されている錯視をテーマにしたパズルゲーム「無限回廊 変奏曲」や、独特の操作感覚のヘリコプターを操作して兵士を救助するアクションゲームの「EVAC」、見下ろし型のラジコンコントロールタイプのレースゲーム「Race Day」、電車の車両を配置して色を合わせるパズルゲーム「CARRIAGE RETURN」の筐体があってプレイできる。

 右側に配置されている「ビリヤード」や「ダーツ」、「ボーリング」は、1人で練習をすることもできるが、ほかの人のアバターと一緒に遊ぶこともできる。いずれもシンプルな操作で楽しめるようになっているが、ほかの人と一緒にスコアを競うとなかなか面白い。チャットをしながらワイワイと楽しむことができるので、フレンドを作るきっかけとしてもとてもいい。

左から「ビリヤード」、「ダーツ」、「ボーリング」のプレイ画面。シンプルなゲームだが、ほかの人と一緒に遊べるのでコミュニケーションに最適

「シアター」

シアターには2つのスクリーンがあって、それぞれ別の映像を上映していた
シアタールーム内でズームをしたところ。もう少し大きくズームできるようになって欲しいところ
 「シアター」は文字通り、現実の世界で言う「映画館」だ。外観は全体がミラー張り、中に入ると天井が高く、壁は石造りになっている。高級感と重厚感の感じられるスペースだ。入った正面にはビデオスクリーンがあって、ここでもトレイラー映像が流れている。さらに左右にはひとつずつ映像を上映する「シアタールーム」への入り口がある。

 シアタールームの中は、傾斜のついた座席が多数並ぶ現実さながらのルームだ。ただ、ほかのエリアやビデオスクリーンを見るのとは違い、アバターは動かせず、位置も座席群の中央ぐらいの位置に固定される。少し遠目にスクリーンがあって、○ボタンを押せばズームできるのだが、ズームしても全画面にはならず、テレビ画面全体の半分ぐらいのサイズまでしか寄ってくれない。ぜひ全画面にできるようになって欲しいと感じた。

 なお、ここではチャットはできず、ほかの人のアバターも入ってこない。いわばプライベートシアターのような空間となっている。ほかの場所のビデオスクリーンで、チャットを楽しみつつ映像を見るといったほうがオンラインコミュニティならではといった感じで楽しそうだが、誰にも邪魔されずほかの音も入らないというのが、シアタールームの利点だろう。ちなみに現在はSCEJの「AFRIKA(アフリカ)」と、「アクアノーツ ホリデイ 隠された記録」のトレイラー映像がそれぞれのシアタールームで上映されている。

「ホームカフェ」

 「ホームカフェ」は“イベントスペースとしての機能を持つ「HOME」の情報発信基地”という紹介がされているのだが、現在はオープンしていないようだ。「ホームスクエア」の一角に工事中の場所があるので、おそらくはその場所に今後オープンするのではないだろうか。どんな機能を持つ場所なのかはまだわからないが、チャットを楽しみやすいカフェであり、イベントが開催される場所となるのだろう。

現在は工事中になっている場所。ここが「ホームカフェ」になるのだろうか



「アバターの操作感」、「コミュニケーションの仕様や機能」
しっかりとした重みのあるアバターの動き、ダンスジェスチャーは交流にいい

○ボタンでオブジェクトを触る。例えばイスなら座れるし、照明ならオン/オフの操作ができる
クイックチャットには「あいさつ」や「質問」などの定型文が用意されている
 アバターの操作は、左スティックで移動、右スティックで視点操作といったようにオーソドックスな3Dグラフィックスタイトルの操作と同様だ。○ボタンでビデオスクリーンや椅子など様々なオブジェクトをターゲットして操作する。

 アバターのモーションはなかなかに細かい。少し移動速度がゆっくり目で、悪い表現をすればもったりとしているのだが、現実的な重みを感じさせる動きだと思える。ちゃんと全身で重心移動して歩き、走るという動きをしてくれる。仮想空間モノにありがちな、「非現実的なスピードでスーっと滑るように移動する」なんていうことはない。丁寧なモーションは好印象だ。

 チャットはPS3標準のバーチャルキーボードを△ボタンで呼び出せるほか、USBキーボードやBluetoothキーボードを使える。また、ボイスチャットはR2ボタンを押しながらヘッドセットに話すという仕組みで、ヘッドセットに関してもUSBヘッドセット、Bluetoothヘッドセットが利用できた。

 チャットに便利なのが、L1ボタンで呼び出せる「クイックチャット」。「あいさつ」や「気持ち」、「質問」や「答え」など、シチュエーション別に定型文の言葉が用意されている。メニュー呼び出し後に方向キーで選択し、○ボタンで決定する。

 クイックチャットの中には、「日本語は話せますか?」という質問の言葉もあったので、海外のユーザーとも交流できる仕様になりそうだ。実際のところ、本稿執筆時点で海外のHOMEβテストに参加しているユーザーとも会話する機会があったのだが、このクイックチャットの言葉は各国語に自動変換されて伝わっていた。

手を振ったり、応援したりと「ジェスチャー」が豊富に用意されている。また、普通にテキストチャットをするだけでも、アバターは話している風の身振り手振りをする
画像のようにダンスをしながら組み合わせるということもできる
 もうひとつチャットに欠かせない機能なのが、R1ボタンで呼び出せる「ジェスチャー」。MMORPGなどではエモートと呼ばれている、ようはアバターに身振り手振りをさせる機能のことだ。こちらもクイックチャットのように「あいさつ」や「会話」といったようにシチュエーションごとに複数のものが用意されている。メニュー呼び出し後に方向キーで選択し、○ボタンで使うことができる。

 このジェスチャーはかなりよくできていて、「ダンス」というジャンルではカジュアルダンスやヒップホップなど9種類のダンスがあって、選択後は移動するまでアバターが踊り続ける。チャット中ずっと立ちつくしているのも寂しいので、ダンスジェスチャーをしながら輪になって会話するというのが定番のようになっていて、なかなかに面白い。

 よくできているなと感じるのは、ダンスをしながら手を振ったり、投げキッスをしたり、サムアップ(両手の親指を前に突き出す「グッド!」のポーズ)ができるところだ。流動的に踊りながら他のジェスチャーを組み合わせられるわけだ。

 仮想空間内でのアバターを介したテキストチャットなりボイスチャットなりとはいっても、身振り手振りはけっこう会話を弾ませてくれる。初対面の人に話しかけてみるにしても、無機質に立っているアバターより、楽しげに踊っているアバターのほうが話しやすい。

 また、ジェスチャーはアバターが座っている状態でも、ダンス以外の動きはできる。座りながら手を振ったりといった自然な動きが現段階でもしっかりとできている。アバターは座っているだけでも周囲のアバターに視線を向けたり、肩をまわしたりと自然に振る舞う。だが、肝心の座り方のバリエーションが無くて、男女ともにおとなしそうに手を中央に置いてちょこんと座るのみなのが残念だ。足を組んだりなど、変化をつけられるようになって欲しいなと思った。



HOMEのメニュー的な役割を担う「バーチャルPSP」
HOMEの住人はみんなPSPをフル活用!

「HOME」のメニュー機能を受け持つ「バーチャルPSP」
 システム面で重要なのは、スタートボタンで呼び出す「バーチャルPSP」だ。メニュー画面を開く、という要素なのだが、アバターがPSPを持っているという形式で、PSPの画面に映るXMBメニューを操作し「HOME」の各種操作を行なう。バーチャルPSPの操作中は、実際にアバターがPSPを手に持つ。

 バーチャルPSPでは、各種設定のほか、フレンドとのメッセージのやり取りや「電話をかける」という表現をした個人相手のボイスチャットなどができる。バーチャルPSPは「HOME」の世界でのコミュニケーションツールというわけだ。具体的にメニュー項目を挙げていくと、以下のようになっている。

 「パーソナル」--アバターやマイホームスペースのカスタマイズなどを行なう。
 「設定」--ボイスチャットのマイク調節やサウンド設定など各種設定を行なう。
 「移動」--HOMEのラウンジを移動する。
 「ゲーム起動」--PS3のゲームを起動してオンラインのセッションを作成できる。
 「コミュニケーション」--フレンド登録したユーザーとボイスチャットで話す。
 「ヘルプ」--HOMEのガイドを閲覧できる。
 「インフォメーション」--ニュースや最新アップデートの情報が見られる。
 「メッセージ」--フレンドからのメッセージを見る
 「フレンドリスト」--フレンドのオンライン状態がわかる

「バーチャルPSP」の項目の中でも目を引くのが「ゲーム起動」だ
Blu-ray DiscのゲームやHDDに保存されているゲームを起動できる
 なかでもゲームファンにとって見逃せない機能は、「ゲーム起動」だろう。これはPS3に入れてあるBlu-ray DiscのゲームやHDDに保存されているゲームを「HOME」から起動するというものだ。起動時にオンラインプレイのセッション、ようはオンラインのルームを作成する仕組みになっていて、他のアバターがそのゲームセッションに「HOME」から参加していけるという作りになっている。

 「HOME」内でチャットを楽しみ、「ちょっとゲームで遊ぼうか」なんていう会話になったとき、そのままゲームを開始できるというわけだ。実際の流れとしては、「ゲームセッションの作成」からセッションを作成するゲームタイトルを選び、セッションの参加人数と招待するプレーヤーの人数を決定。その後「HOME」内で参加人数が集まったら、△ボタンでゲームを開始するというものになっている。

 ただ、この機能はまだ対応しているタイトルが無いのか、試した限りだと今はPS3のゲームを「HOME」内から起動するというものに留まっている。今後に登場するだろう、この機能に正式対応したタイトルなら、起動後に「HOME」で参加してきたユーザーと自動的にセッションが組まれてゲームが始まっていくのだろう。ちなみにゲームを終了後は、ゲームセッション起動直前の「HOME」の画面へと戻っていく。

 「HOME」のフレンド機能は、基本的にPS3のPLAYSATION Networkと共通のシステムだ。HOME内で新たにフレンド登録したユーザーは、PSNのフレンドリストにも加えられる。なお、PSNのフレンドリストは青がサインイン、赤がサインインしていないという2種類に表示分けされていたが、HOME導入以降は新たに、緑色にHOMEのアイコンがついた「PS HOMEにサインインしている」という状態が加わる。

 気になったのは「HOME」内でのフレンド登録のやり取りで、フレンド登録の承認はバーチャルPSPではなく、セレクトボタンを押して表示するシステムメニューで行なう。システムメニューからPS3のXMBを呼び出して、システムフレンドリスト側に登録させるというわけだ。ここは少しわかりづらいので「HOME」およびバーチャルPSPの操作で完結できるようになって欲しいところだ。



PS3のコミュニケーションの中心地、ゲームプレイの開始地点に。
最新情報が向こうからやってくる仮想世界「PlayStation Home」

コアタイムともなれば、画像のようにたくさんの人が広場で踊りながら会話する
ボーリングなど、参加者を募集しているゲームに入れてもらえば、自然とフレンドが増えていく
 今回はプレイ体験を交えつつ、基本的な仕様や感触を中心にお伝えした。「HOME」をプレイして感じた大事なことはたくさんあるのだが、その中でまず伝えたい気持ちは、「PS3というゲーム機に標準の仮想世界が存在することのインパクト」だろうか。

 ゲーム機を起動した先に仮想世界があって、そこで友人・知人や「HOME」で知り合った人とコミュニケーションできる。ボイスチャットも標準ですんなりと対応しているので遠くに住む知人と電話代わりでもいい。遊びたいな、話したいなというときに「とりあえずHOMEに行こう」という気持ちになれるのは想像以上の強みだと思う。据え置きゲーム機をまず起動する、というのはとても大事なことだ。

 仮想世界でのコミュニケーションそのものがまず楽しいという先には、ゲームのマッチングロビー機能という理にかなった行き先がある。先日にはアドホックモードのゲームがプレイできるPSPタイトルを、PS3を介してマッチングさせるサービスが発表されたが、それも自然と「HOME」に結びついていくのではと感じる。現実でPSPを持ち寄って遊んでいた姿が、家では「HOME」内で集まって遊ぶのかもしれない。「HOME」でのコミュニケーションはフレンドを作りやすいというところも強みだろう。

 「HOME」内ですでに行なわれている動画の配信も面白い。従来のPS3でもPLAYSTATION Storeから動画をダウンロードして視聴することはできていたが、それは「PLAYSTATION Storeにアクセスする」、「手動でファイルを選びダウンロードする」、「ダウンロード終了後に再生を開始する」という、いくつかの手間があるし、そもそも自分の気持ちがその動画を見たいと思っている前提も必要だ。

こちらは「マーケットプレイス」の部屋を販売していたショップの店先。画像のような和風の部屋なども登場するのだろうか
新しいラウンジに入ったときは画像のようにその場でダウンロードされる。いくらでも拡張していける作りだ。将来はどこまで広がるだろうか?
 だが、「HOME」ではラウンジで流れる動画が自動的にダウンロードされて再生される。いわばプッシュ型のサービスであって、「HOME」内の演出のひとつであり、広告でもある。自分から手を伸ばして動画を見るのでは生まれない効果や結果があるだろう。そこには、動画を見ているアバター同士でのコミュニケーションも加わっているので、昨今人気の動画を共有物として楽しむという要素もちょっと感じられる。

 まだまだ先の話かもしれないが、ドラマやアニメの第1話だけを特別無料上映するというようなサービスが「HOME」で展開されれば、興味を持っていなかった人も目に留める可能性が高いし、その場で感想を言い合ったりといったことも生まれる。

 「HOME」内の家具や衣類などの今後にも期待していきたい。例えば、現実にある家具メーカーが「HOME」内にラウンジを持ち、自社の「HOME」用家具を販売する。その家具を自分の「マイホームスペース」に置く。それだけでユーザーとしては新しい家具が増えて嬉しいし、家具メーカーとしては広告になる。「HOME」で自分の部屋に置いている家具を現実で見かければ、「これどこかで見たような……」と気になることだろう。使い勝手や雰囲気も、カタログ以上には伝わってくるかもしれない。

 あれこれと期待を書いたが、実際のところこれらのほとんどが「将来的な期待」だ。現状の「HOME」はβテスト段階だから当然と言えなくもないが、まだできることは少ない。将来性についてこれだけ書けるのは、冒頭に記した「PS3というゲーム機標準の仮想世界」という強さゆえだ。現時点でも、基本的な作りの丁寧さや雰囲気はとてもいいと思う。今後の発展に期待していきたい。

 長くなってしまったが、次回は「HOMEで遊ぶゲーム」をテーマに、今回詳しく紹介していない「ゲームスペース」や「ナムコミュージアムBETA」について触れていこう。次回をお楽しみに。



□ プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□ 「PlayStation Home」のホームページ
http://www.jp.playstation.com/ps3/home/

□関連情報
【7月31日】SCEJ、PS3「PlayStation Home」
テスター募集を開始。βテストは8月下旬開始予定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080731/pshome.htm
【4月22日】SCE、PS3「PLAYSTATION Home」
今夏よりβテストを実施。今秋にはオープンβも開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080422/home.htm
【3月15日】SCEJ赤川氏、「Playstation Home」日本語版を実機で初披露
「Home」は“ビジュアルマッチングロビー”と再定義、サービス開始時期は「2008年春」を堅持
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080315/ogc_02.htm
【3月15日】SCEJ、「Playstation Home」最新スクリーンショット集
ボーリング、ビリヤード、ダーツなど楽しい遊びが詰まったバーチャルワールド
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080315/ogc_home.htm
【2月23日】SCEJ赤川氏、「Playstation Home」日本語版を実機で初披露
「Home」は“ビジュアルマッチングロビー”と再定義、サービス開始時期は「2008年春」を堅持
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080315/ogc_02.htm
【2月23日】Game Developers Conference 2008現地レポート
PS3の秘密兵器「Playstation Home」の開発ツールを公開
「Home Tools and Support: Creating Content for Playstation Home」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080223/gdc_home.htm
【2007年9月21日】東京ゲームショウ2007レポート
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)ブースレポート編その2
「Home」専用プレミアコンテンツ「Dress」を発表&PS3用プレイアブル出展ソフト続報
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070921/sce2.htm
【2007年9月20日】「東京ゲームショウ」基調講演。SCE・平井一夫社長兼CEO
PS3新コントローラ「DUALSHOCK 3」など発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070920/hirai.htm
【2007年3月9日】Game Developers Conference 2007現地レポート
西川善司の3Dゲームファンのための「ソニー“Game3.0”」講座
Phill Harisson氏基調講演によって明らかにされた「Game3.0」の世界
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070309/gdc_s.htm
【2007年3月8日】SCEA、GDC2007の基調講演でPS3用の新作・サービスを発表
3DCGを使ったコミュニケーションサービス「Home」など
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070308/gdcps3.htm

(2008年9月9日)

[Reported by 山村智美]



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