インタビュー

「3D サンダーブレード」インタビュー(Part1)

より遊びやすく! 「サンダーブレード」の素晴らしさを知らしめる(?)1作

エムツーの堀井社長(左)とセガの奥成プロデューサー(右)
8月20日 配信

価格:926円(税別)

CEROレーティング:A(全年齢対象)

 8月20日、来週の今日、ニンテンドー3DS向けに展開されてきた「セガ 3D復刻プロジェクト」第2期最終作となる「3D サンダーブレード」がついに配信される。価格は926円(税別)。

 同プロジェクトのタイトルごとに恒例となった、セガのプロデューサー・奥成洋輔氏と、開発元のエムツー・堀井直樹社長へのインタビューだが、これまでのインタビュー中で「散々」タイトルだけが登場して来た「サンダーブレード」の登場とあって、それにかける思いはそう簡単には収まらない、ということで、今回はタイトルリリース前、早めのタイミングで第1弾を掲載することとなった。

【サンダーブレード】

 セガの体感ゲームとしては第7弾となる、1987年登場のアーケードゲーム。操縦桿にはキャノンとミサイル、そして左には「アフターバーナー」に似たスロットルレバーを装備した筐体は、操縦桿を左右に操作するとシートが連動して動く、「自繰式」といえる仕組みで可動した。ただし、見下ろし式の画面は固定だったため、弾を大げさに避けると首を反対に振らないと画面が見えないというジレンマを抱え、またプレーヤーの体重によって操縦桿の重さが変化してしまう特徴もあった。

コインボックスがついているフロント部
ヘリコプターを模した筐体デザインは、すらっとしていてプレイしていると目立った
「3D サンダーブレード」のロゴマークはシート後ろのデザインから取られた
バイクのカウルのように処理された画面上。ダミーの計器類が楽しい
赤いランプが気になる操縦桿。白いのはミサイルボタン。キャノン用のトリガーも装備
操縦桿を倒すと画面が……
スロットルレバーは「アフターバーナーII」同様シート左側
メインフレームにはヘッドフォン端子も2つ装備されている
ステレオスピーカー部
衝突防止灯のようにフラッシュする

 このデラックス筐体のほか、アップライト筐体も出回っていた。

 ゲームハードウェアとしては、「アフターバーナー(II)」と同じく「X-BOARD」を採用。それまでの体感ゲームシリーズのMC68000を2つ、Z80を1つ搭載という構成は同じで、スプライトは1画面最大256枚表示可能、かつ拡大機能も搭載。サウンドはYM2151(FM音源)とPCMを装備している。

 サウンドは並木晃一氏が担当。ギタリストらしいベースとドラムによる独特のサウンドは、氏が手がけた「スーパーハングオン」から本作、後の「ギャラクシーフォース」など新たなセガゲームサウンドファンを生み出した。

 移植作としては、「セガ・マークIII」版が1988年に、同じ年に「スーパーサンダーブレード」としてメガドライブの同時発売タイトルの1本としても登場。「スーパー〜」は中裕司氏が手がけている。

 その後、1990年にはPCエンジン版、そしてX68000版が登場した後、国内では移植版がリリースされていなかった。

「これは知らしめねばイカン」っていう使命感

奥成氏: 前回の謎のヒキから1カ月弱、お待たせしました(笑)。

―― これまでのインタビューをご覧いただいてきた方々にも、お2人にも「なぜ『サンダーブレード』なんですか?」なんて質問はすでに野暮だなと思うのですが、とにかくおめでとうございます!

堀井氏: ありがとうございます! とりあえず色々言わせてください。まず「サンダーブレード」は、「セガ3D復刻プロジェクト」の初期の頃から、15フレームか20フレームぐらいでしたけど、もうグチャグチャの画面で動いてはいました。その時点で立体視に関しては、「おぉすげー!」って思えていたので、インタビューの端々で「『サンダーブレード』を作らない手はないよね」っていう話を、「あの立体視は凄いよね」って他のタイトルのインタビューでも言い続けてました。

奥成氏: 第1期の時点で「サンダーブレード」は、全く作る予定もなく進んでいたわけですけど……。第2期を始めるにあたって、「皆が望んでいる3本(「アフターバーナー」、「ファンタジーゾーン」、「アウトラン」)を作ろう」という話から、「3本以外も作りたい」というところで加えた2本のうちの1本というところですね。PS2の時の「ファンタジーゾーン2」もそうでしたが、エムツーさんのやりたいことっていったら変なんですけれども、それを実現させていくというところの1本ではあったのかなというか、まあこれに関しては勢いに飲まれたというか……。

 第1期が終わって第2期がスタートしてから、コツコツ準備を裏で進めていたという感じです。最後に堀井さんの想いを成仏させるタイトルとして。

堀井氏: 結果として「サンダーブレード」が最後になった感じはありますけど、できてよかった。

奥成氏: 実際、こうして「サンダーブレード」を出すことができるという。でも、最後に出すことができたのは、「セガ 3D復刻プロジェクト」に対するみなさんのご支持があったからかなと。

堀井氏: 本当にそうですね。

奥成氏: そういう風に思っております。とはいえエムツーさんのところに、ファンから「『サンダーブレード』を出して欲しい」っていうメールは届きましたか?

堀井氏: メールは届かないけど、Twitterで「サンダーブレード」って言うとリプライが付くみたいな感じの流れで。

奥成氏: みんなネタだと思ってたんだ。

堀井氏: そうね。誰も本気にしてない。

奥成氏: たぶん、本気にしてたのは、堀井さんと残り10人ぐらいだった。

堀井氏: 残り10人。

―― 10人かぁ〜。

堀井氏: まあそれだけでは、商売にならないので。

奥成氏:今回、「サンダーブレード」という素材を生かして、エムツーさんの総力を結集するタイトルとして「3D サンダーブレード」をリリースすることになりました。かなり、本当に「あっ、これは総力を結集したな」っていうタイトルになっています。正確に言うと「3D ファンタジーゾーンIIダブル」を作っていたスタッフは参加してないんですが、それ以外の、これまでのシリーズ……「3D スペースハリアー」から「3D アウトラン」までの開発に携わってきたスタッフの総力が結集されているかなという。

堀井氏: 結集されていますね! そのスタッフとプラスして、後ろで、「本当に出るんですか『サンダーブレード』は?」みたいな感じで、ずっと「サンダーブレード」のプログラムだけを追っている人もいたわけなので。総力プラス1名みたいな感じですよね。あの「サンダーブレード」のプログラム自体が、そもそも3DSに乗せるには非常に相性がよろしくないものだったので……。

奥成氏: そうですね。第2期が始まった時に、一応「サンダーブレード」のプログラムソースを、旧AM1研である第一研究開発部から取り寄せまして。「これがあれば開発が一応できると思うけど、やってみて」って言って渡したところ、わりと初手から四苦八苦してましたね。

堀井氏: プログラムの書き方がBASICみたいなんですよね。……っていう言い方をしていいのかわからないけど。普通に流れちゃっていくんで、非常に開きづらい(アセンブラなどに置き換えにくい)タイプのコードなんですよね。

奥成氏: 本当にコツコツ、細かく、オリジナルのソフトの解析を、他の作業をしながらね。

堀井氏: そうですね。全部書き換え終わったこと自体が奇跡のような。それに関してはいずれ、この部分をテキスト化して載せたほうがいいぐらいなんです。「普通だったらやらないよね」って、見る人が見たらわかるぐらいの涙ぐましい努力だったので。

奥成氏: 「アフターバーナー」を作りながら、それがちょっと終わったら、休憩時間にコツコツみたいな。「アウトラン」を作りながら、またコツコツと。

堀井氏: ……という感じで。まさに水面下でコツコツやっていたと。ほんとに、パズルのピースの最後がたまたま「サンダーブレード」になったんです。どうせ最後になるだろうと思ってたんですけど。これで締めくくりになってよかった。

―― そうですね。

奥成氏: 「セガ3D復刻プロジェクト」の、裏の主役として、齊藤さん(※)という、度々インタビューに登場するプログラマーさんがいまして。彼なくしてはこのプロジェクトはなかったっていうところではあると思うんですけれども。

※齊藤彰良氏……M2所属のプログラマ。本インタビューシリーズでは主にサウンド関連の話題に登場することが多い。

堀井氏: 奥成さんとの打ち合わせで「(ここまで作ってきて)『サンダーブレード』が(ラインナップに)ないと齊藤が暴れる」っていう言い方をしましたけど、それは本物で(笑)。そういうのもないとダメなんです(笑)。人参ぶら下げておけば走るじゃないですか、馬。

奥成氏: これ載っけちゃっていいんですか? 社長のコメントとして。

堀井氏: 自分にも人参ぶら下げるから。自分でやってて「寒いな」って思いながら。他のタイトルもやっぱり好きだけど、好きだし凄いやるんですけど、このマラソンって2年ぐらい続いたじゃないですか? それを走りきるのはやっぱり「サンダーブレード」があったからですよ。

 だって、ただ単に機会がないですからね。だから、第2期のラインナップの中に、「サンダーブレード」は混ぜてもらえたけれど、これがある日突然「『サンダーブレード』を作りましょう」っていうことには、絶対にならないわけです。

奥成氏: たしかに。

―― なるほど……。

堀井氏:アーケード版は、稼動当時から「不憫だな」と思ってました。「できない子ほど可愛い」っていう話がありますけれども、この場合の「できない」は「人気がない」って意味で。ゲームセンターでスポットライトを浴びることがなかった子、という意味で。でも、ゲームの中で使われている、その表現とか、そういう技法だとかは素晴らしいじゃないですか。ゲームを移植してる人とか、二次創作やってる人とか、そういう人にはよくわかると思うんですけど、「これは知らしめねばイカン」っていう使命感が沸くんですよ。

 で、当時は家庭用がまだなかったころで、買って貸し出したりはできなかったし、ゲーセンに行っても、「これやるんだったらさー」っていう顔されてなかなかダメ。その思いをずっと、そういうことを考えながら仕事してきたわけです。でも、今になって奥成さんとかに「やりたい」と言ったら、うっかり通る可能性ができてきたわけで、そこでようやく、「『サンダーブレード』にも陽の目を見せるチャンスがあるなあ」と思ったんですね。

―― セガ3D復刻プロジェクトのインタビューで「サンダーブレード」の話をこれまでずっとしてきてたじゃないですか? 調べてみたら「3D スペースハリアー」の時からですよ。

堀井氏: はい。

―― そのときは、こっそり作ってたレベルであっても、実現の可能性ってそこまでなかったと。

奥成氏: 少なくとも1期のときは白紙でしたね。次は続くかどうかわからない時期でしたし。

堀井氏: 実機で、3DSで、フレームレートが重いながらも動かせたときにバッチリ手ごたえを感じたんですよ。そこで、「これはいつか出さなきゃいけない」と思っていて、出たときに買ってもらうために、あらゆる刷り込みが必要だと思って、(インタビューで)話題にしていたというのはありますね。

―― そこまで考えてやってたんですか?

堀井氏:わりと。でも、そんなところはありましたよ。

―― 可能性としてあった、なかったっていうことになると、2期のスタート地点までは、実現の可能性はゼロだったってことなんですね?

奥成氏: そうですね。

堀井氏: 奥成さんがいっつもやる手立てとして、ラインナップの中に1個2個、「このタイミングでなければ作れないもの」を混ぜて、復刻しておくってのはよくあるんですよ。プレイステーション 2の、「SEGA AGES 2500」シリーズで言うなら「ファンタジーゾーン2」みたいなものが、この「サンダーブレード」ってことですよね。

奥成氏: そうですね。

堀井氏: それは本当に大変なことなので。

(佐伯憲司)