インタビュー

「セガ3D復刻アーカイブス2」インタビュー Part1

マークIII版「ファンタジーゾーン」は前期・後期バージョンの両方を再現!!

マークIII版「ファンタジーゾーン」は前期・後期バージョンの両方を再現!!

――ゼロから3D立体視化をしていくのは、自分達の理解しているやり方なぶんやりやすいというお話はありつつも、それはそれで大変ですよね。そのために仮想新ハードレベルに拡張をしつつ移植をされたわけですし、3D立体視も「どこまでやるのか? やりすぎるとオリジナルの印象からはかけ離れるのでは?」的なさじ加減の調整が必要になってくるのでは?

奥成氏:そこは、あくまで当時風ですよね。

堀井氏:あっさり気味にしようと。

奥成氏:「マスターシステムの3Dグラス対応ゲームの想定の範囲内な3D感」を目指しましょうという感じでしたね。……でも、思ったより3D立体視が付いているよね?(笑)

堀井氏:「あっさりにしよう」と言いつつ、作っているうちに「こってりになっちゃう」というか(笑)。作っている連中がこれまでの「セガ 3D 復刻プロジェクト」を手がけているメンバーですから、どうしても物足りないようで。付けられるところは付けようと。ただ、その範囲は「セガ・マーク3Dの制約範囲内で」とはしています。

 それこそ多重スクロールとかはしないのですが、1枚のスクロールでも立体視をどこまで付けられるかというような、そういうチャレンジはしています。細かいところに細かくこだわって3D立体視を付けていって。全体の印象を磨いていくというような仕事です。

奥成氏の私物シリーズその2。セガ・マークIIIにFMサウンドユニットの組み合わせと、「ファンタジーゾーン」2作。カートリッジには初代の容量が「1M」、IIは「2M」とあるが、当時、容量アップ分はほぼグラフィックスデータの増加に充てられていたこともあり、移植の際、3D立体視化の際にこの容量差が労力としては何倍にも膨れあがる結果となる

奥成氏:下村に「ファンタジーゾーン」ではなく「ファンタジーゾーンII」じゃないと……と、伝えたわけですけど。それをエムツーさんも了承したと聞いたときには、「……でも、その2作って(容量が)1Mと2Mだし、エムツーさんの作業量は倍になるんだろうな!ふふ……。」と。しめしめって思ってましたね(笑)。

堀井氏:「ファンタジーゾーン」と「ファンタジーゾーンII」では背景の量が全然違いますよ。「II」は莫大に増えます。ワープした先の背景とかも違いますから。

奥成氏:「ファンタジーゾーン」は最終面は背景がないので、実質は7面ぐらい。「II」も一応通常ステージ数こそ7面ですが、8面も背景がありますし。それに「II」は1面のなかに3ステージ、2面も3ステージだけど、3面以降は5ステージぐらいあるという。

堀井氏:そのへんの全部に3D立体視をつける作業量があまりにも多いので、それもあって最初は「あっさり」と言っていたんですけどね。

――この2作の1M差はあまりにもでかいですよね。

堀井氏:でかいです。倍ですからね! しかもプログラムが倍なわけではなく!

奥成氏:この頃の容量って主にグラフィックス部分なので。当時に遊んだ人は「うわーすごい! マップがいっぱいだー!」となっていたわけで。前作より6倍以上のマップが入っている。エムツーさんの3D化の作業量も6倍以上になったんだろうなーと(笑)。

堀井氏:ですね(笑)。

――それ以外にも作業はたくさんありますよね、仕様周りの再現など。先ほどプレイさせて頂いたら、7WAYショットを連射すると3WAYになっちゃうところとかも、きっちり再現されていて。あれもこれも……プレイしながら軽く引きました(笑)。

堀井氏:ありがとうございます(笑)。そのあたりはもう、「元がそうなっているからそうしている」としか言いようがないですが。

――改めての話ですが、挙動を調べて合わせるという基本的なことだって、そもそも大変ですよね。

堀井氏:挙動に関して「移植するとこうなったんだけど……実機でもそうだろうか?」というのは、実機と移植を交互に触って確認して。ここはどうだったっけ? という記憶にないところも、とにかく実機を触ってチェックして。そのあたりもかなり時間がかかっていますね。

奥成氏:目コピーとエミュレーションの違いでもありますね。そういった挙動をいちいちチェックしなくていいのがエミュレーションのメリット。

堀井氏:……のはずなんですけどねー。

奥成氏:ただ、それでも違うところはやっぱり出てきて。その違いがとてつもない違いになることもあって。正しく動いているかを細かく見ていくのは、かなりの作業量になりますね。

――マークIII版「ファンタジーゾーン」には前期・後期バージョンがあったと思うのですが、今回の「アーカイブス2」収録ではどのように?

奥成氏:設定で「OLD」、「NEW」という形で選べるようになっています。

堀井氏:両方入っています。

奥成氏:ちょっと実機を……(3DSの実機を触りつつ)ここの設定メニューを選んで頂くと……ここにあります。これ僕は「NEWだけでいいよね?」と話してたんですけど、気がついたらセレクトできるようになってる(笑)という感じで。違いはバグがフィックスされているかどうか、というのが主なのですが。

堀井氏:OLDバージョンでは何周かすると、普通には絶対に倒せないボスとかが出てきちゃうんですよ。でも、この「アーカイブス2」にはヘルパーモードが付いてショットのパワーが上がっているので。エムツー内では「もしかするとヘルパーモードとロケットエンジンなら倒せるんじゃないか!?」と、盛り上がってますよ(笑)。

【バージョンも再現】
マークIII版「ファンタジーゾーン」の前期・後期バージョンも設定で切り替え可能。堀井氏の話のように、過去には不可能だったことも今作なら突破できるかも?
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(山村智美)