インタビュー
「セガ3D復刻アーカイブス2」インタビュー Part1
新規収録「パワードリフト」はエムツーにとってもいわくのある超難題!!
（2015/11/25 10:00）
新規収録「パワードリフト」はエムツーにとってもいわくのある超難題!!
下村氏：僕の方針としましては、まず、「ファンの皆さんに喜んでもらえる」内容に。それと同時に「開発スタッフが作っていて楽しいもの」にしようと。楽しいものを作っていれば良い物になりますので、僕はそういうクリエイターが自由に活躍できるフィールドを用意する。予算を取ってきて、売る環境を用意して。それが僕のスタイルですね。奥成のようにそれぞれの作品に滅茶苦茶詳しいスキルは持っていないので……。
堀井氏：そうは言っても、一通りはご存じですよね。
下村氏：まぁ業界歴はそこそこには長いので。僕が知っているかどうかよりも、奥成が異常なほどに知っているというのが正しい（笑）。
（一同笑い）
下村氏：僕と奥成のやり方は違うところもあるかもしれませんが。奥成も第一線からは退いたとは言えども、プロジェクトメンバーの1人ですので。
堀井氏：今も（奥成さんから）指示が来ますからね。
奥成氏：改めての話になりますが、僕がいたら「パワードリフト」は無理って言ってたと思いますよ。PS2で「ギャラクシーフォースII」（※）を開発したときなんですが、2005年ぐらいにエムツーさんと出しましょうと話したら「『ギャラクシーフォースII』ですか、うーん3カ月ぐらいかな？」っていう返事だったので、「うわ、3カ月で『ギャラクシーフォースII』作ってもらえるんだ、すごい!!」って感動してたのに、それから2年ぐらいかかったんですよ！
堀井氏：うわーー!! そこ、死ぬほど言い訳したい!!
（堀井さん、ここからしばらく泣き崩れる）
奥成氏：その時はもう、僕が下村に平謝りして。「SEGA AGES 2500」シリーズの順番も入れ替えて……。
下村氏：あーあれ、順番変わったねー(笑)。
堀井氏：うぅぅ……。
※「SEGA AGES 2500」シリーズVol.30「ギャラクシーフォースII スペシャル エクステンデッド エディション」。発売は2007年。当時のインタビューでも発表から発売まで2年、開発も2年かかり、リリース順が変更になったという話が奥成氏より語られている。
奥成氏：その2年かかった苦労を何にも使わないっていうのは、もったいないなぁと思って。3DSで「3D復刻プロジェクト」を始める時は、前回苦労した資産があるから、「スペースハリアー」と「ギャラクシーフォースII」と……っていう感じにラインナップに加えていったんですよ。
「3D復刻プロジェクト」の第2期で「アフターバーナー」や「アウトラン」をラインナップに加えることができたのは、充分な開発期間を用意できるから、だったんです。なので「ここでがんばってこの2本を移植しましょう!」と話したんですね。
で、「パワードリフト」はと言うと、基板は「ギャラクシーフォースII」と同じYボードであり、68000 CPUが3つ載っている。「ギャラクシーフォースII」を3DSに移植するときに「どうなの？ 以前の資産があるんだし、楽なの？」と聞くと、「い、いやぁ実は……全然楽じゃなくて、そのままだと走らないから、プログラムも解体して……」という話になって大変だったわけで。
まぁ、「パワードリフト」をやるとなればそれ以上の話になってしまうわけですよ。
――少なくとも1年以上はかかるだろうと。
（堀井氏、むくりと起き上がる）
堀井氏：今年の年末発売どころじゃないですよね！
奥成氏：「今回の『アーカイブス2』は『パワードリフト』を目玉にする！」と言われたときには、「あーじゃあ……来年の冬に発売されるんだな、きっと」と思って。僕は「下村さん、騙されてますよ！」って話しましたから（笑）。
堀井氏：そこまでかー!!
下村氏：僕は信じてたよ!?
――下村さん、信じる派！ 奥成さん、騙されてる派！
下村氏：エムツーさんは、やればできる子だよ―!!
（一同笑い）
奥成氏：まぁ、僕は現場のスケジュールを見ない立場でしたから。「いつか遊べたらいいなー！」ぐらいにしか思ってなかったですね（笑）。
堀井氏：下村さんが我々の両親だとして子供の成長に責任を持つ立場だとすれば、奥成さんはもうお爺ちゃんお婆ちゃんで。見守って、甘やかして、「それはいいねー!」って褒めてくれる係。気楽に構えていらっしゃるんですよ。たまに叱りますけど（笑）。
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