インタビュー
「3D サンダーブレード」インタビュー(Part.2)
「STAGE5」は完全新規制作ステージに!
(2014/8/20 00:00)
「STAGE5」は完全新規制作ステージに!
―― 新たなステージ「STAGE5」についても教えて下さい。
奥成氏: 「サンダーブレード」って、STAGE4の最後の行き止まりに唐突にボスが出てきて、そこで唯一の3Dでのボス戦となって、それを倒すといきなりエンディングで終わっていたので……その部分のカタルシスを上げていく、というのが今回の「スペシャルモード」で追加した新たなステージになります。あの基地は、「本当の基地の入口」という形にして……。
―― あの解釈は面白いと思いました。STAGE4のボスは要塞の入口を防衛していたものだった、という。
奥成氏: 「砦の入口」という感じで、「基地の本丸はこの先にあります」という形で進めていくという。最終面に関しても、ギミックに関しては……元々作りたい、というところはあったんでしょうけれども、どんどん増えていって……。途中で列車砲が出てきますが、列車もちゃんとアニメーションしていたりとか。「サンダーブレード」のバックビューではああいったギミックはなかったと思います。
堀井氏: ないですね。あのあたりは実は助っ人を呼んだんです。かつてズーム(※)でドット絵を描いていて、昨今は「シューティングゲームサイド」でイラストを描いていらっしゃる冬野灰馬さんをお誘いしまして。冬野さんが、齊藤とタッグを組んで、「きちんと暴走」してくださった結果ですね。「暴走」がきちんと組み合わさると素晴らしいものができるんですよ!
※ズーム……「GENOCIDE」や「PHALANX」(X68000)、「ZERO DIVIDE」(プレイステーション)などを制作したゲームメーカー。
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奥成氏: 「サンダーブレード」はホバリングできるゲームなので、ゲートを遮る「シャッター」も今回初めて出てきて新鮮ですよ。「ここから先は倒さないと進めないよ?」という敵も出てきているという。「サンダーブレード」らしいギミックになっていると思いました。上手くプレイすれば止まらなくても倒せます。
「スター・ウォーズEP4」の「デス・スター」戦的なSTAGE4とはちょっと違う、「スター・ウォーズEP6」の「デス・スター」戦的な形で新たに最終面が構成されています。
―― ステージがまるごと新作、というのは驚きました。
奥成氏: 最初は、「ギャラクシーフォースII」の最終面のように「グラフィックは流用だろう」と思っていたんですけれども、「いや、全部描きおろすんです」って言われて「え?」って……。でも、全部描きおろしたからこその列車砲だったり、シャッターだったりと新しいギミックが追加できたわけです。
堀井氏: あるものを組み合わせるパズルでもなくて、本当にSTAGE5のリソースは新規に作ったものです。完璧に新作ですね。
奥成氏: 冬野さんがズームでドット絵を描いてらっしゃったという話は、後で知って納得する方もいるかもしれませんね。
堀井氏: 冬野さんもセガテイストにしようと努力されてましたね。
―― 個人的には違和感をまったく感じませんでしたね。いわれてみれば「あー!」って思う部分がないわけじゃないですが、見事になじんでいると思いました。
奥成氏: とにかく、新鮮さが段違いですね。
―― STAGE4の延長戦上にあるステージに見えつつ、STAGE5はものすごい物量に見えますが……。「あの当時のハードでここまでのことができるの?」という。
堀井氏: それはそうですね。
奥成氏: ROMに焼いたら容量が……というところは気にしてはいないですね。
堀井氏: ただ、プログラム側でいろんな制約は入っているんですよ。元々のX-BOARD以上のことはできなくて、「ファンタジーゾーンII」のシステム16リメイクのときと同じで、同時に出現するキャラパターン数などは、元の基板上の制約の範囲内なんです。
奥成氏: それはパレットであったり、キャラクターの数であったり。
堀井氏: そうですね。元の基板のソケットにあまりがあればそこにROMを足すことはできますが、さらにそれを拡張して何かをする、ということはできないですね。
――そういえば追加ステージにトップビューが無いのはどうしてなんですか?
奥成氏: 長く遊びたいのはやっぱりバックビューのステージだと思ったんですね。あえてトップビューのパートを作らずに、バックビューに特化させています。STAGE4から、STAGE5のラストまでをドラマとして盛り上がるようにしてみました。
―― 確かにバックビューでスタートしてそのまま進行することで、STAGE4と5の連続感が出ていて、これは新しいですね。そういえば、このステージのBGMって……?
奥成氏: ボス曲である、BURNING POINTのサントラバージョンです。
最終面はボスステージの長いイントロを活かせるようにしよう、ということでステージ構成もそういった形で作られています。実はあの曲って、メガドライブの「スーパーサンダーブレード」のSTAGE1のBGMでもあるので、そこは多分、この選曲をしたディレクターの松岡さんも意図してないと思うんですが、個人的には「スーパーサンダーブレード」につながっていく感じになっていて……。あのイントロがなかなかシューティングゲームに合うと思うんですよね。
堀井氏: いいですよね。結果論ですけれども。
奥成氏: 久々に「新しいものが見られます!」というところがこのSTAGE5の見所ですね。アレンジではなく、「『これまでに見たことがない』体感ゲームです」という。
―― 撃って稼いで残機を増やしていく、というあたりは確かに「3D アフターバーナーII」の「スペシャルモード」にコンセプトが似ていますが、新ステージにも挑戦できるし、遊んだ後にすっきりできる感じになってますね。
ジャイロセンサーへのリベンジ!
―― こうしてお話を聞いていると、本当に今までにやってきたことの集大成なんですね。
奥成氏: 集大成と言える理由の1つが、ムービング筐体のジャイロセンサーにもありますね。ジャイロセンサーは「3D スーパーハングオン」で1回対応していますが、今回改めて、自操式体感ゲームなので「ジャイロをやるチャンスだね」という話になって。「あのレバーの“グイッグイッって操作してもままならないところ”をジャイロで再現できるのか?」という話をしていたところ、結果的に、オプションを見て頂ければわかりますが、ジャイロ操作設定が2つ入ったという。加速度と傾きの2つを入れてあります。
これで実際にプレイしていただければ、アーケード版のあの“ままならない感じ”を味わって頂けるのではないでしょうか? 「そうそう、こんな感じにやりにくかったよね?」という部分が再現されていると思います。現在実機が稼動しているところがなかなかないので……比べるのはちょっと難しいとは思うんですが。
堀井氏: そうですねー。なかなかないでしょうね。
奥成氏: レバーをブンブン振っている動きと、筐体が回っている感覚、どちらにも絞り込むことができませんでした。どっちを優先するか、という感じで変えてください、という形になっています。
―― 「3D スーパーハングオン」の時、ジャイロ操作を入れたら処理が重くなって苦労されたとお伺いしていましたが、今回は大丈夫だったんですか?
堀井氏: それがねー。これまでずいぶんがんばったおかげで、なんとかなるようになっちゃったんですよ。そこまで今回はもめませんでしたね。
―― 「X-BOARDはきつい」って話もあったのに、ジャイロ操作が載っても大丈夫になったんですね。
堀井氏: 「やればできちゃう」というところまではいけちゃった感じですかねー。
奥成氏: それと、今回の「スペシャルモード」が、「スペシャル」たるゆえんの1つに、「ムービング筐体」では筐体の環境音や動きが、アーケード版と違います。実は「スペシャルモード」の筐体は「スペースハリアー」みたいな可動式筐体になっているんです。
堀井氏: それを3DSの中でやってみました。
―― あははは! 夢の筐体ですね!!
奥成氏: 「スペシャルモード」のムービング筐体の動きは、新たに自作しました。音もモーター音が鳴るようになっているんですけれども、「アフターバーナーII」の筐体で鳴るべきモーター音をわざわざ追加して、筐体が動くと「グイーン、グイーン」と鳴ります。どういう夢なんだかわからないんですけれども(笑)。
堀井氏: 架空の筐体ですね。
奥成氏: 「サンダーブレード」がもし、ムービング筐体に入っていったら……という。
堀井氏: 「サンダーブレード」はそうまでする価値のあるゲームだと思うんですよ。立体視にして建物の間を飛んでいるだけで「すごいなー!」って思いますからね。やってよかった。
奥成氏: 「歴史のif」というほどではないですが、1980年代の気持ちになって遊べるという。……「スペシャルモード」は新たな気持ちで遊んで頂けるものになっていると思います。
堀井氏: ぜひ遊んでください。