インタビュー

「3D サンダーブレード」インタビュー(番外編!)

開発スタッフからのコメント紹介!【2】

サウンドチーフ・並木 学氏のコメント

「STAGE 2」で流れる「TYPE II」。発掘されたデータは「エクストラBGM」として聞くことができる

 まいどおおきに。サウンドまわりの監修担当のエムツーのサウンド部門こと、なみきです。「3D サンダーブレード」……いかがでした?

 今作でのサウンド的な目玉としては、可能な限り3DS上での再現度にこだわった日本版と海外版のアーケードオリジナルバージョンはもちろん、やはり何といっても……! 26年前にリリースされたサントラCDで初めて聴くことのできた幻のフレーズを網羅した上で、さらにさらに! グレードアップを遂げた、作曲者の並木晃一さんご自身も憶えていらっしゃらないという、まさに「キング・オブ・幻」なBGMデータを発掘&収録できたことに尽きるのではないでしょうか。

 「うおお…『THUNDER BLADE』のベースに、実はこんなフレーズが!?」、「うわあ…『TYPE II』のベースソロ、ハデハデなステレオ効果でイカす!」といった違いを、ぜひ実際にゲームをプレイしつつお楽しみ……はいはい無茶ぶりスミマセン! プレイ中はそれどころじゃないので、サウンド設定のミュージックプレイヤーを使って心ゆくまでお楽しみいただければ…と存じます!

 それにしても本作のBGMは、カッコいいですね。エレキギターでロック調に攻める「アフターバーナーII」と一味違い、ベースやドラムといったリズム隊でキメキメに攻めるクロスオーバー・ジャズ調。当時として極めて丁寧な打ち込み表現によるベースとドラムの手数の多いリズムが紡ぎだすグルーヴの小気味よさと、それに乗っかる一筋縄ではいかないコード進行とドラマティックな曲展開、それでいてメロディ的な主張は控えめ……うーんこのシブさ! ……たまりませんねえ(うっとり)。後の超名曲「ギャラクシーフォースII」への片鱗をうかがわせつつ、それともまた違った魅力を感じます……いやー監修作業で何度となくヘビロテして、改めてクセになりました。並木さんにすっかり脱帽の並木であります(笑)。

 さてさて、そんなこんなで「セガ 3D復刻プロジェクト」も気がつけば13タイトルがリリースとなり、その全てでサウンド監修の役割を担当させていただいたわけで……いやー振り返りますとやはり何だかんだで、怒涛の日々を過ごしたように思い返しますね。どのタイトルをとってもラクなお仕事などは1つもなく、リリースを重ねる毎にFM音源をはじめとしたサウンドの再現度を高めつつ、ほんとにまぁよくぞここまでやってこられたものだナー、などとまるで他人事のように振り返ってしまいますが(汗)。これもひとえに奥成プロデューサーをはじめとするセガのスタッフの方々や、弊社堀井を筆頭とする愛情と熱意とこだわりを注ぎすぎて本気で命を削るスタッフ陣、そしてなにより本プロジェクトのタイトルのリリース日を毎作心待ちにして、しゃぶりつくし遊びたおしてくださるプレーヤーの皆さまのおかげでございます。

 どうか皆さま、今後ともお気に入りのゲームを末永くかわいがってくださいませ……! いつもいつも応援をいただきまして、ありがとうございます。

グラフィック/スタッフクレジット担当・高橋氏のコメント

「3D アフターバーナーII」のクレジットからすべてが始まった
「3D アウトラン」のクレジットも凝っていた

 こんにちは、エムツーのろみゅことグラフィッカーの高橋でございます。スタッフクレジットを担当させていただきました。

 番外編のインタビューを読んで感慨にふけっていたら、社長に「コメントをもらい忘れた」と言われ、なぜか今これを書いています。

 思い起こせばそもそもの始まりは「3D アフターバーナーII」の時に、松岡ディレクターにゲーム中の給油時に出てくるちっちゃいドット絵の整備士達が生活をしているような演出で何か作ってくれないか、と軽く注文を受けたものをコント風味にしてしまった所、思いの外スタッフの受けがよくそのまま突き進んだのでした。

 その後「3D アウトラン」のクレジットの担当になった時には、初めは爽やかな感じで作って行こうかと思っていたら「で、次はどんなお笑いを?」という無茶ぶりをディレクターにされ、奥成さんには「面白く無いならクレジットは真っ黒でいい」などと言われ、「じゃあまたコントやるよ!」と作り始めたら、スタッフの方々がノリ初めてネタを数々提供してくれたので、マスターアップ間際の10日ほどで頑張って作りました。あ、これは「3D アウトラン」のインタビューの時に触れて下さってましたね。

 そして今回の「3D サンダーブレード」です。作る前から会議では「『サンダーブレード』だけではネタが弱いな」などと初めからお笑いムードでした。ネタの弱さを補うために「他の復刻プロジェクトのキャラクターも出してしまおう」とアドバイスをされていました。そして他キャラも入れたコントを数個作った所で、奥成さんから「いっそ集大成的な物にしましょう」という提案があり、「集大成」の意味を若干履き違え「セガキャラ総出演」状態の物を作り始めました。ディレクターからは「さすがに復刻プロジェクトでリリースされていないキャラクターは奥成さんに怒られるんじゃないだろうか」などと心配されたりもしましたが、奥成さんはすべてにOKを出してくれました。

 そして、今回はなぜか僕には作業時間がたっぷりあったので思う存分作っていたのですが、そこで問題が発生しました。本来のスタッフクレジットである下画面の総表示時間をオーバーしたのです。これはさすがにやり過ぎたな、何を削ろうかなと思っていたら、ディレクター松岡から「下画面の表示時間を延ばすことにしよう」と提案されたのです。え? そんな事していいの? とズッコケました。そして本当に延びてしまいました。解っているつもりでしたが、想像以上にフリーダム過ぎる職場です。

 振り返ればこのプロジェクトもたくさんのタイトルがリリースされました。これもひとえに喜んで下さったプレイヤー様の方々のおかげであります。

 「終わってなんかいない! 俺達の戦いはこれからだ!」といつまでも言えるようこれからも頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました。

そして「3D サンダーブレード」のクレジット。元ネタがわかる方にはたまらないカットも……
いろんなセガキャラクターが登場してくれるのがうれしい

(佐伯憲司)