インタビュー
「3D サンダーブレード」インタビュー(Part.2)
まさにやりたい放題! の「スペシャルモード」に迫る
(2014/8/20 00:00)
8月20日、ニンテンドー3DS向けに展開されてきた「セガ 3D復刻プロジェクト」第2期最終作「3D サンダーブレード」が配信される。価格は926円(税別)。
同プロジェクトのタイトルごとに続けてきた、セガのプロデューサー・奥成洋輔氏と、開発元のエムツー・堀井直樹社長へのインタビューの第2弾は「スペシャルモード」の話題を中心にお届けする。
(Part1は→こちら)
「スペシャルモード」の前に――
―― 「スペシャルモード」のお話の前に確認しておきたかったのですが、気になっていたのは、「サンダーブレード」のオリジナルは「X-BOARD」という「アフターバーナー」と同じ基板で、今回の移植にあたっても、「3D アフターバーナーII」と同様の苦労をされてきたと思います。特に「3D アウトラン」の作業が終わってから開発が本格化したと伺っているので、そこからとなると結構時間的な制約もあったと思うんですが?
奥成氏:高速化についてはいつも通りの地道な苦労なのですが、特別新しいことは無かったですね。オリジナル版に残っているバグ取りとか、見えないところでは色々あったようですが。
堀井氏: 今回、元の「サンダーブレード」のプログラム構造的に、60フレーム化までの道のりで語りきれない程に苦労しました。ただ、「サンダーブレード」の「サンダーブレード」たる部分は、プログラムの構造としてその中に含まれているので、それがきちんと60フレームで動けば、ゲームの再現自体は問題にはならなくて、「スペシャルモード」でアレンジするときは内部の詳細な把握にずいぶん苦労しましたね。
奥成氏: まず最初に「サンダーブレード」のベタ移植をして、その後に3D立体視に対応させる作業をして、それからワイド化して……。
堀井氏: ワイド化は苦労したんですけれども、それももはや「やっていて当たり前」なんで、その部分はあえて語る部分ではないのかもしれません。
―― とはいえ、工夫されている部分があると思うんですよね。ワイド化により本来見えないものの外側を描くという部分ですとか。
堀井氏: そうですね。例えばゲーム部分的にオリジナルにない部分を描いているのもそうですし、タイトル画面とか、ワイド化すると存在しない部分を新たに井内(ひろし氏 ※)が作っていました。
※井内ひろし氏……コナミ、トレジャーなどでゲームを制作してきたクリエイター。「斑鳩」や「レイディアントシルバーガン」など代表作多数。現在エムツーに所属し「3D アフターバーナーII」の「スペシャルモード」を手がけた
―― 2つの視点があるので、「3D アフターバーナーII」のときと同じような作業もあり、別の部分もあったわけですよね? トップビューの時はワイド画面では描く量が増えてますよね。ビルはオブジェクトが7枚ぐらい重なってますけれども、ワイド化する際はどうやってやったんですか?
堀井氏: そのあたりはね、なんとかなったんですよ。
奥成氏: 「サンダーブレード」は、背景の中を任意に左右に動けるようなつくりになっているので、もともと絵として存在していたんですよ。それでもいくつか問題はありましたが……。
堀井氏:STAGE3の橋などは、横方向の長さが足りなかったので対応しましたね。また、トップビューのシーンのビルなども、見えちゃいけない内部が見えることがあったので、当然見えないように。
―― これも前半でお伺いしたところですが、プログラムソースがもともとあったんですよね? 「アフターバーナーII」のときはソースデータはあったんですか?
奥成氏: 「アウトラン」や「アフターバーナー」のソースデータがなにも残ってなくて。でも「サンダーブレード」の場合は、プログラムソースと、サウンドソースがあったんですね。
―― それは製品版と同じデータだったんですか?
堀井氏: それがちょっと難しいところでした。「サンダーブレード」は日本版と海外版があって、後からリリースされた海外版は日本版よりずいぶん手が入っていて異なる部分があるんですけれども、発掘されたソースは日本版と海外版の中間的な時期のソースだったんですよね。
奥成氏: 「サンダーブレード」はアーケード版が完成した後、海外向けにアップライト版をリリースしていて、そのアップライト版を作るときに少しいじってあったんですね。具体的には、エンディングが違っていたり、STAGE1と3かな、敵や障害物の配置などが違っていたりするんですね。
―― 手直しされていると。
奥成氏: 「アウトラン」などと同じようなFIX版みたいな感じですね。
―― 海外版で少しスケジュールが取れたからその分手直ししてみたという感じなんですかね?
奥成氏:そうでしょうね。
―― ただ、残っていたのがどの段階のソースデータであるかは正確にはわからないと。
堀井氏: 今みたいにバージョン管理が厳密に行なわれていた時代ではないでしょうからね。ともかくソースを開いてみたら、「これはどっちなんだろう……実際の基板で確認しよう」ってことは結構ありましたね。いろいろ参考にさせていただけてありがたかったんですが。
―― データの配置だとか……。アタリはつけられるけれども、という感じですか?
堀井氏: そうですね。アタリは付けられるけれども、それを妄信すると製品版とは違っていたりすると。このゲームを解体するに当たっての設計図があったことは意義がありましたね。実物の建物を見ながら設計図を見ることができたので。そういったエピソードは「SEGA AGES 2500」シリーズの「電脳戦機バーチャロン」のときもありましたね。
奥成氏: ともかく今回の移植にあたって、プログラムソースがあったことは、「スペシャルモード」を開発するうえでも良かったですね。