「ラグナロクオンライン II」韓国第1次Cβテストレポート(前編)
菅野よう子サウンドが誘う新生「ラグナロク」ワールド
12月27日~29日Cβテスト実施
韓国Gravityは、2006年12月27日から29日までの3日間、韓国にて2007年投入予定のMMORPG「ラグナロクオンライン II」(以下「RO2」)のクローズドβテストを開催した。2DのMMORPG「ラグナロクオンライン」(以下、「RO1」)のパラレルワールドという位置づけの本作には、グラフィックスが完全3D化されたことでよりアクティブになったプレイスタイルに加え、クエスト重視のゲーム進行や成長性豊かなコンプレックジョブチェンジスシステムなどなど、前作の「RO」とは異なる斬新なシステムが多数盛り込まれている。
今回のテストでは、ユーザーがゲーム開始直後に降り立つ「ホドミメス地域」に浮かぶ島々を中心に、「冒険者修練場」、「ホドミメス外郭」、街マップ「ホドミメス」の3マップと、洞窟マップ「イミルの鼻孔」が公開された。
プレーヤーが選択できる種族は「ノーマン」のみで、パーティ機能も未実装で各種成長システムなどはノーマンに由来するもののみと規模としてはやや小規模な公開だった。しかし3日間限定のスケジュールだったため、マップ全体を見て回って、一方で狩りをしながら成長システムを見て、とユーザーにとっては非常にハードな3日間だった。転職レベルまで達しなかったテスター達も多く、あと数日長ければと思うテストだった。
今回のβテストの模様は、まず前編として本稿でプレイの概観と公開された3マップをご紹介する。後編ではこのたび明らかになったキャラクタ、ジョブ、武器、スキルの各成長システムの詳細と転職後のプレイについて詳しくお伝えする予定だ。
■ 「ホドミメス」、「外郭」、「冒険者修練場」の3エリアからなるホドミメス諸島
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Unrealエンジンによるリッチなグラフィックス環境を「精細さ」より「かわいさ」に活かした「RO2」。キャラクタの一挙手一投足に対して感じる「生命力」がよく表現されている
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キャラクタ作成時には、髪型、髪の色、瞳の色、目の形、武器の名前を設定する。本作には武器屋は存在せず、1つの武器をNPCに色々な形に変換してもらいながらキャラクタと共に育てていくことになる
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今回のクローズドβテストで公開されたエリアは、ホドミメスの街を中心に東西につながる冒険者修練場と外郭の3エリア。キャラクタを作成した後、最初に降り立つエリアが冒険者修練場だ。ホドミメスの西に位置し、海岸線と丘陵が連なるマップだ。「未熟なプクイ」なる、熟れていない青柿のような果物のモンスターがプレーヤーの最初に出会う敵となる。早速叩いてみると通常モードから戦闘モードに切り替わる。といってもリアルタイムバトルなので、画面が切り替わるわけではなく、BGMが変わるだけだが、菅野よう子氏が作曲し、トレイラームービーのBGMともなっているパワフルな戦闘サウンドを聞くと明らかに「RO」とは別種のゲームだという気分になる。
冒険者修練場を抜けると、ホドミメス地域の中心部にあたる街のマップにたどりつく。街の中心にある大樹を囲うように円形に市が形成され、各所にNPCが暮らすというのどかなファンタジー世界が演出されている。前作と違い、フィールドと街がエリア分けされておらず、同一マップ上に存在するため、ハエのモンスター「チョンチョン」やスライム状のマスコット的モンスター「ポリン」などの低レベルのモンスターたちも一緒に暮らしている。ちなみに前作では初級モンスターの代表格だったポリンもレベル13に「昇進」し、ノービスではとても敵わない相手に生まれ変わっている。
ホドミメスの街の外周は、3Dグラフィックスによる高低差をよく活かした美しいマップ構成が特徴的だ。ユーザー達がコミュニケーションを図る「溜り場」を意識した空き地が外周部に多く見られる。小高い丘を登るとピクニックにでも出かけるような雰囲気で、滝をバックにおしゃべりに興じるのも楽しそうだ。
ホドミメス村には、武器を修理してくれる「ザルコ」や、防具屋「ミシャ」、位置セーブなどを行なうカプラ嬢の「シェルフィ」など機能的なNPCが多い。また、掲示板にはクエストが掲載されている。この掲示板から、モンスターのハントミッションを中心にアイテムやEXPを報酬としたクエストを受けることができる。クエストは同時進行できず、「RO2」のストーリー世界がわかるような長編クエストは今回確認できなかった。
なお、「RO2」では武器がキャラクタと一緒に成長していくため、武器屋が存在しない。また、武器や装備品には耐久度が設定され、戦闘を経るごとに徐々に下がっていき、0になると強制的に外されて修理工に直してもらうまで使用できなくなってしまう。長時間のやり込み抑止として戦うモンスターの強さには関係なく耐久度が落ちていくようで、狩りをし続ける限り、1時間に1回程度は街に戻って修理工に修繕を依頼することになる。
【ホドミメスの街】 |
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中央の大樹を中心に円状に配置された市が特徴のホドミメスの村。露店のオブジェクトには海沿いの小島にちなんだ商品が並んでいる
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カプラサービスの「シェルフィ」。最初に出会うカプラ嬢となるだろう。ゴスロリ風のいでたちに、右手に銃、左手にメモ帳を持ち仕事に励んでいるようだ |
装備品の修理屋「ザルコ」。各装備の修理を行なってくれる。1日1度は顔を合わせる存在になりそうだ |
防具屋「ミシャ」。「RO2」での通貨は「ルフィー」が基本となる。10,000ルフィーで1ゼニーの通貨制度になっている |
【冒険者修練場】 |
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冒険者修練場は回復剤を売るショップと武器を直す修理工以外は取り立てて何も無いマップ |
27日のテスト開始直後から3時間程の緊急メンテナンスを挟んでしまった。サーバー再開直後の修練場入り口 |
「RO2」では昼夜の概念が存在し、1時間程度のサイクルで昼夜が入れ替わる |
■ 広大な外郭エリアには巨大な灯台や船着場、洞窟など広がりを予感させる要素が
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雑魚キャラ代表格のポリンも、初級冒険者を苦しめる存在に。モンスターたちの「沸き」は、前作ではマップ全体でほとんどランダムでだった。本作では定点で同じモンスターが集中して沸く
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エリアの移動や最初の読み込み時のローディング画面。2Dの前作は短時間のためにブラックアウトするだけだったが、3D化で読み込みが長くなったためか、ローディング画面が追加されている
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ホドミメス村を東に抜けると島々が広大なフィールドとなっている「外郭」がある。今回公開されたエリアの中でも最も大きく、クジラ島やマーマン島などの大小の島々が連なっている。テストではやはりそれぞれの島の由来は明かされることがなかったが、プレーヤーキャラクタそっくりの盗賊が跋扈する島やヒトデやカニだらけの島、半漁人の建物が立ち並ぶ不気味な島など、ダークとトロピカルが入り混じったイメージだ。
島々の間は橋を渡って移動しなくても、海を泳いで渡ることができるため、広いマップ内の移動にもストレスはそれほど感じない。しかし、島ごとの雰囲気があまりに違うため、もう少し細かくエリアを細分化してもよかったかもしれない。
また、エリア左下部には地図には無いマーマン島があり、中に「イミルの鼻孔」という洞窟がある。ホドミメス村の島々の洞窟といえば、以前「RO2」の開発者のパク・ヨンウ氏が語った洞窟に棲むカニと会話をするクエストがあった。勇んで洞窟内を探検したが残念ながらカニを見つけることはできなかった。
島には船着場があり、船乗りが冒険者を待っている。今後、ここから海を渡ってどこかへ行けるようになるのかもしれない。ゲーム初期の様々なクエストの中心になりそうなマップなだけに、今後のクエストの作りこみやモンスターの配置が楽しみなところだ。
【外郭】 |
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最も広大な外郭エリア。左下のエリアはマーマン族のエリアとなっており、道具屋で地図を購入することで地形を見ることができる。左のオレンジの点が灯台、中央に船着場がある |
唯一の洞窟マップ「イミルの鼻孔」。開発者のパク・ヨンウ氏とのインタビューで洞窟を舞台にしたクエストが明らかになったが、今回は残念ながら確認できなかった。「ロッダフロッグ」が巣くっている |
外郭では水棲モンスターも生息し、水中で戦うことになる。水中では敵との距離だけでなく水深もうまくあわせないとなかなか攻撃が届かない |
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船着場の船乗り。今回「RO2」で登場したNPCは全員何かしらの武器を携えている |
マーマン島では、魚の形をした家々が連なっている。住人のキャラクタには出会わなかったが、半漁人が棲息しているのだろうか |
灯台最上階。アクション性が高く、ジャンプが届くところであれば柵の上など高いところに乗ることができる。落下ダメージは無いようだ |
■ インターフェイスはFPSスタイルを採用。キーボードのみの操作も可能
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右下にあるHP、SPの左脇に第3のゲージ「レタリスポイント(LP)」が加わった。攻撃スキルには攻撃時にLPが溜まるスキルと1度に放出するスキルがある。LPが溜まったところで、LPを消費する攻撃スキルを使えば大ダメージが期待できる
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今回のβテストで大きな驚きだったのはインターフェイスだ。「RO2」ではインターフェイスを完全に刷新し、対象マスをクリックして移動を行なうマウス主体の方式から、キーボードに設定された移動キーで前後左右方向に移動する方式に変わった。
具体的には、「WASD」キーで前後左右の移動、スペースキーでジャンプ、「Q」キーで装備変更と、あたかも「Counter-Strike」のようなFPSらしい操作体系となっている。また、テンキーで視点移動も行なえるため、ゲームの操作をすべてキーボードだけで行なうことも可能だ。
ただ、実際のプレイでは、テンキーでの視点変更はまったりしてるため、右手はマウスに置き右クリックで方向転換やカメラワークの変化に、ターゲットの指定は左クリックを使って行なうほうがスムーズだ。
「RO2」では、相手にしっかり攻撃をヒットさせるためには、ターゲットとの距離や自分の位置、体の向きを常に考えながら操作しなければならない。しかし、「RO2」では、ターゲットをロックするようなコマンドが用意されていないため、特に3DMMORPGの未経験は、「RO2」の戦闘モードは慣れるまでに時間がかかるかもしれない。
また、常に操作に動きを求められる戦闘システムを採用しているため、ラグの影響をモロに受ける。とりわけ銃のエキスパートであるリクルートにいたっては、パフォーマンスを確保しつつ正確な射撃を行なうために1人称視点モードがあってもいいのではないかとすら思えた。エキスパートは銃を得意とする反面、敵に距離を詰められると途端に不利になる。こうした職業をプレイするユーザーは、回線環境にも気を配る必要がありそうだ。
【コマンド一覧表】 |
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「RO2」のコマンド一覧。戦闘と移動を繰り返すかなり忙しいプレイになる。スキルショートカットは数字の1~9キーに割り当てられる。日本語訳は筆者の独自訳なので、ガンホーからリリースが予定されている日本語版では変わる可能性があるので参考程度にとどめておいてもらいたい。
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■ 「RO1」のキャラクタに命を吹き込まれた「RO2」の世界。モンスターとのディープな戦いにも期待
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サーバークローズ直前の街の様子。記念撮影に興じるテスター達。早速強力な装備を身につけているユーザーもいれば、転職できずに終わってしまったユーザーも目立つ
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本作のプレイを通じた感想として、キャラクタ自身がかわいらしくなったばかりでなく、敵が一定の場所で沸くことや、エリア内部の狩場と狩場の空間をゆったりと取るなど、ゲーム全体が落ち着いた印象を受けた。
ただ、今回のテストに限ってはエリアの数に比べてユーザーの数が圧倒的に多かったため、街の近くの敵は沸くたびにたこ殴りにされるような逆の意味でカオスな状態だった。「RO1」の狩場のトレンドがより強力かつ敵がうじゃうじゃ現われるというハイエンドユーザー向けのアップデートを繰り返しているため、そうした意味も踏まえて小奇麗な印象を受けた。今回のテストではアクティブモンスターは登場しないなど、世界観的に見てまだまだ入り口に過ぎないが、強力なモンスターを仲間たちと共闘して倒すといった姿をいかに表現してくれるのか、大いに期待したいところだ。
また、今回公開された種族はあくまでノーマンだけで、エルフの「Ellr」や戦闘に特化した「Dimago」の2種族の姿は見えていない。これら2種族は、成長システムもまったく異なるという。いまだ実装時期は不明確だが、まだまだユーザー側には「RO2」の世界の入り口が示されたに過ぎないことだけは間違いないようだ。気になる成長システムや転職などの情報について引き続き後編にてじっくりご紹介することにしたい。
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□Gravityのホームページ
http://www.gravity.co.kr/
□「ラグナロクオンライン II」のホームページ
http://www.ragnarok2.co.kr/
□関連情報
【2006年12月25日】Gravity、「ラグナロクオンラインII」のβテストを韓国にて12月27日より開始
武器育成システム、クエスト、職業など最新情報を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061225/ro2cbt.htm
【2006年8月14日】「RO II」プロデューサー パク・ヨンウー氏インタビュー
前作の魅力と反省を活かした新感覚3DMMORPGに
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060814/gr_ro2.htm
【2006年8月13日】Gravity、「ラグナロクオンライン II」の最新バージョンを公開
一新されたモーション、FPS風の操作体系など新要素多数
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060813/grav_ro2.htm
【2006年8月12日】韓国Gravity、「Gravity Festival 2006」をソウルにて開催
「ラグナロクオンラインII」を本格始動、日本はガンホーが獲得
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060812/grav_01.htm
【2005年9月17日】韓国Gravity、「ラグナロクオンライン2」記者懇親会を開催
2はまったく新しい世界観、レベル制アイテムはトレード不可
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050917/tgs_gra2.htm
【2005年9月17日】韓国Gravity、「ラグナロクオンライン2」をプレイアブル出展
発表会には金会長、菅野よう子氏らが出席、年内にもβテスト開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050917/tgs_gra.htm
(2007年1月9日)
[Reported by 三浦尋一]
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