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東京ゲームショウ2005レポート

韓国Gravity、「ラグナロクオンライン2」をプレイアブル出展
発表会には金会長、菅野よう子氏らが出席、年内にもβテスト開始

9月16日~18日開催(16日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

 2年連続の東京ゲームショウへの出展を果たした韓国Gravityは、日本大手メーカーに匹敵する規模のブースを構え、期待の新作MMORPG「ラグナロクオンライン 2」を筆頭に、多くの試遊台を設置して来場者にアピールしていた。本稿では、本邦初公開にしていきなりプレイアブル出展された「ラグナロクオンライン 2」を中心に紹介していく。


■ Unrealエンジンで再現された「ラグナロク」らしい3D世界

発表会に元気な姿を見せたGravity金会長。フォーラムで講演も行なっている
「ラグナロクオンライン2」のグラフィックスの特徴がよくわかるスクリーンショット
ブースや発表会場等に張られていたイメージイラスト。女の子の溌剌とした雰囲気が、同作のイメージを象徴しているようだ
 「ラグナロクオンライン2」は、アジア圏で大成功を収め、GravityのNASDAQ上場の源泉ともなったファンタジーMMORPG「ラグナロクオンライン」の続編に当たるタイトル。新世代のUnrealエンジンによるフル3Dグラフィックスを採用し、「ラグナロクオンライン」の世界観に、最新のグラフィックステクノロジーを盛り込む。

 すでに発表済みの情報を簡単におさらいしておくと、装備にレベル制、クラスチェンジ制を取り入れる「装備成長システム」、キャラクターレベルはそのままに他の職業への転職を可能にする「コンプレックスジョブチェンジシステム」、手足はもちろん、指の関節レベルにまでボーンを組み込み、また顔に関しては瞳、まつげ、唇までが稼働するという「豊かな感情表現」、などが挙げられる。

 注目すべきはなんといってもグラフィックスだが、Unrealエンジンによる最新グラフィックステクノロジーが導入されているといっても、現在主流であるフォトリアルな方向性ではなく、いわゆる「ラグナロクオンライン」らしさである可愛らしさに注力しているのが最大の特徴である。

 詳しくはスクリーンショットを見て頂きたいが、自身の陰影を反映させるセルフシャドウや、高ポリゴンデータをテクスチャ化して取り込むノーマルマップ、そして物理シミュレーションなど、リアリティを向上させるテクニックは使っていない。その代わり、動的LODやバンプマップ、光散乱シミュレーションなど、ファンタジーらしさを盛り上げる演出はふんだんに使っている。

 キャラクタは、一見低ポリゴンのようだが、前述したようにボーンが細部に至るまで細かく設定されており、実によく動く。前作ではすべて静止画だったNPCもすべて3Dポリゴン化されており、ノートとペンを手になにやら書き込んでいたり、手を前に合わせてお辞儀したり、手にしたハンマーを肩に担ぎ上げたり、手の関節までを稼働させることでこれほど表現に豊かさが生まれるものなのかとなかなか驚かされた。

 単にキャラを立たせているだけで、呼吸によって全身が緩やかに動き、前髪、おさげが揺れ、マントやスカートがたなびき、ときおり瞬きをするなど、実に豊かな表情を見せる。感情表現も吹き出しではなく、すべてアニメーションで処理されるようになり、あくびや寝っ転がるといった凝った演出が多数取り入れられている。天下のUnrealエンジンをもっともユニークな使い方をしているコンテンツといっていい。もちろん、これは褒め言葉である。

ようやく公開されたスクリーンショット。静止画ではキャラクタの豊かなアニメーションを伝えられないのが残念。マップのテクスチャの質感も劇的に向上しており、ダンジョンなどはいい雰囲気だ


■ βテストは年内、パブリッシャーは未定のまま

お城風のテントといった感じの「ラグナロクオンライン2」体験コーナー。明日は大勢の来場者で賑わうことが予想される
笑顔で挨拶を行なう同作のBGMを担当する作曲家菅野よう子氏。前作以上にBGMは期待できそうだ
多くの関係者が参加した戦略発表会。GravityがTGSに非常に力を入れていることを伺わせる
 東京ゲームショウ初日の16日は、まさに「ラグナロクオンライン2」尽くしといった印象で、終日試遊台でゲームが体験できただけではなく、午前中は関係者を集めて発表会が開催され、午後には300名が収容できるセミナースペースを使ってより詳しい発表が行なわれた。発表会の参加者はメディアやメーカー関係者が中心となっていたが、韓国からも多数のメディアが詰めかけており、韓国のゲームショウKAMEXに来ているような錯覚を覚えるほどだった。

 試遊台では、同作のスタート地点という「ホドミメス村」の周辺エリアでのプレイが可能だった。職業はノービスで、移動、攻撃といった基本的なアクションを体験できた。チャットボックスに表示されるテキストは一部日本語化され、メニューは英語表記。すでに日本語化作業は進んでいる。

 バトルアニメーションについては、正直なところまだまだ進化の要有りで、動作が軽すぎ、不連続的で、日本のゲーマーを満足させられる水準ではないように思う。顔のデザインについては賛否両論ありそうだが、個人的には絶妙な落としどころのように思った。顔の表情をボーンで表現しているため、これ以上アニメ顔化、あるいはディフォルメ化してしまうと、物理的に人間的表情を維持することが難しくなってしまう。

 午前中の発表会では、Gravityの顔である金正律会長が姿を見せ、久しぶりに挨拶を行なった。ステージには金氏のほか、代表取締役社長尹雄鎮氏、原作者のイ・ミョンジン氏、BGMを担当する菅野よう子氏、ガンホーの森下一喜社長などが出席。手違いで挨拶等はスキップされてしまったようだが、豪華な顔ぶれで「ラグナロクオンライン2」の発表を祝った。

 午後の発表会では、公開済みの情報を含むゲーム内容の紹介やサービススケジュールが発表された。気になる日本に置けるパブリッシャーについては発表されなかったが、森下氏が発表会の席で、改めてGravityを今後も重要なパートナーとして支援していく方針を発表しており、「ラグナロクオンライン」を運営するガンホーによる両作同時運営か、すでに日本でも十分なネームバリューを誇るGravityによる直運営かの2択に絞られたと判断できる。

 新情報としては、選択可能な種族が1種類からNorman、Ellr、Dimagoの3種類に増やされる。Normanは、前作準拠の標準タイプで転職により能力が強化されていく。EllrはNormanとエルフ(?)の混血で魔法特化タイプ、Dimagoは優れた体格を活かし、ソロプレイを得意とするといった特徴がある。

 サービススケジュールは、最後の質疑応答でようやく触れられ、「βサービスを年内に開始する」との回答。その後のスケジュールは未確定なようで、βサービスで様子を見るつもりのようだ。なお、本日よりGravityの東京ゲームショウ特設サイト内において「ラグナロクオンライン2」のβサービステスターの予約受付が開始されている。抽選で200名にβサービス優先参加権が与えられるようだ。日本としては、βテストのスケジュール以前に、パブリッシャーがどこになるのかが注目されるところ。TGSでの発表が見送られたのは少々残念だが、一刻も早い発表を期待したいところだ。

「ラグナロクオンライン2」のイメージイラストとラフスケッチ。牧歌的ファンタジーとでも形容できそうな幅広い層にアピールできる雰囲気だ

□Gravityのホームページ(日本語)
http://www.gravity.co.kr/
□「ラグナロクオンライン2」のホームページ(日本語有り)
http://www.ragnarok2.co.kr
□「東京ゲームショウ特設サイト」のホームページ(日本語有り)
http://www.gravitygamez.com/

(2005年9月17日)

[Reported by 中村聖司]



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