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東京ゲームショウ2005レポート

韓国Gravity、「ラグナロクオンライン2」記者懇親会を開催
2はまったく新しい世界観、レベル制アイテムはトレード不可

9月16日~18日開催(16日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

 韓国Gravityは、東京ゲームショウ2日目の9月17日、幕張メッセ国際会議場において、出展タイトルのクリエイターを集め、記者懇親会を開催した。参加者は韓国プレス中心で、「ラグナロクオンライン2」、「レクイエム」、「スタイリア」の3タイトルが対象だったものの、プレスの関心は予想通り「ラグナロクオンライン2」に集中。質問が相次いだ。本稿では、記者懇親会で新たに判明した「ラグナロクオンライン2」の新事実を紹介していく。

 記者懇親会は、各タイトルの資料は一切提供されない状態で、最初から最後まで質疑応答のスタイルで執り行なわれた。韓国では「ラグナロクオンライン2」、「レクイエム」、「スタイリア」はすでにそれぞれ発表会等が開催され、ある程度まとまった情報が公開されているが、日本では情報公開も出展も初めて。プレスキット等もないため、質問の内容についていくのがやっとだった。Gravityは今回、「世界に楽しさを提供するオンラインゲーム企業」というグローバル企業への躍進に向けた新ビジョンを発表したが、こうした部分はまだまだベンチャー企業らしい荒っぽさを残している印象がある。


■ 1と2はまったく別の世界観、シナリオは完成済み

質問に答える「ラグナロクオンライン2」開発スタッフ。手前が開発チーム長パク・ヨンウー氏
世界観についての質問に答えるリー・ミョウジン氏。シナリオは完成済みという心強い一言も聞けた
サイバーパンク的世界観の一端らしく、今回は武器に銃も用意されている
 さて、記者懇親会には、「ラグナロクオンライン2」のシナリオ担当のリー・ミョウジン氏、開発責任者のパク・ヨンウー氏などが出席。ヨンウー氏は、「シナリオ、背景、戦闘、アイテムなど色々な部分が違う一方で、モンスターやNPCは一部同じものが登場し、コミュニケーションやアバター(キャラクタ)は前作に似たスタイルを採用した」と切り出し、1と2は似てはいるが、あくまで別物である点を強調。

 世界観の繋がりについては、「“プロンテラ”という村は存在するが、世界はまったく別。共通点は“北欧神話をモチーフにしている”という部分だけ。1に比べ文明はより発展し、スチームパンク的、SF的な世界観のもと、人類同士の紛争が発生しているような世界設定になっている」とコメント。前作とは時代的、空間的な結びつきはバッサリ切り捨てていることが明らかになった。

 2には、1のような原作マンガが存在しないが、ユーザーはついてこれるのか、という質問は、世界設定を担当するリー・ミョウジン氏がマイクを握った。ミョウジン氏は、「1のサポートを行ないながら、2の企画をしていた。2のシナリオ、世界観はすでに出来上がっている」と力強くコメントし、「マンガ化の予定などは今のところ無いが、シナリオの一端を紹介するような広告マンガの予定はある」とも。

 要求マシンスペックについては、ノートPCでのながらプレイを2でも継続したいという韓国メディアの提案に対して、ヨンウー氏は「システムスペックを低くすることで、ゲームのクオリティが低くなることはしたくない」と一蹴。1が動く程度のPCの切り捨てを表明した。

 続けて「シェーダーは最小限の使用にとどめたが、テクスチャは高解像度のものを使用」と、プログラマブルシェーダー対応のビデオカードを必須とし、ビデオカードはGeForce 2ではスペック不足で、GeForce FX2以上、メインメモリは512MB以上は必要で、CPUはPentiumIII 800MHz程度では厳しいとの見解を示した。

 こうした見解を裏付けるように本日、Gravityブースのイベントステージでは、イベントの賞品としてGeForce 6600が贈られていた。NVIDIAなどのビデオカードベンダーとのコミュニケーションも相当進んでいると見るべきであり、互換性テストなども始まっているのだろう。2005年水準で言うと、デスクトップだとミドルグレードクラス、ノートだとハイエンドクラス一歩手前といったところだろうか。

 サービススケジュールについては、「開発の視点から言えば」と前置きして、まずは韓国で最初にやり、次いで日本、有料化の際は日韓同時と、まずは日韓でのサービスを予定していることを明らかにした。年内開始が予定されているクローズドβテストについては、日本のユーザーは韓国サーバーに繋いでもらうこともありえるという。ただ、このプランはそれまでに日本のパブリッシャーが決まっていなければの話で、確定後はパブリッシャーとの交渉になるという。

 βテストの具体的なスケジュールについては、「最近のオンラインゲームのクローズドβテストは、完成度が高い状態でスタートすることが多くなっている。昔は完成度が低くても許されたが、今はそうはいかない」と慎重な構えをみせ、完成度を高めてからやりたい考えを明らかにした。ただし、遅くとも年内には始めるという。

 韓国メディアからは、日本のパブリッシャーにガンホーを本命視しつつも、パートナーとしてのガンホーの実力に懸念を示す質問も飛び出した。ヨンウー氏は、「ガンホーが日本でどういう運営をしているのか詳しく知らないが」と前置きした後、「正直にいってGravityもユーザーの評価は高くない。しかし、評判が必ずしも事実とは限らない」とガンホーを擁護。

 続けて、「2は、運営に適したMMORPGになっており、ほとんどの事例は自力で解決できるようになっている。GMに文句をいう機会も減るだろうし、仮に運営が悪くてもゲームができないということはないだろう」と、運営側にとって負担の少ない設計になっていることを明らかにした。

 個人的に「おっ」と思ったのはRMT対策に対するヨンウー氏の回答。同氏によれば、2ではアイテムには2種類があり、ひとつが経験値を獲得しレベルアップできる成長アイテム、もうひとつが既存の非成長アイテムだという。今回はRMTを防ぐ観点から、成長アイテムはトレード不可になっているという。

 つまり、強力な成長アイテムが欲しかったら、自分の努力で手に入れるしかないという考え方だ。対象となるアイテムは、武器、防具、盾など。一方、非成長アイテムは従来通りトレード可で、対象アイテムはアクセサリ類やステータスに変化を及ぼさないアイテムなどになる。アイテムの能力値は固定ではなく、ある程度の変動幅を持たせているようだ。

 最後にレベル上げについての質問もあった。2のレベル上げは、前作に比べ作業量的に易しくなっているという。また今回はすぐ1次職への転職が可能なため、ジョブレベルを上げやすいという。ヨンウー氏は、2の新システムのひとつであるコンプレックスジョブチェンジシステムを取り上げ、今回は服を着替えるように容易に転職が可能であることを強調。グラフィックスやアニメーションだけでなく、意欲的な新システムを数多く盛り込んだ「ラグナロクオンライン2」。βテストが待ち遠しい限りだ。

比較的2日目はじっくりと実機に触れることができたので、インプレッションを追加しておきたい。先日のレポートでも触れたように、顔の表情が絶えず動くため、生き生きとした印象を受ける。ズームインズームアウトはかなりの余裕があり、最大までズームアウトすると、キャラクタは前作以上に小さくなるほど。背負ったポリンリュックが可愛らしい

フィールドと街のゾーンはシームレスで繋がっており、このあたりは「リネージュII」に近い印象。奥行きの描画はかなり深いため、視点変更の際には処理落ちも確認できた。ビデオメモリがたっぷり必要な印象だ

行動の自由度はすこぶる高い。左から順にジャンプして階段の手すりに乗っかった状態、街の中を流れる川に飛び込んで泳いでいるシーン、そして地面にしゃがみ込んでいるシーン。しゃがむと自動でアニメーションするようになり、背伸びをしたり、口に手を当ててあくびをしたりする

2度しゃがむと寝っ転がる。こちらも自動アニメーション状態となり、寝返りを打つ。岩にジャンプでよじ登り、その上で寝っ転がってみたが、得も言われぬ「ラグナロクオンライン」らしさがある映像になった

□Gravityのホームページ(日本語)
http://www.gravity.co.kr/
□「ラグナロクオンライン2」のホームページ(日本語有り)
http://www.ragnarok2.co.kr
□「東京ゲームショウ特設サイト」のホームページ(日本語有り)
http://www.gravitygamez.com/
□関連情報
【9月17日】韓国Gravity、「ラグナロクオンライン2」をプレイアブル出展
発表会には金会長、菅野よう子氏らが出席、年内にもβテスト開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050917/tgs_gra.htm

(2005年9月17日)

[Reported by 中村聖司]



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