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会場:COEX太平洋ホール
入場料:無料
「Gravity Festival 2006」では、「ラグナロクオンライン II」のプレイアブル出展は残念ながら見送られてしまったが、開発の進捗を伝える最新映像が公開されたほか、同作プロデューサー パク・ヨンウー氏によるゲーム概要の紹介、サウンドを担当する菅野よう子氏の録音風景や、マーケティングプランの概要などが公開された。最盛期で100万以上の有料会員を集めた大作MMORPG「ラグナロクオンライン」の続編がいよいよ本格始動、そんな印象を与えるに十分なイベントだった。
本稿では、パク・ヨンウー氏の紹介やデモ映像を通じて判明した「ラグナロクオンライン II」の基本的なゲームデザインを紹介していきたい。 ■ 前作の“萌え”路線を3D世界で完全再現するための取り組みに注目
グラフィックスは、「リネージュ II」でも採用例のあるUnrealエンジンの最新バージョンを採用し、完全フル3Dで描いている。「ラグナロクオンライン」とはあくまで別のパラレル世界だが、モンスターやNPCは共有しており、公称3,000万人の「ラグナロクオンライン」ユーザーには、一種“懐かしさ”を感じさせつつ、新規ユーザーに対しても最新MMORPGとしてアピールできる魅力を盛り込んでいる。 「ラグナロクオンライン II」プロデューサーのパク・ヨンウー氏は、同作の特徴として、キャラクタ、コミュニティ、カジュアル、フル3Dの4つの項目を挙げた。 まず「キャラクタ」は、前作の魅力を受け継ぎ、親しみやすく可愛らしいドット絵キャラを3Dポリゴンキャラクタとして新しく蘇らせている。2Dから3Dへとリアルな方向へ進化させたことで、そのままでは人形のようになってしまうため、ビジュアル的な可愛らしさは維持しつつ、リアル系MMORPGのキャラクタを凌駕する高ポリゴンとボーンを組み込み、指の1本1本の動きから、瞳、まつげ、唇まで稼働するようになっている。これらの取り組みにより、前作では吹き出しでしか表現できなかった感情表現が、ワンキーで表情豊かに再現できるようになる。これは「ラグナロクオンライン II」の大きなウリのひとつになるだろう。 すでにノーマンと呼ばれる人間型キャラクタは東京ゲームショウで公開済みだが、パク氏の話によれば、公開後に社内とユーザーから一番重要となる顔が、「怖い」、「可愛くない」という意見が相次いだため、微妙に顔の表情を変えている。掲載した比較画面を見比べれば一目瞭然だが、確かに新しいバージョンのほうがより親しみやすい表情といえる。 また、キャラクタに関して特筆しておきたいのはキャラクタのモーションである。TGSバージョンでは、モーションのクオリティ、そのパターン共に、人型キャラのアクションだと認識できるぎりぎりの水準になっており、一言で言えば単調でカクカクしていた。 モーションについては、もともと今後開発する予定だったというが、こうしたモーションに関しても、ユーザーから厳しい意見が相次いだことから、ほぼ全面的に手を入れている。そのことを実感したのは、「Gravity Festival」の開催に先立ち、Gravity本社を訪れ、「ラグナロクオンライン II」開発チームを視察した時だ。 開発スタッフの中に、10名以上のモーションデザイナーがいて、そのうち数人は、モーションチェックを行なっていた。私が見たのは、ウサミミバンドを頭に載せた、白いブラウスに赤いプリーツのスカート姿の女性キャラをサンプルに、ジャンプ中に腰の仕込み刀で相手を居合い切りするという一連のモーション。ワイヤーフレームを表示し、1フレームずつチェックを行なっていた。 これがスキルによる特殊攻撃なのか、通常攻撃なのかは不明だが、ウサミミの揺れ、両手、両足の動き、武器の動線、そして着地時のスカートの“ふんわり感”までをトータルでチェックしており、モーションの細かさもさることながら、そのこだわりぶりに驚かされた。いわゆる萌えキャラに、いかに自然で格好いいアクションをさせるかということに、きわめて真面目に取り組んでいる。このまま順調に開発が進めば、韓国産ではもっとも優れたキャラクタモーションを備えたMMORPGになりそうだ。
■ FPSスタイルの操作体系と、3Dを活かしたバトルシステム
具体的には、W、A、S、Dキーでキャラを操作し、スペースキーでジャンプ、マウス操作で画面視点の変更、左右クリックでアクションとなる。パク氏は、インターフェイスをドラスティックに変更した理由について、「マウスが移動と攻撃を兼ねていては、移動しながら攻撃できないから」という明快な回答を出している。 「ラグナロクオンライン II」では操作体系ではなく、実際の戦闘においてFPSライクなゲームシステムを採用している。FPSライクな操作体系を採用したことで、日本のアクションゲームや欧米のFPSではポピュラーな、視点は敵に合わせつつ回り込み移動をするといったことが簡単に行なえるようになる。 また、このシステムを活かすべく、攻撃がヒットした部位、向きによって与えるダメージが変わるダメージマッピングシステムも採用する。これにより、パーティープレイの際に、アタッカーの位置取りに意味が生まれる。日本を含む欧米産の3DMMORPGでは、新しい考え方ではないが、3D化されてもなおマウス主体のインターフェイスが大半を占める韓国では、きわめて斬新な考え方だ。 そして「コミュニティ」については、Webサイトやブログとの連携を考えており、ゲーム内だけでなくゲーム外コミュニティにも対応していくという。具体的な構想については明らかにしていない。 「カジュアル」については、カジュアルゲーム化するということではなく、前作に比べてゲーム性をカジュアルな方向にシフトすることを意味している。たとえば、前作の大きなウリであり、そしてまたビギナーには敷居が高すぎる要素として批判の対象でもあったカードシステムを全廃する。これはカードのようなレアアイテムがなくても十分に楽しめるゲームデザインにしていく考えである。 なお、動作環境もようやく公開された。推奨動作環境が、Pentium 4 2.4GHz以上、メインメモリ1GB以上、GeForce FX 5700以上/Radeon 9000以上、ビデオメモリ128MB以上と、ほぼ現行の3DMMORPGの水準となっている。現在、3DMMORPGをプレイしているユーザーは買い換え不要だが、「ラグナロクオンライン」が動く程度のPCでは、満足なゲームプレイは難しそうだ。 「ラグナロクオンライン II」は、2005年末に一度βテストを予定していただけあって、基本的なゲームデザインはほぼ固まっている。あとは関連パブリッシャーとの正式契約が完了し、経営陣がゴーサインを出すのみといった印象だ。早ければ2006年内、遅くとも2007年前半には韓国はもちろん、日本のプレーヤーも触れられる機会が来るかもしれない。日本でも大ヒットしたタイトルの続編だけに、完成が待ち望まれるところだ。
□Gravityのホームページ
□「Gravity Festival 2006」のホームページ (2006年8月13日) [Reported by 中村聖司]
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