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会場:Gravity本社
ちなみにGravityは、14日月曜日、「Gravity Festival 2006」に関するプレスリリースを出し、「ラグナロクオンライン II」の契約調印式で、5カ国のパブリッシャーとMOU(覚え書)を交わしたことにより、4,600万ドルの海外輸出金額を記録したと発表した。これは5カ国の契約金とミニマムギャランティーの総計額で、これは韓国ゲーム業界では史上最大規模とのことだ。 国ごとの金額は未公表としているが、単純に5で割れば920万ドル(約10億7,000万円)にも上る。ちなみにMMORPGの契約金は、完全にブラックボックスで、数千万から数十億と言われる。1国当たり10億という数字が高いか安か、本当か否かは別として、いずれにしてもきわめて大きなビジネスであることがわかる。
その高額コンテンツは、現在どのような状況にあり、最終的にどのようなMMORPGになろうとしているのか。現場の責任者であるパク氏に話を伺ってみた。 ■ 韓国で「ラグナロクオンライン II」が初公開。現在の開発状況について
Park氏: 基本的に、昨年の東京ゲームショー2006(以下TGS)と同じような出展内容となります。韓国のユーザーの皆さんにそれなりの内容のものをお見せできる初めての機会になります。外面的にはそれほど変化は無いように見えますが、システム的にはかなり変更されています。 編: 特にどのあたりが前回発表されたものから変更されているのでしょうか? Park氏: キャラクタのデザインが変わり、だいぶ可愛らしくなったと思います。TGSでキャラクタデザインを発表した際には、ユーザーの皆さんから怖いという評価を受けました。私も現在の可愛いキャラクタを見て、昔のものを見ると、確かに「マジで怖いな」と思ってしまいます(笑)。まだ今回は公開していませんが、Norman以外の種族もすべてキャラクタデザインを変更しています。 そのほかに、操作体系をFPSのようにキーボードでキャラクタを操作するスタイルを採用しました。これによって、移動しながら、自由に視点を変更したり、攻撃を仕掛けたりすることが可能になり、バトルシーンが大幅に変わります。また、モンスターを攻撃する際に相手との距離、向きによってダメージが変わるなど、キャラクタコントロールに関するシステムに大幅な変更を加えました。 編: 現在、一番開発に力を入れている部分はどのあたりでしょうか? Park氏: 今一番「RO2」に足りないものは、経済システムが完成していないというところでしょうか。プレーヤー間のトレードを含めて、どういった経済の流れを作っていくかという部分が未完成です。 他にチャットによるコミュニティインターフェイスに問題を感じています。2Dから3Dになったことによって、当然ですが操作体系が変わっています。チャットをするシチュエーションは2通り考えていて、1つは仲間と集まって、おしゃべりする。これは特に問題になりません。2つ目は移動中や戦闘中です。 ギルドのメンバーなどに戦闘中でコマンド入力に忙しい中に話しかけられるととても両方の操作が追いつかないので、おしゃべりの内容をショートカットの中に収めて応じやすいようにしたり、戦闘中の動作を収めたりということで解決を図ろうと思っています。コミュニティシステムに関連するところでは、ゲーム内からWebブラウザと連動するといったことを考えています。 編: 「RO2」がWebブラウザが連動すると何が楽しめますか? Park氏: ブログやホームページと連動することで、コミュニティをゲーム外にも広げることができます。最初はゲーム内でブログやホームページをユーザーが作成でき、さらに外のWebとも連動できるようにしたいと思っていましたが、大容量サーバーを用意しなければならず、費用的に厳しいということになりました。最終的には、ゲーム外のブログやホームページと連動させることになりました。 編: 肝心のストーリーは完成しているのでしょうか。 Park氏: はい。ストーリーはほとんどできてはいるのですが、クエストのバランスの調整がまだですね。 編: リ・ミョウジン氏は今はどのような業務をされているのでしょうか。 Park氏: 昨年2月からほとんどの業務に関わっています。主にアートディレクター的な位置づけになります。 編: 菅野よう子氏が「RO2」の楽曲を担当していますが、完成したのでしょうか。また、お聞きになっていかがでしょうか。 Park氏: はい。とても良いと思います。前作と比べ、趣を追求した曲調になっています。
■ 「ラグナロクオンライン II」が目指すMMORPG像とは何か?
Park氏: なんといっても“可愛い”というのが基本コンセプトです。それはプレーヤーキャラクタが可愛いというだけでなく、NPCやモンスターなど隅々にまで可愛いと感じさせる要素をちりばめています。 編: 「RO2」のユーザーは、元「RO」のユーザーが多いと思います。 Park氏: そのことはもちろん念頭に置いた上で、いろいろなアイテムやキャラクタといった「RO」の魅力を活かしたゲームに仕上げたいと考えています。「RO」をただ単に3DにしたようなMMORPGを作るつもりはありません。 編: 「RO」の人気の1つにカードによる強化システムがありますが、「RO2」ではどうなるのでしょうか。 Park氏: 「RO」のようなカードによる強化システムは、今のところ採用は考えていません。確かに良いシステムですし、ユーザーの評判も良かったです。しかし問題点として、レアなカードが常に無いとゲームのモチベーションを保てないといったところがあって、それは公平性という観点から問題があるのではないかと思います。「RO2」ではそれに代わるシステムを用意しています。 編: 「RO2」では、装備品がレベルアップするというシステムを発表されていますね。 Park氏: はい。カードのようなシステムに近いところで、武器による成長システムがあります。TGSでは武器に加えて、防具の成長システムについて話しました。しかし、現在は武器だけが成長するシステムに変更されています。すべての装備が成長するというシステムは、メモリの容量に問題がありまして、修正することにしました。 編: その新しい武器による成長システムについて教えてください。 Park氏: 「RO2」の武器は、キャラクタと一緒に成長するという要素を持っています。キャラクタは、世界に誕生する際に、武器ひとつ持った状態で生まれます。その武器をずっと使い続けることにより成長していきます。戦闘を経験することによってレベルが上がり、強くなったり、形が変わったりしていきます。 編: 持てる武器というのは1つだけなのでしょうか。 Park氏: 最初は1つだけですが、ゲームの進行によって最大5つまで持つことができます。 編: そうすると「RO」や、他のMMORPGであるようなレアドロップアイテムを集める楽しさはなくなってしまうのでしょうか? Park氏: いい質問です。武器以外の装備品は敵からドロップしますので、そうした意味で面白さがなくなるということはないと思います。また、「RO」では防具の装備することによるメリットは、単に防御力が上がるだけでしたが、「RO2」では防具を装備することによって、たとえば、手首につける装備だったら攻撃力が上がったり、マントだと回避率が上がったりといった形になります。 編: 装備できる箇所というのは何箇所になるになるのでしょうか。 Park氏: プレーヤーの外見に反映されるのは8箇所です。反映されないものも含めると全体で18箇所となります。各箇所への装備でいろいろなステータスをあげることができます。 編: 所有する武器を二本同時に持つ、いわゆる二刀流はできるのでしょうか? Park氏: 一応機能としては持っていますが、実装するかどうかは現在検討中です。 編: 攻城戦についてはいかがでしょうか。 Park氏: 攻城戦を盛り込むことは考えていません。すべてのユーザーが1つの目標だけでゲームを楽しんでいるわけではありません。キャラクタの成長を楽しむ人もいれば、仲間を募ってコミュニティの成長に楽しみを見出す人もいると思います。自由な雰囲気のゲームにしていきたいと思っています。 編: しかし、「RO」では、攻城戦の人気は非常に高いですよね。これを敢えて断つというのはどういう理由があるのでしょうか。 Park氏: 攻城戦はありませんが、PvP自体は用意します。また、攻城戦もまったく考えていないわけではありません。実は「RO」の反省から、もっとよりよい形での攻城戦のシステムを作っていきたいという希望がありまして、しかしそれにはちょっと時間が掛かりそうなので、攻城戦は後回しにして、まずはゲームを完成させることを考えています。ちなみにPvPシステムは、3Dグラフィックスを採用したことで随分と進化を遂げています。高低差を利用して上から下に石を落としたり、逆に投げ返したりといったシチュエーションもあります。 編: PvPは、同時に何人で対戦可能なのでしょう? Park氏: 人数制限はありません。決められた場所以外では自由にPvPができます。 編: そうするとPKも可能なのでしょうか? Park氏: 現在はテストバージョンなのでどこでもPvPができるようなシステムになっていますが、実際のサービスでは制限された場所のみでPKができるようなゲームになる予定です。
■ ビジネスモデルは月額制をベースに、ライフスタイルに合わせてバリエーションを用意
Park氏: いろいろと理由が挙げられますが、まずはなんといっても高い完成度を目指しているということです。海外向けの対応や、一部のエンジンの切り替えがありました。経営陣が入れ替わったことにより、スタッフに異動が生じたことも挙げられます。 編: ベータテストの開始はいつになるでしょう? Park氏: ロードマップはできています。しかし前回、間に合わなかったという前科がありますので、しばらくは申し上げられませんね。 編: 課金方法を含めてどのようなビジネスモデルになるのでしょうか。 Park氏: ビジネスモデルに関しては経営陣で決める問題ですので、私にはなんとも申し上げられません。しかし、個人的な意見としては、部分課金やアイテム課金という方式は取りたくありません。できることなら各ユーザーのライフスタイルに合わせた形、具体的には定額制による課金体系が望ましいと思います。その定額制の中でいくつかバリエーションを設ける、そういう風にしたいと思います。 編: 「RO2」のリリースが遅れる中、次々に3DのMMORPGがリリースされています。 Park氏: 良いゲームも出ていますが、それに関してはあまり気にしていません。あくまで「RO」の強みを活かして開発を進めていっています。 編: 最近リリースしたゲームでいいなと思ったものはありますか。 Park氏: 昨年もお伝えしたような気がしますが、1番は「World of Warcraft」です。長所も短所もありますが、ゲームのクエストやアイテムが豊富で、アイテム作成のバリエーションが厚いという点が素晴らしいです。結果的にシングルプレイのようにも遊べるというのも面白いです。残念な点としては、装備品の持ちがよくなく、すぐにダメになってしまうことでしょうか。 編: TGSで「RO2」を見た日本のユーザーさんも多かったと思います。大分時間が経ってしまっていますが、日本のユーザーさんに一言お願いします。 Park氏: サービススケジュールという大事な約束を破ってしまったことは申し訳なく思っています。また、今回リリース時期についてハッキリしたことを申し上げられないのは、よりよい完成度を目指してのことですので大目に見ていただければと思います。 Ha氏: 待たされたユーザーさんには、待たされた分だけ報われるような良いゲームを作っていきますのでよろしくお願いします。 編: ありがとうございます。
□Gravityのホームページ (2006年8月14日) [Reported by 中村聖司]
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