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会場:コーエー本社
「信長の野望 Online」ではこれまでプレイ範囲を広げる新システムの導入と冒険テージの追加は拡張パックで一度に行ない、プレイアビリティーの向上仕様や調整を定期アップデートで行ない、拡張パックコンテンツ全体の完成度を高めていくというアプローチで、約5年間運営を続けてきた。 9月17日発表されたのは、要するにその方法論を捨て、新しいやり方で「信長の野望」を展開していくという意思表示に他ならない。公式ページでは、「拡張パック導入のタイミングまでコンテンツの追加を待たせることなく、調整に止まらない追加コンテンツの導入を10月と今冬に実行する」という刺激的な文言が並んでいる。
このアップデートの基本方針を覆した意図、そして今回のインタビューで明らかになったキャラクタレベル60というレベルキャップをついに解放するという大変革を含めた追加コンテンツの全貌を知るために「信長の野望Online」の開発と運営チームのトップに緊急インタビューを行ってきた。
■ アップデート計画の方針変更は「運営と開発の総意」
山中氏: 拡張パック「争覇の章」発表会で「今後も拡張パックをリリースし、必要に応じて調整を行っていく」とこれまでの運営方針が変わらないことをアナウンスしたことは御記憶に新しいと思います。ですが、争覇の章をリリースして半年経ち、現状と皆様の声を分析してみると、拡張パックまで長い間新規要素が無いという運営方針だけではお客様の気持ちを繋ぎ止めていけないと強く感じました。そこでプレーヤーの皆さんからの声に柔軟に対応し、既存の運営方針に捉われず、拡張パックまでお待たせすることなく、追加要素と調整のアップデートを行なっていくようにしたほうがよいだろう、と運営と開発の総意が固まったからです。 編: アップデート時期はもう決まっているのですか? 渡辺氏: 第1弾が10月内、第2弾が今冬を予定しております。 編: 一報を聞いたときは「大航海時代Online」のように3~4カ月に1度のアップデートを行なう方針に近いと感じたのですが、アップデートのスパンは決まっているのでしょうか? 山中氏: いえ、10月と今冬のアップデートの先は、まだ決まっていません。今までとは路線がちょっと違う、必要性に応じたアップデートの投入タイミングを計るということになるとおもいます。 編: 混乱を避けるため伺っておきますが、拡張パックのコンテンツは、拡張パックとして残すのですよね? 山中氏: もちろんそうです。拡張パックと並行して追加アップデートを作っていく予定です。 編: その追加アップデートは、拡張パックの「争覇の章」のように、~の章というような呼称は設定されるのですか?
渡辺氏: チャプターという位置づけではありませんので、基本は「争覇の章」なのですが、せっかくですのでアップデートの呼称は付ける予定でいます。開発内では案を出していますが、これはどうなの、ってネーミングが多いです(一度笑)。現在選考中です。
■ 10月の第1弾アップデートでは“小人数で攻略可能なコンテンツ”を導入
山中氏: 「争覇の章」において、上級者は九州三国志や高千穂といった攻略コンテンツをどんどん攻略し、初心者・中級者は初心者ゾーンの隠れ里や中級者クエストという目標があります。ちょうどその中間層が、上級者についていけずに根を上げてしまったという声が多く聞かれました。そこで今回は成長支援要素という形で中間層のプレーヤーが楽しんでいただけるコンテンツを用意することにしました。 編: では、その成長支援要素というのはダンジョン攻略といった類の物なのでしょうか? 渡辺氏: ダンジョン攻略ではあるのですけど、今までのダンジョン攻略は、すごく時間がかかるじゃないですか。時間がないユーザーでも、毎日少しずつでも進めていけるような攻略要素を実装していきたいと思っています。この攻略要素で、遊ぶ時間が取れないせいで九州三国志のように時間のかかるコンテンツに参加できなかったユーザーが育成支援をしやすくなると思います。 編: それは佐渡金山や地獄谷といった既存のダンジョンを活用する形でしょうか? それとも新しくゾーンを作るのですか? 渡辺氏: 既存ダンジョンを活用します。短時間で、なおかつ毎日の継続が楽しめるようなコンテンツを目指しています。 編: ですが、現状のダンジョン攻略というのは「徒党員(パーティーメンバー)を集める」というプロセスが不可欠な訳で、そこの勧誘や必要職の調整などでどうしても時間がかかっています。それを考えると、短時間のダンジョン攻略は成り立たないと思うのですが……。 山中氏: 確かにその通りです。そこで、発想を変えて、小人数でも攻略できるクエストにしてメンバー募集の時間コストを抑えるという方向に落ち着きました。 編: 2人とか3人とか、場合によってはソロでも可能なような? 山中氏: 現在調整中なのでそこまでははっきり言えません。 編: 7人フルメンバーでいなくても攻略可能、ということですね(笑)。以前のインタビューではカジュアル化の風潮に対応した小人数でも遊べるコンテンツは拡張パックで導入予定とのことでしたが、それが前倒しになった形ですね。たしかに大きな変革です。 渡辺氏: 「争覇の章で」では攻略をメインにした感じですが、攻略を毎日遊ぶと正直しんどいというイメージが定着してしまったと思うんですよ。そこで気軽に遊べるという要素を緊急に追加する必要があると思っています。のんびりとしたいときもあるでしょうし。 編: 小人数編成でも可能ということですが、それでも職業のバランスというのはどうしても噴出してくると思うのですが? 渡辺氏: そこは職業に関係ないコンテンツにしていきます。考え方としては、難易度を低くすることで、必要職を限定する必要がなくなるというものです。 編: たとえば、同じ忍者なのに特化・暗殺術のキャラばかり勧誘される、というような話は、新規コンテンツでなくなるわけですね(笑)。 渡辺氏: そうです。職種・特化に関係なく毎日楽しめるものです。 山中氏: 効率の良い敵の倒し方が求められた結果、職縛りという問題が起きてしまう。効率の良い敵の倒し方その物が悪いのではなく、効率を無視して遊べるような要素、バリエーション不足が問題なのではないかと思いました。そこでこの小人数クエストを実装に至ったわけです。 編: 今は、九州三国志ならボス討伐を繰り返すのが効率の良い稼ぎになっていますが、そうした稼ぎができるコンテンツを増やしていくと? 山中氏: そうですね。ミッション形式で、毎回新鮮な面白さがあるコンテンツを目指しています。 編: わかりました。期待しております。もうひとつの追加要素であるコミュニティ支援要素とは何でしょうか? 渡辺氏: 以前からチャット機能の拡充は検討していたのですが、それが延び延びになってしまいました。もっとユーザーの使いやすい形にチャットをアップデートしていきたいと思いまして実現に漕ぎつけました。 編: 「大声」や「周囲」のようなチャットの種類が増えるということでしょうか? 渡辺氏: つまりは「集団会話のマルチチャンネル化」ということになります。 山中氏: 集団会話にはギルドチャットに近いところがあるのですが、そのため現状では、ひとつの集団会話にしか参加できないことで不都合が生じていました。これまでは、例えば友人たちと集団会話をしていたとして、勢力のユーザーが参加する合戦の集団会話などに移る場合、友だちとの集団会話を離脱してから合戦集団会話に移るようになります。そうすると友人たちとの私設チャットがガラガラになってしまうという状況がありました。そういうことが起きないように。集団会話に複数入れるようにします。 渡辺氏: また、今まではプレーヤーの口コミだけで「こんなテーマで集団会話やってます」ということを広めていたのでそれはちょっと使い勝手が悪過ぎるだろうと反省しました。「今現在どういった集団会話が開かれているか?」ということはユーザーの皆さんが最も知りたいところだと思います。そこで、集団会話のリストが出てきてそこに入れるようにする予定です。
■ ハードルの高い生産コンテンツのケアも行なう
渡辺氏: 「争覇の章」で導入したコンテンツの調整は必ず入れます。特に、敷居が高くなっているコンテンツをケアしたいと思っています。 編: 敷居が高いコンテンツとは具体的に何ですか? 渡辺氏: 生産です。クエスト攻略に重点が置かれている現状で、生産という経済要素を調整することで、ゲームがうまく循環していくことに期待を寄せています。 編: 上位生産に必要なアイテムが流通しやすくなる修正なのですか? 渡辺氏: 現時点ではまだあまり詳しくはお伝えできないのですが、それも含めて生産のハードルを下げて、今まで生産を楽しまれない方たちにも興味を持っていただけるような「生産の成長支援」と言えるような修正を目指しています。 編: 生産の成長支援というと、ストレートに「生産修得値二倍」キャンペーンなどが思い出されますが……。 渡辺氏: 生産育成支援は度々行なわれてきましたけど、それだけではやはり生産自体に興味をもたれない方にはなかなか届きませんでした。その方達にも生産に振り向いていただけるような仕掛けは何度か試みて来たのですが、ここでようやく形になりそうな感じです。続報にご期待ください。 編: 第1弾アップデートは10月中ということですが、具体的な日程は? 渡辺氏: まだ決まっていませんが、必ず10月中にアップデートを行ないます。 編: この第1弾アップデートに先駆けて、9月中にイベントを開催するそうですね。 山中氏: 第一弾アップデートが先行して遊べるようなイベントではないのですが、違う形での成長支援として、イベント形式で成長アイテムを配布する予定です。 編: 強化武器系アイテムの配布ですか?
山中氏: 成長途上のキャラクタを持つプレーヤーの皆さんにはステータスアップ系のアイテム、もっとキャラクタを強化したい皆さんには装備強化系のアイテムなど、ある程度ニーズに沿ったものになると思います。このアイテムを使ってキャラクタを成長させることで、行きたかった場所にいけるようになったりなど、より「信長の野望 Online」をたのしんでいただけるような内容になると思います。 ■ ついにレベルキャップ解放! 第2弾アップデートの詳細に迫る
山中氏: まずはレベルキャップの開放ですね。最大レベルの60に到達しているプレーヤーキャラクタが多くいる現状で、潜在能力でのステータス強化も最大に近くなったキャラクタもいらっしゃいます。その人たちのために、レベルキャップの開放は必要であると思いました。レベルキャップの開放の前に、第一弾アップデートの成長支援要素でレベル60に多くのユーザーさんに到達してもらえるように土台を作っておきます。 編: なるほど。レベルは60からどれくらいの数値まで開放されるのでしょう? 渡辺氏: 検討中です。レベルの上限が上がったとき、コンテンツの消化の早さにどう影響するかなどをシミュレートしないといけませんから慎重に検証しています。 編: なるほど。では、成長要素はレベルキャップの開放のみですか? 渡辺氏: いえ、まだほかにも新要素はあります。詳しくはお話できないのですが…… 編: では、話せる範囲まで(笑)。例えば、熟練度のような経験とは別の要素なのですよね? 渡辺氏: そうですね、新しい成長余地が追加されるイメージです。能力が上がるというところにも繋がります。どちらかというと、プレーヤーがキャラクタをカスタマイズして特色を出せるような形にしていきたいかと。例えば、侍なら特化能力という形で形態が分その特化をさらに自分の思い通りに変化させていくことができるような……。 編: では、戦闘後の経験や熟練のような入手物がまた一種類増えるのでしょうか? 渡辺氏: そうですね。毎回の戦闘で積み重ねていったもので追加されたパラメータを伸ばしてカスタマイズします。 編: かなり職業が細分化されて成長が面白くなりそうですね。第2弾アップデートでは、他にどのような要素が追加されますか? 山中氏: ゾーンの追加を予定しております。ゾーンというか狩り場所ですね。 編: 既存のフィールドに狩りに丁度良い敵を置く、という感じでしょうか? 渡辺氏: それとはちょっとニュアンスが違います。狩り場というよりも冒険の場所といったほうが正しいかもしれません。どんどん上を目指していけるようなリプレイ性の高いコンテンツを予定しています。レベル60以上の攻略要素。高レベル帯の方たちに活躍の場を与ご提供すると同時に、成長を楽しんでいただけるコンテンツです。 山中氏: 方向性としては、争覇の章で九州三国志と高千穂を入れて、そこが攻略コンテンツの頂点となっているわけです。その頂点を一つだけでなく、複数にしてみてはどうか、ということなんです。そのコンテンツを進めていくことで、お好みのキャラクタを作り上げることにも繋がっていきます。 編: 追加アップデートの成功を期待しております。最後に「信長の野望 Online」ユーザーに向けてメッセージをお願いいたします。 山中氏: 「争覇の章」をリリースしてから、プレーヤー皆さんからお叱りの声をいただいたものがありました。合戦、九州三国志、高千穂等と、他のコンテンツとの親和性がないというか「気持ちよくない」というのがありまして、それに対して8月にアップデートで対応させていただきました。今後もこのような形でアップデートを続けて、皆様が楽しめる「信長の野望 Online」の世界を作っていくことをお約束します。運営側も皆様の声を開発にしっかりと情報として届け、我々の守備範囲であるイベント運営に力を注いでいきたいと思います。よろしくお願いいたします。 渡辺氏: 「争覇の章」の調整が8月にまで遅れてしまったというのは、大変申し訳なく思っています。「信長の野望 Online」を良くしていきたい、さまざまなニーズに応えるべく、分析を深めてアップデートを進めていきたいと思います。既存の拡張パックで追加要素を出す、という形式にこだわらず、今回のような追加要素を必要なタイミングで投入していける体制を整えていきたいと思います。 編: ありがとうございました。
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□コーエーのホームページ (2008年9月19日) [Reported by 福田雄一郎]
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