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本稿では、βプレビューに先がけて実施された体験会から、同作の最新情報をお伝えする。明らかになったゲームシステム、ゲームの雰囲気……。あわせて、開発室の雰囲気も紹介したい。
■ プレーヤーをぐっと「女神転生」の世界に引き込むバーチャルルームでの戦闘訓練
今回触れることができた部分は、ゲームとしてほんの入口に過ぎない。まず、キャラクタ作成では、パーツごとのバリエーションはそう多くはないが、男、女それぞれでちょっと奇抜なスタイルも追求できそうだ。 基本武器は長刀、ハンマー、ナイフの3種類から選択する。これらは見た目、性能共に異なるというが、その差はキャラメイク画面では確認できなかった。また、「メガテン」お馴染みの存在であるCOMP(ハンドヘルドコンピューター)もおなじみの手に直接キーボードがつくものと、手錠のような形状のものが選べる。基本の要素から「女神転生」の要素がにじみ出ており、ファンにはたまらない要素だ。 キャラクタを作成することでいよいよ第3ホームへ最初の一歩を踏み出すこととなる。プレーヤーを最初に出迎えるのはデビルバスターの教官である「スネークマン」との面会シーンからスタートする。彼は、眼帯をつけた白髪の老人だが、屈強な犬を連れ、「根性見せろ!」といった体育会系のセリフを吐く。プレーヤーは彼の指示のまま、チュートリアルフィールドである「バーチャルトレーニングルーム」に向かうことになる。このトレーニングルームもまた「サイバー空間」を視覚的に表現したいささか古風なバーチャル空間になっており、思わずニヤリとさせられる。何故かエレベーターガールのような姿の案内人がいるのも面白い。 バーチャルルームで体験できるのは、基本的な戦闘方法だ。本作では、敵をクリックしてターゲットを指定し、ダブルクリックで攻撃を行なう。3回連続で攻撃が当たると、敵は大きく吹っ飛ぶ。逆も然りで、雑魚モンスターといえども、油断していると一方的に攻撃されめった打ちにされてしまう。 最初の「スライム」が登場するステージこそ、単純な力押しで倒せるが、次の「ガキ」からは防御コマンドで敵の攻撃をしっかりガードしなくてはならない。コマンドは、ショートカットキーを押すことで発動する。 攻撃と防御の駆け引きに関しては、筆者はネクソンのMMORPG「マビノギ」に近いものを感じた。攻撃をして相手が吹っ飛んだときにあらかじめ防御コマンドを先行入力し、敵の反撃をガードして、そこで生じた隙に反撃、というのが基本戦略になる。決まればとても気持ちがよいが、現在本作のこの駆け引きは多少あやふやに感じた。キャラクタの移動と、モーション、判定がそれぞれフォーカスが甘く、本来シビアな駆け引きを要求するゲームルールに、システムが追いついていない。それもあって、チュートリアルにもかかわらず、ガードがうまくできずに何度も死亡してしまった。
難易度に関しては、単にバランスの問題であり、今後チューニングされていくものと思われるが、駆け引きのあいまいさに関しては、システムの洗練が必要だろう。この戦闘の駆け引きこそ「女神転生 IMAGINE」の根幹をなすものだと感じた。ここをうまく処理することができれば非常に面白く、スピーディーな戦闘が楽しめるのではないか。ここを煮詰めていくことこそ一番求められるものだろう。より一層の進化に期待したい。
■ 荒廃したスギナミで最初の仲魔「ピクシー」を得る
第3ホームでは、現在まだ「邪教の館」は制作中とのことで、それ以外の店には入ることができた。「女神転生」シリーズに登場するNPCは、誰もが具体的なストーリーはなくても、濃密なバックストーリーを感じさせてくれるが、本作もまたその空気を濃密に継承している。うっとりと銃を抱きかかえるウエポンショップの店主袴田、知的な眼鏡とクールな雰囲気がたまらないお姉さんアヤ女医、怪しげな魔法アイテムを売るローブのおっちゃんなど、店全体の雰囲気もチェックするだけで楽しい。 街の外は、倒壊したビルが無惨な姿をさらすスギナミである。フィールドには「ピクシー」と「コダマ」がいる。彼らはアクティブなモンスターではないが、攻撃をすると猛然と反撃をしてくる。ピクシーは攻撃が素早く、コダマは攻撃力が高い。いずれにしても、ガードを取らないと一瞬でやられてしまう。戦闘システムのレスポンスが良くなればずいぶん改善されるとは思うが、このきついゲームバランスには驚かされた。これが「女神転生」ということだろうか。 テストしたキャラクタは、テストバージョンと言うことで実装予定のすべてのスキルを使うことができたが、スキル自体の使い方がまだ把握できていないためか、かなり苦戦してしまった。戦いをくり返すうち、カウンターやディフェンスなどをうまく使うことで駆け引きが楽しめそうだという手応えは掴めたが、実際にはなかなかうまくいかず、レベル1から何度も死んでしまった。おそらくこの難易度は幾分緩和されるものと思われるが、ある程度アクションに自信のあるゲームファンでないと、楽しめないMMORPGになるのかもしれない。 戦闘以外に、「交渉」も楽しむことができた。本作では交渉はスキルと同じようにショートカットに登録し発動させる。最初にピクシーに近付き、「挨拶」。気に入らないと突然攻撃してくるため、瞬時に防御姿勢を取るような緊張感がある。コンセプトではコンボのように交渉スキルを使うことも可能だという。うまく成功すると、ピクシーは光るタマゴ状のオブジェクトに変化する。ダブルクリックをすることで見事「仲魔」にすることに成功した。 次はいよいよ「召喚」である。キャラクタがCOMPを操作してから、光の柱の中から仲魔が出てくる演出が楽しい。仲魔はコマンドで操ることができ、プレーヤーと仲魔で同時に悪魔に攻撃することができる。仲魔と肩を並べて戦うのはなかなか面白い。仲魔との戦闘は同作における大きな楽しみのひとつだ。
今回体験できたのは、これらの、街の散策と戦闘といった部分だった。特に戦闘部分はまだまだこれから徹底的なチューニングが必要だと感じさせられた。ハードルは低いものではないと思うが、越えることができ、快適なプレイが楽しめるようになれば、悪魔と緊張感のある戦いや交渉ができると感じた。このシステムの構築こそが、「女神転生 IMAGINE」のキモであり、最大の課題だろう。βプレビューでの「進化」を期待したい。
開発スタッフの中にはアトラスで「女神転生」シリーズを手がけていた人達も参加しているとのことで、「女神転生 IMAGINE」に息づく濃厚なシリーズの雰囲気も納得させられるものがあった。スタッフ達の机には、デザインや設定の資料が積まれているのだが、ゲーム関連のものからオカルトもの、コミックスなど他のゲームに比べても濃く、「さすがこの作品のスタッフだ」と思わず笑みが浮かんでしまった。机の近くに置いてあるフィギュアも、グロテスクなクリーチャー系のものが多く、それにメイドさんが混じっていたりして、とても「女神」っぽいのである。 開発はまさに佳境ということで、プロジェクトディレクターの谷川ハジメ氏は開発室にこもりっきりとのことだ。現在まだ粗の目立つ戦闘システムだが、谷川氏が最もこだわるところであり、緊張感とスピード感を持った戦闘を実現させるためにこれからもっともっと煮詰めるつもりだという。 なお、「メガテン」ファンにとっては気になる要素であるBGMは「真・女神転生」、「真・女神転生 II」のBGMから名曲を選りすぐり、さらにアレンジを加えたものを採用している。アレンジに関しては未発表だが、ファンを納得させる人選になっているというから、今後の発表が楽しみだ。
開発室を見せてもらうことで、「こここそが『女神転生』シリーズの作品が生まれる場所だ」という雰囲気を感じることができた。作品もまた、随所でシリーズの雰囲気を感じられる、「女神転生 IMAGINE」ならでは世界が構築できていると思う。だからこそ、それを受け止めるしっかりとしたゲームシステムの構築に期待したい。システムは一番基本的で、一番難しい部分である。このハードルをスタッフがどのように越えていくか、1ファンとしても期待したい。
(C)ATLUS
□ケイブのホームページ (2006年10月20日) [Reported by 勝田哲也]
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