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「女神転生 IMAGINE」は「真・女神転生」と「真・女神転生II」の間の時代を描いたMMORPGである。この時代、人々は「大破壊」によって壊滅した東京でいくつかのシェルターを建設、襲いかかってくる悪魔におびえながら生活を行なっている。プレーヤーは「デビルバスター」となり、悪魔を使役する力を駆使して人々の生活を守る。ダークな雰囲気を持ったRPGをどうやってMMORPG化するのか、どんなストーリーが展開するのかなど、ユーザーの注目度は高い。 現在、本作は今冬のサービス開始を目指して開発が進められている。断片的な情報は露出しているが、まだまだ具体的な情報は明らかにされていない。どんなゲーム性を持つのか、どういったゲームになるのかを中心にまとめてみたい。
■ 常に悪魔をパートナーとして行動、シリーズの雰囲気を再現した魅力的な世界
移動はカーソルキーでも可能だ。FPS方式も考えられているが、現在文字はチャットウィンドウが常にアクティブで、キーボードを打つとそのまま言葉が入力される仕様のため、導入するかどうかは考案中ということである。 一度に呼び出せる仲魔は一体のみ。ショートカットには仲魔用のスキルも登録されている。プレーヤーは自分のキャラクタと仲魔を同時に支配して敵と戦うことになる。戦闘に慣れたプレーヤーならば一度にさまざまなキーを駆使して仲魔との連携も可能だ。仲魔と行動するため、本作では常に2人分の戦闘力を持っている。パーティーの上限は5人だが、実質的には10のキャラクタで戦闘やダンジョン攻略を行なうことができるわけだ。 敵悪魔はエンカウント方式ではなく、フィールド場に闊歩している。プレーヤーは敵の索敵範囲外で仲魔を選択、敵との相性に合わせた仲魔と共に戦う。仲魔を出し入れし、さまざまな悪魔を使いこなすようなシステムにしていきたいという。 戦闘はリアルタイムに進行する、アクション性を持ったものになる。悪魔を囮にして遠距離攻撃を行なったり、スキルしようで生じる隙を仲魔に行動をさせておぎなったり、上級者になればより一層駆け引きが楽しめるものにしたいと谷川氏は語る。息のあった仲間とパーティーを組み、悪魔を効率的に使うことで強力な敵と渡り合う、プレーヤー同士の連携がうまくいったときは格別だろう。現在はまだタイミングや同期を調整中だが、特にこのハードルを越えることを目標にしているという。ゲームの大きなアピールポイントとなりそうな要素だ。 悪魔はプレーヤーの命令に応えてくれる。だからこそどのように悪魔を使いこなすかが問われることとなる。これはより高みを目指す戦闘を実現させるためだ。友好度、服従度に関しては後述する「交渉」で影響してくる。 筆者にとっては、やはり本作の動くところを目の当たりにした衝撃が大きかった。エンジェルやネコマタ、コダマやデカラビア……。金子氏のイラストのテイストを再現し、勝つ特徴を捉えたアニメーションパターンで動いているのは強く心を揺さぶられる。1も2もなく「プレイしたい!」と強く思わせる。シリーズに思い入れのあるユーザーならなおさらだろう。
一方でまだまだだな、と思わせることも多い。今回のデモプレイはスタート地点の第3ホームからスギナミへの移動、そして戦闘と体験できたところは少ないが、特にクリックに対する反応の悪さや、視点の微妙な引っかかり、スキルの使用など非常に基礎的なところで不満がある。プレイをする上で最も基礎的な部分がおろそかにされているのではないかという不安を持った。もちろん、この部分はゲームで最後まで突き詰める必要のある要素ではあると思う。劇的な進化を望みたい。
■ スキルによって、専門的な能力を獲得していくキャラクタ
今回説明を受けたエキスパートは、悪魔交渉能力と、合体能力。合体能力は「邪教の館」において行なわれる悪魔合体をよりスムースに成功させる力を持つ。この力を持たない場合、悪魔合体の成功率が下がったりしてしまう。逆に高いとさまざまな恩恵がありそうだ。悪魔合体をしたい時など、この能力の高いプレーヤーに手伝ってもらう、といったプレイスタイルを考えているという。 交渉能力は上げることで悪魔を仲間にする力を持つ。パーティーメンバーにこの能力が高い人がいればお気に入りの仲間をゲットするのも容易になりそうだ。また、交渉術に長けたプレーヤーがいれば悪魔に囲まれたときにうまく逃げられるかもしれない。「挑発的交渉」を使うことで、交渉役のプレーヤーは自分の方に悪魔を引きつけることも出来る。戦闘で盾役をこなせそうな能力である。 このように本作はキャラクタが成長するごとにプレーヤーが方向性を決めてその名の通り「エキスパート」を目指すシステムを採用している。全ての能力が優れた超人ではなく、専門家達が協力をしてゲームを進めていくイメージだ。「交渉なら彼だ」といったように、複数のプレーヤーから一目置かれるようなキャラクタ作成も可能だろう。 エキスパートは「ジョブ」とは違い、プレーヤーの意志でどこまで伸ばすか、ということでキャラクタを作っていく。「ウルティマオンライン」のスキル性のキャラクタシステムをイメージしていくとわかりやすいだろう。鍛冶屋は鍛冶のジョブについているわけではなく、「ブラックスミス」というスキルが高いからこそ、プレーヤー自身が「鍛冶屋」を名乗るのである。本作もまた、スキルのバランスを取ることである程度マルチな活躍ができるキャラクタを作ることができそうである。 スキル性によるキャラクタの描写は谷川氏の強いこだわりがあるという。MMORPGは「ウルティマオンライン」的なスキル性の作品と、「エバークエスト」的な明確で一度選ぶと変更できないジョブによるキャラクタ表現の2つの手法があるが、「女神転生 IMAGINE」は「ウルティマオンライン」の様なベクトルを持つキャラクタ描写になるという。氏は同じようにスキル性で表現されている「マビノギ」にも注目しており、「転生」というキーワードが気になっているという。「ゲーム自体が『女神転生』ですしねえ。『真・女神転生 デビルサマナー』では主人公が違う人物にのりうつりますし、何かできる要素があればとも考えてます」。 デモプレイではスギナミに出て戦闘の様子を見ることもできた。魔法や武器の有効距離などが設定されており、その距離を活かした戦略も可能だという。スキルのエフェクトは派手で、瞬間的に近づき敵に斬りつけるなど、アニメーションを意識した技もあって見応えがあった。戦闘を体験させるためのモンスターとしてジャックフロストが登場したが、彼が巨大な雪だるまを落とす所などは、シリーズのテイストをうまく活かしているなあと感心させられた。 面白かったのが、戦闘での交渉スキルの使用例だ。「女神転生 IMAGINE」では悪魔との交渉もリアルタイムだ。戦闘中に他の攻撃スキルと同じようなスピードで「こんにちは!」と挨拶したりする。このリアルタイムな交渉によって生まれるちょっとユニークな空気は、本作で表現したい要素の1つだという。 モンスターは倒されるとしばらく死体が放置されるため、フィールドに累々と死体が横たわるというちょっとむごい光景になった。また他キャラクタのHPバーが遠くからも見えてしまうため、少し画面が見づらかった。キャラクタの影は味気のない丸い影で、フィールドやキャラクタの光源処理もされていないのでのっぺりとした印象を受ける。もっと調整が必要だと感じた。
一方で無機質な第3ホームや、崩壊したスギナミなど、世界のデザインと描写は秀逸だと感じた。他のフィールドがどうなっているかも気になる。影の処理やフィルタによる処理などは追加することで世界の魅力が何倍にも増す。センスの良いフィールド、悪魔、キャラクタがより一層引き立つような細部のチューニングが楽しみである。
■ 濃密なストーリー要素も。出来るだけ早い公開を目指して進められる開発
今回デモでは紹介できなかったが、「女神転生 IMAGINE」には濃密なストーリーラインがあり、シナリオには節目節目の“エンディング”が用意されており、ムービーも見ることができるという。ゲームを進めていくごとに何度かクライマックスを迎える展開になる。これはボス戦を繰り広げてゲームを進行させていく、コンシューマRPGの手法を取り入れたものになりそうである。「ストーリーを追っていくことで、『真・女神転生』から『II』へどのようにつながっていく“兆し”がみせられればな、と思っています」。 ゲームパッドの対応は考えられているが、パッドのみでの対応は考えられてない。チャットのできるキーボードと、マウスという操作が大前提となっている。実際にゲームに触ってみると特にUI部分の改善の必要性を強く感じる。このポイントは開発側でも最大のポイントとなっているという。「とにかくようやく方向性は見えてきたので、そこに向かって修正していくだけです」と谷川氏は語る。 韓国製MMORPGもゲーム性においての進化はまだまだであるが、特にUIの進化は目覚ましく、プレイ感覚は快適になっている。ゲームデザイン、ゲーム性が優れていても、UIの水準が低ければユーザーからの批判は免れないだろう。 「オンラインの『真・女神転生』をアトラスが制作を発表してから、我々は何年ユーザーを待たしているんだ、というところがあります。とにかく早い段階でまず作品を提示して、プレーヤーの判断を仰いで、しっかり受け止めて進化させなくちゃいけない。そういう認識でやっています。」と谷川氏は語る。
「従来のシリーズのファンには作品の間を埋めるようなエピソードが展開するので期待してもらいたいと思います。ターンベースの従来のシリーズをリアルタイムで描くとどうなるか、プレイをしてもらうことできっと“ああ、なるほどね”と納得してもらえると思います。MMORPGとしても従来にはない感触の作品を目指しています。是非、一度はこの作品を触ってみてください」。谷川氏からのユーザーへのメッセージである。一日も早い本作の公開を期待したい。
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□ケイブのホームページ (2006年9月25日) [Reported by 勝田哲也]
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