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【特別座談会】ナムコ「リッジレーサーズ」
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「Highride」(SamplingMasters MEGA)
大久保 お願いして最初にいただいたラフデータには、すごく細江さんを感じたんですけど……。
細江 ……今回、曲のラフは締め切りのときに「やべぇ出さなきゃ」って適当に作ったり(笑)。「Highride」は“素”の状態で作ったなあ。
相原 あの時の話で覚えているのは、細江さんが68時間寝てない、って……。
大久保 それはもう素じゃないじゃないですよね。ある意味。
細江 気持ちよくなっちゃってる。
相原 本能が研ぎ澄まされた状態で作ってる。
佐野 今は外に音出して作ってるんですか? ヘッドフォンで?
細江 ヘッドフォン。SONYのMDR-Z900。
相原 ヘッドフォンで調整しているのに、音はきっちり分離してますよね。
佐野 初代「リッジ」の頃は外に音出して作ってましたよね……。
細江 バリバリ(笑)。
佐野 バリバリねぇ……懐かしいですねえ……夜中の3時ごろに。ホントはね……初代当時の「MIFES」――テキストエディタで曲を作るぐらいの事をやっても面白いんだよね。次があったらそれでやるとか。
佐宗 当時はテキストエディタで書いてたんだよね。あの方が面白いかも。今度はそれでやりましょうか?
細江 面白いよね。テキスト縛りで(笑)。
佐宗 プログラムも入れられるようにして(笑)。
佐野 できるかなぁ今(笑)。
――細江さんは現在、どんな機材を使用されてるんですか?
細江 完全にPCのソフトシンセの「Synth1」。ものすごく軽いんで。
高橋 それいいですね。
佐宗 完全に「Synth1」ばっかり。
大久保 ホストは何を?
細江 「Cubase」ですね。
佐宗 「Synth1」が20台とか立ち上がってるよね。
細江 SE1つポンッと作るときでも「Synth1」。
佐宗 そう。
「Warp Trooper」(SamplingMasters AYA)
佐宗 最初この曲のデモを提出したんですけど、激しく変えちゃったんですよね。
大久保 一部は入ってますよね?
佐宗 シーケンスデータはとってあるんですが、最初の形からガラっと変えちゃいましたね。
大久保 佐宗さんはデモを提出してくれた後に“もっと「アホアホ系」にしたい”って……(笑)。
佐宗 そう。自分の中では「もっとはっちゃけ系がやりたい」と思うのに、なんかそこまでテンションを持っていけなくて。「いかん」と。先にRemixやって「テンションあーげよ」ということで、Remixをあげてからとりかかりました。
依頼をもらって考えたのは、たぶん昔の「リッジ」のテンポ感、ノリがほしいんだろうな、と考えたので、Remixのほうはゴージャス版で“あまり変わってない”という感じでそのまま作りました。「WarpTroopers」は「ちょっとテンポ早いかな」と思ったんですけど、アクセル踏んでガンガンまわるんだったらこれぐらいがたぶん気持ちいいんじゃないかな、ということでテンポを上げちゃった気がします。
大久保 デモをもらって、完パケが来るまでの間に、先に寺本君が「WarpTrooper」というタイトルをつけちゃったんですが、心が動いたりしました?(佐宗さんは無類の『STAR WARS』ファンでTrooperの着ぐるみも持っている)
佐宗 「こっちでくるのかー。どうしようかなー」ってちょっと思ったんですけど。このタイトルだと、最初に提出した曲のテイストは題名に合わないだろうと。しかもなんかちょっと「落ち着いちゃってるよね~」と思ったので、やんちゃにしましょうと。
佐野 いっそ、「STAR WARS」ってタイトルにしちゃえばよかったのに(一同爆笑)。
「Bassrider」(H. OKUBO)
大久保 この曲は、海外のスタッフから「エネルギーを感じる曲が欲しい」という意見を良く聞くので、「こういうの?」って感じで作ってみた……ってのがわかるでしょ?(と三宅氏の方を見る)
三宅 スタッフ受けはどうでした?
大久保 まぁまぁかな……(笑)。「エネルギーを感じる曲」って具体的にどんなものなのか、海外スタッフから話を聞いたり、ブレイクス系のHPを紹介してもらったりして研究したんですけど……海外の反応が楽しみ……ですね。
「Pulse Phaze」(MIYAKE)
三宅 すいません1曲しかできなくて。せっかくのお祭りなんで2曲ぐらいやりたかったんですけれど、皆さんたぶん気合を入れてくるだろうと。「絶対負けたくない!」ということで(笑)、1曲入魂にしました。
僕の場合はPro tools中心で作ってます。最近はシンセ音よりサンプリング音をいじっていくのが面白くて、REAKTORで自作のパッチを使っています。
この曲に関しては、最初は、人間が出す音だけで曲を作ろうと思っていたんです。ハンドクラップとか、声とか、STOMP系のフレーバーをREAKTORのパッチに突っ込んで壊したものをメインのシーケンスにしようと作っていたら、すごいマニアックになっちゃったんで、もっとポップに仕上げる方向に転換したんですよ。ちなみに、「ゆうさま」というアーティストがいるんですが、その方が歌っています(笑)。僕じゃないです(笑)。
――「塊魂」のサウンドとは違いはありますか?
三宅 フロアっていうか、体で感じるようなビートを意識して(笑)、あくまでダンスものの範疇内を意識して作りました。だめですか「ゆうさま」って?
佐宗 ふふふ。
佐野 なんかねーいやいやいや。
三宅 これはサービスですよ(笑)。
「Chrome Drive」(sanodg)
佐野 Remix曲より、こちらが先にできたんだよね。プレッシャーはありましたよ。「これは負けられない」と。「こりゃあかんな」と。……と気負った割にはすんなりとこう。でき上がるまで早かったでしょ?
中西 ミックス作業もこの曲が最初でしたね。というか、最初はこの曲しか届いてなくって、参考にできる曲が他になかった。
佐野 余裕のないスケジュールだろうなって、厳しい中ちゃんと作ったのにみんな……(笑)ねえ? で、その足で飲みにいったと(笑)。
――最近の機材は何を使われてますか?
佐野 えーっとねぇ……持ってこないとわからないぐらいいろいろ。
三宅 ノイズのディレーションでビートを作ってますよねコレ。
佐野 よく聴いてるねぇ。最近は楽器よりもエフェクターかな。旬は。ローファイ系のフィルタを使ってからコンプレッサーでディレーションを作るというか。
三宅 頭で作るというわけじゃなくて、偶然性から紐解いているみたいな。
佐野 頭じゃないね……。そうそう。
三宅 ベースとノイズのからみがすばらしいですね。
佐野 ノイズがイマイチ出しきれてないんだよね。もう少し裸にしたかったんだけど。そのへんが「リッジ」らしさなのかな。あまり音を削らないというか。
この前ELECTRO GLIDEに遊びに行ったときも、自分の曲が頭で回ってて、自分がまさにDJしているような(笑)。それでこのミュートからのフレーズでフロアが見えるわけですよ(笑)。だからRemixを作るときはこのフレーズ始まりなんだよね。
「リッジレーサーズ」でライブやりたいなー。大きい箱がいいな。「リッジレーサーズ」を購入した人が入れるとか(笑)。クラブイベントなのにみんなPSPでゲームやってるっていうのはどうでしょう(笑)。ヘッドフォンして対戦してるってのは?(笑)
高橋 すごい妄想だ(笑)。
――ところで、ミックス作業が終わったその足で飲みにいった話もぜひ(笑)。
高橋 あのとき、俺は締め切り直前で2日前ぐらいだったから、飲んでる場合じゃなかったんだけど、正直な話(新曲2曲のうち)1曲しかできてなくて。佐野さんの過去の曲などを聴きながら、「コレぐらいのレベルの曲を出してくるんだろうな」と思っていたところに、「天才~」とか喜びつつ飲みのお誘いがきてたから、「コレは探らないと」と思って行ってみたんですよ。
佐野 ずーっと「俺天才」って言ってたでしょ。
高橋 ずーっと言ってましたよ。
佐野 「いやーもうここで聞かせられないのがつらいなー」っていう話を朝まで(笑)。申し訳ないと思ってさすがに飲み代を払ったけどね。天才の割には地元の元住吉で飲んでるんだけど(一同爆笑)。「天才が飲んでいるから来たまえ」と弘太を呼び出して。あれはいい酒だったなー。本当。こういう機会を与えてくれた「リッジレーサーズ」には本当に感謝してます(笑)。
「Synthetic Life」(KOHTA)
――この曲はナムコのゲームサウンドがモチーフとして使われてますね。
高橋 まずは細江さんにご挨拶しないと。勝手にモチーフ使っちゃってすいません。「ドラゴンスピリット」のステージ3が入ってます。最初は入ってなかったんですけど、曲を作ってる途中で入れたくなっちゃって(笑)。
佐野 弘太はやらしいなぁ~。そういうの……考えて考えてホントやらしいなぁ~。
三宅 マーケットを捉えてますよね。
高橋 この曲は正直、締め切り直前の半日でこの方針になって。それまで全然違う4つ打ちでもない曲を作ってたんですよ。でも、「ドラゴンスピリット」の素材をどうしても使いたくて。なぜか(笑)。それと、それまでに作っていた曲がつながらなくて、こういうアレンジに変えたと。「ゼビウス」の効果音とかも入れてみたり。
三宅 うっすらプログレですよね。コード進行とか。
高橋 そうだね(笑)。あのコード進行の感じも狙ったな。「リッジレーサーズ」のユーザーって、やっぱり自分と同世代が中心で、昔の「リッジ」から全て懐かしい感じがするし。このゲームで昔のナムコを知っているユーザーは喜んでくれると思うんですよね。
できあがった後だったけど、開発にお邪魔して実機でプレイさせてもらった時も、デフォルトに設定されてた夜景コース(Down Town Rave City)とピッタりハマってて。(俺って)さすがだな、と(笑)。
佐野 (聞き耳をたてるように)え?
高橋 いえいえ(笑)。コレは本当に偶然が働いた結果なんだけど、元ナムコにいてよかったな、と思いました。外部の人間ならこうはいかなかっただろうなと(笑)。
――PSGから始まって、FM音源、そしてPCMサウンドへ流れていくあたりがいいですよね。
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取材協力:有限会社mafmaf
□ナムコのホームページ
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□ナムコチャンネルのページ
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□製品情報
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□関連情報
【12月22日】ナムコ「リッジレーサーズ」サウンドチーム大集合! (前編)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041222/rrs.htm
【12月12日】4.3インチワイド液晶と無線LAN対応の携帯ゲームマシン
「PSP」(プレイステーション・ポータブル)試用レポート
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041212/pspr.htm
【12月11日】PSPゲームレビュー「リッジレーサーズ」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041211/rrs.htm
【12月08日】【特別インタビュー】
ナムコ「リッジレーサーズ」 開発スタッフに聞く(後編)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041208/rrs.htm
【12月6日】まさに全部入り! ナムコ、PSP用「リッジレーサーズ」
ワイヤレスバトルやサウンド、そして新マシンやコースも紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041119/rrs.htm
【11月22日】【特別インタビュー】
ナムコ「リッジレーサーズ」 開発スタッフに聞く(中編)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041206/rrs.htm
【11月19日】ナムコ、PSP用「リッジレーサーズ」
ニトロシステムやワールドツアーズモードなどを紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041119/rrs.htm
【11月15日】【特別インタビュー】
ナムコ「リッジレーサーズ」
開発スタッフに聞く(前編)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041115/rrs.htm
【11月10日】ナムコ、PSP用「リッジレーサーズ」3タイプの動画を公開!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041110/rrs.htm
【11月8日】ナムコ、PSP用「リッジレーサーズ」
PSP本体と同じく12月12日発売決定!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041108/rrs.htm
【9月25日】TGS2004ブースレポート~ナムコ~
プレイアブルタイトルてんこ盛り!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040925/namco1.htm
【9月21日】SCEJ、「PSビジネスブリーフィング」開催
PSPの実機を公開!! ただし発売日は公開せず
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040921/scej1.htm
(2004年12月27日)
[Reported by 佐伯憲司]
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