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★PS2ゲームレビュー★
2D格闘ゲームのパイオニア、「ストリートファイターII(ストII)」シリーズの歴代キャラクタを一堂に集め、同じ土俵の上で戦えるという画期的なゲーム、それが「ハイパーストリートファイターII The Anniversary Edition(ハイパーストII)」だ。「ストリートファイター」シリーズ15周年を記念した作品ということで、続編も多く作られたシリーズだけに許されるお祭りゲームだと思うとそれだけで十分面白そうなのだが、ベースを最終作「スーパーストリートファイターII X」にし、歴代のシリーズの性能(多少調整はほどこされているが)のキャラクタを自在に選択できることによる、新たな戦いの駆け引きが堪能できる。
■ 歴代のシリーズごとに異なるキャラクタ性能が楽しい
キャラクタの選択は、まずシリーズのどの作品を選ぶか、から始まる。その後、キャラクタを選択するわけだが、初代は8キャラ、「~ダッシュ」、「~ダッシュターボ」は12キャラ、そして「スーパー」からは16キャラ(「X」ではプラス豪鬼、そして「X」で使用できた「スーパー」性能のキャラ)が選択可能となっている。グラフィックもほぼ当時のものが再現されているので、同じキャラでも顔つきや技などが異なっている。キャラクタを選択した後、ゲームスピード(最大4段階)の選択が可能となっている。初代が「TURBO 1」で、「X」の「TURBO 3」が「TURBO 2」、「~ダッシュターボ」と同じ「TURBO 3」、「X」の「TURBO 4」が「TURBO 4」、といった具合になっている。
初代の登場以来、バージョンアップを繰り返した「ストII」だけに、シリーズそれぞれに特徴がいろいろとある。基本的には、初代から最終作「X」にいたるまで、攻撃力はマイルドになっているが、その分技が増えていっている。下にシリーズごとのキャラクタの特徴と変遷を主人公・リュウを例にピックアップしてみた。また、途中でなくなってしまったテクニックなどもあり、遊ぶ人の思い入れなどに合わせてキャラクタを選んでいくといい。歴代プレーヤーなら「あのときのあいつは面白かった」という基準で遊んでみるところからまず始めると楽しめるだろう。
大雑把に言えば、ハイリスク、ハイリターンの初代から、緻密な駆け引きが要求される「X」へと変わって行ったといえるのだが、それぞれのキャラクタにも強さのピークがある(初代のガイル、ダルシム、「~ダッシュ」のベガや、「~ダッシュターボ」のザンギエフ、「スーパー~」のホーク、「X」のディージェイやバルログ、といったふうに)。また、システム的には「X」をベースとしているため、起き上がり動作から必殺技への完全移行などがサポートされているので、いわゆる「ハメ」や、「バグ」に対する対応は基本的に取れている。「X」のシステムを採用しているため、連続技は技がつながれば初代キャラでも関係なくコンボ表示なども行なわれる。 ■ シンプルだけにリスクもリターンもわかりやすい 古いゲームをプレイしてみると、一概にいえるのは、「シンプル」であること。このゲームも、空中ガードやその他もろもろのシステムで変化していった昨今のゲームと比べると、非常にシンプルである。地上での技のリーチや判定の大きさなどを主軸とした駆け引き、そして必殺技などを含めた地対空の駆け引き、そして空中での迎撃など、攻撃、そして防御の仕組みはわかりやすい。 逆に、一度ミスを犯すと、最低でもライフゲージの1/4~1/3以上を持っていかれる激しいゲーム性になっている。特に連続技のダメージはそれを脅威的なものにしており、通常技の連打によるコンボから始まり、必殺技を使ったキャンセル、さらに飛び込みからの連続技など、そのダメージはかなりのものになってくる。大雑把に遊んでも十分面白いが、細かな駆け引きを上手く切り抜けてダメージを与えることに成功する、という喜びこそ「ストII」シリーズの醍醐味なので、空中ガードやダッシュをはじめとした昨今のフォローがあふれるゲームをプレイした後では、このゲームのリスクとリターンのやり取りはシーソーの傾きが激しいと感じるかもしれない。 ただ、筆者も当時から歴代シリーズを遊んでいた身として、キャラクタや戦略などを思い出しながらプレイしていくと、自分の記憶力に思わぬ感動を受けたり、新たな発見に喜びを見出すことが楽しいと思える。逆に、当時はできていたことができなくなっていたり、ヘコんでしまうこともあるのだが……(苦笑)。こういったノスタルジーに浸れる部分もありつつ、異なるシリーズの組み合わせでキャラクタを選べるという試みは、思ったより楽しい。「CAPCOM VS.~」シリーズなど、こういった要素を含むゲームはいくつも登場してきているが、代を重ねた「ストII」だけに、このような面白みがより明確に味わえたのだろう。
■ セーブできない「OPTION」は不満 この作品、メモリーカードに対応していない。つまり、セーブできないので、ボタン設定の変更などを起動ごとに行なわねばならない。ジョイスティックでこのゲームをプレイしたい、という人には少々面倒だ。 せっかく、BGMをCPSI、CPSII、アレンジと選択できたり、ゲームスピードの変更ができるようになっているのに、これを保存できないのはもったいない。筆者の場合、やはり初代からのCPSIのサウンドが気に入っているし、ゲームスピードはTURBO 3が妥当だと思っている。標準の設定ではサウンドは「ARRANGE」だし、ゲームスピードはTURBO 2なので、いちいち設定しなおさなければならないのには少々困った。メモリーカードを持っていないプレーヤーは皆無だと思うので、できればこういったところはきっちり作って欲しかったところだ。
■ 懐かしさだけでない試みは評価できる
また、ロードは最初と、「GALLERY」、「OPTION」に入り、抜けるときに行なわれるのが顕著なぐらいで、あとはほとんどシームレスに近いのは特筆すべき利点だ。ゲーム中でも、上手くロードを感じさせないつくりになっており、SELECT+STARTですぐにタイトル画面に戻ることができるのはすばらしい。 ただ、昨今のゲームに比べればグラフィックは寂しさを感じさせないわけでないし、いろいろ物足りなさを感じるかもしれないという危惧はあるが、そんなことを気にする人はそもそもこのゲームに見向きもしないだろうと思われるから、そのこと自体が筆者の杞憂に終わるだろう。 それから、対CPU戦では「X」のキャラクタのみが対戦相手に選ばれるのも残念といえば残念。また、ボーナスステージも「X」をベースにしている以上しかたのないところなのだろうが、入っていないのはさびしいところ。
稼動開始予定のAC版も含め、懐かしさを感じるとともに、格闘ゲームの面白さを再確認できるタイトルであることは間違いなさそうだ。低価格で楽しめる新たな「ストII」、一度触れてみてはいかがだろうか?
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□カプコンのホームページ (2004年1月6日) [Reported by 佐伯憲司] また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved. |
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