Electronic Entertainment Expo 2002現地レポート

INFOGRAMES ~自作MMORPGだって夢じゃない!
「Neverwinter Nights」など

会期:5月22日~25日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

※本文中の発売時期はいずれも北米地区での予定


■ Neverwinter Nights

 テーブルトークRPGのクラシック「ダンジョン&ドラゴンズ」(D&D)の世界観に基づいて制作された3DアクションRPG、それが「Neverwinter Nights」(以下NN)だ。D&Dといえば「ゲームマスターが制作したゲーム世界を冒険する」あるいは「自分の思い描くファンタジー世界を他人に体験させる」ことが最大の魅力。「NN」では、このコンセプトをコンピュータRPGで忠実に再現しようとした意欲作といえる。

 「NN」のパッケージには、シナリオおよびレベルデザインソフト「Auroraツールセット」が同梱され、ユーザー自身が冒険の舞台となる地形をデザインしたり、NPC、モンスターの登場設定、シナリオの因果関係を設計できる。D&Dにおけるゲームマスターの準備作業が、コンピュータで視覚的に行なえるというわけだ。

 E3会場では、ゲームプレイに関する紹介はもちろんのこと「Auroraツールセット」自体のデモンストレーションも積極的に行ない「プログラミングの知識なしにオンラインRPGが作成できる」ことをアピール。制作できるシナリオは最大四章仕立てまで、エンディングを複数用意することもできる。アイテム、装備品類のデザインはもちろんのこと、NPCやモンスターのデザインも可能となっている。

 最大64人が同時プレイ可能なシナリオを制作することができ、シナリオはQuakeシリーズの対戦サーバーのように、自前で設置した専用サーバーマシン上で公開できる。最大64人という制限はつくものの、オリジナルの(ミニ)MMORPG運営も夢ではない。

 シングルプレイヤー向けのゲームシナリオは、総プレイ時間60時間ほどの長編シナリオが用意されている。これは、ゲームシステムを理解するためのチュートリアル的なものになっているようだ。

 戦闘システムは、攻撃目標をマウスクリックするだけで半自動的に行なわれる「ディアブロ」などと同系統のシステムを採用。グラフィックスの美しさも特徴のひとつで、すべてのグラフィックスオプションを最高にしたときには、3Dグラフィックスで描かれたキャラクタ、建物はもとより、光源およびシャドウ処理もすべてリアルタイムで処理されるようになる。その表現能力は、ゲームグラフィックスとしてトップレベルに達しているといっても過言ではない。

 現時点でのプラットフォームはPC版のみだが、Linux版、Macintosh版の開発もすすめられている。Xbox等のコンソール機への移植の予定はなし。開発は「Baldur's Gate」などを手がけたBioWareが担当する。ローカライズしやすい設計になっているため、インターナショナル版も早期に登場するという。現在は英語版のほか、ドイツ語、スペイン語、韓国語へのローカライズが行なわれている。日本語化については未定。英語版の発売時期は今年7月を予定している。



■ Dungeons & Dragons Heroes

 D&Dの世界観をハード・アクションRPGとしてまとめた作品。Fighter、Wizard、Cleric、Rogueといったお馴染みの種族からひとつを選択し、それぞれにストーリーラインの異なる冒険が体験できる。

 2Dグラフィックスのように見える本作のビジュアルは、すべてリアルタイム3DCGで描かれている。戦闘は、攻撃ボタンと防御ボタンを正しく使い分けるアクションゲームに近いシステムを採用。プラットフォームはXbox。2002年11月発売予定。



■ 究極のごっこゲー「Stuntman」

 一見すると単なるカーレースゲームだが、実はアイディア満載の究極の「ごっこ」ゲーム。プレーヤーは駆け出しの「カースタントマン」となり、低予算映画のスタントからスタートし、徐々にスタントスキルを磨いていき、最終的には大作ハリウッド映画のスタントをこなすトップ・カースタントマンとして大成することが目的となる。

 通常のレースゲームで言うところの「コース」は、本作では「撮影現場」であり、要所要所で役者や別のスタントマンがスタンバイしている。車の操作自体は通常のカーレースゲームと大差はなく、アクセル、ブレーキ、ステアリングで車を操作する。

 走行中、演技地点に近づくと、インカムからの監督の音声指示とともに、該当地点にスタント種類を示す演技アイコンが点灯する。たとえば「対抗車線に飛び出して、前から来るトラックを衝突寸前でかわし右前方の八百屋に突っ込め」という指示が聞こえたとすると、対向車線に出ることを指し示す矢印が点灯し、最後には八百屋にクラッシュアイコンが表示される……といった具合だ。

 ここで、対向車線からくるトラックに衝突してしまうと、監督から「カット! リテイク」が指示される。また、スタントが成功しても派手さがなければ評価は低くなってしまう。今の例でいえば、八百屋に突っ込んだときに野菜や果物が派手に飛び散らなければ高い評価が得られないのだ。「派手にスピンしながら突っ込んだほうがいいのか」などなど、プレーヤーに工夫を意識させるゲームデザインは心憎いばかり。

 ドライブゲームにダンスゲーム的なリズムアクションの要素を盛り込んだような印象を受けるが、カースタントマンという設定が、微妙なリアリティを演出している。

 登場車種は、一般的な4輪自動車、大型トラック、ブルドーザー、二輪車など全40種に及ぶ。スタントマンとして挑戦できる架空の映画タイトルは全6種。架空とはいえ「イギリスの諜報部員役のスタントとして、アストンマーチンを運転し……」など、いずれも“どこかで見たことがある”というか、映画ファンならばにやりとしてしまうようなものばかり用意されている。

 スタント走行はシステム側で録画されており、後から閲覧可能。カメラワークが妙に凝っているのが笑いを誘う。プラットフォームはPS2。発売は6月を予定。



■ Unreal Tournament 2003

 一人称シューティング(FPS)の決定版「Unreal」シリーズの最新作。タイトルを見てもわかるように、系統的にはアリーナ対戦専用版「Unreal Tournament」の続編に当たる。

 システム面で細かい変化はあるものの、もっとも大きく進化した部分は、俗に「unreal IIエンジン」と呼ばれている新世代「Unrealエンジン」周り。1シーンあたりのポリゴン数は、前作比で100~200倍に増加しているという。これは「時代が要求するクオリティまで進化した」といったところか。ターゲットGPUは特にないとしているが、GeForce 4Tiベースで開発されたため、同GPUとの相性はすこぶるよいという。

 物理エンジン部の改良も徹底して行なったといい、背景物とキャラクタの衝突判定は部位単位、なおかつそれぞれの重量や重心などもふまえた演算が行なわれる。登場キャラクタは6種族、50人。対戦マップは全30種。プラットフォームはPC。6月発売予定。



■ Unreal Championship

 「Unreal Tournament 2003」のXbox版といった存在。担当者に相違点を確認すると「パッドだけでプレイできるよう操作系を変更した程度で、基本的なゲームシステムはほぼ同一」だという。

 マイクロソフトのブロードバンド・ゲーミングサービスに対応予定で、最大16人までの同時対戦が可能。ただし、PC版「Unreal Tournament 2003」との対戦は不可。プラットフォームはXbox。発売時期は2002年第4四半期を予定。



■ unreal II

 初代「Unreal」の続編にあたる作品で、「Unreal Tournament 2003」(以下UT2003)の後に発売される。「Unreal II」は、初代同様に3Dアクションアドベンチャーゲームとなっており、NPCと会話をしたり、マップ上に仕掛けられたトラップやパズルをクリアしながらストーリーを進めていくタイプのゲーム。

 ゲームエンジンは「UT2003」と同様、新世代Unrealエンジン(Unreal IIエンジン)を採用。同じエンジンを採用してはいるが、Unreal IIエンジンは「UT2003」よりも「Unreal II」をターゲットに開発が進められてきたという経緯がある。そのため、同エンジンのボーン・スキニング機能などの新フィーチャーは「Unreal II」のほうが効果的に活用されているという。「Unreal II」の方がビジュアル全体のクオリティが高く感じられるのはそのためだとしている。

 武器は15種類、敵は24種類。いずれも初代「Unreal」に登場したお馴染みのものから新種まで、さまざまなものが登場する予定。本作もマルチプレーヤーモードをサポートする予定だが「UT2003」と差別化を図るために簡素なものになるとしている。プラットフォームはPC。6月発売予定。



■ スーパーヒーロー

【Superman: Shadow of Apokolips】【Superman: The Man of Steel】
3Dアクションアドベンチャーゲーム。トゥーンシェイダーで描かれたグラフィックスがユニーク。全15ステージ。PS2用。2002年第3四半期発売予定 同じくスーパーマンが主人公の3Dアクションアドベンチャーゲーム。こちらはXbox用でフォトリアリスティックなグラフィックと5.1CHのドルビーサラウンドサウンドが特徴。2002年第3四半期発売予定


■ アクションゲーム

【ZAPPER】【Men in BlackII: Alien Escape】【Battle Engine Aquila】
わんぱくコオロギZapperを主人公にした3Dアクションパズル。敵の攻撃をかわしつつゴールを目指す。操作系はクラシックアーケードゲームの「フロッガー」に似ている。プラットフォームはPS2。発売時期は2002年第4四半期 同名のSFアクション映画を3Dシューティングゲーム化。映画にも登場するMIBエージェントのJAYとKAYのどちらかを選択し、エリア内に徘徊する凶悪なエイリアンたちを撃破しつつステージ最終地点を目指す。プラットフォームはPS2、発売時期は2002年第3四半期 空飛ぶ戦車“Battle Engine”を操縦し、敵軍を殲滅していく。オープンフィールド型の一人称シューティング。画面分割による対戦をサポート。Xbox用、発売時期は2002年第3四半期

【Deadly Dozen - Pacific Theater】【Godzilla: Destroy All Monsters】【The Terminator: Dawn of Fate】
第二次世界大戦時代を舞台にした3Dアクションゲーム「Deadly Dozen」の続編。日米両軍の軍備を史実に基づいて再現。インターネット経由の協力マルチプレイにも対応。プラットフォームはPC。2002年10月発売予定 東宝の大怪獣キャラクタたちが戦い合う格闘アクションゲーム。最大4人でプレイ可能な乱闘モード、街の破壊速度を競い合う破壊モードが楽しめる。登場怪獣はゴジラ2000、メカゴジラ、キングギドラ、モスラなど全10種類。プラットフォームはGC、発売時期は2002年第4四半期 3Dアクションアドベンチャー。ストーリーは同名映画の第一作目を補間するもので、舞台はコンピュータと機械に支配された2027年の未来。プレーヤーは救世主ジョンの母親サラ・コナーを守るためにカイル・リースを過去に送り込む任務を与えられる。プラットフォームはPS2、Xbox、発売時期は2002年第4四半期


■ シミュレーションゲーム

【Civilization 3: Play the World】【Master of Orion 3】【RollerCoaster Tycoon 2】
シド・マイヤーの傑作ストラテジーゲーム「CivilizationIII」の拡張パック。シングル、マルチの両ゲームモードで新作シナリオが楽しめるほか、8つの文明を追加。プラットフォームはPC、発売時期は2002年第4四半期 宇宙を舞台にしたストラテジーゲーム。プレーヤーは宇宙に点在する各文明の代表者たちと、軍事、経済、外交を行ないつつ銀河連邦を運営。PC、Macintoshともに2002年10月発売予定 ジェットコースターをはじめとした各種遊戯施設を設置して自分だけのオリジナル遊園地が制作できるシミュレーションゲーム。プラットフォームはPC、発売時期は2002年第4四半期


■ レーシングゲーム

【V-Rally 3】【NASCARR Heat 2】【RE(仮称) 】
人気ラリーゲーム「V-Rally」シリーズの最新作。最新車種を追加。受けたダメージの場所、方向、強さにより、車がリアルに破損していく。プラットフォームはPS2、発売時期は2002年第3四半期 NASCARレーサーとなってチャンピオンシップを走り抜き、トップレーサーとなることを目指す。プラットフォームはPS2、GC。2002年11月予定 車メーカーの社長となり、ランボルギーニやフェラーリに匹敵する一流メーカーとなることを目指す。作成した車は、実在する競合メーカーの生産車と比較走行させることができる。プラットフォームはXbox、発売時期は未定


■ ゲームボーイアドバンス

【Driver2 Advance】【Dungeons & Dragons Eye of the Beholder】
シナリオベースで進行する一風変わったレーシングゲーム。アドベンチャーゲーム的な要素も加味されている。最大4人までのマルチプレイヤーにも対応。2002年9月発売予定 D&Dの世界観を取り入れたアクションゲーム。2002年秋に発売予定
□E3のホームページ
http://www.e3expo.com/
□Infogramesのホームページ
http://www.infogrames.com/

(2002年5月27日)

[Reported by トライゼット西川善司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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