インタビュー

「セガ 3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE」インタビュー

「コラムス」-3D立体視化で宝石の形がわかる!収録タイトルのなかでも立体視効果に自信の出来に

奥成氏:これで収録タイトル数は、初代アーカイブスの6本やアーカイブス2での7本を越えた8本になりました。さらに増えちゃいましたね。

下村氏:やっぱりやるからには1本でも多く増やしたいじゃないですか。ファンの皆さんが喜んでくれることを期待して。

――お気持ちはわかるんですけど、開発期間は増えてないですよね(笑)?

堀井氏:(笑)。

奥成氏:それで、前作の「アーカイブス2」だと新規タイトルの「パワードリフト」でいっぱいいっぱいというところでしたけど、「でも、パズルゲームだったら増やせるんじゃない?」っていうことで、「ぷよぷよ通」が入ったんですよね。

 なので今回も、「パズルゲームならまだできるでしょ?」っていうことで……!

堀井氏:できるかー!

奥成氏:(堀井氏の叫びをスルーしつつ)「コラムス」が入りました!

堀井氏:できたー!

【コラムス】

 1990年3月にアーケード版がリリースされた人気落ちものパズルゲーム。同年に追加要素を加えたメガドライブ版がスピード移植されている。上から降ってくる宝石の色をタテ・ヨコ・ナナメに3つ並べて消していき、最初の消しから連鎖で消えていく爽快感など、落ちものパズルの基礎を確立している。メガドライブ版では、2人協力プレイのダブルスも楽しめる「オリジナルモード」や、最下段にある特定の宝石を消すスピードを競う詰めパズル「フラッシュコラムス」モードを搭載。

「コラムス」はパワーアップ移植+追加要素ありなメガドライブ版を収録
フラッシュコラムスなどのメガドラ版オリジナル要素が楽しめる

奥成氏:前回に「ぷよぷよ通」を入れたのはやっぱり人気タイトルだからというのが大きくて。実は最初「『コラムス』なら作りやすい」ってエムツーさんは言ってたんですけど、「ぷよぷよ通」に変えてもらったんです。今回は「じゃあ『コラムス』にしましょう」ということに。

 「アーカイブス2」はメイン収録タイトルこそ7本ですけど、シリーズ連動は別としておまけが2本あるので、合計すると9本入ってるんですよね。それを入れると「『アーカイブス3』は8本だから減ってるじゃん!」って言われたら嫌だから。じゃあ「9本にしよう!」って。

――そういう感じなんですか(笑)?

奥成氏:まぁまぁ(笑)。ジャンル的に前回もパズルを入れたから今回も入れたかったですしね。あと、僕が個人的に「コラムス」をすごく好きなのもあります。

――「アーカイブス2」のときにも話してましたしね。「コラムスII」とも言ってましたけど

奥成氏:「コラムスIIをやって欲しい」って話もしたんですけど、さすがに無理でした(笑)。

下村氏:何度か「コラムスII」って言ったよね。

奥成氏:「コラムス」に決まった後も、2度ぐらい「あれ、『コラムスII』じゃないの!? 」ってメールしてましたね(笑)。でもまぁ、それはさすがに厳しかったので。ただ、食い下がったのは「『コラムス』ならフラッシュコラムスのあるメガドライブ版にして欲しい」というのがありましたね。

 メガドライブ版の「コラムス」はアーケードをそのままに遊べるというだけでなく、メガドライブ版のオリジナルモードだったフラッシュコラムスで対戦すると面白かったんですよ。

 それに「コラムス」はもともとアーケード版を手がけたスタッフがそのままメガドライブへと移植して、追加要素としてモードが増え、曲が増え、音楽もステレオになっていると。時代的にも初のアーケード完全移植以上のタイトルと思えるものなんです。なので、そっちをやって欲しくて。

 コラムスは「龍が如く」のPS Vita用の連動アプリに入っているんですけど、あれは1人用カスタムバージョンなんですよね。今回のローカルプレイありのメガドライブ版移植は「龍が如く」のものよりも手間がかかるんです。でもそこは、エムツーさんがしれっと吸収して乗り越えて頂いて。

堀井氏:しれっとじゃないですけどね!

奥成氏:まぁ……何人かが大変な目にあったようです!

――「コラムス」に3D立体視をつけるというのも、一体どうすると効果的なのか悩ましいですよね。

堀井氏:「ぷよぷよ通」と同じように細かいところ全部に立体効果をつけていくという感じですね。宝石そのもの、宝石袋、画面の枠組み……至る所に効果をつけてます。

奥成氏:「ぷよぷよ通」のときに唯一残念だったのが、落ちてくるぷよに立体がついてなかったんですよね。「ファンタジーゾーン」のドラリンフラーみたいにぷくっとした感じがあったら良かったな、と。ただ、画面内のぷよってお邪魔ぷよも含めるとかなりの量があって、それ全部の1個1個に立体をつけるとさすがに3DSには負荷が高いというところがあって。でも「コラムス」は画面内の宝石の数は少なめなので、なんとかがんばれたんです。

――なるほど、宝石の細かい絵柄というか形状にも立体感を全部つけているんですね。

宝石ひとつひとつに3D立体視が!宝石の形が感じられる立体視は必見!
画面枠から宝石袋にまで、つけられるところに全てという勢いで3D立体視効果がつけられている

奥成氏:ぜひ、ちょっと実機を見てみてください。2Dだとおはじきみたいなものなのかなという宝石が、ちゃんと立方体に見えますよ。

――では……(実機で『コラムス』の3D立体視を見ながら)、あ、まずは画面の外枠が思いっきり手前に見えるようになっていて、2層構造のようになっていますね。宝石きた!これは……!2Dだと視覚的にごまかされつつも宝石がどんな形なのかはわからなかったですけど……こういう形状なんですねー。

奥成氏:そうなんです! メガドライブ版のパッケージ裏に宝石のイラストありますけど、こういう感じなんですよ。これをゲーム中で再現しているっていう感じですね。

――なるほど参考はそのあたりからなんですね。あ、あぁ……!このオレンジ色の宝石だと、手前に尖ったひし形みたいになっているんだとかわかりますね。

奥成氏:そうなんですよ。「コラムス」は「こんなの誰が3D立体視でやりたいんだよー!?」っていう人にこそ、ぜひ見てもらいたい(笑)。

堀井氏:「こんなのやらなくてもいいじゃん」って考えていた人に見てもらって「どうだー!」って言いたいというかっ!

――これは、3D立体視で見ないと「宝石はこういう形なんだ」っていうのが一生わからなかったかもしれないですね。

奥成氏:もともとは色をキレイに見せるための演出でしかなかった宝石ですけど、形がちゃんと伝わるようになると宝石ならではの美しさに見えてくるんですよ。

――この緑の宝石も他とちょっと違った、こういうでっぱりがある感じの形なんだなってわかりますね。昔にプレイしていたときは全部サイコロ状の四角形を想像してました。

奥成氏:これはもうね、エムツーさんの職人芸だと思いますね。

下村氏:このこだわりができるスタッフがいるのって、すごいよね。

堀井氏:ありがとうございます!

奥成氏:TGS 2016のステージで「まだ未発表なタイトルの3D立体視がすごいんですよ」って話していたのは、実はこの「コラムス」なんですよ。

 ちなみに「エイリアンシンドローム」はお話のとおりギリギリで実現しているタイトルなので3D立体視が控えめだったりはするんですけど。そのぶん、この「コラムス」はかなりがんばっています。

堀井氏:「コラムス」は誰もわかっちゃくれないかもしれないけど「今回の目玉だな」って密かに思えるような出来になりましたね。地味にしみじみ、立体にしたまま遊んでもらえるものになったなと思います。

奥成氏:1年後にこのゲームを振り返ってみたら、1番遊んでいたのは9本のゲームの中でも「コラムス」だった……なんてことにも、なるかもしれないよね。