インタビュー

「SEGA AGES」インタビュー Part2 “じゃあ、シネパックをキレイにするところからだっ!”

数多の想いを汲んだ「SEGA AGES サンダーフォースIV」、そして今後の展開を聞く

9月20日 配信

価格:925円(税別)

CEROレーティング:A(全年齢対象)

プレイ人数:1人

 セガの名作を“こだわり満載”で復刻する「SEGA AGES」。インタビューPart2では「SEGA AGES サンダーフォースIV」について、そして「SEGA AGES」の今後のタイトルラインナップについて伺った。

 インタビューにご参加頂いたのはPart1に引き続いて、セガゲームスよりシニアプロデューサー下村一誠氏、リードプロデューサー及びディレクターの小玉理恵子氏、スーパーバイザーの奥成洋輔氏、開発を手がけるエムツーより堀井直樹氏。

 Part2も気になる話が満載。盛りだくさんの内容になっているので、じっくりお楽しみ頂ければ幸いだ。

※本インタビューの収録は開発中だった7月中に行なっているので、その後の配信予定の延期や追加のタイトル発表などが加味されていない内容となっている点はご了承頂きたい。

□「SEGA AGES」インタビュー Part1 帰ってきた“こだわり復刻チーム”!
新たな挑戦の始まりと「SEGA AGES ソニック・ザ・ヘッジホッグ」のポイントを聞く

https://game.watch.impress.co.jp/docs/interview/1143320.html

インタビューにご参加頂いた皆様
下村一誠氏(写真右)……ビジネス面も含めてプロジェクト全体を統括し調整するシニアプロデューサー
小玉理恵子氏(写真右から2番目)……「アレックスキッドのミラクルワールド」、「ファンタシースター」シリーズ、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」など多数のタイトルを手がけたセガゲームスのレジェンド級クリエイター。「SEGA AGES」ではリードプロデューサー及びセガゲームス側のディレクターを務める
奥成洋輔氏(写真右から3番目)……こだわりの“無茶振り”でおなじみ。今回の「SEGA AGES」ではスーパーバイザーというポジションに
堀井直樹氏(写真左)……“無茶振り”をなんとかし続ける、こだわり開発会社エムツーの社長
「SEGA AGES」第1弾タイトル
9月20日配信開始となる第1弾タイトル「SEGA AGES ソニック・ザ・ヘッジホッグ」と「SEGA AGES サンダーフォースIV」。ニンテンドーeショップで配信されるダウンロード専用タイトルで、価格はともに925円(税別)
「SEGA AGES」配信予定タイトル(配信日はいずれも未定)
「ファンタシースター」
「アレックスキッドのミラクルワールド」
「ゲイングランド」
「スペースハリアー」
「アウトラン」
「コラムスII」
「サンダーフォースAC」
「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」

「SEGA AGES サンダーフォースIV」 - たくさんの人の想いを乗せて、特別なメガドライブ版「サンダーフォースIV」が誕生!!

【サンダーフォースIV】

 1992年7月24日にテクノソフトより発売されたメガドライブ用シューティングゲーム。「サンダーフォース」シリーズの第4作目。メガドライブ後期に発売され、その重厚感溢れるグラフィックスとサウンド、壮大なボリューム、斬新なアイデアで、当時のユーザーを魅了した。

 全10ステージ構成で、前半の4ステージはどのステージをプレイするか選択可能。前半5ステージと後半5ステージとで戦う勢力が変化する2部構成になっているなど、イベント的な見せ方やストーリー演出も凝った作品となっている。大容量ROMの採用によりBGMのボリュームも増しており、前面に押し出されているFM音源でのギターサウンドが特徴的。

 ストーリーは、前作「サンダーフォースIII」で高速機動戦闘機FIRE LEO-03「ステュクス(STYX)」の活躍により銀河連邦がオーン帝国の皇帝「カウ・ス」を打ち倒した、その2年後。「カウ・ス」の腹心ともいえるサブ・システム「ヴィオス」が自己増殖し、「カウ・ス」を凌ぐまでに成長。連邦軍はついに開発中だった次期主力戦闘機FIRE LEO-04「ライネックス(RYNEX)」を出撃させる……といった物語となっている。

 1996年にはセガサターンに本作を含めた「サンダーフォース」シリーズがまとめられた「サンダーフォース ゴールドパック1」、「サンダーフォース ゴールドパック2」が発売。「サンダーフォースIV」は「ゴールドパック2」に収録されており、前作「サンダーフォースIII」の自機だった「ステュクス」でもプレイ可能。また、初心者でも遊びやすい「KIDSモード」も追加要素として搭載されていた。

 なお、海外版のタイトルは「Lightening Force: Quest for the Darkstar」。

セガサターン版「サンダーフォース ゴールドパック2」に収録されていた「KIDSモード」も搭載。初心者も手軽に楽しめる

奥成氏:「SEGA AGES サンダーフォースIV」も、まずは実際にプレイして感触を確かめてもらいつつ解説していきますね。

 「サンダーフォースIV」では、ゲームバージョンを日本版と海外版を収録していて、初心者向けの「KIDSモード」も搭載しています。KIDSモードは、セガサターン版「サンダーフォース ゴールドパック2」に収録されているものですね。そのほか、画面エフェクト設定には「スキャンライン」や「スムージング」もあり、黒枠に表示する壁紙を選べる設定もあります。

 設定周りの特徴としては「処理落ち軽減」と「ボイス再生」のオン/オフ機能があります。処理落ち軽減は実機の処理落ちを再現するかどうかでオン/オフ切替えが可能です。「ボイス再生」というのはオリジナル版だとパワーアップ時のボイスが再生されている間は曲が止まるという特徴があるのですが、それが止まらないように設定できるというものですね。

 ちなみに、海外版だとちゃんとタイトル画面のテクノソフトの綴りも変わります(笑)。

※国内版では「TecnoSoft」、海外版では「TechnoSoft」という綴りになっている。これは商標登録の際に綴りを間違えて登録してしまい海外版発売の際に正しい綴りに変更したためとされている。

――(プレイしつつ)「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」と同じように「サンダーフォースIV」も今の時点でバリバリ遊べますね。

奥成氏:人によっては「これでもう売ってくれ」と言われるかもしれないです。

――僕はもう売って欲しいです(笑)。音の響きもいいですね、Nintendo Switch本体のスピーカーでもかなり鳴っています。

堀井氏:そう言ってもらえるとだいぶ安心します。実は音周りは「サンダーフォースIV」で気にしているポイントなんです。

――今日のこのインタビューの段階ですと、開発度はどれぐらいになるのでしょう?(※インタビュー収録は7月中旬に行なわれた)

堀井氏:こちらも「ソニック」同様に79%っていう感じですね。

――(プレイを終えて)では、お話を伺っていきます。「セガ 3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE」で収録した「サンダーフォースIII」は、3D立体視の労力がすごくかかったタイトルだというお話になったわけですが、今回の「サンダーフォースIV」はどういった印象でしょうか?

奥成氏:3D立体視は3DSでのお話ですので、それ抜きで「サンダーフォースIV」というゲームそのものを考えると、メガドライブの円熟期あたりに発売されたタイトルで、ゲームとしてはわりと素直な作りの部類だと思いますね。晩年に出た「コミックスゾーン」とかと比べるとっていう話ですけど。

――堀井さんとしても第1弾の「ソニック」と「サンダーフォースIV」の開発前には「どちらもいけるはず」と思えたということですし、そこまで特殊なことはないというところでしょうか。開発は「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」と同時に進められたのですか?

堀井氏:そうですね、だいたい同じです。どちらもメガドライブソフトだということもあって、エミュレーション部分が共通という事情もありますね。

――開発しての印象はいかがだったでしょうか?

堀井氏:メガドライブソフトだということ、それと「セガ3D復刻アーカイブス3」で「サンダーフォースIII」をやっていたということが今回のローンチに間に合わせるというところではメリットでした。

 ですが、「サンダーフォースIV」ってメガドライブの後期にめちゃめちゃ気合いを入れてシリーズ比では大きな容量のROMで作られたゲームなんですよね。8MbitのROMを使っていて「ソニック」の2倍です。その容量の大きさに対して若干の危惧があましたね。扱うサイズが大きいので、いじったりするときに大変だろうなというところがありました。

4月に開催された「セガフェス2018」での試遊の模様(奥成氏による撮影)

――シューティングゲームというところもあって、より処理落ちの再現や入力遅延をなくすための調整に気を使ったところもあったのでしょうか?

堀井氏:いやぁ、実機を最初に展示させて頂いた「セガフェス2018」の時は特にドキドキしました。あの時も我々はなんとかしたつもりでしたし、善戦したつもりだったんですけど、会場でプレイした人からどんな感想出るかはわからないですから。あれで「全然ダメ!」って言われたら「SEGA AGES」全体の雲行きも怪しくなってしまう……とまで思っていました。

――最初だけに変なイメージがついてしまうのは……という気持ちになりますよね。

堀井氏:そうなんです。でもセガフェスでの展示では、「Nintendo Switchってレスポンスがどうしても悪くなると思っていた」という人からも、「プレイしたらそんなことなかった! 良かった!」って言ってもらえたので。本当に嬉しかったです。

 そんなわけで、4月の時点でもレスポンスはすごく気にしていましたし、むしろあの時は「そこさえなんとかなっていれば、多少音が違うとかがあっても後から直します」って考えていましたね。

――なるほど。そこからは「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」と同じように基本的なゲーム部分に関してはそこまで苦労はせずに動かせたのでしょうか?

堀井氏:そうですね。そこはもう「Nintendo Switch万歳!」というところで。

――となると……やはり追加要素に苦労が。

奥成氏:「サンダーフォースIV」では、ただ普通に出すのではなく「ステュクス(STYX)」(サンダーフォースIIIの自機)を使えるようにしようというのをお願いしましたね。

堀井氏:奧成さんの言う「同じものをそのまま出すのも……」という気持ちからのオーダーですね。正直に言えば僕もそれは大歓迎なんです。でも、開発期間がやばくなりますよねー。「ソニック」同様にこちらもローンチに間に合わせたいというのがありますから。

奥成氏:「ソニック」と「サンダーフォースIV」を出しましょうというのが決まっていって、僕はそれを後から見たのですが、ラインナップには何も異論はなかったんです。ただ、その時に「『サンダーフォースIV』を出すってことは当然『ゴールドパック2』版の移植だよね!」っていう話をしたんですよね。

 メガドライブの「サンダーフォース」シリーズはセガサターンにも「サンダーフォース ゴールドパック1」と「ゴールドパック2」として移植されていて、「サンダーフォースIV」は「ゴールドパック2」に収録されています。そして、「ゴールドパック」にはメガドライブ版にはなかった追加要素もあったんです。

 ひとつが「KIDSモード」という初心者向けモードで、それは「セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE」で収録した「サンダーフォースIII」にも搭載した要素でした。これは当然、今回の「サンダーフォースIV」にも入れましょうということになりました。

 もうひとつ、セガサターン版「ゴールドパック2」の追加要素で1番びっくりしたのが“「サンダーフォースIII」の自機であるステュクスを「サンダーフォースIV」で使える”っていうものだったんですよね。これはやっぱり「サンダーフォースIV」を移植するなら絶対にやって欲しいと言われるだろうから、「実現しないとダメだ!」って言わせてもらって。

――奥成さんとしては“搭載するのが当たり前”ぐらいな要素だったんですね。

奥成氏:そうですね。

堀井氏:「ゴールドパック2」の要素を入れるのは、奥成さん的には基本枠ですよね。でも、以前「ソニック」にスピンダッシュを入れようとなった時だと、もし開発で困ったとしても、いざとなればセガさんから資料か何かが出てくるかもしれないって思えたんですよ。

 でも「サンダーフォース」はセガさんが権利こそ取得しましたけど、セガで作ったわけでもなく、スタッフがセガに在籍しているわけでもないわけで。なので、これは最悪の場合、自分たちの見よう見まね……いわゆる目コピでやるしかないぞと覚悟していました。

「ゴールドパック2」の追加要素である前作の自機である「ステュクス」でのプレイを今作にも搭載
こちらはセガフェス2018にてIIIの自機「ステュクス」と、IVの自機「ライネックス」を紹介した様子

――なるほど、そういう事情の違いが。

奥成氏:でも、当時の資料はあったんですよ。テクノソフトの権利を所持していたトゥエンティワンさんから資料の入ったダンボールを何箱ももらっていて、そこに「サンダーフォースIV」のソースデータと「ゴールドパック2」のソースデータもあったんです。

 ただ、「ゴールドパック2」のソースデータがあったといっても、当時セガサターンでメガドライブのゲームを動かすというのはエミュレートじゃないんですよね。メガドライブのソースを1度解体してセガサターン用に作り直して動かしているという時代。「ゴールドパック2」もそうで、その上でセガサターン版独自の追加要素を入れているんですよね。

 それに対して、僕らはセガサターン版を移植するのではなく、あくまでメガドライブ版の「サンダーフォースIV」を移植しているわけなので……。エムツーさんは「ゴールドパック2」の追加要素をセガサターン版を見ながらメガドライブソフトの中に別の形で組み込んでいくということになったんです(笑)。

――そういう意味でソースデータがあっても結局は目コピみたいなことをする状況になったということなんですね(笑)。

奥成氏:ソースを見れば「こういうことをしました」っていう仕様はわかるんですけどね。

堀井氏:そういう事情だったので、セガサターン版を今回のものに組み込むのではなく、メガドライブ版「サンダーフォースIV」の空いている部分に「ステュクス」モードを入れるという作り方をしています。

 結局、内部的には“メガドライブで動くステュクスモードありの「サンダーフォースIV」”という初めてのものが誕生しました。なので、ちゃんとメガドライブ実機でプレイできるROMも今回のデータで作れるんですよ!

 実は、今日お披露目できるように「これのメガドライブROMを作りたい!」ってプログラマーと話していたんですけど、そこにディレクターの松岡がものすごい形相で走ってきて「今はそんなことをやっている余裕はない!」って怒られてボツにされました(笑)。

――そんな贅沢な楽しみ方をしている余裕はないと(笑)。

堀井氏:そうなんです。実機のROMを持ってきたかったんですけどねー。

――「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」と比べて「サンダーフォースIV」で苦労されているというか、気にされた点というのは、どんなところがあったのでしょう?

堀井氏:先ほどちょっと触れましたけど、音の再現度ですね。「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」は3DSの時に調整して作っていますけど、「サンダーフォースIV」は初めてですから。その辺にかなり不安があって、実は当初はFM音源の鳴りが悪かったんです。

 ですが、弊社の齊藤が遺していった3DS用のFM音源ソースのコアを改めて確認してみたところ、3DSでは処理が重いということでコメントアウトしていたのだろうと思われる箇所があったんです。それをNintendo Switchで活かしてみたところ「サンダーフォースIV」の音の再現度が一気に高まったんです。それでかなり気持ちが軽くなりましたね。

 齊藤は「いつか『サンダーフォース』をやるぞ!」って見越して作っていたんじゃないかって。それぐらいバッチリだったんですよ……。

※齊藤彰良氏。セガ3D復刻プロジェクトの立ち上げメンバーでありメインプログラマー。3DS用のFM音源ソースを作るなど同シリーズのサウンドドライバも手がけてその基礎を作った。2016年02月に亡くなられた。

【エムツーサウンドスタッフの皆様にコメントを頂きました】

 3DSの時はCPUスペック的に、FM音源のエミュレーションを処理速度優先で行なう必要がありました。そのため、大部分の音色はOKなのですが、一部の特殊な音色はどうしても再現が難しいものもあります(3DSの時は作品ごとに、処理速度を保ちつつ特定の音色の再現度を向上させる仕組みを作っていました)。

 今回はNintendo SwitchでCPUがパワーアップしたぶん再現度も向上しているのですが、「サンダーフォースIV」では一部の特殊な音色の再現度がなかなかあがらず悩まされました。

 それというのも「サンダーフォースIV」の音色の一部で、キーオン、キーオフを短時間で大量に行なうものがありまして、そうするとエンベロープの推移が特殊なものになります。

 そこで今回コメントアウトを外した部分というのがエンベロープの特殊な推移に寄与する部分だったため、この音色の再現度向上に繋がりました。

 追加要素としては、アイテム取得時などのボイスが鳴るときにBGMが途切れないモードなどを新たに追加しています。また、「STYXモード」ではボイスや効果音も「サンダーフォースIII」、「サンダーフォースAC」のものに差し変わるため、新鮮な気持ちで楽しむことができるようになっています。

 エムツーサウンドスタッフ 春日・工藤・chibi-tech

堀井氏:今回手間をかけた部分として、ゲーム全体もそうなんですけど、「SEGA AGES」としてのメニューとかの基本的なところを全部作り込むとことがあったんですよね。そういう“枠組みの部分”が今回で整いますから、次のタイトルからはやりやすくなるんじゃないかな……なるといいなって思ってます。……なるはず!

――新プロジェクトゆえの最初の苦労がありますよね。

堀井氏:“Nintendo Switchで動く「SEGA AGES」というプラットフォームのローンチ”みたいなところがありますので、がんばりましたね。

――「SEGA AGES」としての枠組みの部分で必要になる素材がいろいろとあったわけですよね。オープニングデモがありますし、ゲーム起動前のイラストもありますし。

当時テクノソフトに在籍されていた金崎泰輔氏による新規描き下ろしの「SEGA AGES サンダーフォースIV」イラスト

奥成氏:そうそう、この「SEGA AGES サンダーフォースIV」起動時のイラストは新規の描き下ろしなんですよ。

堀井氏:ゲーム本編のタイトル画面イラストを描かれた、金崎泰輔さんの描き下ろしなんです! がんばった!!

奥成氏:これはちょっと事情があって、メガドライブ版のパッケージイラストの使用が権利的に不可能というところがありまして。じゃあどうしようかと考えていたところ、エムツーさんから「当時の方にお願いしてみるのはどうでしょう!」という話があがったんです。

堀井氏:うちの冬野(灰馬氏)あたりからそういうアイデアが出たんだと思うんですけど。

奥成氏:それで、当時テクノソフトに在籍されていた金崎さんにお願いしたところ、こちらを描いて頂けたんですよ。

堀井氏:違和感ないですよね。これは嬉しい!

※金崎泰輔氏は、長年ゲーム業界で活躍されているデザイナー。18歳でテクノソフトに入社。その後、レッドカンパニー、CAプロダクション、リバーヒルソフト、CING、ILCAAPPSにてゲーム開発に携わり、現在はアークシステムワークスに所属している。テクノソフト時代に「サンダーフォースIV」タイトル画面のイラストを担当したほか、その後にDS「ウィッシュルーム天使の記憶」のカイル・ハイドや、Wii「アナザーコード」のアシュレイなどをはじめ、多数のキャラクターデザインを手がけている。

【イラストを描かれた金崎泰輔氏にコメントを頂きました】

 皆様こんにちは! 金崎泰輔と申します。

 今回セガ様、エムツー様のおかげで25年前に私自身が開発に携わっていた「サンダーフォースIV」のタイトルイラストを再び描かせて頂く事ができました!

 おかげさまで「サンダーフォースIV」のOPデモやタイトル画面を描いていた若かった当時を思い出しながら楽しく描く事ができました!

ゲーム本編もエムツー様のご尽力により当時を完全に再現して頂いており感謝感謝です!

当時遊ばれていた方々も今回初めて遊ばれる方も

是非是非「サンダーフォースIV」お楽しみください!

――まさに現代に蘇ったというイラストになりましたが、このゲームを起動する時のイラストって、今後のいろんなタイトルでも必要になるわけですよね?

堀井氏:多分そうなりますね!

奥成氏:「SEGA AGES」のデモが流れて、タイトルイラストが表示されて、モード選択をして……という流れなので、もし今回のようにそこに適した素材がない場合、新たに必要になりますね。ダウンロードタイトルなのにパッケージイラストが必要って謎ですよね。そういうところにこだわっちゃうところが「SEGA AGES」らしさ……なのかな(笑)。

下村氏:そこらへんが価格の付加価値の部分だね。

全員:(笑)。

――(笑)。タイトルイラストは、今後もちょっと楽しみにしたいポイントのひとつですねー。

奥成氏:金崎さん以外にも、テクノソフトのスタッフの方々は今はいろいろな会社におられて、多くの方が今も現役で活躍されているんですよ。今回はその方々に連絡を取りまして、「サンダーフォースIV」を移植するということで、そのご挨拶をしたんです。

 そこからオリジナルのメガドライブ版スタッフの方々や「ゴールドパック2」のスタッフの方々からいろいろなお返事を頂けたので、エムツーの開発スタッフ陣に「応援の言葉が届いたよー」っていう感じで伝えたんですよ。

 そうしたらエムツーさんは「え、原作の開発者さんと連絡が取れるんだ!」となって、「それなら、開発者さんにこれを聞いてください!!」っていう、僕にはわからない細かい部分の質問がいっぱい返ってきたんです。

――開発の助け船みたいになっちゃったんですね(笑)。

奥成氏:そうそう。エムツーさんとしては“答え合わせがしたい”っていうことだったようなんですよね。今日は当時のやりとりのメモを持ってきているんですが……例えば、エムツーさんからの質問メールですと、

「『ゴールドパック2』のステュクスモードの疑問点ですが、セイバーを取得する前のツインショットにおいて、『サンダーフォースIII』では弾と弾との発射間隔が2フレームで秒間20発だったのですが、『ゴールドパック2』では1フレームで秒間30発に変更されています。これは『サンダーフォースIV』において前方の火器不足をカバーするための仕様変更でしょうか?」

 ……といった感じで。こういう質問が次から次にいっぱいきたんですよ(笑)。

全員:(笑)。

奥成氏を経由して行なわれた、原作の開発者さんとエムツー開発スタッフによる“答え合わせ”。これによって、原作者の意図や心残りをしっかりと汲んだ「SEGA AGES サンダーフォースIV」が誕生することになる

奥成氏:で、それを元テクノソフトのスタッフの方にお送りしたところ、「火器不足をカバーするための仕様変更で間違いありません」という答えを頂いて。

――正解!

奥成氏:ステュクスは前半戦はライネックスよりも有利ですが、後半戦はライネックスに強力な装備であるサンダーソードが加わるぶんステュクスは不利になるということで。そこを考慮しての調整だったそうなんです。

 エムツーさんとしてはもう1度同じ道を辿っていく上で、ステュクスにおいてはメガドライブ版「サンダーフォースIII」の仕様を取るか「ゴールドパック2」の仕様を取るかの2択があったわけですが、この質問と回答によって「ゴールドパック2」を準拠することに決めていったんですよ。

――なるほど。ちゃんと原作の仕様に理由があって、それを知って納得できた上で作れたということですね。

奥成氏:それに、原作の開発者さんから、こっちでも把握していなかったバグを「すいません『ゴールドパック2』で発売後に気づいたバグがあるんですけど……」というお話がきて。エムツーさんがそれをカバーして直すということも(笑)。

――逆のパターンもきちゃったんですね(笑)。

奥成氏:メガドライブ版にあったバグを「ゴールドパック2」で直したりとかもあったそうなんですよね。メガドライブ版から「ゴールドパック2」版という流れの中で、どういう意図があってどう直してきたかなどをできる範囲でエムツーさんに伝えました。

――そうすると、今回の「サンダーフォースIV」はあくまでメガドライブ版ということですが、バグを含めて、どのバージョンに着地させるかみたいな話にもなってきますよね。

奥成氏:そこは、「ゴールドパック2」で意図して修正しているものは今回のものにも反映させようという形になっていますね。

 PS2の「SEGA AGS 2500」から、Wiiや3DSでバーチャルコンソールをやってきた頃までは、バグも含めて全部をそのまま再現するというやり方だったんですけど、「セガ3D復刻」シリーズを始めてからは、できる限りお客さんにとって良い形をという考えになっています。PS2で「スペースハリアー」を出したときに「SEが鳴りっぱなしになるバグ」があるのがアーケードだから、同じく鳴るようにして出したらお客さんから「うるさい」って言われちゃって(笑)。それで「セガ3D復刻」シリーズの時には鳴らさないようにしたんですよね。そんなわけで「SEGA AGES」でもその方針でやっています。

――なるほど。遺すかどうかの悩ましいバグというのもありますし、難しいところですね。

奥成氏:そうですね。当時のプレーヤーさんも思い出深いであろう味のあるバグとかは、オプションでオン/オフできるようにしたいですよね。

――今回は最終的に、オリジナル版スタッフの方々や「ゴールドパック2」のスタッフの方々の意図をちゃんと汲み、「ゴールドパック2」にあったバグも修正された、最新のメガドライブ版「サンダーフォースIV」が誕生したということなんですね。

堀井氏:そうなんです。やってよかったですよ、本当に。

セガのアーケード基板を攻略し続けるエムツーの歩み。ただし「ゲイングランド」はもうしばらく先に

「セガフェス2018」にて発表されたタイトルラインナップは5タイトル。第1弾の2タイトルのほか、上から順に「ゲイングランド」、「ファンタシースター」、「アレックスキッドのミラクルワールド」(※9月現在はこれに加えて、「スペースハリアー」、「アウトラン」、「コラムスII」、「サンダーフォースAC」、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」が発表された)

――ここからは今後の展開などをお伺いします。今のところラインナップを5タイトル発表されていますが、次に公開されるタイトルはどんな方向になりそうですか?(※)

※このインタビュー収録が行われたのは7月末で、9月20日現在の公開情報とは差異があります。ご了承ください。

堀井氏:「セガ3D復刻」シリーズのときにPS2やXbox 360ではやっていなかったタイトルにも挑んでいったわけですけど、そのときは「立体視の労力があるからわかるけど、これ基板的には同じだからそんなに大変じゃないよね」って言われることがあって、それが悔しかったんですよね。

 それに対して、発表済みの「ゲイングランド」はSYSTEM24という、これまでエムツーでは取り組んでいなかった基板のタイトルになっています。そんなわけで、その方向も期待して頂けるように今がんばっています!

奥成氏:PS2の「SEGA AGES 2500」をスタートするとき、僕、下村さん、エムツーさんとで初めて話して「エムツーさんはどんなことができますか?」って話になって。エムツーさんは「自分たちで独自にエミュレーターを作っていろいろ動かしてます」ということで、持ち込んでもらったのがSYSTEM16基板の「獸王記」と「忍 -SHINOBI-」をPS2で動かしたものだったんですよね。まだサウンドも鳴っていなかったんですけど、とりあえず動いてた。なので、「じゃあ、それを商品にしましょう」っていう話になって。……それは結局どっちも発売されなかったんだけど(笑)。

堀井氏:あれは……PS2で「獣王記 -PROJECT ALTERED BEAST-」っていう新作を作っていたから、それに合わせて、「獸王記」もおまけとして収録できないかっていう話だったんですよね。

奥成氏:その頃にエムツーさんが動かせていたものだと、SYSTEM16のほかにも「セガラリー2006」のおまけソフト版アーケード移植をやっていたのでMODEL2もあって。メガドライブもできてマスターシステムも多分できる。ゲームギアはまだ触っていなかったけどマスターシステムができるのでおそらくできる。

 そんな話から「スペースハリアーコンプリートコレクション」が立ち上がって、「SDI&カルテット」と2本出して。「スペースハリアーコンプリートコレクション」ではエムツーさんはゲームギアはまだやっていなかったので ゲームギア版「スペースハリアー」は入れられるかどうかわからないっていう話だったんですけど、ギリギリのファイナル間近に間に合ったのでどさくさで隠しタイトルとして収録したんですよ。

 エムツーさんとのセガハードの取り組みはそういうところからスタートしたんですけど、そこでメガドライブまでの大体のハードを押さえたわけですが、その後のプロジェクトでラインナップを選ぶ時に、「セガの汎用基板を少しずつエムツーさんに勉強してもらいましょう」ということを話していたんです。

 セガのハードって言うとコンシューマーゲーム機を考えがちなんですけど、その源流はアーケードの基板です。システム基板やハイエンド基板の歴史があって、この基板はこの系統でいろんな派生に流れていっているというのがあって。作り手が同じだからとかいろいろあるわけですけど、メガドライブがベースでサウンドボードだけはこっちで……みたいな。そういう中にSYSTEM C/C2があったりSYSTEM Eがあったりして、SYSTEM16ができるんだからSYSTEM18もちょっと触ってみようかとか。やりながら少しずつ攻略して増やしていった過程があって、ようやく今回でSYSTEM24にたどり着きました。10年ちょっとかけて(笑)。

※「獣王記 -PROJECT ALTERED BEAST-」のくだりや、「SEGA AGES 2500」での取り組みの流れは、こちらのインタビューで詳しく語られている「『3D スペースハリアー』インタビュー『SEGA AGES』から『バーチャルコンソール』、そして3DSにいたるまでの道のり」

堀井氏:そうですね。SYSTEM24は解像度が変則的(486×384ドット、24.830kHz)なので3DSなどの携帯ゲーム機だとフィットさせられなかったというのが大きいんですよ。

奥成氏:解像度の問題が1番大きかったですよね。PS2なら逆に解像度の問題的にはいけました?

堀井氏:PS2の解像度ならなんとかできたかもしれないので、そういう意味ではPS2の「SEGA AGES 2500」だったらいけたかもしれないですねー。

奥成氏:まぁ、そんな感じでフィットするハードの問題もありつつ、お勉強を続けてきて、ついに今回の「SEGA AGES」でSYSTEM24もできるようになって、他のボードもいけるよっていう話にやっとなりました。

 実は、今回の「SEGA AGES」で4月に発表した最初のラインナップには、「ゲイングランド」は入ってなかったんですよ。でも僕が「『ゲイングランド』だけは絶対に発表させて欲しい」ってお願いして、発売は先なのに無理やり入れて貰ったんです。

 それによって「あ、エムツーが新しい基板を手掛けているな」と“わかる人にはわかる”ようにしていたんです(笑)。

堀井氏:そうそう、「SYSTEM24やるのか!」って。そういう“わかる人にはわかる”ように奧成さんがしてくれるのがありがたいんですよ。

奥成氏:そんなわけで……、そういう方向も期待して頂きつつ、「ゲイングランド」はもうしばらくお待ちください。ただ、発表を早めたことで開発もスピードアップしたようで、近々動きがあると思いますよ。(※「ゲイングランド」は東京ゲームショウへのプレイアブル出展が明らかになった)

――ちなみに今後の配信ペースについてですが、基本的には毎月予定しているということなんですよね。

下村氏:毎月1~2本ですね。開発が間に合うかどうかで0~1本になったりすると思います。

奥成氏:今の感じだと、次の配信がいきなりその1本になるんじゃないかって思うんですけど、大丈夫なんですか!?

小玉氏:次は……、1本かなぁ~?

――次のタイトルというと、発表済みの「ゲイングランド」、「ファンタシースター」、「アレックスキッド」のいずれかになるのでしょうか?(※このインタビュー時点では「ファンタシースター」が第2弾予定という発表はされていなかった)

下村氏:そこは……お楽しみで……。

(ここで堀井氏がインターセプト!)

堀井氏:いや、次も語れるところが多くて!「中裕司という人は一体どうなっているんだ!?」と言いたくなるぐらい面白いところが満載なんですよ。4Mbitという大きなROMなのに中さんにとっては足りなかったんだなーと思いましたね!

 ……横で小玉さんがゲラゲラ笑っていますけど(笑)。

小玉氏:だって、ほとんど正解を言っちゃってるんだもの(笑)。

全員:(笑)。

「アーケードタイトルいっぱいやってるじゃん!! 本当はもっとあれもこれも言いたいんですよ!!」

――セガフェスの時には「全15タイトル以上を目標に、将来的にはセガサターンやドリームキャストもあってもいいかもしれない」ということでした。

下村氏:15タイトル以上やろうという話はもうしていて、エムツーさんにも動いてもらっています。でも、今回の初期のタイトルでお客様からの信任を得て結果も出てこないと、その15タイトルで終わってしまうかもしれないというラインです。

 このプロジェクトを魅力的なものなんだと会社にもアピールしないと予算が下りてこないので。なんとかして初期の段階から「思っていたよりもユーザーさんがついてきてくれてる!」と思われるものにしないといけないですね。うまくいけば予算がついて、セガサターンやドリームキャストのタイトルも……という話が現実味を帯びてきます。

堀井氏:それが実現すれば、僕らが勝手に動かしているアレやコレが……!

奥成氏:勝手に(笑)。

――現段階ですと、どれぐらいの期間のプロジェクトを予定しているのでしょう?

下村氏:来年の3月までの1年です。なので来年の4月からは今のところ白紙なんですよ。もしそれ以降もやれることになるのなら早めにラインナップを決めて動かなければならない、そうしないと3月までは毎月配信していても、来年の4月からはどっちにしろ小休止になっちゃうんですよね。

――なるほど。「SEGA AGES」の初期段階から会社にアピールできるぐらいの反響が欲しいというのは、空白期間ができないようリリースしていきたいからという理由もあるんですね。

奥成氏:そうなんです。今のままでエムツーさんが予定通りにタイトルを組めばっ!

堀井氏:組めばっ!

奥成氏:4月以降が空いちゃう(笑)。

全員:(笑)。

下村氏:なので、ぜひ皆様のご支援お願いします。

――奥成さんはセガフェスの時に「アーケードタイトルもいろいろあります」というお話をされていましたよね。

奥成氏:インタビューなのでぶっちゃけて言っちゃいますけど、僕は発表されている5タイトルには不満があったんです。「ゲイングランド」は頼み込んで発表タイトルに入れてもらいましたが、本当はもっとあれもこれも言いたいんですよ!!

堀井氏:俺も言いたい!!

奥成氏:「ゲイングランド」を最初の発表タイトルに入れてもらったのも、「家庭用のタイトルばっかりじゃん!」って思ったからで。ぶっちゃければ「僕ら実はアーケードタイトルやってるじゃん! むしろアーケードタイトルのほうをいっぱいやってるじゃん!! なのに発表にアーケードタイトルが入ってないじゃん!」っていう気持ちがあったんです。僕は「もっといっぱい言ったらいいのになぁー!」って思ってるんです(笑)。

――(笑)。

奥成氏:まぁ、「まだ、全然できてないじゃん!」ってツッコまれるものもあるので言えないんですけどね。

堀井氏:確かに、とりあえず動いているっていうだけなものもある!

奥成氏:でも、僕はタイトルを言うだけ言ってエムツーさんが逃げられないようにするのもいいかなと思うんですけど(笑)。

堀井氏:いやぁ、でも、PS2の「ギャラクシーフォースII」の時みたいに言ってから2年待たせたりするかもしれませんよ!?

奥成氏:あれはねぇ、3カ月で作りますよって言ってたのにね。

――伝説のエピソードですね(笑)。

※2007年に奥成氏とエムツーのタッグで挑んだ「SEGA AGES 2500シリーズ Vol.30 ギャラクシーフォースII」は、タイトル発表と開発スタートから発売されるまでの間に2年かかった。詳しくはこちらの記事を参照頂きたい。

奥成氏:まぁ、ちゃんとお話すると、今後の発表では、みんなが「おーーーっ!」ってなって「これだよっ!」ってなるものをね。

堀井氏:そうですね。「おまえら待たせたな!」って言いたいし、「待ってた!」って言って欲しい!!

奥成氏:最初の発表のときに、家庭用タイトルが中心っぽく見えてガッカリした人がいるかもしれないですけど、そこはエムツーさんが今コツコツ作っていますので。ちゃんと仕上がってきて目処が立ってから発表することになっていますので。

 ……そう言いつつ、まだできていない「ゲイングランド」を発表させたりもしてしまったのですが。「ゲイングランド」はエムツーさんとしても「これは絶対にやりたい!」っていうのが先に立ってるタイトルだったので発表したんですよね。ただし、「ゲイングランド」がすぐに出るかどうかは、まだなんとも言えないんです。

堀井氏:今のところ遊べるものになってはいるのですが、こういう数少ない機会に「ゲイングランド」を移植そのままで出してしまうというのではなく、やれることをできるだけやりたいっていう気持ちがありますね。

奥成氏:今日のお話にもあった追加要素をきっちりやっていきたいというのがあって、それ込みでラインナップを調整しています。「3DSで出したんだからNintendo Switchなら楽勝でしょ?」っていうところは、最初のスタートは楽になったんですけど、追加や調整で楽勝じゃなくなるようなことを一生懸命にやっているので。

堀井氏:むしろ必ず楽勝にならないように話が進んでいくんですよ。僕らはそこに笑顔で飛び込んで、狂ったことをやります!!

略して「VRVR」ですよ!!

――気迫のこもったお話で非常に楽しみです。ちょっと方向を変えますが、アーケードタイトルだと筐体もありますが、例えば、Joy-Conなら操縦桿的なものをダンボールで組み立てて用意できるんじゃないかと思うんですけど、そういう筐体再現的な方向はどうでしょう?

奥成氏:いやぁ、さすがにダウンロードタイトルなので、ダンボールを渡す手段がないんですよね(笑)。

堀井氏:いや、うちの社内では結構盛り上がっていて、例えば「ゴーグルをダンボールで作ってそこにNintendo Switch本体を入れて立体視用の画面を表示させて『バーチャレーシング VR』ってどう!?」みたいなことを言ってるんですよ!

――おお……!

堀井氏:略して「VRVR」ですよ!!

全員:!!(笑)。

奥成氏:このインタビューが載ったら、もうみんな楽しみにしちゃいますよそれ(笑)。

――盛大にハードルが上がりましたねー。

奥成氏:GAME Watchさんのインタビューってちゃんとずっと残りますし。下手したら2030年ぐらいに「エムツーさん『VRVR』はいつ出るんですか?」とか言われますよ(笑)。

堀井氏:……がんばろう!

奥成氏:でもまあ、この会話が記事になった場合は、きっと今回の「SEGA AGES」ではそんな妄想は実現できないから載るんだろうなあ(笑)。削除されてたらきっと実現するけど、それを読者の方はわからないという。

――(笑)。では、Joy-ConのHD振動についてはいかがでしょうか?

堀井氏:今のところは新プロジェクトのローンチということもあって、これといった事がやれていないのが現状なんですけど、やりたいことはあるんですよね。なので、予定が順調に進んでいって、みんながたくさんゲームを遊んでくれていたら、例えば「ソニック」にHD振動に対応させるアップデートを配信したりしたいです。ここは今後の反響次第、経過次第になりますけども。HD振動は面白い遊び方ができると思いますし、使いたいですよね。

――もしやるとしたら、どんなことができそうですか?

堀井氏:「ソニック」でなら、「HD振動でリングを何個取ったかがわかる」みたいなことができると思うんですよ。振動の手応えでね。今こういう話をすると「また仕事が増えるようなことを言って!」と開発スタッフに怒られるから、あんまり言えないんだけども……。

奥成氏:これは完成までの残り21%で、やることがまだいっぱいありますね!

下村氏:まだあったね!

堀井氏:あぁ~、言わなかった事にしたい!

全員:(笑)。

――「セガ 3D復刻」シリーズでは残念ながら見送られた、言わば“心残り”があったかと思います。そのあたりはいかがでしょうか?

奥成氏:エムツーさんとタッグでという意味では、PS2の「SEGA AGES 2500」を2005年頃からやっていて。その頃からずーっと、いろんな心残りやまだできることがあるっていう想いがありましたね。その途中に仕様が増えたり方法が増えたりでそんなこんなでやっていて。そういう意味では今回も“今、1番できることをやっています!”ということになりますね。

堀井氏:ハードがNintendo Switchに変わったので、物理的な解像度の問題などでできなかったものや、CPUのスペック的にどうしてもきついなとなっていたものも、全部どうにかなるようになってきました。

 前回、泣く泣く「これは時間的にも無理だよね……」と諦めたゲームや基板にも踏み込んでいけるようになりました。今現在発表されているぶんだと保守的だなと感じた人もいるかと思いますが、これからバンバン見せていきますので!「こんなことやっていたんです!」って、早く言いたいですね!

「我々は何でも作る用意がある!」

――それでは最後に一言頂けますでしょうか

奥成氏:「SEGA AGES」という名前を冠している限りは、その名前に負けないものにしていかなければという想いがあります。僕みたいなファン視点で開発者になってやっていたところから、今回はオリジナルを作った人がプロデューサーになったというのは、大きな進化かなぁと思います。

 エムツーさんのノウハウ蓄積も増え、スタッフも増え、豪華になりましたので。他の復刻タイトルも、エムツーさん含めて結構いろんなタイトルがNintendo Switchに集まっているので、それらに負けないように、ついていけるように……。これからがんばります(笑)。

小玉氏:今まさに最初の「ソニック」と「サンダーフォースIV」が佳境で、エムツーさんにがんばって頂いているところなのですが。奥成が紹介してくれたように私は当時に原作を作った身なのですが、その頃には20年後、30年後にもういちど自分が作ったタイトルに関われるなんて思っていなかったんですよね。なので、楽しみつつ、苦しみつつ(笑)。

 自分的には昔のものって恥ずかしいので見たくなかったりするんですけど、エムツーのスタッフさんが喜んでいろいろ話してくれたりするので、それを聞きながら、自分でも当時のことを思い出しながらやらせて頂いています。がんばりますので、よろしくお願い致します。

下村氏:このプロジェクトは「セガ3D復刻」シリーズと変わらず、“ユーザーさんと一緒に歩んでいくものだ”と考えています。今回からは「全世界」のユーザーさんともご一緒に、ですね。そのユーザーさんが支えてくださる限りは、セガのラインナップを舐め尽くすまでプロジェクトを続けていきたいと思っていますので。引き続きご支援頂ければと思います。

堀井氏:Nintendo Switchをはじめとした今の家庭用ゲーム機って、もうセガさんのハードウェアを全部一通り動かす力があるんですよね。動いちゃう。あとは遊んでくれるユーザーの皆さんが欲しがってくれれば、我々は何でも作る用意がある! 良い感じになってきた!

――もう、どのハードもいけてますか?

堀井氏:いけますね、いけてる! セガサターンのタイトルは相変わらず大変ではありますが、一通りいけますね。

 「待ってたよこの時を!」っていう気持ちです!

 「俺は待ってたけど、お前らどうだ!?」みたいな!

――今日の堀井さんはアグレッシブですねー。

堀井氏:だって動くんだもん!(笑)。

下村氏:まぁ、エムツーさんが勝手にいろいろ作るのは自由ですし、僕らはそれがいい感じに仕上がってきたら、「じゃあ発売しちゃおうか!?」っていう話をしますから(笑)。僕は個人的には「トランキライザーガン」と「モナコGP」をやりたいですね!

堀井氏:笑顔が恐ろしい! でも、がんばるっ!

奥成氏:このインタビューからの次の発表タイトルがセガサターンの「新世紀エヴァンゲリオン」とかだったら、みんなびっくりするだろうね(笑)。

堀井氏:俺は「少女革命ウテナ いつか革命される物語」がやりたいっ! あれオープニングすごかったんですよ!

小玉氏:懐かしいー(笑)。

奥成氏:あれも元ソース探せばあるよ!

堀井氏:じゃあ、シネパックをキレイにするところからだっ!

全員:(笑)

――楽しいお話は尽きませんが、今回はこのあたりでお開きです。ありがとうございました!