インタビュー
「セガ 3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE」インタビュー
2016年12月22日 00:00
「サンダーフォースIII」-メガドライブを代表する横スクロールSTGは、3D立体視化にかなりの苦労が
奥成氏:そんなわけで。まず目玉の新規移植1本が「ターボアウトラン」に決まりました。これで今回の収録タイトルは6本と、「アーカイブス」の収録タイトル6本と同じになりました。でも、「アーカイブス2」はメインタイトルが7本収録されていたわけで、それを考えると「『ターボアウトラン』だけでは足りないよね」というチームの総意もありました。
そこで加わったのが……「サンダーフォースIII」です!
「サンダーフォースIII」のテクノソフトさんにまつわる権利周りの経緯などはTGS 2016のステージでお話させて頂いたとおりなので。そこはステージの記事をご覧頂くとして。
でも、いざ移植していこうとすると……これがまたメガドライブ作品の中でもごっついタイトルなわけでして、かなり移植するのが手強かったんです。
でも、これまで数々のタイトルに挑み、メガドライブでも「ガンスターヒーローズ」、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」、「ベアナックルII」を移植してきたエムツーさんなら!「サンダーフォースIII」も楽勝で!
――楽勝!?
堀井氏:……!?
奥成氏:お茶の子さいさいで!
――お茶の子さいさい!
堀井氏:……そんなわけないですよねっ!!
――ですよねー……
【サンダーフォースIII】
ソフトメーカー「テクノソフト」が生み出した横スクロールシューティング「サンダーフォース」シリーズの3作目として、1990年にメガドライブ用ソフトとして発売された。見下ろし画面型のステージもあった前2作とは異なり、3作目では人気の横スクロールステージに特化、多彩なステージ構成と演出、巨大なボス、豊富なウェポンに、歯ごたえのある難易度で、メガドライブを代表するシューティングゲームとしての人気を決定づけた。
堀井氏:「サンダーフォースIII」っていうゲームは4Mbitの容量にも関わらず、多彩なステージがあるのですが、そのぶんキャラチップなどが随分と簡略化されていて。上手く組み合わせて画を作っているんですよね。立体的な形状とかも“理屈としてはおかしくても見え方に破綻がなければいい”っていう画作りをしているんです。それに3D立体視をつけていこうとすると、「そもそもこれはどういう形なのか?」っていうのに悩むんです。画面の情報だけでは難しくて自分の頭で想像しながら作らないといけないという状況になって。担当は相当しんどい思いをしたと思います。
――容量の節約も込みで離れ技で見ためを成立させているゲームであり、正確に表現するのには想像力も必要になるという
奥成氏:(持参したメガドライブ用ソフトのマニュアルを見つつ)例えば、この画像にある背景とかですよね。写真だとはっきりとはわからないけど、この緑は森だろう……とか、この辺はグラデーションしているからおそらく奥側への広がりを表現しているのだろう……とか。
――なるほど。かなり工夫をして雰囲気を作り上げているという感じがありますね
堀井氏:そうなんです。そのかもし出されている雰囲気が“どちらとも受け取れる”みたいなところがあって。3D立体視をつけるときにはどっち方向のものとして捉えるべきかみたいなところが出るんですよ。
――もはや美術の話みたいになってきますね。この画をどういう意図で捉えるのが正しいか……みたいな。解釈の問題に
奥成氏:本当にそんな感じで。実は「ガンスターヒーローズ」にもそういうところが結構あったんですよ。どちらも作り手はゲームの面白さありきで作っているので、好きなように作っているぶん3D立体視をつけるときにはどのステージも大変。でも大変ではありますけど「サンダーフォースIII」で言えば、ハーデスの多重スクロールとか3D立体視をつけたくなりますよね。
――かなり3D立体視の見栄えが良さそうですし楽しみなのですが、今のお話のとおりこれは大変ですよね
堀井氏:「サンダーフォースIII」はステージごとに見せ方が全然違っているので、とにかく全てやっていくという感じでした。ステージごとにひとつひとつ違っているという意味でも「ガンスターヒーローズ」に匹敵しますね。
奥成氏:「サンダーフォースIII」の3D立体視をつけたのは、「ガンスターヒーローズ」と同じスタッフが担当しているんですよ。「ガンスター」と同様で背景が多彩なので、その人が担当で良かったなと思います。
堀井氏:僕も良かったと思いますよ。僕は3D復刻シリーズで1番好きな3D立体視が「ガンスターヒーローズ」なんですけど、そのノウハウがあってこそ「サンダーフォースIII」もがんばれたという感じですね。いい感じに仕上がってます。
「サンダーフォースIII」-より手軽な難易度で楽しめる「KIDSモード」を収録
――「アーカイブス3」で収録されたテクノソフトの「サンダーフォースIII」は、このプロジェクトでは初めての横スクロールシューティングタイトルになるんですよね。「ファンタジーゾーン」があるとはいえ。
奥成氏:「ファンタジーゾーン」は「ディフェンダー」の系統ですよね。セガの横スクロールシューティングは「アストロフラッシュ」とか「クライング」とか、微妙な人気のタイトルが多くて……。
――「サンダーフォースIII」はメガドライブの横スクロールシューティングと言えば、真っ先に名前が挙がるような存在ですね。
奥成氏:当時メガドライブのラインナップの中で、セガが持っていなかったピースをテクノソフトさんに「サンダーフォース」シリーズで埋めていただいたと。
「アーカイブス」、「アーカイブス2」では「ファンタジーゾーン」と「ファンタジーゾーンII」がありましたが、今回、「アーカイブス3」でもテクノソフトさんの「サンダーフォースIII」を入れることで、タイトル数だけでなく、質的にも前2作と負けないものになったと思います。しかも鈴木裕さんの「アフターバーナーII」、中裕司さんの「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」と、レジェンドクリエイターのヒット作やその続編が入っているということで、豪華さでいえば1番のものになったのではないかという気がしますね。
――「サンダーフォースIII」はかなり難易度が高かったと記憶しているのですが、今回収録にあたってはどのような仕掛けを入れてますか?
奥成氏:セガサターンでリリースされた「サンダーフォースゴールドパック」で追加された「KIDSモード」を再現しました。これは難易度を大幅に下げるもので、ONにするとミスしても5種類の武器と、オプションのクローを失うことなく復活してプレイできます。しかも、ミスして復活したときはシールドを1段階装備した状態で復活します。これで復活がかなりやりやすくなると思います。
もっと言うと、「サンダーフォースIII」は海外版の方が難易度が緩めで、難易度以外は変わらないんですが、海外版を選んで「KIDSモード」を選んでもらえば、敵はすぐ倒せるようになるので、相当簡単になると思いますね。
©SEGA
Bare Knuckle II: MUSIC ©YUZO KOSHIRO
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パッケージイラスト:杉森建(株式会社ゲームフリーク)