インタビュー

「FFXIV: 紅蓮のリベレーター」プロデューサー吉田直樹氏ミニインタビュー

赤魔道士はピュアDPSなのか!? 東京ファンフェス初日を終えた吉田氏に直撃!

12月24日、25日開催



会場:東京ビッグサイト

 12月24日、「ファイナルファンタジーXIV」のファンイベントが10月のラスベガスに続いて、東京で開催された。「FFXIV」ファンにとっても、メディアにとっても注目なのは、開幕に行なわれる吉田直樹氏単独で行なわれる基調講演だ。ファンフェスにおける吉田氏の基調講演は、前回の「蒼天のイシュガルド」から続く伝統となっており、日本、北米、ヨーロッパのそれぞれの地域で3回にわけて吉田氏自身が新たなエキスパンションについて語るという内容になっている。

 今回の東京会場は2回目の基調講演ということで、1回目の内容を補足しつつ、新ジョブ「赤魔道士」や、新アクション「水中アクション」、新レイドコンテンツ「次元の狭間 オメガ」、新アライアンスレイド「RETURN TO IVALICE(リターン・トゥ・イヴァリース)」などなど、具体的なコンテンツが次々に発表された。その内容については基調講演レポートを参照して貰うこととして、本稿では東京ファンフェス初日終了後に行なわれた囲み取材の模様をお届けしたい。ラスベガスの超ロングインタビューと比較すると、圧倒的に時間が短く、個々の要素についてあまり掘り下げて聞くことはできなかったが、気になる赤魔道士や、「RETURN TO IVALICE」などについて興味深い回答を得ることができた。また、プロデューサーレターライブで電撃的に発表された「牙狼」コラボについても詳しく聞くことができたので、合わせてお楽しみいただきたい。

ファンフェスの感想について

質問に答える「FFXIV: 紅蓮のリベレーター」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏

――ラスベガスに続いて、2度目の基調講演となりましたが、何か心境の変化はありましたか?

吉田氏:前回に比べて多少大ネタを出せるようになったので多少気が楽でしたが、緊張感は変わらないなという感じでした。日本は私の母国なので、日本語がダイレクトに通じますし、お客様が完成や態度で盛り上げに一役買ってくれていたので、基調講演が始まってからは順調に行けたんじゃないかと思います。

――今回の基調講演のテーマは?

吉田氏:ちょうど中間地点なので、ラスベガスのファンフェスを皮切りに、パッチも含めて、4.0のストーリー展開という意味では、ちょうど今回のファンフェスと、来月1月17日の「パッチ3.5宿命の果て」パート1がちょうど折り返し地点になります。あとは最後の2月のフランクフルトと「パッチ3.5宿命の果て」パート2で、すっきり4.0に行けるかなと考えていますので、折り返しの一発目としてはうまくいったんじゃないかと思っています。

――今日の発表までで、全体のどれぐらいが明らかになったのですか?

吉田氏:半分ぐらいですか。

――まだ半分ですか。

吉田氏:ええ、フランクフルトの基調講演でも結構ビックリしていただけるんじゃないかなと思ってます。フランクフルトのファンフェスは、パッチ3.5の後になるので、のっけから全開でいっていただけるのではないかと思います。というのも、パッチ3.5 パート1をプレイすると、おそらくまた1段上がった状態になって「早く早く!」という感じになっていただけるんじゃないかなと思いますので。

赤魔道士について

赤魔道士は、エッセンスは活かしつつも、「FFXIV」ならではの新解釈で新しい赤魔道士像を目指しているという

――今回の大きな発表はなんといっても新ジョブが公開されたことですね。

吉田氏:そうですね。ラスベガスのファンフェスでは、もうちょっと情報が欲しかったなという感じだったと思いますので、日本では最初にジョブから行くということは、開発チームにもPRチームにもしていたのですが、今回ジョブの発表から入ったことで凄く盛り上がっていただけたかなと思っています。

――数あるジョブの中からなぜ赤魔道士を選んだのですか?

吉田氏:やっぱり「FFXIV」を旧版から担当することになって、新生するにあたって「FF」らしいジョブをしっかり実装していきますというお話を当時からさせていただいていたと思うんですけど、「FF」シリーズ来年30周年で、想い出に残っているジョブはほかにも沢山あると思うんですけど、原点に戻って消去法で考えていったときに赤魔道士は外せないだろうなと。あと赤魔道士は世界中から「FFXIV」のグラフィックスとバトルで使いたいという要望を本当に沢山頂戴したので、まっすぐにそれでいこうという話になりました。ですから、赤魔道士を実装することはかなり早い段階で決まっていました。

――赤魔道士のジョブデザインについてですが、レイピアと魔法のクリスタルを使って戦うということですが、レイピアは物理攻撃という扱いになるのですか?

吉田氏:えっと、物理は物理です。難しいな、これを答えすぎると色々支障がありますね(笑)。

――魔法のクリスタルはどこに入るのですか?

吉田氏:基調講演でお話ししたとおり、バトル中は2つに分離しますけど、納刀すると1つになるので、武器としては1つです。メインだけでサブには入りません。「レイピアはあるけど、クリスタルは出ねー」という事にはなりません。

――赤魔道士は、ピュアDPSですか、それとも支援系ですか?

吉田氏:ピュアDPSです。

――イメージ的にはDPSのどのあたりに位置するのですか?

吉田氏:パーティーのシチュエーションによるので何とも言えませんが、新ジョブなのでできるだけ皆さんに使っていただけるような魅力的なジョブにしようと思っています。ただ、他社の開発チームは、新ジョブは結構オーバーパワーな設定にしがちなんですが、うちのチームはみんな慎重なので、他のDPSと綺麗に揃えようとはすると思いますね。

――赤魔道士がDPSというのはちょっと意外ですね。ヒーラーでも良かったような気もするのですが。

吉田氏:そこは悩ましいところで、元の赤魔道士は黒魔法と白魔法の両方を使えるというところで、開発チームにも「FFXIV」ならではの赤魔道士を作っていかないと結局使えないジョブになってしまったり、赤魔道士にする必要があったのと中途半端なところに落ちるぐらいだったら、エッセンスは持ったまま新しいデザインにしようと伝えています。「FFXIV」は独立したナンバリングタイトルなので、新しいタイプの赤魔道士になっているんじゃないかなと思います。

――赤魔道士が使う「赤魔法」には、どういったものを入れようと考えていますか?

吉田氏:まだお伝えするのが難しいな(笑)。白・黒・赤という話を突っ込んですると「いやいや、それは違う」と絶対に混乱が生じると思いますので、赤魔道士だったらこの魔法は使えるべきだとか、その議論をしていただくのはまだちょっと早いと思っていて、我々も組み立てながら、ひととおりのアクションは実装が始まっているんですけど、作って見て消したり足したりというのはまだまだ続きますので、それらが固まってきてからということになると思います。

 今回発売日を社長が言ってしまったので(笑)、だいたい4月から5月頃にジョブに関して詳しい話ができるんじゃないかと思います。先行情報だけでコミュニティの間でテンションが上がったり下がったりするのも何なので、僕らとして赤魔道士はこうですというものが出来上がるまで、しばらくは地下潜行しようかと考えています。

――赤魔道士のオートアタックはどうなりますか?

吉田氏:突っ込んできますね、しばらく地下潜行すると言ってるじゃないですか(笑)。離れているからオートアタック分だけ損するということのないような仕組みを取り入れています。現時点で言えるのはここまでです。

――ラスベガスのファンフェスでは「複数の新ジョブ」と発表されていましたが、フランクフルトでも新たな新ジョブの発表に期待していいですか?

吉田氏:いいと思いますよ。

――また「関係ない」と言われると思いますけど、本日着ていた「スパイダーマン」のTシャツは?

吉田氏:ああ、関係ないです(笑)。「スパイダーマン」の監督はおひとりではないですからね。蜘蛛の巣士かもしれませんしね。さっき「FF」らしいジョブをと言ったばかりなのに「蜘蛛の巣士」ってなんだって話ですけど(笑)。まあ、あれこれ想像して盛り上がっていただければいいのかなと。

2017年の「FFXIV」像と新アライアンスレイドについて

「紅蓮のリベレーター」で実装される新アライアンスレイドは「RETURN TO IVALICE(リターン・トゥ・イヴァリース)」になることが発表された
吉田氏から向かって左が松野泰己氏、右が雨宮慶太氏

――来年「FF」30周年ということですが、2017年は「FFXIV」にとってどのような年にしたいと考えていますか?

吉田氏:次の最新のエクスパンションがあるということで、次のステップへの弾みを付ける年にしたいなと思いますね。まだ「FFXIV」は完成したとは思っていませんので、まだまだテーマパークとして出していきたい要素、チャレンジしていきたい乗り物などもありますし、そこは時代のニーズ、お客様のニーズに合わせてこれからも挑戦者としてチャレンジしていきたいですね。ちなみに、たぶんですけど、「紅蓮のリベレーター」が30周年記念タイトルの第1弾になるんじゃないかと思います。それ以外にタイトルが出ればいいですけど(笑)、まさにその30周年記念タイトルになるぐらいの気持ちで取り組んでいきたいと思います。

――そういう意味では、アライアンスレイドに、松野さんと雨宮さんがゲストクリエイターとして参戦するというのは、これまでの「FFXIV」の歴史から見ても、これまでにない動きですね。

吉田氏:そうですね。やっぱり、MMOじゃないとやりにくいのかもしれませんが、本当にゲーム業界の方、クリエイティブ業界の方、声優さんたちもそうですが、本当に「FFXIV」をガチで遊んで下さっている方が多くて、「俺も作りたい」という声を数多くいただいています。そういった情熱をまっすぐに受け止めて一緒にやれればいいですよね。ゲストクリエイターというふうには呼んでいますけど、どちらかというと超大型新人が開発チームに加わるみたいな気持ちです。仕事になったら僕は割と遠慮がない方なので、松野さんに「スケジュール分かってますよね?」とか、良いものにするために心を鬼にして言ってます。「良いものを上げてもらわないと困りますけど、パッチを遅らせるわけにはいかないので」とも(笑)。

 あとは雨宮さんにお願いができたことも大きいですね。松野さんの雨宮さんに対するリスペクトも、僕と同じぐらいありますので、3人で一緒に食事をしたときに松野さんが「クリエイティブはどうやっているのか」とかずっと雨宮さんに質問していて、あんなに質問する松野さんを見たことがないというぐらいで、これはスケジュール守ってくれそうだなという感じで、そういう相乗効果も含めてまた新しい「FF」なのかなと。

 雨宮さんが「FF」に参戦されるのは今回が初めてで、世界的にもファンの多い方ですので、アーティスティックな部分が「FF」に加わるということ。松野さんにしてみればイヴァリースアライアンスという世界のサーガが「FF」でもう一度ということなので、新しい血と古い血が混ざり合うことで新しいものが提供できればなと考えています。

――もともと今回のコラボはどういうきっかけで始まったんですか?

吉田氏:あんまり順番というものはなくて、「FFXIV」を担当して、自分なりに一生懸命頑張ってきたなかで、僕はもともと松野さんに憧れていましたし、雨宮さんに対しても同じで、ひたすら「FFXIV」をやっていたら、こうしてメディアの皆さんとお話しする機会があり、「注目している作品は何ですか?」という質問に対して「牙狼」、「牙狼」と言っていたら、それが縁でこういうことになったという感じです。

 これはやっぱり「FFXIV」を一生懸命やって来たおかげだと思っていますし、松野さんから声をかけていただいたのも「FFXIV」をやっている吉田とどうしても飯が食いたいと言っていただいたのが縁になっています。頑張っていれば良いことがあるなということと、せっかく良いことがあったんだったら、もっとちゃんと形にして、驚きとか、僕らにしかできないことをプレーヤーの皆さんにお返ししていきたいかなと考えています。もともと松野さんとは呑みに行ったら「何か書かせてよ」という話はしていたので、だからやるときは大ネタをお願いしに行くのでよろしくお願いしますと。2016年の春過ぎぐらいから話はぼちぼちし始めて、企画を固めていくのでよろしくお願いしますという話はしていました。

――そのアライアンスレイドですが、4.0のリリース直後から遊べますか?

吉田氏:いえ、パッチ4.1の予定です。ただ、プロモーションは4.0と同時に始めていきます。

――情報公開のタイミングは?

吉田氏:もう結構形にはなってきているので、皆さんが思っているよりは早いんじゃないかなと思いますね。4.0がリリースされる頃にはもうかなり話せるようになっていると思います。そもそもパッチ4.1は、3.0からパッチ3.1のように開けないスケジュールを今から立てています。前回は張り切りすぎて息切れしていて休ませないとヤバかったので、今回はそうならないように最初から予定を組んでいますので、4.xシリーズはテンポ良く進めていこうと考えています。4.0のあとすぐに来ると思っておいていただいていいと思います。

「牙狼」コラボについて

すべては吉田氏が大ファンだったことから始まった「牙狼」コラボ。吉田氏自身このコラボを非常に楽しみにしているようだ
「FFXIV」と「牙狼」がまさかのコラボレーション
冗談のような絵だが、本当にコラボする

――今回発表された「牙狼」コラボは、個人的にも嬉しいです。早く欲しいなと思っているぐらいですが、今からPvPに行って戦績を貯めておいた方がいいのでしょうか?

吉田氏:はい、戦績を貯めておけばそれだけ早く手に入ると思います。

――「妖怪ウォッチ」コラボのようなメダルのような要素は?

吉田氏:ありません。戦績で交換できるだけです。カンストさせておけばそれだけ早く手に入ると思います。

――フルコンプするのは大変ですか?

吉田氏:僕「妖怪ウォッチ」コラボの時も同じ事を言ったと思いますが、1ジョブ分の武器を取るだけなら簡単です。ただ、今回はかけ算で倍々に増えるようなことはないので値はすべて並列なので、好きなジョブのものや、カッコイイと思うジョブのものから取っていっていただければなと。

――PvPが盛り上がりそうですね。

吉田氏:そうなっていただけるといいですけど、あまり揉めないようにしていただけるといいかなと(笑)。

――今回モーションは入れていないのですか?

吉田氏:入れていません。入れても良かったんですけど、なんかちょっとさすがにやり過ぎなのかなと(笑)。リクエストがあれば考えます。「牙狼」装備はPvP装備として実装されるので、「妖怪ウォッチ」コラボよりも全然長く、当面の間実施されますので、ゆっくりで構いませんので集めていただければと思います。リクエストがあれば、雨宮監督も「FFXIV」開発チームの一員になっていただいたので、「監督、みんな欲しいって」、「ならいいんじゃない」となるかもしれませんし。

 また、「牙狼」コラボについては、本編のチームから演出やサウンドを提供していただいたほか、「牙狼」 本編で使っているハイクオリティのCGモデルも全部提供していただいて、それをスクエニの開発チームでローポリ化して実装するということをやったので、本編とほぼ変わらないクオリティになっていると思います。一部潰れるところは出てきますが、監督は最初のチェックで「凄すぎてもう言うことが無い」と言っていただいたぐらいなので、ぜひ楽しんでいただければと思います。

――マウントはアチーブですか?

吉田氏:はい、そうです。ただ、既存のアチーブに足すわけではないということだけ言っておきます。

水中アクションについて

夢が膨らむ水中アクション

――水中アクションについて質問です。「蒼天のイシュガルド」ではフライングは、全体としてかなり大きなウェイトを占めていたと思いますが、「紅蓮のリベレーター」で水中アクションはどれぐらいのウェイトを占めていますか?

吉田氏:うーん、誤解を招きそうで表現が難しいのですが、「蒼天のイシュガルド」も、そのエリアにあるメインストーリーをすべてクリアするとフライング可能になるという仕組みだったので、実はメインストーリー上飛ぶ必要はなかったんですね。水中に関してもメインストーリー上、潜る必要性がある場所は存在しますが、だからこそ潜ることを習得していくことになるわけですけど、それ以外はあまり強制するようなものではないですね。遊びの幅という意味では広がりますし、メインストーリーをクリアすれば終わりというゲームでもないですから、水の中で遊ぶコンテンツも用意してあります。「蒼天のイシュガルド」のフライングは、あくまで移動手段として飛ぶことしかできませんでしたけど、今回は潜らないとできないことがありますし、フライングよりはできることは増えていると思います。

――それは水中にインスタンスダンジョンや街が存在するということですか?

吉田氏:うーん、ないとは言わないです。

――リムサ・ロミンサのハウジングエリアでは泳げますか?

吉田氏:それはノーコメントにしておきます。でないと、リムサだけズルいってことになってしまうと思いますので(笑)。悩んでいるところではあります。それよりフランクフルトで、新しいハウジングエリアも発表できると思いますのでそこにも目を向けていただけるといいかなと思います。

――ありがとうございました。