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会場:Gravity本社ビル
現在はそれでも手狭になってきているため、年内に全社が1つに収まる大きなビルへの引っ越しを予定しているという。「ラグナロクオンライン」に続くヒット作の不在に起因する株価の低迷に苦しむ同社だが、柳日栄CEO体制においてもまだまだ強気の姿勢は崩していない。
今回、インタビューに応じて頂いたのは、Gravityの主力タイトルである「ラグナロクオンライン」の続編「ラグナロクオンライン 2」のプロデューサーを務めるPark Young-Woo氏。恵まれた体格から繰り出される身振り手振りを交えた軽快なトークは、一見ゲーム開発者らしくない印象も受けるが、自身、大のゲームファンらしく、「ラグナロクオンライン 2」の完成像を熱っぽく語ってくれた。「ラグナロク」ファン必見のインタビューである。
■ 賛否両論だったTGS版「RO2」。βテスト開始時期は“年内”から“未定”に
Park Young-Woo氏(以下、Park氏): 現在開発中の「ラグナロクオンライン 2」(以下「RO2」)の開発チームリーダーで、プロデューサーとしてグラフィックからプログラムまで全般的な統括をしています。 編: 「RO2」の開発に携わる前はどのようなプロジェクトを担当していたのですか? Park氏: 現在の仕事の前は「ラグナロクオンライン」(以下「RO」)の開発に携わっていました。さらにその前は「アークトゥルス」の開発をしていました。 編: 現在「RO2」は何人体制で開発されているのでしょうか。 Park氏: プログラマーやグラフィッカーなどを含めて57名で開発しています。 編: 「RO2」は9月に東京ゲームショウ(以下TGS)で出展されましたが、ユーザーの反応はいかがでしたか? Park氏: ユーザーの反応は2つにわかれているように感じました。TGSに来ていたユーザーは、おおむね満足しているように感じましたが、インターネットの上では「RO2」の出来について予想より厳しい意見も聞かれました。 編: それは具体的にどのあたりでしょう? Park氏: 「RO」といえば可愛らしいキャラクタデザインがセールスポイントですが、TGSで公開された「RO2」のキャラクタについて、「コワイ(日本語で)」という意見を多く聞きました。こちらとしては怖い顔にしようとして作ったわけではなく、可愛いキャラクタにしようとしたあまり、かえって不自然な印象をユーザーに与えてしまったようです。 編: その「コワイ」という意見は日本のユーザーからのものですか? Park氏: 日韓両方からありましたね。ただ文化の違いもあり、インターネットコミュニティ上で「コワイ」と表現したのは日本のユーザーに限ってのようでしたが、韓国のユーザーからもキャラクタのデザインに関しては不満の声があがっていました。 編: 「コワイ」という評価を受けて、今後「RO2」のキャラクタはどう変わるのですか? Park氏: 言葉で表現するのは難しいですね。TGSで公開されたキャラクタを私が最初に見たときは「あ、かわいい!!」と思ったのですが、ユーザーさん達の反応を見て、私自身の考えが変わった部分があり、練り直しているところです。 編: 瞳、髪型、動き、等身など具体的にどのあたりに修正が加えられるのでしょうか。 Park氏: 主に首から上の部分です。頭から耳、首から上にかけての顔全般にかけてデザインの修正を行なっていきます。 編: TGSでは年内にβテストを行なうという発表をされましたが、現在の公開までの進行状況はいかがですか。 Park氏: 1日でも早く公開したい気持ちを第一に開発を進めていますが、TGSの際のユーザーの反応や、会社の戦略的な判断、とりわけゲーム市場が要求するゲームの完成度が高くなり、それに合わせて開発が遅れてしまっている状況です。 編: それでは、TGSの戦略発表会で発表された、「RO2」のβサービスを年内開始は、延期と言うことでしょうか? Park氏: βサービス公開に関しては日本でも韓国でも年内には公開できるかどうかということについては申し上げられません。 編: βサービス公開を100%とすると現在は何%開発を進められているのでしょうか。 Park氏: TGSの直後の調査で37%となっています。今はそこから1カ月分は着実に進んではいますが、詳しくは調査していないのでわかりません。 編: 「RO2」には3つの種族が登場するそうですが、まだ人間種族しか公開されていませんね。他の2種類の種族についての開発状況はいかがですか?
Park氏: Normanのキャラクタは完全に完成していて、Ellrはおおまかに完成し、3Dでプロトタイプのキャラクタを作って顔の表情など精査しているところです。まだNormanとEllrの2種族ができたばかりの段階なので、G★ではムービーのみの公開となります。
編: G★のステージで新たな発表を行なう予定はありますか。 Park氏: 開発が遅くなってユーザーのみなさんには大変申し訳ないということで、他のゲームに関してもしかすれば出るかもしれません。ひょっとしたら、顔をお見せできる機会がないかもしれません。(編注:G★では「RO2」は未出展) 編: 「RO2」をTGSで見せてG★で見せないとなると韓国のユーザーから不満の声が挙がるのではありませんか? Park氏: 韓国のユーザーに不満を生じさせてしまうかもしれないとは思っています。しかし、そのことを意識するあまり、クオリティの低い段階で公開することはかえって良くない結果を招きます。ユーザーの皆さんには本当に申し訳ありませんが、もう少し待ってください。 編: 「RO2」の発表からの一連の流れを見ていると韓国よりも日本を意識しているように見えますが。 Park氏: そういったつもりはありません。TGSで公開し、G★で公開しないというところから、日本重視といった印象をもたれてしまうかもしれませんが、私たちは日韓うんぬん以前にアジア全体を考えて開発を進めているつもりです。 編: 現在、「RO2」に関して一番開発に力をいれているポイントはどこですか。 Park氏: 「RO」といえばキャラクタということで、「RO2」でもキャラクタをより一層可愛らしくするということを主にしています。 編: 他の2種の種族も可愛らしくするのでしょうか? Park氏: Normanというキャラは少年や少女のイメージで、Ellrは日本でいうところの「カワイイ~!!(日本語で)」イメージで、もう1つのDimagoは「カッコイイ!(日本語で)」イメージでデザインされています。 編: 「RO」を表現するときに“萌えキャラ”という言葉を使いますが、萌えキャラに相当するキャラクタはいますか。 Park氏: Dimagoには“萌え”ではなく、“燃え”を感じてもらえると思います。また、「RO2」ではキャラクタよりもNPCに、よりそういった要素を盛り込んでいます。Dimagoはカッコイイというイメージに足して「新しい燃え」を感じることができると思いますよ。 編: Dimagoはどういった点で「燃え」を感じられるのでしょう?
Park氏: それはまだヒミツです。 ■ クエスト重視となる「RO2」。NPCはクエストでも重要な存在に
Park氏: 「RO2」では多様なNPCが存在し、それぞれが登場する背景や設定をもっています。中でも重要なNPCが4、5キャラいるのですがそのキャラクタに対してテーマ曲を設けようと考えています。やはりオンラインゲームなので声を入れたりなどもしてみたいですが、それはまだ検討段階です。 編: それら重要なNPCはどういった役割を担うのでしょうか。 Park氏: プレーヤーと同じ世界の中で一緒に暮らしているキャラクタで、アイテムの売買やクエスト進行などゲーム進行に必ず必要になるようなタイミングでかかわることになるキャラクタです。 編: NPCが歩いたり同じパーティに入ることはあるのでしょうか。 Park氏: NPCはアイテム売買などもしますが、歩きまわったり、キャラクタに反応したり、モンスターに反応することもあります。また、街の外に登場する可能性もあります。ただ、同じパーティに入ることはありません。 編: なるほど。今回、プレーヤーはどのような存在なのでしょうか? Park氏: 基本的に「RO」と同じで、Normanはノービスからスタートし、転職して上位職を極めていくことになります。EllrとDimagoは職業が存在せずに、レベルアップを繰り返してそのまま成長していきます。また、3種族はそれぞれ出発地点も違っていて、Normanは分裂した国家が舞台で、Ellrは1つの国、Dimagoは固有の国をもちません。 編: 始めたキャラによってその国固有のストーリーが始まるのでしょうか? Park氏: いいえ。実際ゲームの中では国という概念は特に関係ありません。シナリオ的な面とユーザーの個人的な側面で違いがでてくるということだけです。特に言えば3つの種族の目的が違うということです。Norman族は冒険そのものが主な目的で、さまざまな種族と交流をしていくことになります。 Ellr族の目的は種族間で大きな危機が発生し、その問題を解決するために冒険するという背景があります。Dimago族は記憶喪失になってしまった自分のアイデンティティを取り戻すために旅に出るといったシナリオになります。最終的にはオンラインゲームなのでみんなで一緒にパーティを組んだり旅に出るといった展開になると思います。 編: 「RO」の攻城戦のように種族間で戦争があったりするのでしょうか? Park氏: そうですね。3種族の間でゲーム開始時に戦争が起きていたり、元々戦争があったというようなシナリオは特に考えていませんが、もしかしたらそういった展開もあるかもしれません。 編: 「RO2」のクエストはどういったものがあるのでしょうか。 Park氏: 「RO2」ではクエストをクリアすることによってゲームが進行します。次々にクエストを解決していき、クエストを通してシナリオを理解していくという展開にするつもりです。 編: 「EverQuest」や「ファイナルファンタジー XI」などのクエスト、ストーリー重視のMMORPGを意識していますか? Park氏: そうですね、クエストはとにかくたくさん用意できるよう努力しています。数よりはクオリティを高めるつもりです。また、ユーザーさん達がたくさんのクエストを同時に受けてしまい、シナリオの流れを見失って欲しくないので、システム的にも1つか2つ程度のクエストだけをじっくり進行することができるような方式にしたいと思っています。1つ1つのクエストを解決しながらシナリオを楽しんでもらいたいですね。 編: 「RO2」のクエストはとても興味があります。どういったものかサンプルとして1つ教えていただけませんか? Park氏: TGSでプレイアブルデモとして公開されたエリアの中にホドミメスという村があります。それはNormanのスタート地点となる島にある村なのですが、村のはずれに鍾乳石でできた洞窟がありまして、村ではその洞窟に正体不明の怪物がいるとい噂があります。プレーヤーが実際に洞窟に入ってみると巨大な機械のカニと遭遇します。 そのカニは戦いを挑んでくるのではなく話しかけてきます。しかし、プレーヤーはカニの言葉がわからない。カニはやがて絵のかかれた紙を渡してきます。今度はそれが何なのか、カニが何をもとめているのかわからない。そこで村人たちに紙を見せて話を聞いてみると、「水が欲しいということだよ」、「いや、ごはんをくれっていうことだよ」などと、いい加減なことばかり言います。このクエストはまだ続きがあるのですが、このような謎解き要素のあるクエストを数多く盛り込むつもりです。
■ 「RO」と「RO2」は独立した存在。「RO2」は世界市場を狙う作品に
Park氏: 他のゲームと同じように通常のチャットシステムはありますが、それだけではなく、Yahoo!チャットのようなホームページ上でチャットができるようなシステムを「RO2」に搭載することによって、ユーザー同士がオフラインで出会えるような機会を設けられるようにする予定です。 オンラインで出会った次はオフラインなので、オンラインで知り合った友達とオフラインでも継続していけるようなユーザーのコミュニケーションの場を提供したいです。この他にも一般的なギルドシステムなども導入していきます。 編: 今まで発表されている、装備成長システムやコンプレックスジョブチェンジシステムといったもの以外の新しいシステムはあるのでしょうか。 Park氏: そのほかにもいろいろありますが、新しいものでまだ名前すらついてないシステムもありますので、すいません、今はお話できません。 編: それは例えば何に関するシステムですか? Park氏: 戦闘やレベルアップ、経済についてそれぞれ新しい要素が盛り込まれます。企画段階ではもっといろいろと出ていますが、すべてを実装するのは難しいでしょう。 編: 「RO」と「RO2」のストーリー上の関連性はあるのでしょうか? Park氏: 「RO2」の世界は、「RO」とは独立した一種のパラレルワールドをイメージしていただけるとわかりやすいと思います。キャラクタをとりまく環境は似ていますが、棲む世界はまるで違うということになります。「RO」で登場しているモンスター等も登場する可能性があります。 編: 「RO2」もイ・ミョンジンさんの「ラグナロク」が原作となるのでしょうか。 Park氏: いいえ。雰囲気は「ラグナロク」を踏襲していますが、シナリオや構成は違います。シナリオライターも他のスタッフが担当しています。 編: 「RO」と「RO2」の差別化はどういった形で図っていくつもりですか? Park氏: 2Dゲームと3Dゲームということでインターフェイスや操作感が違います。また、「RO」とゲームスタイルが違い、「RO2」はクエスト中心のゲームになります。 編: 「RO」は、韓国、日本、台湾を中心に膨大なユーザーを獲得していますが、「RO2」は「RO」のユーザー数を超えるものだとお考えですか? Park氏: 目標はアジアの先の世界市場を狙っています。Dimagoというキャラクタにそのための普遍性を持たせたつもりです。実際に世界に通用するかどうかは、不安もありますが、目標としてがんばりたいです。 編: MMORPGの続編は、前作と関連性があるのが普通でしたが、「RO2」はそれぞれが独立している。これは珍しいケースですよね。 Park氏: はい。「RO2」は「RO」から完全に独立したものと考えています。NPCやモンスターに「RO」と同じものが登場したり構造は似ていますが、特徴は違います。 編: たとえば、「EverQuest」だと、「EverQuest」を充分遊んだから次に「EverQuest II」にいこうという流れが作りやすいですが、「RO」と「RO2」の場合はそうでは無いので開発者として非常にやりにくいように感じます。 Park氏: 前作の「RO」の経験がなかったユーザーでも気軽に入っていけるということを軸に進行しています。2Dと3Dとでは操作性も違い、そういった点も強調しています。 編: そうするとメインターゲットは新規ユーザープラス「RO」ユーザーということでしょうか? Park氏: そうです。「RO」を楽しんでいるユーザーが「RO2」を楽しんでいただけるということも期待していますが、「RO」は「RO」としての面白さがありますので、それぞれ別のゲームとして両方楽しんでもらえたらと思います。 編: ちなみに個人的興味からお伺いしたいのですが、好きなゲームは何ですか? Park氏: 最近のゲームよりは子供時代にプレイしたゲームが好きです。「ドラゴンクエスト」シリーズと「ファイアーエムブレム」シリーズが好きです。韓国では「Lineage」を3年ほどやっていまして、最近は「World of Warcraft」(以下「WoW」)が一番好きです。「WoW」は世界の最先端を行くMMORPGだと思います。 編: 「RO2」は「WoW」を超えるゲームになると思いますか。 Park氏: うーん(笑) 正直に言って「WoW」を超えるのは大変ですね。でも是非挑戦してみたいと思います。 編: Parkさんの考えるMMORPGの理想の形とはどういったものでしょうか。 Park氏: 理想的なMMORPGは、たとえ派手なゲームでなくてもその世界で生活できて、成長が実感できるようなゲームだと思います。 編: 仮に「ファイアーエムブレム」のMMOが出たらプレイしたいと思いますか? Park氏: それはやらなくてはならないでしょう(笑)。ただ、どこまで「ファイアーエムブレム」の世界が再現できるかはわかりません。おそらくMMOの世界観ではあのおもしろさは実現できないと思いますよ。 編: 「WoW」ではParkさんはどのポイントを一番評価していますか。 Park氏: 「WoW」の魅力は2つあって、1つは戦闘のスピードです。1回の戦闘のたびにユーザーが頭を使って一度の戦闘に集中しなければいけない。「WOW」の中ではもっとも心惹かれる部分ですね。もう1つはシナリオの設定が本当に自然に作られていることです。 編: 最後にβテストの開始を心待ちにしている日本のユーザーに一言お願いします。 Park氏: スイマセン(日本語で)。開発スケジュールが遅くなって、ユーザーの皆さんはがっかりしたと思いますが、問題が発生するよりは、完成度を高くしてから公開するつもりです。もうしばらくお待ちください。 編: ありがとうございました。
□Gravityのホームページ (2005年11月13日) [Reported by 中村聖司]
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