インタビュー
初めての人も原作を遊んだ人も同じようにハラハラドキドキしてほしい! 「FINAL FANTASY VII REBIRTH」開発陣インタビュー
野村氏、北瀬氏、浜口氏の3名が物語の鍵を握るザックスについて言及
2023年9月21日 12:00
- 【FINAL FANTASY VII REBIRTH】
- 2024年2月29日 発売予定
- 価格:
- 9,878円(通常版)
- 15,800円(デラックスエディション)
- 49,800円(コレクターズエディション)
スクウェア・エニックスより、2024年2月29日に発売されるRPG「FINAL FANTASY VII REBIRTH」(以下、FFVIIリバース)本作は、1997年に発売された「FINAL FANTASY VII」を3部作としてリメイクした「FINAL FANTASY VII REMAKE」シリーズの2作目にあたる作品だ。前作から3年半の月日が流れ、発売も徐々に近づいてきたということもあり、新しい情報もいろいろと出てきている。
そこで今回は、本作のプロデューサーを務めたスクウェア・エニックス 第一開発事業本部長の北瀬佳範氏と、クリエイティブ・ディレクターの野村哲也氏、ディレクターの浜口直樹氏にインタビューを実施。気になる新作のポイントについて、いろいろとお話を伺った。
ワールドごとに異なるタイプのチョコボが登場!
――今回キャッチコピーが「守る世界に君はいるのか」となっていますが、こちらに込められた想いをお聞かせください
野村氏:やはり一番は、皆さんが気になっているであろう彼女の運命という意味でもあります。リメイクシリーズからの謎としてザックスが関わってくるなどテーマとして気になる話題が多くなっていますが、彼の視点でもあるし、当然クラウドの視点でもある。またクラウド自身も、その存在に関して周囲の人間が疑問視するところもあり、ティファから見たクラウドでもあったりします。誰にとっての“君”なのか、それらを全て複合してのコピーを考えました。
――プロジェクトがスタートしたのはいつ頃のお話でしょうか?
浜口氏:2作目の開発自体は、1作目が終わると同時に「FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE」の開発も並行しながら次のものも動き始めていくという感じですね。
――「FFVIIリバース」の試遊版も遊ばせていただきましたが、今回、オープンワールドのような非常に広いマップを移動できるようなっており、まずそこに驚かされました。その後で過去のインタビュー記事を読んでいたときに、1作目はミッドガルドを出た後はワールドマップに移行するといった話が書かれていたのですが、その時点でこうした構成になることが決まっていたということなのでしょうか?
浜口氏:そうですね。今の時代は作るのが大変だからとか、なんとかかんとかだからみたいなことをいっても、言い訳にしかなりません。原作ではワールドマップがあって、シンボル的な街の中で一回切り替えてみたいなのものがありました。しかし、今の時代のユーザーの目は肥えています。そこに対して、あるべき姿でリメイクしない限りは、ユーザーにはちゃんとした評価で届かないだろうなというのが2作目を設計する段階で感覚的にありました。なので、そこはもうマストだという認識で自分はいましたね。
――試遊版では、高低差があるマップやパルクール的な的な移動をする要素が盛り込まれていました。「FFVIIリバース」の本編でもそうした要素がたくさん出てくるのでしょうか?
浜口氏:すごくいっぱいあります。ワールドマップだとニブルヘイムのクライミングもそうですけど、例えばロープで登ったり、ロープのフックでカギ縄アクションをしたり。泳ぐといったことももちろんあります。ワールドマップの探索では、チョコボが空を飛んだり崖を登ったりと、いろいろなフィールドの能力を持っています。
ワールドマップのような広い空間があるゲームはいずれも、移動自体はそれほど楽しく感じられません。そこに、手触りがよく移動できるアクションがいろいろ用意されていることで、楽しく感じられるようになります。チョコボ自体も、大陸によって異なる能力を持っています。ああ、この大陸はこうやってワールドマップを探索するんだ、みたいな感じで変化を考えて入れています。
――ちなみに、今回のチョコボは、山チョコボや空チョコボを加えた3種類だけ登場するのでしょうか?
浜口氏:いや、3種類じゃないですよ。他の種類のチョコボも登場します。それぞれのチョコボごとに、ワールドマップを探索する能力を持っています。それらを活用しないと行けない場所や、探索できないところがあります。
――今作では乗り物がいっぱい登場するそうですが、バギーやウィリー以外ではどんなものが登場するのでしょうか?
浜口氏:乗り物自体は原作に近いところがあるので、原作をプレイしている方は分かるかもしれませんが、ゲーム後半だとプレイアブルで海も航海できるようになりますよ。
――マップ上に落ちているいろんなアイテムを集めて、「アイテムクラフト」ができるところが「FFVIIリバース」の新要素になっています。一般的なポーションなどのアイテム以外では、どのようなものを作ることができるのでしょうか?
浜口氏:試遊版で触っていただいたのはポーションなどの消費アイテムだけ作れるものでしたが、それ以外でもいろいろなものを作って熟練度を上げていくことで、制作できるものが広がっていきます。アクセサリーや防具、あと今回は防具強化もできるようにしており、一段グレードアップするといったものにも使えます。
あとは、なんでも屋クエストみたいなところでこういうものが必要みたいな感じで、ストーリーの中でも「アイテムクラフト」が必要になる場面も登場します。
連携アビリティと連携アクションは明確に目的をわけて導入している
――なるほど。それはかなり楽しそうですね! バトル面についてですが、前作から基本的なシステムを継承しつつも、「連携アビリティ」や「連携アクション」など新たな要素が盛り込まれています。こちらはどのような経緯で追加されることになったのでしょうか?
浜口氏:「FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE」の時に、バトルディレクターの遠藤皓貴(「FFVIリメイク」にてバトルディレクターを務めた遠藤皓貴氏)がソノンとユフィで連携アビリティを企画しましたが、実はこの2作目のための試作という意味がありました。あと、今回はワールドマップでセフィロスを追いかけていきながらみんなで冒険し、仲間たちの運命がどうなるのか? みたいなところで、彼らの絆を描くという部分もお話として強くあります。
バトルもそちらに乗っかって、よりキャラクターたちの絆や連携感を出すためにわかりやすいのが連携技です。そちらが出発点となって始めている感じです。
――敵と味方に分かれているはずのセフィロスとクラウドが共闘するところは、ちょっと熱い感じがしますよね!
浜口氏:ああいうのは喜ばれるファンの方が多い気がしますね(笑)。
――ちなみに、開発陣でお気に入りの連携アビリティや連携アクションはございますか?
浜口氏:これは完全に私の好みですけど、ティファは空中に上げてくれる連携アクションが使えます。空中にコンビネーションで上げられるのは、アクションの手触りが好きな人にとって気持ちいいじゃないですか。ああいうのが結構私は好きですね。あとは、クラウドの溜め切りなどは、ちょっとマニアックな操作をしたい人には面白かったりしますね。
あと、連携アクションと連携アビリティは結構明確に分けています。連携アクションは、よりテクニカルなことをしたい人向けという感じですね。正直いうと、ATBを溜めるまでの間に使うものになっているため、アクションがそれほど得意ではない人は、そこまで使わなくてもいいような感じにしています。
逆に連携アビリティのほうは、ATBゲージを消費していけば勝手に使えるものになっています。一定ターンで気持ちよく連携感を感じてもらうという、どちらかというとアクションがそれほど得意ではない一般の人向けにしており、連携アクションと差別化していますね。
――他にもリミット技など派手なアクションがありますが、全体的にプレーヤーの選択肢が多いような印象です。バトルのバランスは、どのように考えられて導入されているのでしょうか?
浜口氏:あの辺の調整は、もう入れてみて出る回数がちょっと多いよねとか、なんか全然出ないよねみたいな意見をバトルディレクターの遠藤と話しながら、もうちょいこうじゃない? みたいに、バランスを取っている感じでしたね。
――手触り感やバトルの爽快感的なものを目指して調整されたということでしょうか?
浜口氏:この辺のバランスについては遠藤皓貴と話していた時もそうでしたが、結構難しいのが必殺技みたいなものを簡単に使えるようにして、ザコバトルでも使い回せるようにすると確かに手触りは感は上がります。逆に、もうそれだけでゲームが終わってしまうので、ある意味、脳死プレイに近い感じになっちゃうんですよね。
とはいえザコバトルでは全く使えなくてボス戦でしか使えませんとなると、今度は逆に手触り感が上がりません。定期的にちょっと歯ごたえのある敵も混ぜながら、これぐらいなら使うよねとか、バトル側の設計だけではなく、敵の配置なども含めたバランスの調整になります。そのため、常にプレイし続けながら、もうちょっとここはああじゃない? といったことをやり続けるみたいな感じですね。
――今回かなり広いマップを冒険していくことになります。探索要素もかなり多そうな印象ですが、全体的にどのくらいの時間でクリアできると想定されていますか?
浜口氏:広い空間を持っているゲームは、今どこも結構近い感じになっていると思いますが、初回プレイで多分サイドコンテンツをすべてプレイしながらエンディングを迎えるという想定を、そもそもクリエイター側がしてないじゃないですか(笑)。
――たしかに(笑)。
浜口氏:なので、メインストーリーだけしっかりと進めていき、サイドコンテンツも少しだけつまみますみたいな人で、だいたい40時間ぐらいかな? といった印象です。本当にメインストーリーからサイドコンテンツまですべてやり込むとなると、もう100時間を超えるレベルになると思います。
ザックスに関して楽しめる体験も多数用意されている
――ストーリーに関してですが、映画では3部作の2作目は傑作になるとよく言われます。今回まさに2作目にあたりますが、クリエイター側から見て2作目というのはどのような位置づけになるのでしょうか?
野村氏:それは北さんがアツく語っていたやつですね。
北瀬氏:そうですよね(笑)。そういった意味では1作目があるので、キャラクター描写に関しては説明はいりません。もうすでに認知されているから、ストーリーに最初からギアを入れることができることがメリットです。あとはやはり、お客さんの興味を最後の3作目に引き継げるように、2作目の物語はある程度完結させながら、次に期待させる謎を構築するという意味では、通常の1作で完結する作品とは違う面白みがある作り方だと思います。
そういった意味で、通常では起こり得ない傑作感というか名作感が出るのかなと思っています。今回の「FFVIIリバース」もそういう形になってくれたらなと思っています。
――新しいPVを見せていただきましたが、そちらにもザックスがいきなり登場してドッキリする場面がありました。前作が発売されて、この「FFVIIリバース」が発売される間にリマスター版の「CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII- REUNION」が出て、といった流れになっていますが、「CRISIS CORE」の物語も全部含めて、新たに「FF7」というものを再構築して届けようとしているのでしょうか?
野村氏:まずザックスに関しては原作でも多くは触れられていない、謎を握る人物でした。「CRISIS CORE」は、それだけで完結はしており、「FFVIIリバース」に対して必須とまでは言いませんが、ザックスという人物を知る上では一番適していると思います。そういう意味では、「CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII- REUNION」は新たな「FFVII」の構築と言うより、本作「FFVIIリバース」のためであり、ザックスを知る機会のために用意しました。
今回、リメイク版を作るにあたり、原作を一回プレイされている方が「あっ、知ってる、知ってる。この後はこうですよね」といった再確認的な展開で終始してしまうよりは、今回初めてプレイする方もオリジナル版をプレイされた方も、同じようなハラハラドキドキという体験をしてほしいと考えています。その新たな謎には、ザックスが原作同様に再び大きな鍵を握っています。
――ちなみに前作ではアバランチのストーリーがフィーチャーされるなどオリジナル要素が盛り込まれていましたが、今作でもそのようなものが含まれているのでしょうか?
野村氏今作でも様々なキャラクターの深掘りは行っていますし、世界が広がっただけ各地でそういう要素は盛り込まれています。また、クラウドたちが原作に沿って進む中、今回はザックスが新たな物語を担うところになるのかなと思っています。
――前回は最後の方にチラリと登場しましたが、今回は結構ストーリーでも楽しめる部分がザックスに用意されているということでしょうか?
野村氏:では、それについては浜口が(笑)。
浜口氏:核心を付いてきますね(笑)。プレイしていただけると、ザックスについての体験というか、楽しめる部分もたくさんあります。
――今明かされてない要素については、今後随時発表されていく予定なのでしょうか?
野村氏:実は毎回トレーラー作るときコンセプトがあって、今回はあまり謎めいたトレーラーにしないようにしてくださいというオーダーがありました。世界が広がっていて、今回のゲームではこんなにいろんな要素が楽しめるんですよ、というのをコンセプトとしてお見せしました。なのでストーリー部分やキャラクターに関しては、今回ちょっと手加減はしています。まだまだお見せしていない要素はたくさんあるので、続報をお楽しみに。
――現時点でこれだけのボリューム感があると、3作目はいったいどうなっちゃうのかも気になりますね(笑)。
野村氏:そういう意味でも今作の旅の順路を原作と変えている部分があります。例えばウータイは3作目に回しましたが、ウータイ自体もスケールアップする予定です。3作目のメインシナリオもすでに完成しているので、現在は更に登場キャラクターを割り出していますが、今作以上に豪華になりそうです。
――では、そこも楽しみにしてほしいというポイントですね! それでは最後に、本作の発売を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします!
北瀬氏:本作は3部作の中の2作目、「FFVIIリバース」ということで、ストーリー的により急展開というか、非常にドラマチックな展開が待っています。原作ファンの皆様はもちろん、あのシーンはどうなっているんだろうという感じで期待を膨らませているかと思いますが、それに応えるような作品になっています。
また、ストーリー的に前作を終えていない方も、今回はゲームの中にダイジェストという形で前作をおさらいできるようになっています。商品的にも前作とバンドルしたツインパックというものも用意しています。おさらいしたい人はそちらでもおさらいをしてもらえるので、「FFVIIリバース」の物語を楽しんでいただけるのかなと思います。
浜口氏:前作は、ストーリーを主軸にユーザーにゲーム体験をしてもらうというタイトルになっていました。そうしたところが好きな方や喜ばれる方が多いので、今作もストーリーについては前作以上のボリュームで、前作以上の作り込みをしています。
それだけではなく、さらにそれを超える物量のサイドコンテンツが大量に用意されています。ワールドマップを探索しながら、どこまで自分なりに楽しめるか。今何をプレイするかという選択をユーザーが自由に選べるようになっています。前作とは全く違うゲーム体験として、ユーザーに届けられているので、そこを楽しみにしてもらいたいと思います。
野村氏:前作のリメイクがミッドガルを舞台にした物語で、今回から外の世界に出て、本当の意味で旅が始まります。
元々「FFVII」シリーズ自体が、過去を描いたものや先の時代を描いたものなど、複数の作品が存在するので、そういう意味では今作から入ろうと思えば全然問題なく入れると思いますし、今作の前のお話の前には何があったのかということに関しては、先ほどいわれた通りダイジェストが入っていますし、調べようと思えばいくらでも調べる方法はあります(笑)。
なんと、今絶賛配信中の「FINAL FANTASY VII EVER CRISIS」なんかは、わかりやすく短く内容を知ることができて便利だと思います。これに限らず、いろいろな方法がありますし、もう、気にせずまずは今作から旅を始めてみてもいいんじゃないかとは思っています。
入り方はいろいろあれど、十分楽しめるボリュームと内容になっていますので、ぜひ今作からでも遊んでいただければなと思います。
――本日はありがとうございました!
(C) SQUARE ENIX
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