レビュー
「FINAL FANTASY VII REBIRTH」レビュー
物語は最初のクライマックスへ! 深みを増した世界観に思わず引き込まれる
2024年2月22日 23:00
- 【FINAL FANTASY VII REBIRTH】
- 2月29日 発売予定
- 価格:
- 9,878円(通常版)
- 15,800円(デラックスエディション)
- 49,800円(コレクターズエディション)
スクウェア・エニックスより、2月29日に発売されるプレイステーション 5用RPG「FINAL FANTASY VII REBIRTH」(以下、FFVIIリバース)。本作は、4年前の2020年に3部作としてリリースされた「FINAL FANTASY VII REMAKE」の続編にあたる作品だ。前作では主人公のクラウドたちがミッドガルを脱出するあたりまでを描いていたが、今作ではその直後から忘らるる都までの物語となっている。
これまで2度にわたり試遊版の模様をレポートしてきたが、発売に先駆けて製品版をプレイする機会がもらえた。ちょうどこの記事を書いている前日にエンディングを迎えることができたのだが、全く探索していないオープンフィールドがあるなど大量の余白を残した状態であっても、およそ60時間ほどかかるボリュームであった。
そこでこちらの記事では、新たにわかったゲームの特徴や魅力を中心に、「FFVIIリバース」のレビューをお届けする。
ストーリーは変化というよりも構造上の厚みを増した世界観に
今作では、クラウドやティファが5年前の出来事を回想するようなシーンから始まる。英雄だったはずのセフィロスだが、何がきっかけでおかしくなってしまい、世界を滅ぼそうと考えるようになったかが描かれていく。その後、クラウドたちはセフィロスの影を追いかけながら、世界を点々と冒険していくことになるのだ。
何はともあれ、多くの人が気になっているところは「オリジナル版と比較して物語に大きな変化が出てきたのか?」というところではないだろうか。ひとつひとつの細かい場面を切り取ってみると、たしかに違いは無数にあるのだが、大局的に見るとストーリー自体はそれほど大きく異なるところはない。
だが、これは誰かがどうかなるといった単純な話ではなく、どちらかというと物語を構成する世界観が、より厚みが増したものになったといったほうがいいのかもしれない。少しだけネタバレになってしまうが、前作のエンディング付近で登場したザックスが今作のゲーム中に何度も登場するのだが、どこか別の平行世界線の出来事のように描かれている。明確には語られない部分は多いものの、そういった点についても物語全体が進行していくにつれて徐々に明かされていくような作りになっているのである。
それとは別に、オリジナル版を知っているプレーヤーなら、ちょっとした演出の違いが楽しめるところも本作ならではのポイントだ。ゲーム冒頭は前作の続きということでクラウド、ティファ、エアリス、バレット、レッドXIIIの5名がプレイアブルの状態で始まるが、冒険を続けていくうちに新たな仲間が徐々に加わっていく。その登場の仕方も斬新なアレンジが加えられているのである。
たとえばユフィは、オリジナル版では敵キャラクターとして現われ、その後仲間になるといった流れだった。だが、本作ではアンダージュノンでボスキャラのボトムスウェルに襲われているシーンから登場する。その後、様々なシーンでお邪魔キャラとして顔を見せつつも、徐々に仲間になっていくことになるのだ。
オリジナル版ではほかにも様々なキャラクターが仲間になっていくが、ユフィを含めてそのうちの何名かは特定の条件を満たす必要があった。しかし、今作ではストーリーを進めていくうちに自然と仲間に加わっていくような作りになっている。その演出部分も含めて、キャラクターごとの描かれ方がより解像度の上がったものになっているのである。
プレーヤーの選択肢が多く爽快感のあるバトルアクション
ゲームの手触り感としては、前作同様に非常に遊びやすく感じる。筆者の場合、こうした3Dの世界を自由に動き回るタイプのゲームをプレイすると、どうしても慣れないうちは3D酔いしてしまうことが多いのだが、本作ではそうしたことはまったくなかった。ゲームの操作面に関しても、重みを感じるDualSenseのアダプティブトリガーを活用した場面などPS5らしい機能を活かした場面もあり、ゲームの世界に没入することができた。
だが、なんといっても遊んでいて爽快感を得られたのはバトルシーンだろう。本作では、とにかくプレーヤーが戦闘中にできる選択肢が多く、その時々の判断が勝敗にも影響を及ぼす場面がある。バトルで選べるアビリティや魔法、アイテムといったバトルコマンドは、敵を攻撃していくことで「ATBゲージ」をためていく必要がある。「ATBゲージ」がたまるまでは辛抱が必要だが、ただコマンドを選んでいくだけのバトルとは、ひと味もふた味も異なる楽しさがあるのだ。
グラフィックスという面でも見どころが多いのが、やはりバトルシーンだ。操作するキャラクターがダメージを受けたり敵をバーストさせたりすることで、リミットゲージが貯まっていくが、それがマックスになるとド派手な演出で敵を攻撃することができる「リミットブレイク」を発動させることができる。
また、バトル終盤ではこれまた演出が派手な「召喚獣」を呼び出して、戦闘をさらに有利に進めていくことも可能だ。もうひとつ、パーティプレイならではのバトル要素として「連携アビリティ」というものも用意されている。これはキャラクター同士が力を合わせて発動させる大技のようなものだ。連携時の演出も、キャラクターの組みあわせや技によっても異なるので、見ていて飽きない。特にボスキャラなど強力な敵を、これらの技を駆使して一気に倒したときの爽快感は、格別なものがある。
バトルでは最大3人までのパーティメンバーを選ぶことができるが、キャラクターによって異なる戦い方が楽しめるところも本作の魅力である。主人公のクラウドやティファは、どちらかというと前線で敵を殴りにいくようなスタイルだ。一方、エアリスは後方から支援、バレットは空中にいる敵にも対処できるなど異なる特性を持っている。
戦闘中はそれぞれのメンバーを瞬時に切り替えることができるため、「ATBゲージ」のたまり具合を見ながらコマンドを選んでいくといったことも可能だ。また、ガードしながら仲間と連係プレイをすることもでき、こちらもバトル中の選択肢の幅を広げる要素となっている。
ちなみにバトルモードは「ACTION」と「CLASSIC」の2種類が用意されており、「ACTION」は自分でキャラクターを移動させながらプレイするまさにアクション派向けだ。一方、「CLASSIC」はある程度自動でキャラクターが動いてくれるため、昔のRPGのようにコマンドに集中したい人向けのモードとなっている。ちなみに筆者の場合は、ゲーム中盤までは「ACTION」でプレイしていたのだが、途中からは試しに「CLASSIC」に切り替えて遊んでみることにした。
プレイした感覚でいうと、それほど大きな違いは感じなかったのだが、たしかに「CLASSIC」では手を動かしていないときもキャラクターがガードや攻撃をしてくれる。もちろんその状態でも自由にキャラクターは動かすことができるので、「ACTION」よりも便利に感じたぐらいだ。
こうしたバトルモードやゲームの難易度は、ストーリー進行には全く影響を及ぼさず、いつでも好きなタイミングで切り替えることが可能だ。特に中盤以降はフィールドの敵であっても手強くなってくるので、どうしても行き詰まってしまったときなどは切り替えて遊ぶのもいいだろう。
冒険心を駆り立てるゲームに登場する様々な舞台
「FFVIIリバース」といえば、マップを自由に移動できるオープンフィールドが登場するというイメージが強いかもしれない。たしかにそれもゲームの重要な要素となっているのだが、実際は街や通常のダンジョンのようにある程度ルートが決められているような場所も多く、全体的にそれらが程よくミックスされている印象だ。
オープンフィールドでは、各地に設置されている通信塔を解放してエリアの情報を入手していき、新たな探索ポイントを見つけていくといった要素が用意されている。そのすべてをクリアしてからメインストーリーを進めていくという遊び方もできるのだが、一部を除いてはメインのストーリーにはそれほど影響を及ぼさないところもあるため、後回しにすることもできる。
むしろ中盤以降は、ひとつの章にあらゆる要素がてんこ盛りになっているため、オープンフィールドではない場所でもそれなりにプレイに時間が掛かってしまう。それぞれのエリアでどこまでやり込んでいくかについては、あくまでもプレーヤー側の裁量に委ねられているのだ。
ゲーム序盤ではカームというかなり大きめの街に行くが、その次に訪れる巨大な街が常夏の楽園であるコスタ・デル・ソルである。ここではキャラクターたちが水着に着替えるようなシーンが登場するなど、ここでしか見られないイベントも多数用意されている。それとは別に、お腹に巨大なマテリアを持つ謎の生物ウェポンが突然現われるなど、新たな謎と共に冒険心もかき立ててくれるようなシーンもいろいろと用意されているのだ。
ちなみに、オープンフィールドを探索していくメリットのひとつが召喚獣である。召喚獣自体は、特定のエリアに移動するとバトルシミュレーターで戦うことができるようになる。そちらで勝つことで、ようやくクラウドたちが使えるようになるという仕組みだ。つまり、バトルシミュレーターで勝たなければ、新たな召喚獣は使えるようにならない。
だが、オープンフィールドをまったく探索していない状態では、召喚獣は強すぎて勝つのはかなり難しい。そこで、各地にある「召喚獣クリスタル」を解析していくことになるのだ。解析の結果、バトルシミュレーターの召喚獣を弱体することができるほか、手に入れた召喚獣自体のレベルアップも行なえるようになるのである。
移動をサポートする乗り物やフィールドアクション
広大なエリアを移動する足として欠かせないのが、おなじみのチョコボである。チョコボは、各エリアの範囲内でしか利用できず、それぞれのエリアごとに異なる種類のものが利用できる。たとえば崖を登っていくことが多いジュノンエリアでは山チョコボが登場する。また、コレルエリアでレンタルできるチョコボは、派手な装飾が付けられているなど、見た目や能力も様々なものが登場する。
オープンフィールドの多くはチョコボで移動することが多いのだが、中にはバギーや飛行機など様々な乗り物を利用する機会がある。それらの中にはプレーヤー自身が操作できるものもあり、さらに冒険の幅を広げていくことができるのだ。
オープンフィールドではないが、コスタ・デル・ソルの街中だけで利用できるユニークな乗り物が立ち乗り二輪車のウィリーだ。こちらは広い街中をスイスイ移動したいときにかなり活躍してくれる。このウィリーに乗った走行距離で景品がもらえる「ウィリーキャンペーン」に参加することもできるので、そちらにも挑戦してみるといいだろう。
乗り物とは別に、マップを移動するときのアクションも本作では重要な要素だ。たとえば、ちょっとした段差ならパルクールで乗り越えていくことができるほか、壁や崖に掴めるポイントがある場合は、クライミングで移動していくこともできる。なかでもユニークな移動法として利用できるのが、フィールドアクションの「かぎなわ」だ。
主にユフィが中心で使えるアクションだが、この「かぎなわ」はロープアクションの要領でポイントを移動していくことができるというものである。どうやって渡っていくか観察しながらプレイする必要があるのだが、それ以外にも特定のポイントで前後に揺らすことで何かを動かすといった使い方もできる。
クラウドたちがローポリ化する「コンドルフォート」など多種多様なミニゲームもてんこ盛り!
オリジナル版でも大量のミニゲームが用意されていたが、今回の「FFVIIリバース」も期待を裏切らない詰め込み具合であった。このミニゲームは、ゲームの種類とは別にいくつかのタイプがあり、ざっくりいうとストーリー上に組み込まれているものと、自分で選んで遊ぶタイプのものが用意されている。
ゲーム序盤に登場するカードゲームの「クイーンズ・ブラッド」は、自分の好きなタイミングにプレイすることもできるほか、ストーリー上でも試合が組み込まれている。一方、ゴールドソーサーのように、複数のミニゲームで遊びたいものを自ら選んでプレイできる場所もあるといった感じだ。
ということで、こちらでは主に前半に登場するミニゲームからオススメのものを選んでみた。まずは、ジュノンエリアに登場する「コンドルフォート」だ。ここではなんとクラウドとティファ、バレットの3人がローポリ化してしまう。
オリジナルの「コンドルフォート」は、タワーディフェンスのようなゲームだったが、今回は守るだけではなく時間内に敵のボスを倒さないとゲームオーバーになってしまうRTSのようなものに進化している。作戦開始前に陣形が選べるほか、クラウド、ティファ、バレットのうちいずれか2名をヒーローユニットとして選ぶことができ、ここぞというときと形勢逆転ができるところもポイントだ。
実際にプレイしてみたところ、いくつかのバトルでは陣形や敵キャラクターとの相性など考えながら自軍のユニットを出場させるなど、工夫を重ねていくことで勝つことができた。しかし、徐々に難易度が上がっていくため、すべて勝つのはかなり苦労する。「クイーンズ・ブラッド」同様にミニゲームとしての完成度も高く、ずっと遊んでいたくなるような出来映えだ。
ジュノンで体験できるパレードでは、リズムゲームのようにタイミングを合わせてボタンを押していくミニゲームが楽しめる。単にタイミング良くボタンを押すだけではなく、連打や長押しなどもありなかなか楽しめるものとなっていた。
バレットとユフィたちが、コレル炭鉱にあるトロッコに乗って移動するシーンで登場するのが「トロッコシューティング」だ。バレットはエイムを合わせて射撃を、ユフィは手裏剣投げで新羅ボックスを破壊しながら点数を稼いでいくことができる。
コスタ・デル・ソルでは、いくつかミニゲームが登場する。その中のひとつが「ラン・ワイルド」だ。こちらは、ケモノたちがボールを使って競い合うミニゲームである。ルールはほぼサッカーに近いが、自分以外のゴールが3つあり、ボールも複数登場する。そのため、油断している間にライバルたちにゴールを決められてしまう……なんてことも!?
同じく、コスタ・デル・ソルで遊べるミニゲームが海賊たちの争いをモチーフにした射的ゲームの「パイレーツランページ」だ。ルールはシンプルで、的が表示されている間に銃で撃ち抜いていくだけ。だが、実際に遊んでみるとなかなか難しく、何度も挑戦したくなるような面白さがある。
ここが好きだよ「FFVIIリバース」! お気に入りのスポットやキャラクターをご紹介
ここまでは比較的中身のある話題を中心にお届けしてきたが、最後に今回のプレイを通じて個人的にお気に入りのキャラクターやスポットなどをご紹介しておこう。まずはジュノンエリアに登場する「なんでも屋」から。
こちらは、クラウドたちの「なんでも屋」の看板を勝手に奪って活動するキリエが作ったスポットなのだが……なんと、オリジナルのテーマ曲も用意されているという力の入ったものとなっていた。そこで流れる「♪なんでも屋~なんでも屋~」というスーパーで流れていそうなメロディがずっと頭の中でリフレインしてしまうぐらい、何度も聴きたくなる不思議な魅力がある。
ほんの一瞬だけ一緒に旅することになるキャラクターが「クラピヨ」だ。見た目がクラウドに似ていることからとユフィに名付けられたのだが、一服の清涼剤として癒やしてくれる存在となっていた。
そのユフィがクラウドたちの仲間に加わるために、自分をアピールするための映像が流れるシーンもなかなかの見どころだ。まるで歌舞伎のような派手な場面が次から次へと切り替わっていくため、かなり楽しめた。
もうひとつ推しておきたいシーンが、ジュノンにある秘密倶楽部グラブレセントである。ここではノーヘルメットがマナーとなっているのだが……楽しげに歌っている姿や頭を全員でなでるポーズなど、微笑ましいシーンが見られる。
というわけで一通り本作のレビューをお届けしてきたが、もちろんこんなものでは収まりきれないぐらいに多くの要素が詰め込まれている。前作もかなりボリューム感がある作品になっていたが、今作も相当楽しめるのは間違いないといっても過言ではないだろう。
オリジナルの作品や前作をプレイしている人はもちろんだが、これまでまったくシリーズ作品に触れてこなくても大丈夫なのか? と心配に思う人も中にはいるかもしれない。そちらについては、前作までのダイジェスト映像を押さえておけば概ね問題ない。また、それらを仮に知らなくても十分過ぎるほど冒険感を味わうことができるので、ぜひこの機会に「ファイナルファンタジーVII」の世界に触れてみてほしい。
ちなみに筆者は、61時間プレイしてクリアした後、しばらくは呆然としてしまうぐらいゲームに没入してしまった。なんというか、その余韻にしばらく浸りたくなったのだ。短期間でこれだけ長い時間ゲームを遊ぶことも久しぶりだったが、それをまったく苦痛に感じることなくプレイし続けることができたのは、なんといっても作品の素晴らしさがあってこそである。
まだまだ行ってないポイントや見逃したところ、あるいは勝てなかったミニゲームや敵などもたくさんいるので、これから先は仕事抜きで思う存分楽しんでいくつもりだ。
(C) SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:(C) YOSHITAKA AMANO