インタビュー

「ROBOT魂 Gファイター」クリエイター・野口勉氏インタビュー

ユーザーの期待をさらに大きく! 7形態に加え「当時の思い出」も再現

6月発売予定

価格:7,020円(税込)

 バンダイはアクションフィギュア「ROBOT魂 〈SIDE MS〉 Gファイター ver. A.N.I.M.E.(以下、「ROBOT魂 Gファイター」)」を6月に発売する。価格は7,020円(税込)。本商品は「ROBOT魂 RX-78 ガンダム ver. A.N.I.M.E.(以下、「ROBOT魂 ガンダム」)」と連動することで劇中の7形態を再現できる。「ROBOT魂 Gファイター」は、2月1日16時より一般店頭での予約注文を受け付ける。

7つの形態に合体変形しガンダムをパワーアップさせるGファイター

 40歳代中盤の筆者にとってGファイターは“封印されたメカ”というイメージが強い。GファイターはTVアニメ版を再構成した劇場版「機動戦士ガンダム」では登場しなかったのだ。ガンダムのパワーアップメカであるGファイターは荒唐無稽で、“玩具的”だった。「リアルロボット」という新しい価値観に夢中になっていた筆者をはじめとした背伸びをしたい子供達にとって“前時代的”に見えたのだ。

 「ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.」は、アニメ放送時そのままの、現代から見るとちょっと古い雰囲気のアニメそのままのMSのフォルムを再現、しかしいざ動かしてみると最新でありユニークな発想による関節構造で、勢いを重視するアニメの構図を再現できるという驚きのシリーズだ。アニメならではの荒唐無稽さを感じさせる「Gファイター」は、まさに本シリーズにうってつけのモチーフと言える。今回、「Gファイター」をどのように商品化したか、担当者の野口勉氏にインタビューを行なった。

 野口氏は「ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.」シリーズ全体の企画開発担当者であり、弊誌では1年前シリーズ展開への意気込みを聞いている。野口氏にとって、「ROBOT魂 Gファイター」はシリーズの“マイルストーン”として大きな意味を持つという。今回は7形態への変形に加え様々なギミックを見せてもらい、「ROBOT魂 Gファイター」へのこだわりを語ってもらった。

7形態を完全再現、最高最強のGファイター完成

 Gファイターは分離変形してガンダムをパワーアップするメカだ。戦闘機のフォルムに戦車のような巨大なビーム砲、クローラーを装備し、後部が黄色いドーム型になっているコクピットブロックに鳥のくちばしのような機首がついている。

「ROBOT魂 Gファイター」、そして「ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.」シリーズ全体の担当者である野口勉氏
今回は試作品を前に話を聞いた。Gファイターは翼が大きく、機体全体が薄い“戦闘機”としてのフォルムにこだわって設計されているという
機体上部の垂直尾翼風のパーツは、ガンダムが上に乗ることを考え収納が可能

 劇中でGファイターは“万能兵器”として活躍する。Gファイターはビーム砲以外にも機首や機体底面からミサイルを発射し、戦闘機であり、爆撃機として高い攻撃力を持っている。さらにグフのド・ダイのようにガンダムを載せて飛行が可能で、地上での飛行能力を持たないガンダムの“空中での戦い”を可能にする。

 そして前後のA・Bパーツに分離、AパーツはガンダムのAパーツ(上半身)そしてコア・ブロック(コア・ファイター)と合体することで戦車形態である「Gブル」、コア・ブロックを外した形で「Gブル・イージー」となる。BパーツとガンダムのBパーツ(下半身)そしてコア・ファイターが合体した形で高速戦闘機形態「Gスカイ」、Bパーツを使わずコア・ファイターのみで合体した形態が「Gスカイ・イージー」だ。

 通常の合体と異なりガンダムがうつぶせでBパーツと合体することで、宇宙空間でのガンダムの機動性を増す「ガンダム・スカイ(ガンダムMAモード)」となる。そしてガンダムをAパーツ、Bパーツで挟み込み、2枚のシールドで側面をガードした形が「Gアーマー」だ。ガンダムを長距離高速運搬でき、ガンダムは分離後すぐに戦闘を行なうことができる。Gファイターによりガンダムはその高い戦闘能力をより活用できるようになった。

 このGファイターを完全再現しようというのが、「ROBOT魂 Gファイター」だ。今回は試作品を見ることができた。「ROBOT魂 Gファイター」の基本形態であるGファイターの形状でまず気が付くのは翼が大きく、機体そのものは薄く、ちゃんと空を飛びそうなフォルムをしていることだ。この全体的なシルエットは野口氏がこだわった部分で、アニメでは作画によって翼が小さく、胴体が大きく描写されることもあるGファイターだが、今回はきちんと「戦闘機」としての印象を与えるバランスにしたとのこと。機首の鋭さもこだわりポイントだ。

 この「ROBOT魂 Gファイター」の上に「ROBOT魂 ガンダム」を立たせることができる。野口氏はガンダムが立った形できちんとディスプレイできるよう様々な仕掛けを盛り込んでいる。まずGファイターの上面の垂直尾翼風の小さなウィングは中に引っ込み、ガンダムが立ちやすいように変形できる。また側面のブロックの幅はちゃんとガンダムの足の位置に収まるようにしている。

 そしてGファイターの尾部にアームを接続することで、ガンダムをそのアームで固定できる。これによりGファイターを傾けて飾ってもガンダムはGファイターから落ちない。それだけでなく「できるだけガンダムを支えているアームを目立たせたくない」という想いから、野口氏は短いアームパーツも用意し、ガンダムの足首部分をしっかり固定するギミックも用意している。この2つのアームシステムで、「Gファイターの上に立つガンダム」を実現しているのだ。

【ROBOT魂 Gファイター】
ガンダムを立たせるためのアームは2種類用意されている。アームが目立たない方式での固定も可能

 Gファイターとガンダムは様々な形態に変形合体する。「ROBOT魂 ガンダム」は、開発当初からこの「ROBOT魂 Gファイター」との連動を考えており、コア・ブロック・システムは搭載していないものの、腰部分で2つに分離できる。またバックパックのビーム・サーベルは内側に折りたため、足首の可動もGアーマーへの“収納”を見越して設計していたという。さらに「ROBOT魂 Gファイター」では豊富な“ジョイントパーツ”でガンダムを固定、しっかりした合体と、アニメに近いフォルムを実現している。

「ROBOT魂 ガンダム」は胴体部分で分離できる。Gファイターの連動を意識した設計だ
同梱されるコア・ファイターは小さなボディにギミックがギッシリ詰まっている
「ガンダム・スカイ」。首や腰の可動範囲の広さがこの形態もきちんとフォローする

 特に「Gブル」への合体はものすごい。ジョイントパーツとして「通常より1周り大きい胸パーツ」が用意されているのだ。GファイターのAパーツとガンダムのAパーツの合体は、このジョイントパーツでガンダムの上半身を挟み込んで行なう。こうすることでアニメのフォルムを再現する。

 「Gブルの時ガンダムの上半身が何か大きくなってない?」というデザイン上での矛盾を解消しているのである。このほか、GファイターのAパーツの側面が開きガンダムの腕をきちんと挟める形に変形するところもこだわりポイントだ。

 この1周り大きくなったジョイントパーツにより、すっぽりとコア・ブロックが入る。このコア・ファイターも「ROBOT魂 Gファイター」の目玉の1つだ。先行して魂ウェブで販売される「ROBOT魂 RX75-4 ガンタンク & ホワイトベースデッキ ver. A.N.I.M.E.」に同梱されるものと同じ機構を持つもので、コア・ファイターがきちんと変形してコア・ブロックになる。機首もきちんと短くなるなど、ギミックが詰まっている上、キャノピーの開閉ギミックまで搭載。中には白いパイロットスーツのアムロフィギュアが確認できる。コア・ファイターを変形させ、合体させてから、砲身をガンダム側に回せば「Gブル」の完成だ。そしてコア・ファイターを外し、機首側に砲身を向ければ「Gブル・イージー」となる。

 もちろんGファイターのキャノピーも開閉可能で、中には黄色のパイロットスーツのセイラのフィギュアが座っている。「このサイズでのコクピットの表現、彩色はとても難しかったのですが、実現しました。コクピットにちゃんと人が座っているのを描写したかったんです」と野口氏は語った。ちなみに「ROBOT魂 ガンタンク」のコア・ファイターには、黄色のパイロットスーツのリュウのフィギュアが座っているとのこと。

 「Gスカイ」、「Gスカイ・イージー」でもジョイントパーツが活躍する。ガンダムのBパーツをしっかり固定し、きちんとした合体形態を再現できる。さらにジョイントパーツを組み替えることで「ガンダム・スカイ」も再現。こちらは上を向き、背中を反らせることができる「ROBOT魂 ガンダム」の充実した可動機構により劇中そのままのポーズが可能だ。改めて「ROBOT魂 ガンダム」のポテンシャルを実感できる形態とも言えるだろう。

【ROBOT魂 Gファイター】
実際の胸より大きなジョイントパーツで、デザイン上の矛盾をカバーする
Gブルと、Gブル・イージー
Gファイターのコクピットにはセイラが、コア・ファイターにはアムロが確認できる。ハッチ開閉のギミックなど、この小ささで驚きのギミックだ
GスカイとGスカイ・イージー

 そしてGアーマーへの合体である。Gアーマー形態では、Bパーツ側面のブロックを回転させる。そうするとそれまで隠されていた中央ブロックの側面に、腕を支えるためのギミックが用意されているのが確認できる。この支えは、シールドを装備して重みが増したガンダムの腕をしっかり固定できるようになっている。底面パーツも使ってガンダムを固定した上で、Aパーツでガンダムを挟み込み、翼などを整えれば変形完了だ。

ガンダムをGファイターで挟み込む、Gアーマー形態
Bパーツの側面パーツでガンダムの腕を支えることで、盾を持った手が垂れ下がらない
設定通り盾を2枚重ねられるのも楽しいところだ

 Gアーマー形態での野口氏のこだわりポイントとしては腕の支えによるしっかりとした合体、そして翼の可動範囲を広く持たせたことで劇中の数カットのみ登場した“駐機形態”の再現だという。他にも「ROBOT魂 Gファイター」オリジナルギミックとして、Aパーツの黄色いドーム部分の後ろ側にクリアパーツが使われており、のぞき込むことで合体しているガンダムの顔が確認できるところがある。このギミックは玩具的な魅力がある。

 さらに「ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.」シリーズ共通の豊富なエフェクトパーツも用意されている。ビーム砲、底面のミサイル発射エフェクトに加え、ミサイルが発射直前のハッチが開いた状態を再現しているパーツも用意されている。バーニアパーツはクローラーや底面に取り付けることで、垂直上昇している雰囲気にできる。魂STAGEに対応したジョイントもあるので多彩な飾り付けが可能だ。

 「ROBOT魂 Gファイター ver. A.N.I.M.E.」はやはりその“万能メカ感”が楽しい。クローラーのついた重戦闘機といういかにもなデザインも良いし、ガンダムとの様々な合体で、戦闘機、戦車、さらに戦闘機の上にMSが乗るという形態まで見せてくれ、究極的にガンダムを内部に内蔵して飛行するGアーマーになる。

 組み替え遊びが楽しく、そのギミックを隅々まで楽しんでみたくなる。ある意味「超合金魂」的な、変形合体を前面に押し出した商品だと感じた。もちろん本商品は「ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.」シリーズの根幹である“劇中シーンの再現”がたっぷり楽しめるが、その前に変形合体そのものが単純に楽しいのだ。

 Gファイターは一時期は「リアル的ではない」と削られた存在ではあるが、サブフライトシステムや、Gディフェンサーから始まる様々なガンダムのパワーアップパーツ、ZZガンダムのコンセプトなどその後の「ガンダム」シリーズへの影響はとても大きい。そして、今回改めて各形態をチェックすると「ダイターン3」や「トライダーG7」といった大河原氏デザインのロボットにも通じるデザインラインも感じた。

 改めてTV版「機動戦士ガンダム」を見たくなり、Gファイターの活躍をチェックしたくなる商品だ。次項では、野口氏の「ROBOT魂 Gファイター」への想い、そして「ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.」シリーズそのものをより深く聞いていきたい。

【ROBOT魂 Gファイター】
バーニアパーツやミサイル発射エフェクトなど、エフェクトパーツも充実している