インタビュー

様々な想いを込めてヤマトが飛び、光る! 「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」

「Ver.A.N.I.M.E.」の野口氏が挑戦する新たなる“統一スケール”

9月発売予定

価格:6,500円(税別)

 バンダイが新たに立ち上げる「宇宙戦艦ヤマト」の“フィギュア”「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」。現在展開しているアニメ「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」をモチーフに、主役メカ「ヤマト」を1/2000スケール、全長約165mmで再現したフィギュアだ。

主役メカ「ヤマト」を1/2000スケール、全長165mmで再現

 大きさは、机に置き、眺めるのに良いサイズ。鏡面風の豪華さのあるディスプレイベースに可動アームでヤマトを固定、ヤマト本体は巨大さを感じさせる塗装と、精密な造形、さらに艦橋や側面、波動砲に波動エンジンまでが光り輝く発光ギミックを搭載、しみじみと眺めていたくなる商品となっている。

 今回は、ヤマトに加え、「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」で強い印象を残した「アンドロメダ」の検証用モデルも見ることができた。こちらも現在商品化検討中であるという。

 インタビューしたのは企画担当の野口勉氏。「ROBOT魂 機動戦士ガンダム 一年戦争 ver. A.N.I.M.E.」で統一スケールを展開し、成功させた野口氏は、「宇宙戦艦ヤマト」の“艦船”でも統一スケールで展開すべく、「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」を企画したという。商品の魅力、野口氏の想いに迫っていきたい。

様々な人の想いが込められた船、“ヤマト”を統一スケールで展開

 「宇宙戦艦ヤマト」は、1970年代に大ブームを起こしたアニメである。その「ヤマト」が「宇宙戦艦ヤマト2199」という2012年からのアニメで“復活”を果たした。SF考証、キャラクターデザインや、ストーリーテリングをアレンジ、リスペクトたっぷりでリメイクを行ない、大きな反響をもたらした。そして続編である「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の制作も決定、全7章のアニメ作品として、2月より劇場上映が開始され、第2章が6月24日に上映予定である。

「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」企画担当者の野口勉氏。弊誌では、「ROBOT魂ver. A.N.I.M.E.」シリーズの担当者としてもおなじみだ
精密なフォルム、砲身の可動に加え、発光ギミックを搭載。塗装も高級感と、“実在感”をもたらすものとなっている
今回は商品化検討中の「アンドロメダ」も見ることができた

 野口氏が手がけるのは「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」からのメカだ。前作はヤマト1隻と、ガミラス帝国という構図だったが、今回のアニメではアンドロメダをはじめとした「地球連邦防衛軍」、地球と和平条約をむすんだ「ガミラス軍」、そして敵となる「帝星ガトランティス」と、多彩なメカが登場する。

 地球連邦防衛軍はアンドロメダやドレッドノート(主力戦艦)や、前作のゆきかぜなども楽しみだし、ガミラス軍は巡洋艦も渋いし、次元潜行艦もカッコイイ。帝星ガトランティスも巨大なミサイルを装備したゴーランドや、デザインが独特なナスカ級など魅力たっぷりだ。野口氏は提示する「1/2000」という統一スケールでの“コレクション”が楽しいシリーズにしたいという。

 「基本となるヤマトは1/2000で、全長約165mmです。机の上に置いて、眺めて楽しみ、いくつも並べられるサイズです。特に今回は、ヤマトとアンドロメダを並べてみて、アンドロメダの大きさを感じたかった。現在アンドロメダは商品化を検討している段階ですが、以降も続けていきたいですね」と、野口氏は語った。

 野口氏は以前プラモデルを手がけるバンダイホビー事業部で「1/350 宇宙戦艦ヤマト」を手がけている。この商品は旧作がモチーフで、全長766mm、価格は48,600円(税込)。電動ギミックで砲身はもちろんパルスレーザーまで動き、波動砲は段階的な発光で劇中の発射プロセスを再現するなど“記念碑”とも呼べる商品だった。

 この商品製作のためくり返し「宇宙戦艦ヤマト」を見た野口氏は旧作に強い思い入れを持ち、リメイクである「宇宙戦艦ヤマト2199」は公開当初は見なかったとのことだ。しかしあるきっかけで「宇宙戦艦ヤマト2199」を見た際、“当時のヤマトが現代に蘇った”という感動を感じたという。

 最初は“現代風にアレンジされすぎているのではないか”と身構えた野口氏だったが、「宇宙戦艦ヤマト2199」の旧作へのリスペクト、現代のアニメならではの表現や価値観の絶妙なバランスに“うまく作ってるな”と感心し、素直に楽しんだ。そして「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」も良い作品になることを確信したとのことだ。

 「宇宙戦艦ヤマト」は比較的年齢が高いユーザーに向けた商品が多い。コレクターズ事業部ではこれまでは「超合金魂」といった高額商品での展開を行なっていたが、「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」では1/2000というこれまでなかった統一スケールでシリーズを展開、塗装と造形で高級感、雰囲気を重視しながらも、サイズと価格をある程度抑えて、集めやすく、並べやすい商品展開を目指していくという。そして“輝く”という電飾を取り入れることで、眺める楽しさを追求していきたいという。

 野口氏は改めてヤマトというモチーフに対してファンが込める想いをきちんと拾っていきたいと語った。劇中、ヤマトは沈んだ戦艦という“滅びの美学”ともいうべき悲壮感が最初のイメージがある。そして、人類再生への最後の希望という想いも背負わされている。映像作品であるヤマトを見ながら、ファンはヤマトという艦船に色々な気持ちを感じてただろうと野口氏は考えたという。

 「『ヤマト』は、『人間はこうあるべきだ、“俺”はこうあるべきだ』という生き方や思想も訴えかける作品だったと思います。ヤマトは他のメカ以上に人の思いがこもるメカだと思います。商品を机において、眺めながらそういった想いを思い出す、そういう商品にしたかったんです」と野口氏は「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」への想いを語った。

【輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト】
商品は、最新作である「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」のヤマトを立体化したものだが、商品写真のアングルに往年のアニメの構図を取り入れるなど、野口氏のヤマトへの想いが伝わってくる