★PS3 / Xbox 360ゲームレビュー★
伝統のアクロバティック・アクション最新作
カジュアル志向に梶を切った「PoP」の真価は?
「プリンス・オブ・ペルシャ」 |
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- ジャンル:3Dアクションアドベンチャー
- 開発元:Ubisoft
- 発売元:ユービーアイソフト
- プラットフォーム:プレイステーション 3 / Xbox 360
- レーティング:CERO:B(12歳以上対象)
- 価格:各 7,329円(税込)
- 発売日:12月18日(Xbox 360版、発売中) /
2009年1月22日(プレイステーション3版)
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20年の歴史を誇るシリーズに、装い新たなタイトルが登場した |
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「Sand of Time」三部作のひとつ、「Warrior Within」(2004年)。トラップ満載の“即死ゲー”だった |
初代作から20年を経過して今なお命脈を保つゲームシリーズ「Prince of Persia」。今回ご紹介するシリーズ最新作は、ユービーアイソフトがプレイステーション 3/Xbox 360ユーザーに贈るこの冬一番の目玉タイトルだ。開発元は「アサシン・クリード」を制作した、Ubi全体でも最高の開発力を持つUBI Montrealスタジオ。
せっかくの機会なので、ここでシリーズの歴史をおさらいしておこう。
「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」の世界観を元にしたシリーズ初代作の「Prince of Persia」が、今は無きBroderbundよりリリースされたのは1989年。当時としては画期的といえる滑らかなアニメーション(開発者はあの『カラテカ』も作った人物)と、心許ない足場をダイナミックなアクションで踏破していくというユニークなシステム、そして些細なミスが即死につながるというスリリングさが人気を集め、数十にも及ぶゲームプラットフォームに移植されるという伝説的な作品となった。
Broderbund亡き後もシリーズは生き残り、2004年には現在の版元であるUbisoftが「Prince of Persia: Sand of Time(邦題:『時間の砂』)」をリリース。ミスが即死につながるハードコアなゲーム性はそのままに、3D空間でのアクロバティックアクションを実現。厳しすぎる難度をうまく補う「時間を巻き戻してやりなおす」システムを搭載し、非常にユニークな傑作となった。その後、Ubisoftによるシリーズは「同:Warrior Within(邦題:『ケンシノココロ』)」、「同:Two Thrones(邦題:『二つの魂』)」を含む三部作に発展した。
そして今回ご紹介する最新作「プリンス・オブ・ペルシャ」は、その題名が示す通り、ナンバリングや副題がない。このことは、本作が「時間の砂」に端を発するシリーズ作品ではなく、新たなシリーズに入ったことを示している。
そして本作の明確な特徴は、過去シリーズに比べて“カジュアルゲーマー向け”に大きく舵を切ったことだ。Ubisoftの新たなるフラッグシップタイトルとして、より多くのプレーヤーを楽しませることを選択した本作「プリンス・オブ・ペルシャ」。その新たなゲーム性をご紹介しよう。
■ シリーズ伝統のアクロバティック・アクションは健在 ヒロイン・エリカとの二人三脚で道無き道を行く
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世に蔓延った「穢れ」を浄化するため、エリカとともに道無き道を行く |
本作の舞台は、古代ペルシャ的な雰囲気をもつ架空の世界。宝を乗せたロバを探し砂漠を放浪していた主人公は、「エリカ」と名乗るミステリアスな女性に出会い、成り行きで、暗黒の邪神「アーリマン」の復活を止めるための戦いを助けることになる。
唐突に始まる本作の物語のキーは、この地の王女で不思議な能力の持ち主であるエリカだ。父王の暴走により邪神アーリマンの封印が解かれ、世界は「穢れ(ケガレ)」に包まれてしまっている。そこで主人公は、浄化の能力を持つエリカと助け合いながら各地の「豊穣の台座」を巡り、穢れに包まれた世界を元に戻さなければならない、というストーリーだ。
本作は純粋なシングルプレイ専用ゲームで、オンライン機能は備えていない。また、見ての通り、グラフィックスは非常にユニークだ。19世紀のアーティスト アルフォンス・ミュシャの作風を思わせるレンダリングで、ファンタジックな作品世界を表現している。
基本的なゲームメカニクスは至ってシンプルだ。「Prince of Persia」シリーズ伝統のアクロバティックアクションを駆使し、高低差の激しい道無き道を踏破し、そして、各ステージにある「豊穣の台座」でボス敵との戦闘に勝利することが直接的な目的である。
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ミステリアスな能力を持つヒロイン・エリカとの出会い。宝物を乗せたファラと呼ばれるロバを追って砂漠を放浪していた主人公は、成り行きで世界の危機を救う戦いに向かうことになる。ちなみに本作の主人公は“まだ”プリンスではなく、身元不明の放浪者だ |
・シリーズ伝統のアクロバティックな移動アクションはカジュアル寄りに調整
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ウォールラン |
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勢いを付けて天井走り |
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エリカの手を借りて2段ジャンプ |
シリーズの伝統に則り、主人公が駆使できる移動アクションは簡単操作で実に多彩だ。道なき道を踏破するために使うボタンはジャンプボタン(Xbox 360ではA、PS3では×)、掴みボタン(Xbox 360ではB、PS3では○)、エリカボタン(Xbox 360ではY、PS3では△)の3つだけ。
どのようなアクションが発動するかは主人公の位置、地形状況によって自動的に決まる。例えばジャンプボタンでは、亀裂を飛び越えたり、壁を走ったり(ウォールラン)、壁からの三角跳びなどに変化する。またマップ上の移動用ギミックも多彩で、柱に掴まる、横棒にぶら下がって勢いを付けてさらに遠くへ飛び移るといったアクションもごく基本的なものだ。
独自色の濃いギミックとしては鉄のリングがある。これは足場の無い場所の壁には配置されていることがあり、例えば壁走りをしながら掴みボタンを押すことでさらに上によじ登ったり、壁走りを延長することができるというものだ。
超人的な身体能力を持つ主人公は、柱に掴まった状態から天井に張り付き移動するという「天井走り」もできる。その先に鉄のリングが配置されていれば、天井に張り付いたままかなりの距離を進み、そのまま勢いを付けて天井の裏側に上ってしまうようなアクションも可能だ。
そして本作ならではのアクションが、常に同行するヒロイン・エリカと協力して行なう2段ジャンプだ。エリカは魔法の力によって空中を舞うことができ、主人公の動きをサポートしてくれる。ジャンプ中にエリカボタンを押すと空中でもう一度ジャンプし、遠い足場に着地できるというのが最も基本的なアクションである。
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ジャンプ、掴み、エリカの3コマンドを使い、複雑な地形を踏破していく。操作は簡単なので、移動アクションの爽快さをすぐに楽しめるようになるだろう |
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移動ルートのヒントは地形の中に巧妙に隠されている |
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失敗しても即座にエリカが助けてくれるので、ゲームオーバーはない |
本作のステージは、あらゆるアクションを全て駆使して踏破するために作られており、初回のプレイでは、足場の状況や壁の様子を見て、どのようなアクションで乗り越えていくかを考えるという、パズルゲーム的な要素が強い。地形の編成はバリエーション豊富で、クリアまでプレーヤーを飽きさせない。
一方で、各アクションの入力タイミングや、移動方向の制御はそれほどシビアではなく、ある程度アバウトな入力でも、自動的に適切な足場や動きが選択され、次のアクションに移行してくれる。重要なのは、目の前の地形に合わせて、ジャンプ、掴み、エリカの3アクションをリズミカルに選択することだ。
そして、操作ミスや解法の間違いを起こして足場を踏み外しても大丈夫。落下死寸前に必ずエリカが救いの手をさしのべ、最後に居た安全な足場に戻してくれるので、すぐに、何度でもやりなおしが可能だ。それに、旧作にあったような「即死トラップ」系のギミックはほぼ撤廃されている。このあたりはカジュアルゲーマー向けのバランシングに一気にシフトしている。
本作と一見似通ったアクションを持つ最新タイトルとして、エレクトロニック・アーツの「ミラーズエッジ」があるが、実際に比べてみると、その中身は全く違う。プレーヤーの入力が厳密にアクション結果に反映する「ミラーズエッジ」は“アシスト機能無しのレースゲーム”的な内容だが、ターゲットや移動アクションの自動調整が強く機能する本作はカジュアル系アクションゲームの王道を行くプレイ感覚である。
こういった特性の本作は、おそらく旧シリーズ「時間の砂」三部作があまりにも難しく、ハードコア寄りだった故にセールスが芳しくなかったという反省から生まれたものだ。それを反映し、本作では適切な移動ルートの発見後はリズミカルにスイスイ進めることが可能で、テンポ良く進めることができる。
また、エリカの救いの手によって事実上主人公が不死になっていることもあり、アクションゲームが苦手なプレーヤーでも問題なく進めることができるゲームバランスである。一方で旧シリーズに見られた“即死ゲー”ならではのスリリングさは影を潜めており、ハードコアなプレーヤーは充分なカタルシスを得ることができないことを不満に思うかもしれない。
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地形は変化に富み、移動そのものが楽しい、というゲーム性になっている。旧作にあったような即死トラップは影をひそめ、誰でもテンポよくプレイできるよう様々な配慮が計られている |
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浄化前のステージでは、各所にはびこる「穢れ」がルートを制限する。浄化後はルートの選択幅が広がるため、別の意味で難しくなるが、同じステージがゲームの進行によって異なる姿を見せるというシステムは本作の面白いところだ |
■ 限定的な自由度を備えたステージ選択。ボス戦の存在が物語を深める
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ゲームマップはいつでも呼び出せる。浄化済みの場所へは瞬間移動も可能だ |
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「光の種」を集めてステージ中をくまなく探索。意外なルートで取れるものもある |
本作のステージ構成は、物語の中核を成す「寺院」を中心に、「要塞」、「渓谷」、「王宮」、「光の都市」という個性的な地形を持つ4つのゾーンがシームレスに取り巻く形だ。4つの各ゾーンにはさらに6つの「豊穣の台座」があり、そのそれぞれががひとつのゲームステージとなっている。
各ステージはシームレスに接続されており、どういった順番でステージを攻略していくかはプレーヤーの自由だ。ただし、各ゾーンの深部にあるステージを踏破するためには、各ステージに対応するエリカの「パワー」を獲得することが必要だ。
エリカの「パワー」は、各ステージの壁面にある「パワープレート」による特殊な移動アクションを利用するための能力だ。赤いパワープレートを連鎖的に飛び移る「オルマズドの歩み」、青いパワープレートから大ジャンプする「オルマズドの御手」、黄色いパワープレートから空中を飛行する「オルマズドの翼」の4種類だ。
ゲーム開始時点では、エリカはいずれのパワーも所持していない。これを獲得するためには、各「豊穣の台座」を浄化した後に出現する「光の種」を規定数集めることが必要だ。「光の種」は各ステージ毎に45個出現し、移動可能地点に沿って様々な形で配置される。20~30個集めるだけであればステージ全域を道なりに踏破するだけで済むが、中にはかなり意地悪な場所に配置される「光の種」もある。全部集めるのは非常に困難だ。
とはいえ、普通にストーリーを進めるためであれば、全体の半数を獲得すれば充分。あまり「光の種」集めにこだわると、プレイ時間のほとんどを行ったり来たりの無意味な動作に費やすことになるので、ストレスなく進めるためには、必要な数を集めたらすぐに「寺院」に戻ることをオススメする。エリカのパワーを解放すれば新たなステージに挑戦できるからだ。
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「パワープレート」を使った特殊移動は、本作における最もトリッキーな要素だ。エリカが新たなパワーを獲得するたび、進行可能なステージが増えていくが、その順番はプレーヤーの判断にゆだねられている。進行ルートの選択によるゲーム展開の本質的な変化は無いので、気ままにプレイしよう |
・物語を盛り上げる戦闘。「コンボマスター」を目指せ
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「光の都市」を守護する「ウォリアー」。守るべき民を失った今、領地を守ろうとする意志だけが暴走している |
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コンボ攻撃を決めて大ダメージを与える。コマンドを記憶してしまえばこっちのものだ |
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フィニッシュ攻撃に対しては素早く指定されたボタンを押す。失敗してもエリカが助けてくれるが、戦闘は長期化する |
各ステージで用意されているボスとの戦闘は物語を盛り上げる上で一役買っている。「要塞」、「渓谷」、「王宮」、「光の都市」という4つのゾーンは、邪神アーリマンからその地を授けられた4人のボスキャラクタがそれぞれの地を支配している。同じゾーンの各ステージでは同じボスキャラクタと対戦することになるが、深部に向かうたび、ボスは強化され、どんどん手強いものになっていくのだ。
各ゾーンのボスキャラクタは、本作の世界観を深める上で欠かすことのできない存在だ。各ゾーンがなぜそのような姿をしているのか、どういった歴史を持っているのか……。こういった疑問は、ボス戦に絡んで展開するエリカの台詞や、ボス自身の行動によって明らかになっていく。
本作における戦闘は、常に1対1で対戦する形式をとっている。操作システムは移動シーンと共通する部分が多く、ジャンプボタンはアクロバティック攻撃、掴みボタンは投げ技、エリカボタンはエリカとのコンビネーション攻撃だ。そして主人公自身の剣撃は攻撃ボタン(Xbox 360ではX、PS3では□)で繰り出す。これらを組み合わせることで、コンボ攻撃の豊富なバリエーションが展開する仕組みだ。
コンボ攻撃の方法はゲーム中いつでもオプション画面で確認できる。コンボ攻撃は別のコンボにつながるものもあり、うまく繋げれば剣コンボ→エリカコンボ→投げコンボ→アクロバティックコンボというふうに長大な連続攻撃を決め、大ダメージを与えることが可能だ。また、敵の攻撃を絶妙なタイミングで防御すると「弾く」ことができ、即座に反撃の機会を得られる。このテンポは初代「Prince of Persia」を彷彿とさせる。
ただ、敵側も黙ってやられているわけではない。主人公のダメージが蓄積すると、各ボスは致命的なフィニッシュ攻撃をしかけてくる。これから逃れるためには、画面表示で指示されるボタンを素早く押すことが必要だ。その猶予時間は0.5秒~1秒程度で、ゲーム後半になるとタイミングが非常にシビアになっていく。回避に失敗するとエリカが助けてくれるが、その際に敵の体力が大幅に回復し、戦いは仕切り直しとなる。
失敗が続くと戦闘があまりにも長く続き緊張感が途切れ始めてしまうため、テンポよくゲームを楽しむためには、うまくコンボ攻撃を繋げて効率よく戦闘を完結させたいところだ。コンボ入力はタイミングが重要で、最長14連のコンボをうまく決めるのは難しいが、決まればかなりの達成感がある。「コンボマスター」の実績解除を目指して積極的にプレイしたい。
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剣攻撃、アクロバット攻撃、掴み攻撃、エリカの攻撃の4ボタンを使って戦闘を組み立てる。敵の攻撃は防御ボタン(Xbox 360ではRT、PS3ではR2)で防ぐことができ、タイミング良く防御すれば攻撃を弾いて反撃のチャンスを作れる。長大なコンボ攻撃をたたき込めば気持ちよくプレイできるが、うまくやれないと戦闘が異様に長期化するのが難点 |
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ボスを倒せば、いよいよそのステージを「浄化」できる。浄化されたステージには「光の種」が出現するので、くまなく集めてエリカの「パワー」を獲得しよう |
■ リプレイ性はごく限られており、プレイ後の印象は淡泊
シリーズ化にあたってはさらなる深みを加える必要あり
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クリア後、達成度に応じてボーナスコスチュームがアンロックされる(各キャラ3種、全6種類) |
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「光の種」をことごとく集めるにはものすごい試行錯誤が必要。難しいものはコミュニティの情報を参考にするのも手だ |
本作はエリカの存在により“ゲームオーバーのないシステム”を採用していることもあり、途中でどうしようもなく詰まってしまうような場面はほとんどない。初プレイでのクリアタイムは各ステージ30分~1時間程度で、およそ12時間ほとでエンディングを迎えられるボリュームだ。
ゲーム中には、エリカの「パワー」のアンロックを除くと、キャラクタの成長要素や、旧シリーズにはあった武器のコレクション要素といったものは全く存在しない。おそらくこれが原因の一部だが、全体を通して、ほぼ同じテンションのステージ攻略が続く感じが強く、最後まで淡泊な印象だった。
クリア後のリプレイ要素としては「光の種」集めを始めとし、各種の実績を解除するためのプレイが考えられるが、あまり魅力のある遊びが用意されているとは言えない。欲を言えばシリーズ初代作にもあったタイムアタック要素の充実が欲しかったところだ。クリアタイムのオンラインランキング機能でもあれば、繰り返しプレイする動機につながったはずだ。
そういった要素が決定的に欠けている本作は、「値段分遊ばなきゃ!」という強迫観念があるなら別だが、多くのプレーヤーがひととおりクリアした時点でプレイを終えることになるだろう。このあたりが、本作の評価で難しいところである。
・肝心のストーリー要素にまつわる問題点
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ストーリーの鍵を握るエリカの父、王。ゲームが進むに従って魔物化していく |
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道中いつでもエリカに話しかけることができる。作品世界の理解に役立つので、色々な場所で頻繁に話しかけてみよう |
また本作は、前述したように、著しくカジュアルゲーマー向けのバランシングになっている。このため筆者のような初代作からプレイしているユーザーにとってはゲームプレイから得られるカタルシスが薄く、したがってよりストーリー要素の充実が求められるはずだ。
しかし残念なことに、本作の演出面はとても充実しているとは言えない内容である。要所で挿入されるカットシーンは抽象的でよくわからないものが多く、主要キャラクタ同士のやりとりも、状況説明が不十分だ。全体的に、プレーヤーを置き去りにして話が進んでいく印象が強い。
また、本作には道中いつでもエリカと会話できるシステムがあり、このための膨大な会話パターンが用意されている。これが作品世界への没入度を高める効果を持つべきなのだが、会話の内容や流れに違和感のあるものや、意味不明なものが多かった。原因のひとつは、オリジナル英語版からのテキストの翻訳に問題があるためだ。シチュエーションにそぐわない直訳と見受けられる表現も散見された。
あとは、声優のアンバランスさも気になった。本作では、映画やアニメで膨大な実績のあるベテラン声優・浪川大輔さんをプリンス役として配する一方で、今回が声優初挑戦という女優の成海璃子さんをエリカ役に配しているが、両者の声の表現力、演技力にあまりの差があるように感じられたのだ。情熱的で抑揚のしっかりしたプリンスの演技に比べ、エリカの声の演技は、控えめに言っても“棒読み寸前”で、テキストの問題もあり、両者のテンションがうまくかみ合っていない。このためか筆者は、プリンスとエリカの愛の物語という、本作のテーマに入り込めないまま、エンディングを迎えてしまった。
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シリーズ未経験のユーザーには是非オススメしたい内容だが、シリーズのファンにとっては少々物足りない可能性がある。ゲーム性を深める方向でシリーズ展開を期待したい |
結論としては、本作は「アサシン・クリード」に続くUbisoftのフラッグシップタイトルとして期待される水準を、十分に満たしているとは言えない。
本作で特に欠けているのは、やはりゲームの深みだ。この点では、アクション、ストーリー、ステージ構成ともに高水準にあった旧シリーズの「Prince of Persia: Warrior Within(邦題:『ケンシノココロ』)」を越えられていないと思う。件の作品があまりにもハードコア寄りだった反省から生まれたのが本作だが、次回作ではさらにゲーム的な洗練を加えて欲しいと願う。
比較的厳しい評価になってしまったが、世界に冠たる大ゲームメーカーであるUbisoftのフラッグシップスタジオであるUbisoft Montrealには、やはり最高水準のゲームが求められて当然だし、その実力もあると思うからだ。
その一方で、本作はカジュアルゲーマー向けのバランシングには成功している。今まで「Prince of Persia」を知らなかった、あるいは過去にプレイしたが難しすぎて断念したというカジュアルゲーマーの皆さんには、軽快なアクロバティック・アクションという新鮮な体験が楽しめるタイトルとしてお勧めしたい。
【スクリーンショット】
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Ubisoftは本作のターゲットを明確にカジュアルゲーマー層に絞った。そのことが20年来続いてきたシリーズに与えた影響は、シリーズのファンにとっては微妙なところかもしれない。しかし、ユニークなアクロバティックアクションは健在であり、シリーズ未経験であればどっぷりと楽しめるはずである |
(c) 2008 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Based on Prince of PersiaR created by Jordan Mechner. Ubisoft, Ubi.com, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries. Prince of Persia is a trademark of Jordan Mechner in the U.S. and/or other countries used under license by Ubisoft Entertainment.
□ユービーアイソフトのホームページ
http://www.ubisoft.co.jp/
□「プリンス・オブ・ペルシャ」の製品情報
http://www.ubisoft.co.jp/pop/
□関連情報
【2008年12月9日】ユービーアイソフト、Xbox 360/PS3「プリンス・オブ・ペルシャ」発売記念イベント
日本版吹き替えを担当した声優・浪川大輔さんと女優・成海璃子さんが登場
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081209/pop.htm
【12月5日】ユービーアイソフト、Xbox 360/PS3「プリンス・オブ・ペルシャ」 1対1のバトルシステムとボスキャラ2体を紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081205/pop.htm
【12月3日】プリンスとエリカが協力して戦うシリーズ最新作 ユービーアイソフト、Xbox 360/PS3「プリンス・オブ・ペルシャ」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081203/pop.htm
【11月10日】ユービーアイソフト、Xbox 360「プリンス・オブ・ペルシャ」
初回限定特典は「アートブック付きサウンドトラックCD」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081110/pop.htm
【10月14日】ユービーアイソフト、プライベートイベントレポート
「プリンス・オブ・ペルシャ」、「FarCry 2」など、強力な4タイトルを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081014/tgs_ubi.htm
【10月10日】ユービーアイソフト、PS3/Xbox 360「プリンス・オブ・ペルシャ」
ヒロイン「エリカ」役に女優の成海璃子さんを起用
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081010/pop.htm
【7月16日】Ubisoft、「Ubisoft Press Conference」で大量の新作を発表
“アサクリ”チームが放つ新世代「Prince of Persia」ついに見参!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080716/e3_ubi.htm
(2008年12月18日)
[Reported by 佐藤カフジ]
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