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E3 Media & Business Summit 2008現地レポート

Ubisoft、「Ubisoft Press Conference」で大量の新作を発表
“アサクリ”チームが放つ新世代「Prince of Persia」ついに見参!!

7月15日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 フランス大手ゲームパブリッシャーUbisoft Entertainmentは、コンベンションセンターのカンファレンスルームにおいて、現地時間の7月15日、メディア向けのプレスカンファレンスを開催した。

 世界展開を果たしている大手パブリッシャーらしく、全プラットフォーム、全年齢層、全ジャンルにアピールする豊富な新作ラインナップが披露された。中でも群を抜いて圧倒的な存在感を示していたのは、同社を代表する人気フランチャイズ「Prince of Persia」シリーズの最新作だ。Ubisoft Montreal Studioの「Assassin's Creed」チームの最新作であり、2006年のE3で「Assassin's Creed」が初公開された時に近い衝撃を与えてくれた。まずは、「Prince of Persia」からご紹介していきたい。

 なお、ここに記載している発売時期、発売プラットフォームは、特に記載がない限り、欧米のもので、日本展開は基本的に未定となっている。日本での発売スケジュールに関しては日本法人の正式発表をお待ち頂きたい。

【Rayman Raving Rabbids TV Party】
発表会の冒頭には、Ubisoft North America PresidentのDetoc Laurent氏が登壇し、自信作という「Rayman Raving Rabbids TV Party」を自らデモンストレーションして見せてくれた。同作は、「Rayman」が古くから展開しているカジュアル向けフランチャイズの最新作で、Wiiの機能をフルに活かしたパーティー向けレースゲーム。レースの随所に笑いを誘うポイントが多く、場内でも笑いが発生していた。つかみは上々といったところか


■ 独自のセルシェーダーと魅惑的なヒロイン“Elika”の登場で、まったく新しく生まれ変わった「Prince of Persia」

プレスカンファレンスのメインとしてもっとも長い時間が割かれた「Prince of Persia」。PS3、Xbox 360、PC向けに今年のホリデーシーズンに発売される
インゲームのスクリーンショット。Elikaのマジックパワーを使ってシンボルから大ジャンプを行なっているシーン。「Prince of Persia」では、このような胸のすくようなファンタジー体験が味わえる
バトルは、3D格闘ゲームライクに刷新された。すべてがボス戦という言い方もできる。ゲームの柱は、剣技の妙から、再びスリリングなアクロバットアクションへとシフトしたと言えるだろう
 今年のUbisoftの一押しタイトルは間違いなく「Prince of Persia」だ。ビジュアルインパクト、センス、インタラクション、どれを取っても抜群に優れている。

 Ubisoftが2003年に20世紀の古典的名作アクションゲームのひとつ「Prince of Persia」を「Prince of Persia: The Sands of Time」の名で新たにリバイバルし、高い評価を集めたのは記憶に新しいところだ。しかし、その続編「Warrior Within」、「The Two Thrones」、「Revalations」では、Teen(13歳以上)指定から一転してMature指定(17歳以上)となり、アラビアンナイトカラーが薄れる一方で、高いアクション性とやや過度な残虐性を売りとしたゲームになってしまっていた。

 今回発表された「Prince of Persia」は、そのTeenからMatureへの流れにストップをかけ、本来のアラビアンファンタジーを、幅広い層に向けて提供したいという意思が濃厚に感じられるゲームデザインに生まれ変わっていた。ゲームエンジンは、「Assassin's Creed」エンジンを採用し、遙か彼方まで描ききったスケール感と360度自由なフィールドを実現。画面を見れば一目瞭然だが、独自のセルシェーダーによって描かれているため、雰囲気は「Assassin's Creed」とはまったく異なる。あくまでファンタジックだ。

 大きな特徴として、主人公の隣には、常に“Elika”と呼ばれるヒロインが付き添う。彼女は、主人公の動きに合わせて、後ろから付いてくる。時にはジャンプを手伝ったり、マジックを使って大きく跳躍したり、敵に攻撃を加えたりなど、様々な局面で助けてくれる。もっとも重要な役割としては、死の淵から救ってくれる救命行為が挙げられる。「Prince of Persia」シリーズでは“時間を操る”ことで難所を切り抜けてきたが、今回はトラップに嵌ったり、高所から落下した際は、彼女が“手をさしのべて”死の淵からすくい上げてくれる。

 彼女の存在は現時点では謎に包まれている。明らかに普通の人間ではなく、主人公を死の淵から救い出したり、邪悪によって腐敗したエリアを、浄化する超常的なパワーを持っている。メインストーリーにおいて重要な関わりを持つキーキャラクタになるということで、今後の発表が楽しみだ。

 何より感動的なのは、「Sands of Time」以降の「Prince of Persia」で高く評価されていた“躍動感に満ちた動き”が、劇的にパワーアップしていたことだ。今回も、通常の移動やジャンプに加え、壁伝いや、壁上り、跳躍を駆使しながら難所を突破していく。従来との違いは、後ろから常にElikaが付いてきて、頭上から手を添えてジャンプを手伝ってくれたり、高所から伝い落ちした際は、彼女を抱き留めるなどのアクションもある。いかにもアラビアンファンタジーらしい演出である。こうした動きは、移動とジャンプアクションを組み合わせた非常にシンプルな操作のみで可能となっているのが素晴らしい。

 バトルは、前作とは打って変わって最小限に抑えられ、その代わり演出面が大幅に強化された。平たく言うと、「ソウルキャリバー」のような3D格闘ゲームのようなバトルに進化した。バトルは敵に襲いかかられる、あるいは敵の位置まで進むことでカットインされ、ソード、ジャンプ、Elika、スペシャルの4つのアクションバリエーションを駆使して、相手のHPバーを削っていく。途中、Elikaが技を繰り出したり、2人で一緒に攻撃したりなど、演出面でも凝っており、バトルの部分において、曲刀を振り回して敵をなぎ倒していく前作以前の面影はまったくない。

 発売プラットフォームは、PS3、Xbox 360、PC。気になる発売時期はホリデーシーズンが予定されている。日本での発売は未定だが、「Assassin's Creed」クラス、つまり同社では最上級のタイトルであるため、しっかりローカライズされた上で日本展開される可能性は高いと言える。続報に期待したい。

【Prince of Persia】
新「Prince of Persia」は、なんといっても常に寄り添うElikaの存在が大きい。彼女は、主人公をたびたび救ってくれるだけでなく、道に迷った時のガイドも行なってくれる。バトルの時も大活躍してくれそうだ


■ 祝「Tom Clancy」シリーズ10周年。記念作品は「Tom Clancy's End War」と「Tom Clancy's HAWX」

第三次世界大戦をモチーフにしたミリタリーアクション「Tom Clancy's End War」。ボイスで部隊に指示を与えられるのが最大の特徴だ。発売プラットフォームはPS3、Xbox 360で、2008年ホリデーシーズン発売予定
“フライトシム老舗メーカー”の名誉挽回となるか「Tom Clancy's HAWX」。発売プラットフォームはPS3、Xbox 360、PCで、発売時期は2009年第1四半期を予定
 Ubisoft急成長の原動力となった「Tom Clancy」シリーズは、今年でついに10周年を迎える。その記念作品として現在開発が進められているのが、「Tom Clancy's End War」と「Tom Clancy's HAWX」の2タイトルだ。

 「Tom Clancy's End War」は、「Rainbow Six」シリーズに端を発するミリタリーアクションゲームの新提案となる。開発元は、Ubisoft Shanghai。第三次世界大戦を仮想体験するという「Tom Clancy」シリーズらしい舞台設定の作品だ。

 新提案の内容は、ボイスで各部隊に指示を出すことができるという、マルチプレイのボイスチャットをシングルプレイに適用したユニークなシステムだ。デモシーンでは、音声を使って、一個小隊や空挺部隊、攻撃ヘリ、戦車、ミサイルなど、戦局を決めるあらゆる指示をプレーヤー自らがボイスで行なっていた。戦争映画のワンシーンのようで、なかなか格好いい。自らその役になれたら最高だと考える人も多そうだ。

 ただ、このボイスによる命令は当然のことながら英語でしか受け付けてくれないため、今のところこの楽しみを享受できるのは英語圏の人間だけということになりそうだ。非英語圏の我々にとっては少々残念だが、新たなチャレンジとして評価したい。

 「Tom Clancy's HAWX」は、往年のファンには懐かしさがこみ上げるコンバットフライトシミュレータ。「Blazing Angels」等の開発元として知られるUbisoft Bucharest Studiosで開発が進められている。

 時代設定は2012年。各国の防衛任務が民間軍事企業(PMC)に委託される近未来の世界を舞台にしている。プレーヤーはパイロットとして戦闘機を駆使して対地、対空戦を繰り広げる。50種類以上もの航空機が登場する予定。マルチプレイモードは、最大4人までのシームレスなCO-OPモードと、最大8人によるデスマッチモードが用意されている。ゲームデザイン的にライバルタイトルは、ずばり「エースコンバット5」ということになりそうだが、「Tom Clancy」の名がコンバットシムにおいてどこまで通用するか注目したい。

【Tom Clancy's End War】
「Tom Clancy's End War」はFPSではなく、クォータービューの視点から各部隊に指示を出していくストラテジーゲーム。「Rainbow Six」シリーズのようにあらかじめ作戦を立てるのではなく、戦況に応じてリアルタイムで指示を出していく形になる

【Tom Clancy's HAWX】
「Tom Clancy's HAWX」のスクリーンショット。地表のオブジェクトの描き込みが素晴らしいが、アメリカや世界の実在都市のデータを使用しているという。往年のフライトシムに近い設計となっている


■ まだまだある新作タイトル。主要タイトルを一挙紹介

【Brother in Arms Hell's Highway】
「Brother in Arms」シリーズ最新作。今回は1944年のマーケットガーデン作戦を舞台にしている。プレーヤーは小隊長として7人の部下を率いる。壁に張り付く、遮蔽物に隠れながら撃つ、乗り越えるといった、FPSのトレンドをもれなく取り入れ、グラフィックスやエフェクトも新世代機対応を果たしている。PS3、Xbox 360、PCの3プラットフォームで2008年8月発売予定。日本語版の発売も決定している

【FarCry2】
広大なアフリカのジャングルを舞台にしたシリーズ最新作。開発元はCrytekではなく、Ubisoft Montreal。エンジンもCryEngineから、UbisoftオリジナルのDunia Engineに変わっている。最大の特徴はなんといっても50平方kmにも及ぶ広大なマップをローディング無しで実装していること。マップとコンパスを片手に、敵や動物の襲撃におびえながら進んでいく感覚がおもしろい。マルチプレイモードは、マップの自作も可能で、レベルエディタが同梱される。PS3、Xbox 360、PCの3プラットフォームで2008年内の発売が予定されている

【Shaun White Snowboarding】
トリノオリンピックゴールドメダリストShaun Whiteを監修に起用したスノーボードゲーム。任天堂のプレスカンファレンスの冒頭を飾ったタイトルでもあるが、Wii向けとPS3/Xbox 360向けはまったく内容が異なっており、Wiiは、WiiコントローラとバランスWiiボードを使った体感型のゲーム。PS3/Xbox 360版は、リアルなアバターで、リアルな雪山を滑り、トリックを競うという、リアル系のスノーボードゲームとなっている。最大32人までのマルチプレイモードでは、シームレスな参加退席を可能にしており、突然始まるトリック勝負が楽しい。発売時期は2008年のホリデーシーズンを予定

【I AM ALIVE】
発表会の最後にサプライズとして紹介された新作「I AM ALIVE」。プロモーションムービーの内容は、ペットボトルの水を奪い合う荒廃した世界。わずか6日前に突如地表が陥没して、このような世界が現出したことが判明するという衝撃的な内容。タイトルとムービーの内容からウィル・スミス主演の「I AM LEGEND」を彷彿とさせるが……?

□Ubisoftのホームページ(日本語)
http://www.ubisoft.co.jp/
□E3 Media and Business Summit(英語)のホームページ
http://www.e3summit08.com/
□関連情報
【2007年7月】「E3 Media and Business Summit」記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070712/e3link.htm
【2006年5月】「Electronic Entertainment Expo 2006」記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060510/e3link.htm

(2008年7月16日)

[Reported by 中村聖司]



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