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★オンラインゲームゲームレビュー★

小規模から大規模の多彩な戦場を楽しむ
複数のゲームモードで腕を競うミリタリーFPS

「WarRock(ウォーロック)」

  • ジャンル:オンラインFPS
  • 開発元:Dream Execution
  • 運営元:Lievo
  • 利用料金:基本無料/アイテム課金
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP/Vista
  • サービス開始日:2007年3月8日



 ここ数年、オンラインで楽しめる基本プレイ無料のFPSタイトルが多数登場し、オンラインRPG(MMORPG)に次ぐ激戦区となっている。今回ご紹介したいのは、その中でもひときわ多彩なゲームモードを持ち、小規模戦闘から大規模戦闘までバリエーション豊かな戦術的シチュエーションを楽しめることをコンセプトに持った作品「WarRock(ウォーロック)」だ。

 本作は、テクモとSeedCが共同運営するオンラインゲームポータル「Lievo」にて2007年3月8日よりサービスが運営されているものだ。そのサービス開始からおよそ1年が経ち、3月13日、4月24日には多数のゲーム要素を追加する大規模アップデートが実施され、「WarRock 2nd Season」として新たなスタートを切った。本稿では最新の情報を交えつつ本作の特徴をお伝えする。


■ 小規模、中規模、大規模、スケールの異なる複数のゲームモードをサポート
 各モードの違いを生かし、全方位に展開するゲーム性がウリ

「Counter-Strike」ライクなルールで進行する「小規模戦闘」
 数あるオンラインFPSの中で「WarRock」だけが持つ特徴と言えるのは、ゲームコンセプトとしてはじめから複数のゲームモードを持つことだ。各ゲームモードは、最大16名で対戦する「小規模戦闘」、24名で対戦する「中規模戦闘」、32名で対戦する「大規模戦闘」となっており、それぞれのゲームルールを強いて他のゲームで例えるならば、それぞれ「Counter-Strike」、「Team Fortress 2」、「BattleField」的なシステムになっている。

 もう少し詳しく紹介すると、小規模戦闘で基本となるルールは、マップ上の定められた地点に攻撃側が爆弾を仕掛け、防衛側がそれを阻止するという爆破ルールだ。このモードでは各最大8名のチームが複数のラウンドを巡って戦い、より多くのラウンドを取得したチームの勝利となる。ルールは「Counter-Strike」ライクで、死亡したプレーヤーはそのラウンド中の復活ができないため、いずれかのチームの全滅によって勝負が決まることも多い。

歩兵中心の戦闘で少数の陣地を取り合うプレイは中規模戦闘で楽しめる
 中規模戦闘は、最大各12名のチームによって争われる、陣取り形式のルールだ。ラウンドはなく、死亡したプレーヤーは復活して戦場に再登場するというスタイルで、いずれかのチームの「復活ポイント」が枯渇するまでの勝負となる。マップ上には1~3個ほどの陣地があり、これを占領したチームはそこからの復活が可能となり、より有利に戦うことができるというのがポイントだ。

 中規模戦闘では本作の特徴である戦車などの車両兵器が若干数登場し、またマップが狭いため極めて激しい銃撃戦が展開される。スピーディながら戦術性も加味されたスタイルだ。本作で使える5種類のキャラクタークラス、「工兵」、「偵察兵」、「衛生兵」、「戦闘兵」、「重火器兵」といった各クラスの役割が明確になるのもこの規模からである。

大規模戦闘は各種兵器が総出演のダイナミックなプレイが特徴だ
 最後の大規模戦闘は、最大32名でプレイする本格的な陣取りルールだ。広大なマップには5~10個にも上る陣地が配置されており、各チームはこれらをひとつずつ占領して作戦の展開を広げつつ、相手チームの復活ポイントをゼロにするまで戦うことになる。大規模戦闘では「WarRock」の持つ車両兵器や航空兵器、それらに対するアンチユニット(操作可能な砲台など)が多数登場して、戦略性の高いゲーム性が展開する。

 大規模戦闘では、最新のアップデートで導入されたヘリコプター「チヌーク」からの空挺降下や、双眼鏡を使って砲術支援を要請するといったプレイも大規模戦闘ならではの機能だ。こういった深い意味でのチームプレイを楽しむことができるスタイルは、オンラインFPSというジャンルでは特筆すべき特性と言えるだろう。

 こういった多彩なゲームモードを備える本作は、プレーヤーの趣向やプレイ時間に応じて好みのゲームスタイルを選択できるのが最大のウリ。デスマッチ系のスピーディな戦いを望むなら小規模戦闘でそれが楽しめ、また、大きく複雑な戦場で仲間と高度なチームプレイを楽しみたい、もしくは戦車などの兵器を駆使して活躍したいならば大規模戦闘がうってつけと、とにかくFPS的な楽しみを全方位体勢で用意した、という内容だ。

戦車、バイク、四輪車、対空車両など、多種多様な兵器で構成される大規模戦闘の戦場。多数の陣地を巡って間断のない攻防が展開する


・ダッシュ、ローリングなど、独特の追加アクションでスポーティな射撃戦

ラウンド開始直後は「ダッシュ」で素早く前線に展開。画面左下の「SP」ゲージが多少減っているのが見えるだろうか
 FPSとしての「骨格」となる基本動作は、本作においては非常にスポーティな感覚でまとめられている。まず、操作形態は一般的なFPSと同じ「WSAD」スタイルをとりつつ、移動や照準操作、射撃などの挙動は極めてシンプルかつ基本に忠実だ。しかし、他のFPSをプレイしたことがある人ならすぐに一線級の活躍ができるかというと、そうでもない。

 それは、本作独自のアクションである、ダッシュやローリングといったシステムの存在が本作の射撃戦で重要な役割を持つからだ。ダッシュは移動方向を素早く2回タップすることで発動し、高速で移動できるもの。また、ローリングは専用のキーを押すことで発動するもので、素早く地面を転がり瞬間的に素早い動きをするというものだ。

静止画ではわかりづらいが、ローリングを使えば素早く攻撃を避けることができる。グレネードをかわすのにもうってつけだ
 これを実行するためには、各プレーヤーがもつ「SP」と呼ばれるポイントを消費する。これは言わばマジックポイントのようなもので、自動的に回復するものの、ダッシュやローリングをするたびに大きく減り、連続で4、5回使おうものならば枯渇してしまう。これが追加アクションを要所に限って使用するための「しばり」となって、撃ち合いにおける大きな駆け引きの要素となっているのだ。

 これらの要素が相まって本作の基本的なゲーム性は、スポーツ的な側面が強いものになっている。映像的にはリアルなミリタリーFPSといった風貌のゲームではあるが、実際に行なわれている戦いは、プレーヤーが互いにFPS的瞬発力を競い合う、非常にスピーディなものだ。そこで勝負を決するのはもちろんプレーヤースキル。しかしそれだけではなく、多種多様な武器、兵器を上手く活用するという戦略的センスを持つことも大きな割合を占めるのが「WarRock」というゲームの特色である。この点について次節で詳しく紹介しよう。

【プレーヤークラス】
5種類のプレーヤークラスは死亡時にプレイがとぎれたタイミングでいつでも選択できる。大規模戦闘では「工兵」が、小規模戦闘では「衛生兵」が活躍しやすい。「偵察兵」の本職はスナピングで、上級者向きだ。「戦闘兵」は最も一般的な戦闘クラスで、装備可能な武器のレパートリーが豊富。「重火器兵」はロケットランチャーなど重装備が可能で、車両に対抗可能な唯一の歩兵だ


■ 大型アップデートでさらにバリエーションを増した大規模戦闘
 兵器の活用が勝敗の鍵を握るというゲーム性

「WarRock」をプレイするなら、積極的に大規模戦闘を楽しんでみたい
 「WarRock」の大規模戦闘モードは、本作で最も人気のコンテンツだ。広大な戦場で多種多様な兵器を駆使して戦うという、他の基本プレイ無料のオンラインFPSにはないスケール感を備えたコンテンツとなっている。本作の独自色が色濃く出ているモードでもあり、4月24日に行なわれた大型アップデートで重点的に新要素が追加された。

 大規模戦闘モードのマップには、都市、山岳、砂漠地帯、群島などバリエーション豊かなものが用意されており、それぞれに多種多様な兵器が登場。戦車、歩兵戦闘車、ジープなどの基本的な地上車両に始まって、戦闘ヘリ各種、ジェット攻撃機、それらに対抗するための対空車両、そして海のあるマップでは上陸用舟艇や襲撃用ボートなどもあって、登場兵器の総数は相当な数に上る。

戦車は地上戦の主役だ。歩兵や軽車両に対して無類の強さを発揮し、有効な対策は固定砲座か重火器兵の対戦車ロケットなどになる
 大規模戦闘は非常にマップが広く、陣地も多数あるために、歩兵が歩いて作戦を展開するだけではどうしても効率が悪い。そこで、これらの兵器を活用して戦うプレーヤーに大きなアドバンテージが生まれるわけだ。各兵器は非常に高い能力を備えており、たとえば戦車は非常に硬く、歩兵の銃ではほぼ傷つけられないタフさを持つ上、扱いやすい戦車砲は1撃で複数の歩兵を吹き飛ばせる威力を持つ。とても上手な戦車プレーヤーがいれば、陣地から出てくる敵をひとりで壊滅させ続けることも可能だ。

 それに輪を掛けて強いのが、マップによっては登場する攻撃型のヘリコプターだ。操作に慣れなければまともに飛ぶことすら難しいという、熟練プレーヤー向きの兵器であるヘリコプターは、ひとたび乗りこなせば戦場を支配するほどの力を発揮する。高速で飛び交いながら強力なミサイルを発射し、前述の戦車すらほぼ1連射で吹き飛ばしてしまう能力に加え、戦場全体をくまなくカバーできる神出鬼没さも兼ね備えている。

最新のアップデートで追加された「チヌーク」に乗り、敵陣の真上で降下準備に入る
 戦車や歩兵を撃破するのがヘリコプターの重要な任務だが、最新アップデートで追加された大型ヘリ「チヌーク」を使った空挺降下による高速な戦場展開も見逃せない。1台のチヌークには最大5名の歩兵が搭乗することができ、空中で乗降キーを押せば自動的に落下傘降下状態となって、任意の地点に着地できる。

 これを使って陣地を素早く占領すれば、戦術的優位を序盤早々に確保できる。これを実行するには高度なチームプレイが必須であり、同じゲームセッションに集まった見知らぬプレーヤーを巻き込んで実行する力のあるプレーヤーが、一躍ヒーローになれる要素でもある。チヌークに乗ったプレーヤーの呼びかけに応え、積極的に搭乗していきたいものだ。

こちらも最新アップデートで追加された「双眼鏡」を使っての砲術支援要請のシーンだ。ターゲット開始から着弾まで十数秒間、身動きひとつできないため、敵スナイパーの格好の餌食になってしまう。また砲撃の効果は極めて限定されているため、使いどころが難しい


・「復活ポイント」で決まる勝負に潜むゲーム性の問題

戦場を縦横無尽に飛び回る攻撃ヘリ……と思いきや、筆者は操縦がヘタなため山にぶつかりまくり自滅。強い代わりに相当難しい
 もちろん、このアップデートに合わせてヘリコプターに対するアンチユニットである対空ミサイル車両「天馬」や固定式ミサイルランチャー「神弓」も追加されているものの、上手なプレーヤーはこういった地上からの攻撃をうまくやり過ごし、戦術的アドバンテージを硬く握って手放さない。これと同時に、本作の大規模戦闘モードにおける勝敗が、陣地の占領ではなくあくまでも「復活ポイント」の枯渇によって決まるというルールに注目してみたい。

 このあたりに、自由参加型のゲームセッションで遊ぶゲームならではのバランスの悪さが見え隠れすることもある。マップにもよるが、上手なヘリコプター乗りに恵まれたチームが序盤早々に陣取り勝負を決めてしまい、あとは延々と本陣周辺で「歩兵狩り」に終始して敵に何もさせないという現場に何度か遭遇した。

上手なプレーヤーの操縦するヘリは本当に強力で手が出せない。負けチームは本陣から1歩も動けず、強烈な印象をうけた
 同作では、非常に不味いことに、チーム毎に1つだけある本陣は決して占領できないようになっている。戦略的勝負が決まったあとも「復活ポイント」が無くなるまでは逆転するチャンスを残しているわけだが、実際には、この仕様を逆利用した勝者側による歩兵狩りが横行している。やられる側はたまったものではないが、退場しようにも、ゲーム中の退場にはペナルティとしてゲーム内マネーに相当する「ディナー」が所持金から差し引かれる仕組みのため、一度この状況にはまってしまったらひたすら耐えるしかない。

 この武装ヘリ等を使った歩兵狩りは、「WarRock」に限った話ではないが、基本的には好まれない展開であるはずで、もう少しアンチユニットを強化したり、歩兵の武器で対抗する能力を強化してほしいとは感じた。もしくは、陣地の占領によって勝負が決まる仕組みを導入してみるのも良いだろう。少なくともゲーム的に無意味な状況が長く続くよりは好ましいはずである。ちなみに「BattleField」シリーズでは、全陣地を失った陣営の復活ポイントが超高速で減っていくという形でこれを実現している。

川を挟んだ都市に陣地が密集する「GRUNDEL」。中央部では激しい歩兵戦と陣地の奪い合いが発生する
 こういった展開になりがちなマップもある一方で、好勝負が続出するバランスの良いマップもある。大型アップデートで追加された「GRUNDEL」というマップは、砂漠に建設された都市をモチーフとするデザインで、大規模戦闘モードとしてはやや狭く、陣地が密集して配置されているため歩兵中心の戦闘がハイピッチで展開する。撃ち合って、占領。撃ち合って、占領の繰り返しでゲームが続くことになるが、このプロセスも慣れてしまえば面白い。

 ただ、ここでもやはり「復活ポイント」で決まるルールのため、単調な展開になりがちだ。本質的には陣地を取ることによってもたらされるメリットは皆無であるため、極端なことを言えば「陣地は無視し、本陣に籠もってひたすら敵を撃退し続ける」という方法でもチームは勝利できる。このことに気がついてしまうと、大規模戦闘モードをプレイすることに対して消極的になってしまう。いずれにしても「WarRock」の大規模戦闘モードはもっともっと洗練される必要があることは間違いない。

敵を排除して旗の近くに一定時間止まり、占領する。多くの人数をかければそれだけ占領が速く行なわれる仕組みだ。獲得した陣地からは再出撃が可能になるが、それを待ち伏せされることもあるため、あくまでも勝負は「復活ポイント」の数字で決まることを肝に銘じ、キルスコア優先でプレイしたい


■ オプショナルな武器の活用のために有料アイテムの利用を推奨
 アイテム全体を通して「レンタル制」を採用するシステム

全アイテムはゲーム内ショップで販売。ゲームマネーでは各種銃火器、リアルマネーでは追加オプションが購入できる
 基本プレイ無料のオンラインゲームである本作は、もちろん有料アイテムの販売によって収益を上げるビジネスモデルを採っている。アイテムを購入する際に使用する通貨には2種類があり、ひとつはゲーム内の成績によって稼ぐことができる「ディナー」、もうひとつはリアルマネー相当の「Lievoコイン」だ。

 プレーヤーが直接装備する追加の銃器や補助武装の一部は「ディナー」で購入できる。ラインナップは完全にリアル系のもので、定番のライフル系ではアメリカの「M4A1」、旧共産圏の「AK47」、はたまた大型ドラムマガジンを着装したドイツの「G36-D」など、メインウェポンのバリエーションは豊かだ。これらのアイテムは全てレンタル制のシステムを採用しており、3日間で2,500ディナー、7日間で5,000ディナー……といった価格設定だ。

 また、重量級の「M60」マシンガンなどといった一部の装備は、特殊な武器スロットに装備するようになっている。これは「5番スロット」と呼ばれ、武器は「ディナー」で購入できる代わりに、これらの「スロット利用権」がレンタル制の有料アイテムとなっている。例えば「5番スロット利用権」は1日で100円、30日間で990円といった形で、長期利用ほど安くなる価格設定である。

各種有料アイテムをセットにしたパッケージ販売も。単体よりは割安になるため、長期間、徹底的にプレイするなら利用したい
 このほか有料アイテムとしては、キャラクタの階級を速く上げるために利用する「経験値○○%UP」、ディナーの稼ぎをよくする「ディナー○○%P」など定番のアイテムに加え、「6番スロット」に装備する補助兵器として、敵の視界を奪う「対人地雷」、偵察兵が砲撃支援要請に使う「双眼鏡」、はたまた照準点のデザインを使いやすくする「クロスヘア」なるものも有料で販売されている。

 またゲーム内マネーのディナー直接販売もあり、こちらは15,000ディナーで1,380円。ちなみにゲーム中の稼ぎはかなり少なく、1ゲーム20分ほど戦って50~100ディナーほど。武器3日分を稼ぐには30~60ゲームのプレイが必要であるため、複数の武器を試したいと思ったらまず確実にお世話になることになるだろう。

 全てのアイテムがレンタル制を採っており、短期より長期のほうが総額としては安くなる設定になっていることを前提として、試みに1カ月間、フルオプション状態でプレイする状況を想定していみよう。「5番スロット利用権」、「クロスヘア」、武器購入用のディナー購入などで、およそ3,000円以上といったところか。

 この価格をどう見るかはもちろんユーザーのとらえ方次第ではあるが、2カ月間フルオプションでプレイする金額で、パッケージ販売のFPS(最初から全部ついてきて、しかも永久に使える)が購入できるという比較は消費者の立場としては重要だろう。お金をかけて他のプレーヤーに差をつけるか、スキルを磨いて基本装備でがんばるか、それもまたプレーヤー次第だ。

「5番スロット」用の「M60」で戦闘。弾数が多く性能も良いため有利に戦える ディナーで購入できるスナイパーライフル。やはり高価なものは強力だ 衛生兵用の有料アイテム「治療BOX」は味方が拾って体力回復ができる


・全方位のゲーム性というコンセプトは今後の拡張に期待できる
 反面、作りの荒さが目立つ部分もあり、さらなる洗練を期待したい

薄い壁の建物の中、端で「伏せ」体勢になる場合は注意。体の一部が外にはみ出て、そこを撃たれることがある
 さて、本稿では冒頭にて、本作最大の特徴を「複数のゲームモードを搭載し、全方位のゲーム性を実現していること」と述べた。このゲームコンセプトはメジャーなオンラインFPSの中で唯一といっていいものであり、本作最大の強みとして益々伸ばしていってほしい特性だ。大規模戦闘をひとしきり楽しんだら、中規模、小規模戦闘でひと味違うプレイを楽しめるという循環は何物にも代え難い利点なのである。

 ただし、そういったバリエーションを用意した反動というべきか、本作には全般的なシステム面で作りの荒さが目立つ部分もある。例えば、中規模戦闘、大規模戦闘で行なえる「伏せ」の姿勢を取ったときに、キャラクタの脚が薄い壁の向こう側にはみ出してしまい、壁の向こう側から弾丸を撃ち込まれてしまうという現象。これは明らかにマップデザインに問題があるが、今後のアップデートで直ぐにでも修正するべきポイントだろう。

小規模戦闘にて他プレーヤーの視点を観戦中、壁にめりこんで向こう側が見えてしまっている。これではプレイの参考にしづらい
 また小規模戦闘では、自分が倒されてしまった後プレイが続いている場合、他のプレーヤーの視点で観戦できる機能があり、その際、キャラクタの位置が明らかにズレを起こしており、視点が壁にめり込んだり地面に埋まったりといった不思議な現象が頻発する。おそらくネットワーク関係の同期システムが非常にユルいために起こる現象だと思われるが、他のプレーヤーの細かなプレイ内容を確認しようがなく、これはスキルを競うというスポーツ性の高いゲームではある意味致命的である。

 このほか、筆者環境では大規模戦闘を30分~1時間ほど続けてプレイしていると極端なフレームレートドロップ現象が発生するという状況に見舞われた。ゲームを再起動すれば正常に戻るためサーバー側の問題ではないと思われるが、ソフトウェア的なクオリティにやや問題がありそうだ。

 以上の点についてLievoに聞いたところ、開発元ではいくつかの問題について確認しており、サポート窓口から情報収集を行なってプログラムの最適化や通信環境の改善に努めているという。キャラクタの一部が壁の外にはみ出てしまう現象についてはより具体的に対策を検討しているとのことで、早い時期に改善することが期待できるようだ。

 「WarRock」が提供するゲームプレイを愛するプレーヤーにとっては、より改善された本作の姿はますます魅力的なものになっていくだろう。テクモ、SeedC、および開発元のDream Executionには、そういった本作のゲームとしての基礎的なクオリティ向上を追求していくことを期待したい。それによって「WarRock」はオンラインFPSジャンルにおけるメジャーネームに恥じない傑作に仕上がっていくことだろう。

【スクリーンショット】
小規模戦闘から大規模戦闘まで、多彩なゲームモードでFPSの楽しみを多方面で味わえるゲーム性を評価したい。この強みをますます洗練させていって欲しいものだ

(C)2008 TECMO.LTD./SeedC INC./Dream Execution Technology Co.,LTD. All rights reserved.




□テクモのホームページ
http://www.tecmo.co.jp/
□SeedCのホームページ
http://www.seedc.co.jp/
□「WarRock」公式ホームページ
http://warrock.jp/
□関連情報
【2008年4月24日】Lievo、WIN「WarRock」大規模アップデートを実施
大規模マップや新兵器、砲撃要請もできる「双眼鏡」を実装
http://watch.impress.co.jp/docs/20080424/war.htm
【2007年11月21日】国際ゲーム大会「GNGWC2007 日本地域本戦」
「WarRock」など5種目で日本代表選手が決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071121/wc.htm
【2007年3月16日】テクモとSeedC、WIN「WarRock」
オペレーションチームと対戦できるイベントを開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070316/war.htm
【2007年2月26日】テクモとSeedC、WIN「WarRock」3月8日より正式サービス開始
公式クラン戦開催など今後のスケジュールを発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070226/war.htm
【2007年2月19日】テクモとSeedC、WIN「WarRock」クランシステムを実装
クラン内チャットやクラン戦などの機能を搭載
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070219/war.htm
【2007年1月31日】オンラインゲームプラットフォーム「LieVo」、各社の新作タイトルを紹介
格闘アクション「INFINITY」、オシャレを楽しむ「ラブネマ」などユニークなタイトルが続々集結
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070131/lievo.htm
【2007年1月25日】オンラインゲームファーストインプレッション「WarRock」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070125/warrock.htm

(2008年5月9日)

[Reported by 佐藤“KAF”耕司]



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