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★オンラインゲームファーストインプレッション★

韓国産本格派オンラインミリタリーFPSついに上陸
日本独自アップデートで新規層の取り込みを狙う

「WarRock」

  • ジャンル:アクションシューティング
  • 開発元:Dream Execution
  • 運営元:テクモ
  • 利用料金:無料(アイテム課金制を予定)
  • 対応OS:Windows XP
  • 発売日:未定(現在クローズドβテスト中)



 テクモ株式会社とSeedC株式会社によるオンラインゲームポータル「Lievo」で、韓国DreamExecution開発の本格派オンラインミリタリーFPS「WarRock」の第2次クローズドβテストが年末年始にかけて実施された。年明けには、第3次クローズドβテストの実施も発表され、オープンβテストサービスはまだ先だが、韓国サービスを皮切りに、1次テストと2次テストを通じてひととおりゲームをプレイすることができたので、ファーストインプレッションとしてゲームの魅力をご紹介したい。

 本作の特徴は、「BattleField(BF)」シリーズに代表されるハイスペックPC向けのパッケージタイトルを見据えた本格的な3Dグラフィックスと16対16での多人数対戦をサポートしているところ。

 本作を通じて日本のユーザーにFPSを定着させたいというLieVo側の強い意向で、日本オリジナルとなる3人称視点モードをサポートするなど日本独自の機能を盛り込んでいる。韓国軍が採用する近代装備が多く登場することや、高解像度・ワイド画面にも対応したグラフィックス環境から、韓国では「SuddenAttack」、「SPECIAL FORCE」に次ぐ3番手として人気が定着している。

 今回の2次βテストではクリスマスから正月にかけての大型連休に合わせたイベントを盛り込んだ。GMを交えたデスマッチやクリスマス向けにデコレーションされた「Velruf」が公開されるなどイベントカラーを前面に押し出した展開を行なった。11日にはラグの改善を目的とした第3次クローズドβテストが1月18日~25日の日程で発表されている。日本の正式サービスは今冬開始を予定し、ビジネスモデルはアイテム課金制を採用する。

 本稿を執筆するにあたり、韓国NEXONが提供している韓国サーバー、英語クライアントによる国際サーバー、LieVoが提供する日本サーバーをプレイしているが、日本のユーザーの特徴としてゲームパッドを用いてプレイしているユーザーが非常に多いことがあげられる。海外のサーバーではゲームパッドを利用しているユーザーはほとんど見かけないのに比べると、日本でのゲームパッドの利用率は非常に高い。

 開発会社も正式にサポートしていない上、PCパッケージタイトルのFPSユーザーの大半がマウスとキーボードでプレイしていることを考えると驚くべき状況だ。昨年末にオープンβテストが始まったNHN Japanの「SPECIAL FORCE」と共に2007年の日本でのオンラインFPSの走りとして注目される本作だが、PCプラットフォーム以外からもユーザーを呼び込んでいる点で非常に興味深い一作だ。


■ 前後左右への“ローリング”でアクション性にアクセント。「重火器兵」、「衛生兵」などスタイルに併せて兵科を選択

大規模マップでの戦車戦や航空機とのバトルは圧巻。ド派手な演出を求めるカジュアル層やコンシューマユーザーに対するアピールも十分だ
 まずは「WarRock」の基本的なゲームシステムから紹介していこう。「WarRock」は、クラス制を採用し、「偵察兵」、「戦闘兵」、「衛生兵」、「工兵」、「重火器兵」の5種類の兵科を使い分けることができる。大規模マップでは「BF」ライクな多彩な乗り物を用いた「コンクエストモード」が楽しめ、中、小規模ではチームデスマッチやデスマッチ、そして「Counter-Strike」ライクな攻守に分かれて目標物を爆破させるラウンド制による「ミッションモード」をプレイすることができる。

 ユーザーはサーバーに接続後、大中小規模からチャンネルを選択し、セッションを作成する。1人称視点と3人称視点の切り替えやマップ、対戦方式を選択し戦闘が始まる。各セッション中はラウンド前後や、死亡後の復活待ちの時間を使って自由に兵科を変更できる。戦闘後は報酬として経験値とゲーム内通貨のDinersが支給される。経験値を積むことで階級が上がり、Dinorsを貯めることで強力な武器をレンタルすることができる。

 本作はこれらの5種類の兵科を柱にゲーム全体のバランスがとられており、大規模モードでは拠点占領時には乗り物から降りなければならないことや、小中規模マップでは一部に長い隘路を設け重火器兵が活躍できるシチュエーションを設けるなど、いずれのマップでも各兵科が活躍できるバランスとなっている。

 セッションの進行は柔軟で、開始時に人数を固定しない設定にしておけば、いつでも他のユーザーが入場することができる。途中からチームの変更はできないものの、セッションそのものをオープンにしておけば、ユーザーは人数の少ないチームに自動的に振り分けられ人数がイーブンになる設計となっている。更には途中退場に対する明確なペナルティがあり、セッション脱退時に100Dinersを徴収される。1回のセッションを最後までプレイした時の報酬が100~150Diners程度なので、少しでも分が悪くなるとセッションを抜けてしまうようなプレイはシステム的に歓迎されない仕組みとなっている。

 また、アクションの面では“ローリング”(正式な名称がないため勝手に命名)を盛り込むことにより他のリアル系のオンラインFPSに無い爽快感とスピーディさを演出している。シフトキーを押しながら前後左右キーを入力すると、その方向に体を一回転させ、高速移動や緊急回避をすることができる。しゃがみ時や伏せ時にも有効だ。身を翻しながら敵の射線をかいくぐり、距離をつめてショットガンで倒すといった動きができ、本作のアクション性を高めている。

「偵察兵」は専用のスナイパーライフルを装備できる。単独行動が得意だが、連射可能なスナイパーライフルを使用することで戦線の足止めに高い効果を発揮している 唯一の女性キャラ「衛生兵」。注射器を使って、傷ついた味方や自分の体力を回復することができる。ラウンド制のセッションでは1チームに1人は欲しい存在だ 車両を修理できる「工兵」。武装は衛生兵と同じのため、大規模マップ以外では活躍できない。5兵種中最も出番は少なめ

番長的な風貌の「重火器兵」。対戦車ロケット、対空ミサイルなどを携行する。2次βテストより銃器中もっとも厚い弾幕の張れるガトリングガンが実装され、小中規模マップでの出番が増えた 重火器兵の対空兵器「スティンガーミサイル」。シフトキーでロックオン後発射すれば、ミサイルが航空機を追尾する 重火器以外の各武器に精通した「戦闘兵」。攻撃力の高いアサルトライフルが専用装備となっており、デスマッチ制のセッションでは最も人気が高い


■ 全13ステージを一挙公開。爆破ミッションと大規模マップが人気

「ローリング」は本作のアクション性を最も引き出しているモーションだ。被弾時の緊急回避ばかりでなく、相手との間合いを一気に縮めるなどアグレッシブに使用すると効果が高い
 2次βテストでは、合計13のマップが実装され、クリスマス用のデコレーションが施された「Velruf」など期間限定マップも含めて新マップでのゲームプレイが楽しめた。マップが一気に増えた分、人気も明暗がわかれ、大規模マップは空中戦が魅力の「Pargona East」、中規模では隘路を挟んで混戦・激戦ポイントがはっきりしている「Montana」や「Harbor Elia」といったマップに人気が集まった。

 その一方で、乗り物がオブジェクトに乗り上げてスタックしてしまうポイントが拠点の目の前にある「Emblem」など、ほとんどユーザーに遊ばれないマップがあり、調整の必要性も感じられた。

 また、初心者ユーザー向けとして実装された3人称視点によるセッションも、残念ながら多く開かれているとは言えない状況であった。βテストの段階で比較的コアなユーザーが多いことが挙げられ、柱の影など角度によっては1人称では見えない場所が見えたり、左肩後方からのカメラアングルがスピード感を惜しくも殺してしまっている印象がコアユーザーには敬遠されてしまっているようだ。通信環境によるラグに起因した、プレーヤーが乗り物ごと宙に浮いてしまうなどの現象がしばしば見られたが、これは第3次クローズドβでの解決を目指して開発に取り組んでいるところだという。

【OHARA】
砂漠の丘陵地帯がテーマのマップでは、韓国軍のK1A1戦車が登場する。山すそが開けているため高所に陣取ったスナイパーが強力なマップだ
【Pargona East】
沿岸を舞台にした南北対称のマップ。自拠点に攻撃ヘリと艦艇が控えており、兵器対兵器の戦いとなる。対空機関砲がうなる様子は必見
【Velruf(X'masVer)】
クリスマスバージョンのVelruf。期間限定でキャラクタもサンタの格好だとさらにシュールさが引き立ち面白かった
【Havana】
戦車を広場に突入させ、本格的な市街戦を楽しめる。中央の時計塔付近が激戦地になる
【Karaqum】
ターミナル付近の目標に爆弾をしかけるミッションモードのマップ。黄色対緑色に統一されたのキャラクタのカラーバリエーションが、デスマッチモードだと全員黒色になる
【Harbor Elia】
港湾地区の倉庫が戦いの舞台になる。中央の制御室の戦闘が東西・南北に加え上下方向にも広がりがあり、乱戦のステージとなる
【Cadoro】
砂漠の街がテーマで、モスク内での乱戦の中爆弾を設置するか、長い距離をスナイパーと対峙しながら相手本拠地の設置場所を目指すかが作戦の分かれ目となる
【MONTANA】
市街地の変電所を巡る戦い。マップ自体が狭いため、あえて中央の変電所を相手に取らせて、自軍拠点のマンションから狙い撃ちにするのも作戦の1つだ
【Khyber】
ワインセラーのある屋敷に爆弾を設置するマップ。細かいルートが多く、最も人気のあるマップの1つ。戦闘中Tボタンでマップ全体を確認でき、自分が死亡してから押すと味方の展開位置を確認できる
【Engrene】
ヨーロッパの街並みが再現されたマップ。曲がり角が多く、味方との連携が必須となる。グレネードを投げ合うため、弾薬補給拠点付近に絶えずユーザーがたまりがちで、ここの制圧がゲームの展開を左右する
【Marien】
廃墟の施設の爆破を巡る戦いが繰り広げられる。非対称ながらも双方に高所が用意され、スナイパー同士の戦いが熱い。防御側が東側の裏道を抜けてしまうと攻め側が総崩れとなる
【Revello】
攻撃機「A-10」も登場する大規模マップ。対空砲装備の充実で、天災に等しいほどの空からの攻撃はやや軽くなった。パラシュートが無いために、輸送ヘリに登場しても兵士が展開するために一旦着地しなければならない
【Emblem】
中央の2拠点前にある箱が曲者。双方に1つずつある戦闘車両がここで大方スタックしてしまう。バイクはスペースキーでウィリーが可能で複雑な地形もお手の物だ


■ 日本独自路線を歩む「WarRock」、アップデートは韓国に追従せず

 Lievoによれば、「WarRock」の日本展開に関してはLievo独自の方針で行なっていきたいとのことだ。現在韓国では大規模パッチ「Episode 3.0」が実装され、大規模戦向けの新マップや、「グレネードランチャー」、「デュアルベレッタ」といった新しい武器が登場している。これらに関しても韓国サーバーのバージョンを追わず、3人称視点のようなオリジナルの機能も含めて、既に実装されているコンテンツの中から日本独自のアップデート計画を立てて展開するとのことだ。

 本格派のミリタリーFPSへの入り口として、充実したモードやグラフィックスなどをライトユーザーに訴求するには本作は良くできている印象を受けた。機能性やインターフェイスのみならず、日本オリジナルのアイテムや、キャラクタデザイン、武器や兵器など今年初頭で筆者が最も期待したいタイトルだ。

1次βテスト終了時に行なわれたイベントには、SeedC副社長の中川氏やディレクターの大原氏はじめ、テクモからは「WarRock」プロデューサーの河野氏、開発元の韓国DreamExecutionのKim Dae-Sub氏らが参戦。200人以上のユーザーが集まり運営チーム達とのセッションを楽しんだ 3人称視点でのプレイは、ライトユーザーへの試金石となるか。広く視界を取れるため、なかなか接近戦にはなりにくい。それゆえ、緊迫感やエフェクトの迫力の効果が薄く感じられてしまう。3人称視点のセッション限定で遠距離武器の性能を絞り、接近戦に持ち込めやすくするなど、3人称視点ならではのバランスで楽しめなければ浸透は薄いだろう

韓国サーバーの「WarRock」。スコアボードの名前脇のピンク色のマークがNEXON提携のPC房から接続しているユーザーを示している。キャラクタの装備スロットの7番目には提携PC房からの接続時に限りサブマシンガンやフラッシュグレネードを使用可能になる。明け方にも関わらず半数程のユーザーがPC房から接続しており、自宅からの接続がメインの日本のユーザーにどのように訴求していくかが注目される

(C) 2006 TECMO.LTD./SeedC INC./Dream Execution Technology Co.,LTD. All rights reserved.


【WarRock】
  • CPU:Pentium III 800MHz以上(Pentium 4 2.0GHz以上推奨)
  • HDD:1.0GB以上
  • メモリ:256MB以上(1GB以上推奨)
  • ビデオメモリ:256MB以上(512MB以上を推奨)

□テクモのホームページ
http://www.tecmo.co.jp/
□SeedCのホームページ
http://www.seedc.co.jp/
□「LieVo」のページ
http://www.lievo.jp/
□「WarRock」のページ
http://warrock.jp/
□関連情報
【2006年12月19日】SeedCとテクモ、WIN「WarRock」第2次Cβの追加要素公開
クリスマスバージョンの新マップ登場など
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061219/war.htm
【2006年12月14日】SeedCとテクモ、WIN「WarRock」
第2次クローズドβテスト実施決定。「3人称視点」を導入
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061214/war.htm
【2006年11月10日】G★ 2006現地レポート
テクモ/SeedC、韓国Hyosungとの事業提携を発表
2007年3月スタートのLieVo Koreaに「LANDMASS」を提供
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061110/gstar_li.htm
【2006年10月10日】テクモとSeedC、ゲームポータルサイト「LieVo」を開設
ミリタリーアクション「WarRock」クローズドβテスターを募集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061010/lievo.htm
【2006年8月28日】テクモ、「プレスカンファレンス 2006 SUMMER」を開催
Web 2.0ベースのオンラインゲームポータル「LieVo」を正式発表
SeedCと業務提携し、オンラインゲーム市場に本格参入
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060828/tecmo_01.htm

(2007年1月25日)

[Reported by 三浦尋一]



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