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会場:ガンホー本社会議室
現在では、年に一度の公式ファン感謝祭「RJC(Ragnarok Japan Championship)」と、第7回まで続いている「ガンホーオフラインミーティング」、そして公式サイトにおける「重要なお知らせ」、「インフォメーション」などに細分化されながら、情報公開の方針を堅持し続けている。 中でももっとも評価したいのは、完全メディアシャットアウトで行なわれる「ガンホーオフラインミーティング」である。各部の本部長が顔を揃え、我こそはと熱い想いを胸に参加を決意したユーザーの厳しい指摘、質問を懇切丁寧に回答していくという内容だ。 質問内容によっては回答内容が不十分なこともあるが、重要なのはユーザーサイドの不満点を、本部長が矢面に立って受け止め、部門全体の課題として明日に役立てるというスキームの見事さである。国内では史上初の取り組みであり、今のところ類例も見あたらない。ぜひとも永続していただきたいものだ。 ただ、ここまで褒めあげておいて何だが、同社の取り組みにおいて残念なのは、メーカーユーザー双方の宿願であるBOT(不正ツール使用キャラクタ)対策で十分な結果が出せていないことだ。実際は結果を出しているのだが、あまりに母数が多いため、ユーザーから見るとどうもそれが感じられないということになる。もっとも、ユーザーの立場からすると、母数が多いとか、何千キャラクタ対処したというのはまったくもってどうでもいい問題で、“今そこにBOTがいる”ということが大問題なのである。 そこでガンホーはついに今年6月「11月までにBOTを80%削減させる」という明確な目標を掲げ、この問題に対して背水の陣を敷いた。この公約は果たして実現できたのか、今後どうしていくのか。BOTの奥に潜むRMT問題をどう解決していくつもりなのか。いよいよ天王山を迎えた感もあり、長年同作を見続けてきた筆者も「今回こそは」と大きな期待を胸にインタビューに望んだ。 今回は、不正対策チームの責任者であるサービス運用部本部長の広田知哉氏と、運営チームの責任者である開発本部第2開発部1課課長の廣瀬高志氏に話を伺った。なお、不正対策チームは、正式にはカスタマーサポート部ゲームサポート課という組織で、その実行部隊を率いるゲームサポート課課長代理の新津幹朗氏と、その右腕、ゲームサポート課主任太田剛氏にも同席いただいている。
なお、冒頭で参照している資料はガンホーの公式サイトからダウンロードすることができる。該当ページについては、画像として掲載しているが、それ以外のページにもユーザーにとって有益な情報が含まれているので、ぜひ一読を勧めておきたい。 ■ 「11月までにBOT80%削減」の公約は守られたのか?
広田知哉氏: 数字的な部分について先日のオフラインミーティングで発表した「不正ツール問題への取り組み」の資料を使って説明させていただきます。 まず、3ページ目の5月以降のアカウント措置件数と報告対応率のグラフです。不正使用キャラクタの1次調査件数の日平均というグラフを見ていただきますとわかりますが、6月末に大規模なシステム的対策を行なうことにより、1次調査キャラクタの数は激減しました。7月以降はシステム対策が効を奏しまして、現状では低い位置で推移しているということになります。 次に4ページ目の不正ツール使用キャラクタの1次調査対象件数の時間ごとのグラフを見ていただくと、6月は非常に多かったことがわかります。そこで対策を行なったことによって7月には一気に激減しております。7月、8月、9月に関しては、その反動で夜10時くらいから深夜3時あたりの深夜帯に件数が多くなっていましたが、10月からは夜間のGMパトロールを強化することによって、深夜帯の不正ツール使用キャラクタ件数を減らすことできました。 6月に80%削減しますと言った時点から、データ的にはこのように大幅に削減できております。ただ私共としては、9月と11月に実施したユーザー様向けのアンケートの結果を重く見ております。ユーザー様の感じ方として80%削減できたのかというとそうではなく、だいたい10%くらいのお客様からしか評価を得られていないということです。私共としてはユーザー様の評価が第一と考えていますので、結論としては、「当初の目標は残念ながら達成できませんでした」という認識です。 今後の方向性としては、この状態を維持して、80%に留まらず、100%を目指すように頑張っていきます。早くユーザー様から「80%以上不正ユーザーがいなくなりましたね」と、ご評価いただけるように、対策を継続していきたいと考えています。 編: 運営側としてはいかがですか? 廣瀬高志氏: 今年2月にnProtectによる暗号化対策を実施したのですが、安定性の面でサービスに大きな影響を及ぼすような不具合が出てしまいましたので、急遽撤去せざるを得ないと言う状況になりました。結果として、ユーザーの皆様のご期待に添えなかった状況が長く続いておりましたが、不正対策については引き続きやっていきたいと考えておりまして、Gravityさんはもちろん、nProtect開発元のInca Internetとも協力体制を築き、定期的にミーティングを行なっております。協議の結果、nProtectによる対策だけではなく、Gravityさんの協力のもと複合的なシステム対策を入れていこうということになり、3月以降、開発を続けてきております。 これまで不正行為を80%削減するという数字を目標にしておりましたが、まだユーザーさんの意識としてはそこに達していないということで、今後、年末年始にかけて、準備してきた根本的な対策を実施していきたいと考えております。 編: ユーザーの認識は80%に満たなかったということですが、これは何故だと思いますか? 広田氏: 今回、ユーザー様からあまり良い評価を得られなかった理由としては、おそらく、5年間続けてきた「ラグナロクオンライン」の歴史の中で、長らく不正ツール使用キャラクタを取り締まれていなかったという負の実績の部分があると思います。またアンケート期間が9月と11月という期間の設定の問題もありました。元々不正ツール使用キャラクタの母数が多かったということもありまして、ユーザー様から見ますと相対的にあまり減っていないんじゃないかと、このような感じを受けられたのではないかと思います。 ただ、私共としては、データを見ていただければわかるとおり、またゲーム内に入っていただければわかるとおり、接続数の多い夜間、深夜にかけて不正ツール使用キャラクタがほとんど見られないという状況を作り出すことができました。私共としては深夜帯においては8割以上の成果は出せたのではないか、というふうに考えています。 編: 実際にグラフで見ますと、80%どころか90%程度達成しているように見えます。ですが、1次調査の時点で不正ユーザーを100%網羅しているかということが前提となるわけです。母数がおかしければこのデータはまったく意味がないことになりますが、この点についてはどうでしょうか。 広田氏: 1次調査に関してましては、過去色々なデータを蓄積した結果、不正ツール使用キャラクタとおぼしきものを含んでおりますし、もちろんその中には一般のユーザーさんも多少なりとも含まれています。アカウント停止まで持ち込めるキャラクタに関しては網羅できていると考えております。 ただ、不正ツール使用キャラクタ1次調査対象件数のグラフの10月から11月を見ますと、明け方の4時から9時くらいに少し山が来ています。その部分に関しては、まだ取りこぼしがあると感じておりますので、その部分だけ見ますと、8割減っていないじゃないか、とお感じになるユーザー様も多いのではと思います。 編: 逆に言うと、コアタイムに接続するユーザーさんからは8割削減されたという意見が多いわけですか? 広田氏: コアタイムのユーザー様からは「ほとんど見かけないね」というご意見を頂いております。実際、16日にオフラインミーティングを実施したのですが、今までは厳しいご意見を頂くことも多かったのですが、私共がこの資料を使って結果を発表させていただいたところ、今回はユーザー様から一定の評価をしていただくことができました。この状態を維持できるのであれば、私達も応援しますと、そういった嬉しいお言葉も頂いております。 編: 運営側としてはどのように評価していますか。 廣瀬氏: やはり取りこぼしは出てきてしまうという、いたちごっこのような部分はあります。本来であれば、根本的なシステム対策を入れた後で、そういった部分をパトロールなりの人的な努力で100%に持っていきたいと言うのが当初からの方針でした。開発側の対策がまだ実を結んでいない状況でここまで削減できたというのは、一定の結果が出ていると私は考えております。 実際にプレーヤーの視点でユーザー様の噂など拝見しておりますと、BOTに関する話題がだいぶ聞こえなくなってきたと感じております。ですが、町の中で露店を開いているキャラクタ等を見ますと、BOTで稼いでいると思われるものがチラホラと見つかることも確かです。しかし、量的には確実に減ってきていると認識しております。 編: このグラフに関していくつか質問があります。まず、6月と9月に大きな節目がありますが、これは具体的に何を行なった結果なのですか? 広田氏: 簡単に申し上げますと、それまで長い年月をかけて不正ツール使用キャラクタの傾向を分析した結果を使い、それに見合った形の重点的なシステム対策を6月に行ないました。その結果が出て7月には激減したということです。もうひとつ、9月に行なった対策は夜間のパトロール強化ですね。あとはフリープレイチケットの廃止。この2点が大きな要因となって、10月、11月に効果が現われています。 編: 次に、RMT業者サイトの監視・計測データというユニークなデータがありますが、これはどのように計測したのですか? 広田氏: 私共がRMT対策に真剣に取り組み始めたのが2006年10月になります。その時点から主だった30業者をピックアップして追跡調査しております。業者ホームページの相場ですとか、おとり調査などの手段を使ってですね。それらのデータを元に、最近の動向を含めた調査をして、こういったデータを出しました。 編: このグラフは、現在「RO」内で行なわれているRMTの何パーセントを網羅したデータだと見ていますか? 広田氏: それはわかりません。業者さんといっても細かいものを含めるとおそらく2桁ではすまないと思っています。ただ、主だったものに関してはほぼ網羅できているのではないかと思います。 編: その主だった30の業者は、まだ活動を継続しているのでしょうか。 広田氏: 30業者に関しては日々追跡調査しておりますが、私共が取り締まりを強化したことによって廃業している業者さんも見受けられます。 編: 現状では活動しているということですね。 広田氏: はい。まだ、売り買いはあると思います。中には過去に不正に蓄積した在庫を抱えている業者もあるはずですので、今後に関してはそちらもあぶりだしていって、根絶していきたいと考えています。
■ BOTとの5年に渡る戦いの内容について。「BOT業者とRMT業者は一体」
広田氏: 多種多様あると思います。私共が一番注力しているのは、BOTキャラクタを制御するツールです。そのほかにもやはり色々な支援ツールがありますけれども、私共がメインで取り締まっているのはやはりBOTということになります。 編: 使ってもいいツールというものは存在しますか? 広田氏: 公認しているものは一切ございません。 編: 不正ツール=BOTツールということですけれども、最新のBOTは、どのような性能を持っていますか? 太田剛氏: 現行のBOTについては、移動、戦闘、NPCとの取引、その他諸々、すべてが自動化されております。「ラグナロクオンライン」のBOTの歴史はもう5年以上続いておりますが、弊社の取り締まりに合わせてBOTの開発者達もBOTのクオリティを上げてきたわけです。これだけ長く運営側とBOT開発者が戦っている例も珍しいということで、現在のBOTがかなりのレベルになっていることは間違いないと思っています。 もう少し具体的に申しますと、一部のBOTは一般のユーザー様とほとんど変わりない動きをします。さらにGMがパトロールのためにゲームに入った瞬間に、そのキャラクタを感知して一斉に関連キャラクタを落としてしまうといった機能もあります。GMはゲーム内で問いかけの作業をおこなうのですけれども、それに対して一定の返事を返すなど、そういった進化を遂げています。 編: この半年間に限ってお話を伺いたいのですが、見た目には一般ユーザーと見分けが付かない高性能BOTに対してどのように取り締まりをしてきたのでしょうか? 広田氏: 細かい内容を具体的に申し上げることはできませんが、私共には過去5年間にもおよぶ、不正ツールに対するノウハウがあります。接続元の情報、キャラクタの名前、職業、特定の動きをしているか、特定の時間帯に入ってくるなど、総合的な情報をもとに洗い出しを行なっています。 編: つまり、呼びかけや目視パトロールのような手作業のレベルから脱皮して、ログの分析が中心になっていると? 広田氏: そうです。大枠としてはシステム的に網をかけて、個別に網から漏れたキャラクタに関してはゲーム内のパトロールで個別に対応しています。 編: BOTの自動化についてですが、やはりキャラクタ作成から自動化されているわけですか? 太田氏: そうですね。私共のほうで実際にBOTプログラムを入手して機能を調査することもありますが、最近のものでは設定ファイルにアカウント、パスワードを入れておいてプログラムを実行すれば動作するタイプというものがありました。 広田氏: 昔は、アカウント登録自体もマクロ化されていたプログラムが確認されておりました。アカウントを止めてもいくらでもまた作られてしまうという状態になっておりましたので、私共としては、海外からの接続についてはアカウントを取れないようにし、またマクロでの登録を防ぐために文字認証を入れたりといった対策を講じました。その結果として現在は、アカウント登録まで自動化されたBOTはおそらく無いと思います。 ただ、組織だって不正ツールを使う集団は、アカウントを登録する人、キャラクタを作成する人、BOTツールを動かす人といった役割が決められていて、それぞれ日本側の担当者、海外の担当者といった形で流れ作業化しているのではないかという側面も感じます。 編: 不正ツールを利用している人の傾向として、どういった人が多いと把握されていますか。 広田氏: 昔は日本国内も含めて非常に多くいたと認識しています。現在ではnProtect GameGuardなどを導入したことによって、誰でも使えるようなツールについてはおそらく排除できました。今残っているのは、nProtectを含めてプログラム的な防衛策を回避できるような、高いスキルを持った組織だった人々、おそらく海外の方が大半だろうという判断をしております。 廣瀬氏: BOTツールを使う方は2種類いると思われまして、ひとつは他のユーザーよりゲーム内で優位に立ちたいと思って使うタイプ。BOTツールにおけるユーザー側ですね。こちらは今ほとんど防げていると思います。もうひとつはBOTツールを開発すること自体を活動の根拠にしているタイプです。腕試しの要素でやっている部分もありますが、BOTツールを販売することで利益を得ているということです。今残っているのはこちらのタイプですね。 編: RMT業者に関しては今回レポートを提出されていますが、BOT業者に関してはどの程度情報を把握していますか? 広田氏: 過去nProtectを導入する前は、ネットオークションなどで「BOTツール売ります」といった書き込みも結構見られまして、ある意味誰でも手を出せる環境にありました。nProtectを導入して、あるいはシステム的にハードルを高くする仕組みを導入してからは、残っているのは組織的にツールを開発しているようなものだけです。そういった組織に関しては、当事者グループの中でしか情報を共有していませんので、一般市場には出てきていません。私共としても把握が難しいところです。 編: では今使われている高性能BOTの大半がどういう構造になっているかは想像するしかないということでしょうか。 広田氏: そうですね。一部ユーザー様からご報告を頂いて入手できる機会も御座いますので、そういった機会を捉えて解析していきたいと。また協力体制にあるセキュリティ会社にも情報を送って対策を施しています。 編: やはりRMT業者とBOT業者は繋がっているわけですか? 広田氏: 大半の業者はおそらく一体のものではないかと思っています。ツールを開発して動かして、RMTを組織的にやっていると、その一連の作業がおそらくひとつの組織内で行なわれているのではないかと。それ以外の業者に関してもBOTと繋がりのある中間業者からゲーム内貨幣が流れているのを多く確認しています。 編: ということは、RMTを止めれば不正ツールも止まると言えそうですね。 広田氏: はい、そうなりますね。 編: ガンホーさんは、BOT対策とRMT対策はそれぞれ別個に対策を取られていますが、BOT対策とRMT対策のバランスはどのように考えていますか? 広田氏: 私共としては、RMTとBOTのどちらを潰すのが簡単かというと、BOTツールの方だと思っているんですね。RMTについては法的な壁もありますし、私共が知りえない、いわゆるゲーム外の取引も含まれます。一方、BOTツールはゲーム内での事象になりますので、それに関しては開発元のGravityさんですとか、セキュリティ会社さんと協力してかなりの部分で対策が施せます。ですから、今の段階ではBOT対策を重点的にやっています。それによってRMTをなくしていこうという形です。 編: BOT対策の部分で、まだ未到達の部分は残っているのでしょうか。 広田氏: 過去、暗号化やnProtectの導入など対策を施して来たのですが、やはり残念ながらそれを突破されてきたという経緯があります。何故突破されたかという原因については掴みきれていないのが現状ですが、今後、暗号化の第1弾、第2弾とやっていきます。私共としては自信を持っておりますが、100%防ぎきれるかというと、確証はもっておりません。 編: RMT業者、BOT業者というのは、エリアとしてはどの辺りだと把握されていますか。 広田氏: 私共の情報からすると、中国が8割前後と多く占めている様です。 編: 今回、海外からの接続を全面的に排除するという方針を発表しましたが、その決断の背景には、やはり中国からの切断を遮断したいということなのでしょうか? 広田氏: それが大きいですね。 編: 中国をはじめとしたアジア諸国では、比較的RMTを容認する傾向があると思うんです。RMT業者の立場で考えると、日本で商売を行なうのはリスキーでありすぎるように思うんですが、それでもなお日本でRMT行為を行なうのは何故だと思いますか? 広田氏: やはり各国の通貨の影響力があると思います。アジア圏においては日本円が一番強いということです。中国の人によっては日本円の稼ぎを中国の元に換金すれば何倍もの価値になると、そのあたりが一番大きな要因だと思います。 編: プロキシを通したユーザーも排除すると発表されていますが、これはどのように行なうのですか? 広田氏: もちろん、私共一社でできるわけではなく、プロキシサーバーの情報、接続元を洗い出すようなノウハウを持った会社と提携してやります。特定のプロバイダとかIDCではないのですけれども、ある程度それに近い、インターネット回線に関して熟知されていて、情報も持っておられる会社さんです。私共には「プロキシサーバーから接続が来てる」ということが確認でき、不正対策には大きな参考材料となります。 編: 大きな効果が期待できそうですね? 広田氏: どれくらいの効果が見込めるかについて確証はありません。私共はこれまでも海外の接続が多いということで、そこに的を絞った対策をとってきました。現在でも海外からの接続はわずかながらあるのですが、他には日本にプロキシサーバーを置いて、あるいは日本に留学生などの協力者を置いて入ってくるケースも確認されております。ですから海外接続の禁止が効果を発揮するかというと、必ずしも一概には言えない状況です。
■ RMT対策の基本方針について。ゲームバランスはいじらない方針
広田氏: 現時点では、法人格を持つ大手の業者をメインに取り締まっております。そちらのほうにある程度目処がついた次のステップとしては、オークションサイトなどで個人取引をされているユーザーさんについても対策を行なっていきたいと考えています。現時点で私共が注力しているのはRMTというより不正ツールについてですから、まず組織だった業者を潰していこうということです。個人ユーザーについてはその次の取り組みで、最終的にはゼロに減らすことを目指しています。 編: 個人ユーザーの取り締まりは困難だと思いますが、どのようにして実効のある対策をしようと考えていますか。 広田氏: RMT対策全般において共通することですが、まず啓蒙活動が挙げられます。不正ツールの温床になっているのはRMT市場があるからだということで、やはり需要と供給のバランスを断たないとダメでしょうと。やはり一般ユーザーの皆様に向けてもこういった認識をお伝えして、RMTには手を出さないでくださいと訴えかけていきます。 先月にはゲーム内のローディング画面ですとか、公式サイト上にRMTに関する啓蒙ページを設置致しました。最終的にはオークションサイトに関しても、個別におとり捜査をしていくなどの手段で潰していくしかないのではないかと考えております。 編: 会社として取るRMT対策の最大の施策が、啓蒙活動ということですか? 廣瀬氏: 具体的に採りうる対策としては、そもそもRMTの目的となるゲーム内通貨やレアアイテムの取引がゲーム内で可能である以上は、やはり業者など大口のところを潰していっても、どんどん深いところに潜っていくというのが常なんですね。メッセンジャーやIRCを使うような形で、限られた枠内でRMTを行なっていくとか、あるいは友達同士で取引をするなど、私達が対策をしようにもそこまではなかなか難しいのが現実です。 ですので、やはり現実のお金を使ってそういった取引をするという、その意識そのものをできる限りなくしていくことがまず第一かなと思っております。あとはゲームの仕組み上、海外などではレアアイテムを取引できないシステムを導入しているゲームもありまして、そういったものに関してはRMTの目的が最初からシャットアウトされています。ですがそういったシステムを持たないゲームに関して言うと、草の根的な部分まで捜査の手を広げるというのはなかなか難しいということです。 編: 運営面での施策については、数年前から堀(誠一氏、取締役開発本部長)さんとお話させていただいて、個人的には結構もどかしい部分があるんですよね。何故BOTがワラワラ生まれ続けるのかというと、やはり新規キャラクタでもゲーム内マネーが稼げてしまうということがあると思います。何故稼げるかというと、いわゆるBOTのような単純な動きでモンスターが狩れてしまうというAIの貧弱さ、シンプルなルーティンワークでお金が稼げてしまうというゲームデザイン上のウィークポイント。それから高価なアイテムのレアドロップなどが挙げられると思います。 この点については、堀さんもある程度問題を認識されていたように思いますが、今回の不正ツール対策のレポートでは、ゲームデザイン上のウィークポイントに関するコメントがほとんどありませんでしたので、残念に思いました。この点についてはどのように考えていますか? 廣瀬氏: BOTを根絶するという視点でのみ言えば、低レベルキャラクタでお金が稼げない、簡単に狩りができない、拾ったアイテムが高値で売れなければいいということになります。しかし、やはり「ラグナロクオンライン」というゲームの特性上、オンラインゲームを始めたての方にも楽しんでいただけるという特徴を根本から変えてしまうことになりますので、それはできないと考えています。 編: MMORPGとして「RO」を見たときに、低レベルでも大金を稼げる可能性があるという部分が大きな特徴だと思います。他のMMORPGと比べるとその辺りがいびつに感じられるのですが。 廣瀬氏: と言われてもですね、本当にオンラインゲームを始めたての方がすぐに大金を手に入れられるかというと、そうではないのです。まずコミュニケーションができるかどうか、取引をするノウハウがあるかどうかということもありますし、そもそもレアなものはポロポロ落ちるわけではありませんから。 BOTのように長時間プレイすればレアなものも手に入るというバランスについては、プレーヤーさんが地力でこなすことができないレベルの時間をBOTによって稼いでいるわけですから、それはBOTツールを防ぐことで対処するということです。ですから、ゲームの難易度を上げるという対策は、必ずしもRMT対策には直結しないと考えています。 編: 今のバランスというのは、廣瀬さんの考える範囲ではあくまで正常であるということでしょうか。 廣瀬氏: そうですね。初心者に優しいという部分は残していきたいと思っています。BOT対策をするというのは、それとはまたレイヤーの違う話です。ゲームバランスとBOTの問題は切り分けて考えるべきということです。長時間狩りを続ければレアアイテムが手に入る、それには一定の努力が必要です。BOTでそれをやると言うことに対しては、システム的な対策を施して根本的に動かなくしていく方向で考えています。 付け加えるならば、不正のためにゲームの根本的な作りを変えるようなことはしたくないということです。あくまで正当に楽しんでいただいている方々のためのゲームですから、その面白さをなくしてまで不正対策をするというのは違うと思っています。不正対策は不正対策でやる、そういうふうに考えています。 編: 逆に、運営側で必要性を感じているRMT関連の施策は何ですか? 廣瀬氏: RMTを助長するという意味では、BOT以外の不正ツールの横行があるのでしょうが、それを防いだとしてもRMT自体はなくならないですよね。例えば「RO」で不正対策を施して、業者さんの在庫が限りなくゼロに近づいたとしても、他のコンテンツに移ってRMT取引をやっていると思いますから。 “手軽さ”というのはMMORPGとしての特色に関わってくる部分だと思いますけれども、「RO」だけで不正ツールをなくしてRMTを根絶できるかというと、そうではないと考えております。最終的にはやはり、RMT業者が活動できてしまうという法律的にグレーな部分、ここから変えていく必要があるのではないかと思います。 編: つまり、純粋な運営レベルでは、もはやRMTはあまり意識しなくて良くなっているということですか? 廣瀬氏: そうではないです。運営側としては直接RMT業者に対してできることというのが限られているということです。不正ツールを根絶させるという手段であったり、啓蒙の部分ですね。直接RMT業者に対して、法的な根拠なくアプローチするというのは難しいことですから。そこは業界全体で取り組まなければ解決しない問題だと考えています。 編: 運営サイドから開発元に対して、RMTを減らすために何らかの要望を行なったりしているケースはあるんでしょうか。 廣瀬氏: その論点になりますと、やはり他のコンテンツで取り入れられているような、アイテムの取引自体ができないようなシステムにしてしまうなどの方法が手っ取り早いと思うのですけれども、そうすると普通にプレイされているユーザーさんの楽しみまで殺いでしまうということになります。そこは簡単に決められることではありません。
■ 現在の「RO」はデフレが進行中? ゲーム内経済の今後のゆくえ
廣瀬氏: そうですね。むしろ現在はインフレよりも、アイテムが高く売れない状態が起きていますので、そこの軌道修正をしていかなければならないと考えています。そこについては、あくまでもRMTとは切り離したところですけれども、ゲーム内の市場を、ユーザーさんの考える正常な状態に近づけていく施策は打って行きたいと考えています。 編: つまりデフレということになりますけれども、それはインフレ対策の反動ということですか? 廣瀬氏: そうではないですね。ゲームの中でひとつ例を挙げるとすれば、ギルドの攻城戦で出てくる上級レアアイテムが、それを目指しているプレーヤーの手にだんだん行き渡ってきたということがあると思います。中級レアアイテムに関しても、一般のフィールドで多く出回っていますので、欲しい人には行き渡ってきたということです。そういった形で物がゲームの中に増え続けている、かつ消費する機会が少なくなっているという要因がアイテムの相場を下げているわけです。 編: アイテム本来のレアリティが維持できなくなっていると。 廣瀬氏: そういうことになりますね。ゲームを日々アップデートしておりますので、今まで装備していたアイテムに満足していたユーザーさんにも、また上位の装備が出ますから、そちらにシフトしていくとき、今まで装備していたアイテムが市場に流れるわけですね。そうすると物が溢れていくということもありますよね。 編: MMORPGの上級装備は、基本的にトレード、売却が不可能というケースが多いですが、「RO」ではそれでもなおトレード、バザー可を維持されるわけですか? 廣瀬氏: ゲームのシステムの話になりますから一概に言えないのですが、本当に一部のレアに関しては検討していますが、全面的にはしたくありません。例えば、あるレアアイテム獲得のためにはいくつか条件があるとします。自分はBというアイテムはゲットできそうだけれども、Aというアイテムはゲットできそうにない。そういう時のために、BとAを交換するというアプローチは残しておきたいのです。 そういった道があるからこそ、プレイするモチベーションが維持できるということがあると思うんですよ。自力でレアなものをゲットできる道が全く残されていないと感じてしまうと、そこで諦めてしまうユーザーさんもいらっしゃると思うんですよね。ですから、トレード不可というシステムをすぐ「RO」でやってよいかと考えると、ちょと難しいところですね。 編: なるほど。そういう自由度の高さこそが「RO」だというわけですか。 廣瀬氏: そうです。「RO」は、元々、どういうキャラクタがどういう役割をするかわかりやすいゲームであると同時に、自由度が高いという特徴があるんですね。そういう楽しみ方の幅はなるべく残して行きたいと私は考えています。 編: 逆に不正対策チームから「ここは直して欲しい」と提案したことはありますか? 広田氏: まだ実装されていない機能として、メールシステムというのがあります。これはBOTツールで稼いでゼニーを受け渡しするのに非常に便利なツールになってしまうということで、我々不正対策チームの方からも開発側に向けて「この機能だけは入れてくれるな」と、強く要望した結果、実装されていないという状況があります。 廣瀬氏: それに関しては、運営側としても同意しております。私の見解を要約すると「不正対策のためにゲームの楽しみの部分を削りたくない」ということになるのですが、その一方でそういった不正ユーザーに悪用されやすい機能をゲームに実装したくないという考えもあります。メール機能に関しては、不正対策チームからお話が来たこともあり、実装を見送ることとしました。 編: 一般ユーザーにしてみると、メールはとても便利な機能であり、ゲームの楽しみですから、削るべきではないという論法も成立すると思います。要するに楽しさとリスクのバランスという話になるわけですが、その線引きはどのあたりに設定しているのですか? 廣瀬氏: おっしゃるとおりで、それがまさに日々のジレンマになっています。不正のために機能を制限するか、大勢楽しんでいらっしゃるユーザーさんのために残すか、そのライン引きというのは非常に難しいんですね。ゲームに与える影響度の問題だと思うのですが、基準に関してはちょっと一言では申し上げられないですね。本当に難しいです。 広田氏: ひとつ言えるのは、我々不正対策チームの方でこの後も対策を強化していって、不正ツール使用キャラクタが100%居ませんという環境を作り出せたとしたら、その段階で初めて、メール機能の検討に入れるんじゃないかなと思います。ただ現状はそこまで至っておりませんので、それまでは凍結してくださいというお願いはしています。
■ 2008年1月で一連の不正対策は完了。目標は「100%削減」
広田氏: 不正キャラクタ取締りに関して、基準を設けていますが、しばらくやっていると、その基準を見破られてしまうということがありますので、それを定期的に変えていこうという事です。時間帯、取締り基準など、これまでと違った方法で入り込んでくる不正使用者も確認されておりますので、そういった新しいデータに基づいても対応していくという形になります。 編: この施策によって何が変わりますか。 新津幹朗氏: これまで私共のほうで潰せていなかった不正ツール使用キャラクタがまだいますので、そこに対して非常に効果的であると思っています。基本的に、我々はBOTツールを使う不正ユーザーを主に取り締まってきましたが、当然BOTキャラクタが収集したアイテムを集積して露店などでお金に還元する、いわゆる倉庫アカウントという存在があります。そういったアカウントに対しても今後取締りを強化していくつもりです。 私共が調査したところ、いわゆる通常の交換取引だけではなく、アイテムを捨てる・拾う、露天を介して受け渡すなど、様々なマネーロンダリングの方法が確認されています。現在のところ、そうした問題に関しては手作業で地道に追求し、倉庫アカウントを取り締まるという形を取っておりますけれども、最終的には中間業者やRMT業者に行き着くところまで調査ができておりますので、その中で一定の基準を設け、BOTだけでなく関連アカウントも含めて取締りを強化しようと考えております。 編: 今回ついに100%と明記されたのが非常にエポックメイキングなことだと思います。その根拠というのは何なんでしょう。 広田氏: 根拠は無いですね(笑)。意気込みの部分ですから、もちろん私共とすれば100%達成できれば嬉しいと思いますけれども、現在の施策を全て実施したところで完全に100%という断言は、現状では難しいです。あくまで意気込みとして100%を目指して、 ユーザーさんの皆さんに「RO」を楽しんでいただきたいと、その意思表示になっております。 編: 100%対処は、時期的にはいつくらいを想定されていますか。 広田氏: 現在のスケジュールで言うと、パケットの暗号化、クライアントのセキュリティ強化といった不正ツールが動作しない環境づくりについては、全て来年の1月くらいには実装が可能となる予定です。これら一連の対策が完了することによって、ほぼ100%近い数字が達成できるのではないかと考えています。あとはその維持ですね。 編: nProtectにしてもパケットの暗号化にしても、いわばクッションを挟むような施策ですけれども、以前、それによってラグが起こったり接続が不安定になったりですとか、いろんなトラブルがありました。その部分の対策は十分なのですか? 広田氏: 私共として最優先に考えているのは、一般のユーザー様が快適で安心できるゲーム環境でプレイしていただくことですので、不正対策をすることでそれを崩してしまっては本末転倒です。ですので、現在は慎重に検証を重ねて、本日暗号化対策の導入を見送ったのもそういう事情なのですが、安定したゲーム環境を作ることが最優先です。現在のところその部分に不安がありましたので、暗号化については残念ながら実装時期を延期しております。 編: パケットの暗号化は、結構昔から施策案の中に含まれていましたが、今回第1弾、第2弾と入ってきます。これは以前と根本的に違うものなのでしょうか。 廣瀬氏: 暗号化に関しては以前2月に導入しようとしたときに安定性の面で問題がありました。今回は主にそこを解決したものを導入します。また暗号化の根本的な硬さについて、ここで触れてしまうと対策を立てられてしまうので申し上げられませんが、実は暗号化以外にもやっていることが色々とあるんですね。これまで解析されてきた部分を変えていくなどの対策も含みます。つまり答えがわかっている状態で暗号化をかけても解析は時間の問題になってしまいますから、それについての対策を第2弾で実施していきたいという予定でおります。 編: 暗号化対策が狙い通りいけば、不正ツールが動作しなくなるわけですけれども、その成否についてはどのように考えていますか。 廣瀬氏: 今までの実績から言うと、胸を張って完璧であるとは言いにくいのですけれども、やはり我々としてはこれだけの時間をかけて関係開発会社に開発依頼をしておりますし、我々もそれに対する時間を非常に割いてきたわけでありますので、無駄とわかっていながら実施はしませんので、何らかの効果は期待しております。 編: ガンホーさんは、5年以上にわたって不正対策を実施してこられたわけですが、その度に、突破されてきた経緯があります。また同じことになるのではないかという懸念を持たざるを得ないわけですが。 廣瀬氏: そうですね、やはり人が作り出すものですので100%とは言えないと思います。しかし、仮にもし突破された場合、別の点でどう解決するかという部分が今回の対策の根本になっておりますので、仮に不正ツールが動いたとしても、直ちに全部ダメかというと、そこで後手に回らずに済むような対策を考えております。 広田氏: 今回の対策の特徴は、今まで手をつけていなかった領域もカバーできるという施策になりますので、そこが効果を発揮すれば今までのように簡単に破られるということは無いだろうと思っております。 編: お話を伺う限りでは、「100%削減」の根拠は、リカバーの部分にポイントがありそうですね。 廣瀬氏: 理想としてはそうなります。今準備しているシステム対策の成否によりますので、断言はできません。予定通り行けば、来年の1月の時点でパケット暗号化の第2弾やクライアントのセキュリティ強化と共に実装されます。 編: BOTが居なくなれば不正対策チームの業務内容も変わってきそうですね。 広田氏: そうですね。これを入れることによってBOTが100%居なくなるということになれば、「RO」に限らず、蓄積してきた取締りのノウハウを他のコンテンツに当てはめていくとか、C2Cの部分でのRMT対策など、今までできなかった部分に注力していくことができるようになります。「RO」だけの不正対策をやっているチームではありませんので、他のゲームにも力を割り振っていくことができるということです。
■ 今後はゲーム本来の楽しさを追求し、「顧客満足度100%」を狙う
広田氏: 不正対策が1月中で、2月、3月くらいから、海外からの接続を制限していきます。総合的には春くらいまでには全ての対策に対して予定が達成されるのではないかと思います。 編: 来年の春頃には「RO」は不正のない大変安心してプレイできるゲームになっている考えていいでしょうか? 広田氏: はい。それを目指していきます。 編: 最後に、「RO」ファンに向けてメッセージをお願いします。 広田氏: 一昨日にオフラインミーティングを実施して感じたことですが、これまで7回続けてきた中で、これまではユーザーさんからなかなか良い評価を頂くことができなかったんですが、今回は参加して頂いたユーザー様に書いていただいたアンケート結果で不満が1件もなかったんですね。今までですと、不満というご意見も20%から30%見受けられたのですが、今回始めて0%という数字を達成できましたので、この辺りに関しては私共の取り組みだけでなくユーザー様からのご支援があった賜物だと感じております。 今後やはり色んな対策を行なうにあたっても、情報を開示しながら、ユーザー様からご意見ご要望を頂きながら、運営チームと一緒にユーザー様と協力して「RO」のコミュニティ活性化を行なっていきたいという風に考えております。 編: 不満がゼロというのは画期的ですね。この要因は何だと考えていますか。 広田氏: おそらく6月の段階で明確な目標設定をユーザー様に開示して、それに対して最終的には達成できなかったという結論なのですけれども、私共の努力に対してはユーザー様から一定の評価をいただけた結果だという風に受け止めております。 廣瀬氏: 長年いたちごっこを続けてきた不正対策ですけれども、ここで複合的な対策を実施することにより終止符を打ちたいと思います。そのために時間を取られてこれまでなかなか対策ができなかった部分もありますし、純粋にゲームを楽しんでいただけるという意味でははじめてスタートラインに立てるということでありまして、今後はゲームに対するユーザー様のご要望になるべく添えるようにしていきたいと考えております。とにかく私の中ではシステム側の対策を成功させることが一連の課題になっておりますので、きっちりとこの問題に終止符を打ちたいと考えています 編: 廣瀬さんの中ではBOT対策はいよいよ大詰を迎えたという認識ですか。 廣瀬氏: そうですね、本来はこの年末でこの問題に終止符を打ちたかったんですね。ですがまだまだ、本当の意味で安心して楽しんでいただける環境には持っていけていないという判断になり、もう少しお待たせすることになりました。今後、新しいシステム的な対策を導入することによって、ゲーム内のラグなど感じる場面が出てくることがあるかもしれません。そこに関してはユーザーさんのご理解とご協力を頂きたいと考えております。 編: 4月以降のゲーム世界はどのようになっていると期待できますか。 廣瀬氏: 不正対策が終わって、今まで気になっていたものが居なくなれば、ユーザーさんはその状況に慣れていくだけだと思うんですよ。それはいいことなんですけれども、そこからはさらにプラスの面で環境作りをやっていきたいですね。ワールドのプレイ人数が少ないのでコミュニケーションが取りにくいというご要望も頂いておりますので、次の段階ではワールド統合等の施策を成功させていきたいと考えております。 編: 不正対策とマイグレーションプランは実は繋がっているんですね。 廣瀬氏: そうですね。ワールドを増やしたり統合したりといった所では、必ずBOTの問題、市場が崩れてしまうという問題が噴出してきますので、そこを払拭した上で安心してプレイできる環境を構築できると思うんですよ。そこがユーザーさんの期待しているところですので、是非力を入れてやっていきたいと思います。 広田氏: 今回のオフラインミーティングでは、不正対策の結果発表と質疑応答が僅か1時間で終わってしまって、残りの時間はゲームの内容、掲示板を設けてくださいとか、倉庫を増やしてくださいとか、純粋に「RO」を楽しむ為のご意見ご要望を承りました。今後は本当にそこに注力して、ユーザーさんと一緒に「RO」における環境作りを勧めていきたいと考えております。 編: 春以降は、サーバー統合を含め、ゲームの別の楽しさを追求していくフェーズに入っていくということですね。 広田氏: そうならなければいけないと思います。 新津氏: 不正対策に関しては確かに一定の成果は出したものの、結局それは、我々の努力だけでなしえたものではなく、「RO」を愛して今まで支えてきてくださったユーザー様のご支援があって達成できたものだと思っています。実際にゲーム内でパトロールしても、BOTキャラクタより集積した倉庫キャラクタの露店からアイテムを買わないにする不買運動を実施していたり、実際にゲーム内で活動しているBOTを見つけて運営側に報告してくださったりとか、色々な形でご支援を頂いております。やはりそういった形でユーザー様のご支援を頂いた結果が結びついたのではないかということで、まずユーザー様に御礼を申し上げたいと思います。 太田氏: 今回、数字的な部分ではかなり顕著に現われてきましたが、ユーザー様の感情的な部分では追いついていないというのが現状です。ここを追いつかせることが顧客満足度という点で運営の本位であるというふうに考えておりますので、今後は「BOT対策100%」で終わりではなく、「顧客満足度100%」を目指していきたいと考えております。 編: 期待しております。ありがとうございました。
□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ (2007年12月27日) [Reported by 中村聖司]
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